「では、精神統一を行ってください。」
「精神統一…?瞑想ってやつか?」
「精神統一を行ってください。」
いやぁ、無言の圧力っつーか、NPCだから、声もなんか無機質で変に迫力があんだよなぁ…。まぁ、NPC相手じゃオレのギャグセンスは発揮出来ないので、おとなしく従っておく。
精神統一とか瞑想とかってあれだろ?
あぐらかいて、目つぶって、手を合わせるやつ。
簡単簡単。誰でもできるわい、赤子でも。
…………………
……………
………
「なぁ、本持ってねーか?」
「ありません。精神統一を行ってください」
「はぁん。じゃあ、なんか読み聞かせてくれや、NPCでも面白い話の一つや二つ、インプットされてるだろ?」
「ありません。精神統一を行ってください」
「ウイルス‼︎バク‼︎ハッキング‼︎」
「………………。」
「いや、頭痛くならなかったか?」
「なりません。精神統一を行ってください。」
「つまらん、暇だ。…うぉごぇえああいええゔぉぁおおぐぇええええ‼︎」
「…………………。」
「奇声をあげてみました☆」
「……………………。」
あかーん。全部空振りや…こいつ、某メイドより手強い…。
「精神統一してやるから、全裸で裸踊りして、逆立ちしながらお前の周り10周していいか?」
「構いません。」
「おいっ‼︎‼︎‼︎⁉︎」
そこは無言でいいわ‼︎
なんだこの敗北感…。
「精神統一を行ってください」
「…あーはいはい。目つぶって精神統一な」
あんま精神統一精神統一言ってたら、文字数稼ぎと思われるからな。←確信犯
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「目を、開けてください。」
NPCの声に従い、目を開ける。
暗闇。真っ暗だ。
「ッ⁉︎おい‼︎明かりを‼︎光を照らせ‼︎」
「それは、出来ません。これから、あなたに、一つの試練を与えます。」
「貴方が、最も、恐れているものと、戦ってもらいます。」
「オレが最も恐れているものだと…?んなモンありゃしねぇよ」
「貴方が、選ばれし者ならば、きっと____」
「おい‼︎まだ明かりつけてねぇ____ダメか…。」
トントン拍子に進めやがって…。当事者を置いてくなっつーの。
しかし、あいつ妙なこと言ってやがったな。
オレが恐れるヤツなんていないはずだが……いや、正確に言えば確かに昔はいた。……この世で最も恐れる存在が。
親父。
「ハッ、バカバカしい。何でもかかってきやがれ。潰してやる」
刹那。
眩い光の粒子たちが一点に集まっていく。
それは、あたかもヒトの形を作るように、腕、足、胴を組み上げ、神々しいまでの光を発していた。
「何なんだ一体…。何が来る…‼︎」
神々しい光が凝縮し、無数のライトエフェクトを散らせながら霧散する。
隆起した筋肉、ボロボロのブラックコート、フードの奥から覗く鋭い眼光、放たれる、人間のソレではない濃度の高い殺意が込められたプレッシャー。
「なっ……‼︎あ、あぁ………‼︎‼︎‼︎」
そこには_____________
親父、朝霧雅樹の姿があった。