『差出人:鼠のアルゴ
耳寄りな情報があるんだケド、乗らなイ?こっちの要求は11層の、ドラゴン型モンスターがドロップさせる《竜の鱗》ダヨ。
ヒント なにわ』
突然、アルゴからメールが届いた。
意味不明かつ、頭の悪い文章で。
「なんだコレ…。相変わらず訳わかんねぇ…。」
要求するのはいいが、ヒントってなんだよ。なにわってなんだよ、おちょくってンのか?
「海斗。」
「あん?…なんだ、見てたのか」
オレの中にいるから、NPC(ノンプレイヤーキャラ)じゃねーのか、コイツ。名前ねーからな…。
ヘルブレイズZ号、とでも名付けよう。
「ヘルブレイズZ号、ですか。」
サラッと読心術使うなよ…。
「貴方の中に、私は、いますから。」
なるほど、納得……するかボケ。
常に心読まれるのは、落ち着かねぇぞ…。
「先程の、なにわのことですが、なにわ探偵シリーズのことだと、思われます。」
「あの小説の…?この世界にもあんのかよ」
「はい。GMである茅場氏の愛読書だったようです。サービス開始前に、作者が『なにわ探偵シリーズ/アインクラッド編』なる物を、書き下ろしたようです。」
なんでそこまで知ってんだよ…と、言うつもりだったがそのまま飲み込む。
『なにわ探偵シリーズ/アインクラッド編』
………………。
めちゃくちゃ欲しい‼︎‼︎
大ファンであるこのオレが知らない作品が⁉︎
読みてぇ、めちゃくちゃ読みてぇ‼︎この世界に閉じ込められてから、本なんて一切読んでいない。是非とも手に入れたい。
「欲しい、ですか?」
「はぁ?欲しくねぇよ。んなモン」
「海斗、震えています。」
「気のせいだ。」
「…どこに、向かっているのですか?」
「ちょっと、11層にいるダチに会いにな。」
「海斗、友達いません。フレンド欄にある、《Asuna》、《Argo》の両者は、それぞれ、ほかの階層にいるようですが?」
「……………。」
「素直では、ないのですね。」
「うっせ。退屈なのが嫌いなだけだ。」
「…そうでしたね。では、ドラゴン退治に向かいましょう」
________________
パリィン__……。
「おい、今ので何体目だ…?」
オレの眼前で、ドラゴン型モンスター《ドラゴニル》がその巨躯を大きくしならせ、赤い光に包まれながら爆散した。
「今ので、73体目です。」
「まじかよ…全然落ちねぇな。ドロ率どんくらいか、わかったりすんのか?」
「ドラゴニルから《竜の鱗》がドロップする確率は、0.7%です。」
おい…そういうことは早く言えよ…いやまぁ、ドロするまで止めねぇけどな。アルゴのバカにはお灸を据える必要がありそうだが…。
「あん……?」
ドラゴン型モンスター《ドラゴニル》が再ポップする定位置につく。
大体、3分に一回のペースで、3体から4体、小さな群れを作るようにポップする。
……はずなんだがな…五分経っても現れねぇ…。
オレの他にも、中層パーティがちらほらといるが、そいつらの所にもドラゴニルはポップしていない。
……おい、”お前が狩りつくしたからだろ”的な視線を向けるのはやめろ…。
悪いのはオレじゃない…はずだ。
「海斗。ドラゴニルが出現しないのは、他のパーティがヘイトを稼いでいるのが、原因と思われます。それも膨大に。」
「…ヘイトってあれだろ、敵対心。散々狩ったオレには向けられてないぞ?」
「はい。原因はおそらく_______来ます海斗。前方から、多数のモンスター反応。」
「はぁん。向こうからお出ましってワケか。」
ドドドドド
と、轟音とも呼べる地響きを起こしながら、次々と視界に飛び込んでくるドラゴン達。1…2…3…4…5…6…7…。
「ははっ…。冗談じゃねえぞ…ザッと30はいるじゃん…。なんかデカいドラゴンもおまけで付いてきてるぞ…」
その大群に追い立てられる、一つの小さなパーティ。
五人編成のようで、前衛は盾とメイスを装備した男1人のみ。あとは短剣シーフ型、クォータースタッフの棍使い、長槍使い二人。
…おいおい、後衛四人はダメだろ…せめて三人にして、前衛固めないと、回復する暇なくあの世逝きだ。
命懸けのこの世界で、ここまでのダメパーティを見たのは初めてだ。
「海斗。ドラゴニル達の中央にいるのが、長、《ドラグーン》です。あのパーティは、何かしらの罠を発動させてしまったのでしょう。ドラグーンを倒さない限り、ドラゴニル達も永久にポップし続けるはずです。」
「まじかよ、厄介だな…。」
「いまの海斗のレベルなら、単独で十分に倒せるはずです。竜の鱗も獲得できます。」
「なんだと…?まさか、確ドロじゃない…よな?」
「竜の鱗は、ドラグーンを討伐すれば、ドロップ確定です。」
聞くや否や、リーダー格と思わしき男の眼前に割り込む。猛ダッシュで。
「引き受けてやるから、コイツ譲ってくれ。」
「すいません、よろしくお願いします。やばそうだったら、逃げてください‼︎」
幸か不幸か。
これが、ギルド《月夜の黒猫団》との出会いだった。
あ…れ
キリトは出ない=リーファは出せないんじゃ…(驚愕