アスナが去ってから三時間、オレはポップし続ける雑魚モンスターをひたすら狩っていた。
「ポーションもきれてきたしこの辺で切り上げるか…」
アクティベートした二層の転移門広場でいろいろ買い込めばよかったのだが、面倒なのでやめた。
いや、面倒とかじゃないな…、何かの拍子にフラグが立って、エクストラスキル習得クエストが発生したらラッキーだろ?ほかのプレイヤーより先にな。
まぁこの二層にあるエクストラスキルは《体術》だけだと思うが…。
「あぁ、そういえばアルゴのやつ体術クエスト受けてんのかねぇ」
アルゴのあの髭は、体術クエスト未達成で付けられる不名誉な証なのだ。あり得ないぐらいの硬さの岩を叩き割るこで晴れてクエスト達成という事になるのだが…。
「あの硬さはあり得んよなぁ…しかも素手で。」
オレ?オレはなんとか1日がかりで叩きわったぜ。あんな無理ゲな達成条件突きつけたGMに本気で殺意は湧いたが。
「そういや、この間会ったときは、髭あったな。本物を貰いに行くつもりなんかねぇ…」
第一層ボス攻略会議前、オレがヤツに会った時には既に、ソレは描かれていた。
頬にくっきりと。
アルゴ曰く、『ベータの時にはもう、鼠のアルゴってキャラが確立されてたからネ。髭がないアルゴはただの可愛い女の子ダヨ。自分でペイントしたってわけダ』とのこと。
自分で可愛いとか言うな。
「暇だ。オレは退屈なのは嫌いだ。そうだ第ニのアルゴ誕生を見に行こう。そうだそうしよう」←適当
いやまぁ、テスター以外はあのクエスト知らんヤツばっかだから、誰も居ない可能性の方が高いんだけどな。
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「いざ来たのはいいんだが、やっぱ誰もいねぇ…」
アルゴ辺りはマジでいると思ったんだが…冷やかす相手もいないんじゃ面白くもねぇ…。
「つーか、体術クエストも消えてんのか…どういうことだ?他の階層に移ったのか…?」
あるはずのものがない。こんなことはデスゲームが始まってから多少慣れてきてはいるんだが…猛烈に嫌な予感がする…。
「ようこそ、選ばれし者よ」
「ッ…⁉︎なっ…」
このオレが背後の存在に気付かなかった⁉︎油断もしてない。隙もみせてねぇ…。
「何者だお前…」
「………………」
「だんまりかよ……お前、NPCだな?」
「はい。これから、貴方に発生したクエストを、説明させてもらいます。」
「……はっ?」
「これから、貴方には空想世界へ行ってもらい、本当に相応しいものか、どうかを判断させてもらいます。選択してください。」
「ちょっとまて‼︎話が飛躍してっぞ‼︎オラ訳わかんねぇぞ⁉︎」
「選択してください。」
「聞けよオイ…。」
もはや、何を言っても無駄だろう。逃げるしか方法はない‼︎さらば‼︎
「…………オイオイ、冗談きついぜ…。」
…体が動かねぇ…!なにかで縛られてる…。
「選択してください」
「ちっ……わーったよ。選択してやる」
1.受ける
2.受ける
3.受ける
……………………。
…おいぃぃぃぃぃいいいい‼︎
”受けない”がねぇ⁉︎逃す気ねぇな‼︎
「なんだこのデジャブ感…」
なんかテンカウントまで始まってやがる…。
「はいはい、わかりましたよ。受けてやるから早く終わらせてくれよ?」
「承諾致しました。」
オレはこの後、髭のイベントなんて見に来なきゃよかった…と、後悔することになる。