みなさんが思う、ギャルゲの登竜門?的な作品はどんなのでしょう?
まじこい、ダカーポ、グリザイア、キャベツ、とかですかね?
私?私はもちろん暁の護衛一択。
『ボルルギュルルアァ』
《ドラグーン》の麻痺効果付きのブレス攻撃を避けつつ、ソードスキルを叩きこむ。
敵の残りHPは一割弱。あと一撃で、仕留められるだろう。
長期戦になることは覚悟していたのだが、思ったよりも早く片付きそうだ。
と言うのも、本来ならば30匹程いる《ドラゴニル》達のヘイトもオレが請け負わなければならなかったのだが、周りにいた5つのパーティ(ダメパーティ含む)が、それぞれヘイトを稼いでくれたのだ。別に頼んだわけではないのだが、雑魚ドラゴン達を分散してくれたおかげで、楽に事を進めることができた。
「これで終わりっと。」
オレの持つ片手剣が青白く発光、ドラグーン目掛け軽く振り抜く。
初歩的なソードスキル《スラント》を放った訳だが、レベル補正もあってか、一割弱残っていた《ドラグーン》のHPバーは、一ミリも残すことなく消え去った。
上位ソードスキルを使っても良かったのだが、あまり目立つのは好きじゃないからな…一層ボス戦のことで反省したのだ。
「何はともあれ、終わったな」
「お疲れ様でした。無事、《竜の鱗》もドロップしましたよ。」
「そうか。なら早速、アルゴの奴に焚きつけに行くか。」
アルゴから本を押収して、一刻も早く読みたい。ワクワクしてきたぜ、グズグズしてらんねぇよ。
「あのっ…‼︎」
グズグズしてらんねぇよ。
「…ま、待ってください‼︎」
「……グズグズしてらんねぇよって言ってるだろ?」
「えぇ…?…あのっ本当にありがとう…凄く、怖かったから…あなたが助けてくれなかったら、私たち今頃…」
自然な動作で手を握られてしまった。
逃がさないと言わんばかりに、ギュッと強く。
見れば、オレに話しかけてきた、気の弱そうな女の後ろにもぞろぞろと。
「泣く程のことかよ…。」
側から見れば、オレが泣かせたみたいだろ…。つか、早く手を離してくれよ…帰りたいんだが。
「リーダーとして、僕からもお礼をさせてもらいたい。本当に、どうもありがとう。」
そう言うと、リーダーと名乗る男はオレに対して、深々と頭を下げた。
「………………。」
『海斗、口開いてます。』
お前…内側から話しかけんなよ…。
『私と海斗が、普通に会話を交わすことは、不自然ですから。』
まぁそりゃ、な。
しっかし、オレが人に頭を下げられる日が来るなんてな。礼を言われて、頭下げられるのは、生まれて初めてだ。人様に頭下げんのも、下げられんのも、一生ないと、思っていたんだが。
『世も末、ですね。』
やかましいわ。お前、最近辛口な。
リーダーの一言をキッカケに、一人、また一人と、オレの手を握り、礼を述べていく。
なんだこの怪奇現象…。
「あのな…なんか勘違いしてるみたいだから言っておくが、オレは別にお前らを助けるためにやった訳じゃないぜ?あのドラゴンがドロップさせる、レアアイテムが欲しかっただけだ。」
「それでも、結果的に僕らを救ってくれたのは、君だ。君がいなかったら僕ら全員の生還はあり得なかった。君は僕らの命の恩人だよ。本当にありがとう。」
「………ぐぅ」
痒い痒い痒い痒い‼︎痒すぎる‼︎言われ慣れてない言葉を、しかも連呼でくらうと、こんなにカラダがむず痒くなるんかよ…。
こいつら、どういう人間に頭下げてンのか分かってんのかねぇ…。
「これから市街区の酒場で祝勝会をやろうと思ってるんだけど、君も来てくれないか?改めてお礼がしたいんだ。」
「いや、礼なんていらねぇよ。水差しちゃ悪いからな、オレはパスだ。」
「…どうしても、駄目…ですか?」
オレが断りの意を告げるとすかさず、あの気の弱そうな女が寄ってきた。
「あんま群れるの好きじゃないんだよ、基本一人のほうが落ち着く」
自分で言いながら、だいぶ痛いこと言ってるな…と、自己嫌悪に陥りそうだったが、背に腹は変えれん。
「そんなこと言わずにさ、一杯やろうよ‼︎」
「そうだよ、行こう…?」
オレの両腕を、リーダーと女が強く引っ張りだす。
「ちょ…‼︎お前ら離せっ…‼︎」
気付けば、メンバー5人がかりでオレを取り押さえる。ヤバい…嫌な予感がしてきた…。
「さぁ、市街区にもどろう‼︎」
こうして、半強制的に酒場へと、オレは連行されたのだった。