毒の華、そして悪意の花~Fleur de Poison et de fleurs malveillants,   作:おわる美砂

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地球側に戻ります。
本作の悪役の方々のお話…のはず!←


そこは悪魔の棲む処

ドイツ、そこにはかつて魔女がいた。

人も近づかぬ灰色の森の奥、それはそこにかつてあった。

シュヴァルツヴァルトの魔女と呼ばれた女。

エルメンヒルデ・エッフェンベルク。

多数の子供を貧困国や貧困家庭から集め、それを実験材料として、生体兵器を作っていた。

「長持ち」するものを作ることだけを、目標として。

9年前、U-NASAの摘発を受け、その研究歩は今は閉鎖されている。

しかし首謀者は、当時生き残っていた実験体たちのうち、2人以外を自分の盾に使って逃亡。

20歳だったその施設最年長とみられる個体、コードネーム「レーヴェン」と、薬で眠ったままだった10歳の個体、コードネーム「イリス」の2人だけがその施設の生き残りとなった。

 

「…。」

 

月慈は空を見る。

その胸には、永遠に消えることのない悔恨が眠っている。

 

「……。」

 

マリアンネはシャワールームでシャワーを浴びながら考える。

あの森の中においてきた、感情を。

 

□□□

 

オーストリア、そこにも魔女がいた。

芸術の都と呼ばれるウィーン。

そんな街の片隅に、その施設はあった。

ウィーンの魔女と呼ばれた女。

ハンネ・ローレ・バスラー。

彼女は特異な研究をしていた。

「胎児が子宮内にいる間にM.O手術を行う」方法。

今となってはソレがどういう形で行われていたのか、誰も知る由もない。

何故か。

15年前、U-NASAが彼女の施設を摘発した。

その時、彼女は全てのデータと心中した。

こうなることを、どこかで予想していたのだろうか。

彼女はデータを電子化していなかった。

全てを紙媒体のみで記録し、そしてそれを全て燃やした。

その生き残りはたった三人の新生児たちだった。

施設内を調べて、100人ほどの妊婦が被験者として在籍していたことがどうにかわかったが、その中で成功したのはたった一人。

他は手術の後遺症や、手術で弱ったところに出産の負担がかかり、胎児ごと亡くなったようだ。

最後の一人も、母体の方は産後になくなっている。

 

「グロリア、小町パパ、今何処らへんかなあ?」

 

U-NASA本部の一室。

窓から夜空を見上げながら、緩く髪を結った少女が隣にいる自分と同じ顔の少女に問いかける。

 

「キリエったら…そんなの分かんないよ!…ねえ、クレド?」

 

もー!と言いながら、グロリアは隣で一緒に窓から外を眺める1匹のアカカンガルーに問いかける。

 

「……。」

 

カンガルーは…クレドはうんうんと頷いてみせる。

 

「…無事に帰ってくるよね…?」

「グロリアったら…パパは強いんだから!」

 

キリエは朗らかに笑いながら、妹の不安を吹き飛ばすように高らかに言う。

もちろん、彼女たちは小町の子供ではない。

ハンネ・ローレの研究所の生き残りたちである。

長男のクレドは胎内で、ベースとの融和が強すぎたせいなのか生まれた時からカンガルーの姿で暮らしている。

 

「だから私達は、信じて待ってよ!」

 

□□□

―フランス大統領府

 

執務室で書類に目を通しながら、その女は唐突に鳴った内線をぱっと手に取り、耳に当てる。

 

「はい……なんだ、メルキュールか…執務中に掛けてきちゃダメって……?…ああ、食事?…フランは?…仕事か…少し待ってて。」

 

そう言うと、一度受話器を置き、再び手に取ると別な場所へ電話をかける。

 

「フランシーヌはいる?…ああ、フラン。メルキュールたちがご飯がないって騒いでるからさ、早めにあげて。執務中にかけてこられると困るから。…よろしく。」

 

そう言って、彼女は受話器を置き再び書類に視線を落とす。

 

オルレアンの魔女と呼ばれる女がいる。

そしてその女に、他の魔女たちのようにU-NASAも迂闊には手が出せない。

何故か?

彼女が一国の頂点に立っているから。

ジャンヌ・モンヴォワザン。

魔女と目される女科学者にして、フランス大統領。

 

「大統領ぉ~!」

 

赤縁メガネの女が執務室に駆け込んでくる。

 

「何、フラン。ソレイユとかちゃんと食べた?」

 

それに一瞥をくれることもなく、ジャンヌは書類へサインをしていく。

 

「ゴキブリちゃん達「ピサリン」を壊しちゃいました~!」

「あらまあ……ま、新しいのピックアップしといて。代わりはた~くさん、いるでしょ?」

「そうですけどお……処理はどうしますかあ?」

「放っておけばみんな解体して遊ぶでしょ…好きにさせといて。」

 

そう言って、ちらっとフランシーヌへ視線を向ける。

にやっという笑みを浮かべる自分の秘書に、ジャンはふっと笑って立ち上がり、背後にある窓から外を見下ろす。

 

「ところでさあ。」

 

外を見たまま、ジャンヌは言葉を紡ぐ。

 

「「ソルシエール」は?」

「お部屋でゆっくりしてるようでしたよぉ?」

「そ…ならいいけど。」

 

にいぃ、とうす気味の悪い笑みを口元に湛える。

その彼女が住まう、官邸の地下。

 

「じょうじ。」

 

無数の、黒い群。

人に害なす、害虫の王。

彼らは全員、額に赤いものが埋め込まれている。

全ては彼らを、ここに縛り付けるための呪縛。

 

「さ、お仕事終わらせて帰ろー。」

 

魔女は笑う。

国を握るその手は、本当はドス黒い血で濡れている。

 

「ゴキちゃん達が待ってるからね。」




終わり(!)
ごめん、なんか自分で書いててもよく分かんなくなってきたわ()
とりあえず、ジャンヌさんが地下にいっぱいじょうじを飼ってるってことだけ覚えておいてくださいはい()
次はマリアさん達に戻るからね!
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