「……………。」
「……………。」
「……………。」
「久しぶりだな、海斗。」
沈黙を破ったのは、奇しくも親父の方だった。
「何で、てめぇがこの世界にいやがる…。」
「……………。」
あの日、杏子を守るために、オレは親父を殺した。殺したはずなんだ。心臓だって止まってた、あのバケモノ___朝霧雅樹はオレをあざ笑うかのように死んだんだ。なのに……
「てめぇは死んだ人間だ。今のアンタはデータの集合体、亡霊だ。」
「……ならば、なぜ震えている?」
「…これは、武者震いってヤツだ…。」
「貴様は、この俺を越え、弱者から強者になったのだ。…ライオンがシマウマに怯える姿は滑稽以外の何物でもない。」
「……何を勘違いしているか知らんが、いかなる者にも俺を殺すことはできん。貴様も俺と同様、完成された人間だが俺を殺すことは不可能だ。」
「……よく喋るじゃねえか、親父…。」
くそっ、データの集合体にしちゃエグいプレッシャー放ちやがるな…。
「……ヌンッ‼︎」
ブンッ‼︎
「ぐおっ…⁉︎」
「いきなり何しやがる‼︎」
「おかしなことを言うな、海斗よ。俺と貴様が向かい合った、それだけでこと足りるだろう。」
「殺し合いってか…。」
確かに、先の正拳突きは、人を殺すためだけに特化したものだった。何度も見た、圧倒的な破壊力を持つ拳。
あの拳で、いったい何人殺しただろうか。親父の一撃は頭蓋骨を粉砕するほどの威力。普通の人間は一発貰えば、即座にあの世逝き。
「どうした。戦う気がないなら、すぐにでも殺してやろう」
「はんっ、どうせ殺すつもりだろーが。まぁ、てめぇの言葉を借りるなら”オレを殺すことは不可能”…だ‼︎全力でいってやっから簡単に死んでくれんなよ‼︎」
「…………それでいい。」
化物の子は、化物。
アンタのことは大嫌いだが、ぶっ壊れた身体にしてくれたことに今は感謝してるぜ。
自分が死ぬビジョンなんて全く見えねぇからな‼︎
「ヅラァ…‼︎」
「シッ……」
ガッ‼︎
互いに放った正拳突きがぶつかり合う。
ほぼ同等の力が拮抗し、ミシミシと、骨の軋む音だけが暗闇を支配する。
「(ったく、冗談きついぜ…。体術スキルは使ってないが、システム外スキルでブーストさせた力を乗せてんのに、互角なんてな…。親父も同じことをやってるとしたら、長引かせたらタダじゃすまねぇ…‼︎)」
「オレのプライドが許さねぇからな、スキルは使わないでおいてやる。んなモン使わなくても、生身でオレがアンタより強者だってことは証明できるからな」
「……………。」
___。
スッ…と親父の姿が一瞬消えた。
「フンッ…‼︎」
「な…にっ…⁉︎」
一瞬の出来事。
オレの眼前に迫ってきた親父は、上段回し蹴りを既に放っていた。
「(間に合わねぇ…‼︎)」
グシャ
「がはっ…⁉︎」
やべっ…肋二本は折れやがった。
「逃すかよ…‼︎」
オレの身体に、深くめり込んでいた親父の脚を取り、脚の皿めがけて、肘を叩き落とす。
「むっ…‼︎」
「まだまだぁ‼︎」
ゴッ
「ぐっ…⁉︎」
追い討ちで頭突きをしたのは良かったが……痛つつ、なんちゅー硬ぇ頭だよ…。
まぁおかけで距離を取ることには成功した。
「片方の脚は潰したぜ。その状態じゃさすがに、あのチート染みた瞬間移動っぽいのは使えないだろ?」
アレにはマジで面食らったぜ…かなりいいモン貰っちまった…。
「………………。」
結構いいダメージ入ってるはずなんだが、相変わらず表情一つ変えやしねぇ。
「まだまだピンピンってか?……上等だ。」
すいません、変なとこで切ります。
続きは明日投稿予定‼︎