ハイスクールD×D 未完の神器   作:英雄好きの馬鹿

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 ※すいません主人公の口調変えました。

 


悪魔になりました。

「なんですかあれは?」

 

 僕は習っている空手の稽古を終え帰宅している最中におかしなものを見つけました。

 

 日はとっくの昔に落ちている夜。僕は近道をしようと公園を横切っている最中でした。

 今通《とお》っている公園はデートスポットとしても有名で、たとえ夜でもそれなりに人はいるはずなのですが、二人を除いて誰もいないようです。

 

 一人はうちの学校のエロで有名な一つ上の先輩二年生の兵藤 一誠《ひょうどう いっせい》先輩で、もう一人は、とてもきれいな顔をした女の人でした。

 

 確かあの人はあまりにもエロい発言をしすぎて全校の女子全員に嫌われているのではないでしたっけ?

 

 しかしおかしい事はそれだけではありません。

 

 兵藤先輩と一緒にいる女の人は――光でできた槍のようなものを持っていて、見るだけで寒気がするようなほほえみを浮かべて口を開きます。

 

「――死んでくれないかな?」

 

 ――一瞬で寒気が走る。

 

 あの言葉は僕にも言われているんじゃないかと思うほど恐ろしい。僕なんかが相対すれば一瞬で死んでしまうということがよくわかります。

 

 そして女の人の言葉とともにどこからか現れたライトセーバーのように光でできた槍が振るわれました。

 

 あのとてつもない存在が凶器を振るうということは、ただの人間である兵藤先輩にとって死という結果しかあり得ません。

 

 今、兵藤先輩の周りには一人の女と僕しかいません。

 

 僕が行かなければ人が一人死ぬ。

 

 その代わりに僕は助かる。しかし僕はそれで満足できるのでしょうか。

 

 ですが、ここで僕が助けに行っても兵藤先輩が助かる可能性なんて少ない。

 

 だったら行かなくてもいいのではないだろうか?

 

 そんな惰弱な心と裏腹に僕の体は僕は女に向かって走り出す。

 

 僕に空手を仕込んだ師匠の教育の賜物だろう。

 

 とてつもない恐怖を感じながら走る。

 

 しかし恐怖と同時に安堵する。自分が人を見捨てるような人間じゃないことに。

 

 十年以上――いや、もっと前。両親と会話が出来ていたころから体を鍛えてきたんだ。

 そう簡単には負けてはやれない。

 

 例え一瞬で死んでも誰か一人くらい守って死ねるのなら長年鍛えてきたのも報われるでしょう。

 

 全力で走り、光でできた槍を振るう腕に浴びせた一撃は見事に軌道を変えて兵藤先輩からそれました。

 

 そしてそのまま女の人と兵藤先輩の間に着地。

 

 それにしてもなんて重さなんだ。

 

 人間一人の全体重がかかった飛び蹴りをくらって何とか腕がそれるレベルの腕力。

 

 やはり人間にどうにかできるレベルではないです。

 

「――あれ? 死んでない?」

 

「早く逃げて――」

 

 僕が言葉を言いきるより早く腕が振るわれました。

 

 その結果は、僕の後ろにいた兵藤の腕を切り飛ばしました。

 

「うわあ! 腕が!」

 

 兵藤先輩がうろたえます。仕方ないでしょう。僕も今口を開いたら叫びだしそうなんですから。

 

「人間風情が私の腕を蹴るなんて万死にあたいするわ」

 

 女の人はそう言いながら、嗤う。笑うと嗤うの違いがよくわかる表情でした。

 

 僕は恐怖を必死に押し殺して蹴りを放とうとするが両足をまとめてなぎ倒される。

 

 そして足から溶けた鉄が体を駆け巡るかのような痛みが襲った。

 

 視界がほとんど見えなくなってくる。

 

 意識が消えゆく中で見えたのは兵藤先輩が叫ぶ様子と、ポケットで光る紙だけだった。

 

 

 

     ※※※

 

 

 

 目が覚める。

 

 僕が目を覚ました場所は公園。

 

 兵藤先輩が死にかけ、僕が死んだはずの場所。

 

 そして近くには紅い髪の女性がいました。

 

 彼女はリアス・グレモリー先輩といって僕の通っている駒王《くおう》学園のなかでも『二大お姉さまとして有名な人です。

 

 でも、なんでここにいるのでしょう?

 

 僕は起き上がるとあたりを見渡す。

 

 あ、グレモリー先輩のインパクトのせいで兵藤先輩のことを見逃してました。

 

「目が覚めた様ね。ここがどこだかわかる?」

 

「分かりますけど……。状況が全く分からないのですが」

 

「あなたは自分が死んだことを覚えているかしら?」

 

「ええ……。あんな感覚忘れられません」

 

 足元から焼かれるような痛みの中で溶けていくような感覚。

 

 思い出すだけで身震いします。

 

「私はあなたを生き返らせたわ。――悪魔としてね」

 

 …………はい?

 

 思考がフリーズしました。

 

「信じてないでしょうけど本当のことよ。背中のあたりに意識を集中させてみなさい」

 

 僕は疑心暗鬼のまま言われたとおりに意識を集中させてみる。

 

 バサ!

 

 ……背中に謎の違和感が生まれる。

 

 携帯の画面を暗くして鏡のように使います。

 

 そこには謎の黒い羽根が生えている僕が映っていました。

 

「ぱ、パーティーぐっつではないのでしょうか?」

 

 僕は恐る恐る聞く。

 

「違うわよ。それにあなたこの暗闇の中でどうして真っ暗の画面を当たり前のように鏡として使っているの?」

 

 言われてみれば確かにおかしい。

 

 信じるしかないようです……。

 

「一応僕が悪魔になったことは理解しましたが、先輩も悪魔なんでしょうか?」

 

「ええ、もちろんそうよ」

 

「では、悪魔ってことは生き返らしてもらった対価とか必要なんでしょうか?」

 

「本当はそうなのだけれど、代わりにイッセーが払ったわ。彼はとても大きな才能をもっているから、あなたを生き返らせる対価としては十分だったわ」

 

「えーっと。兵藤先輩が払った対価ってなんでしょうか?」

 

「私は今すぐ彼を悪魔にするには力が足りないのだけれど、私が彼を悪魔にできるようになったら私と契約をするっていうことと、それまでの期間の間にも、私に仕えるということになったわ」

 

 僕の身代わりに兵藤先輩が一生仕える?

 

「では、僕が代りにあなたに一生仕えるので、兵藤先輩を解放してください」

 

「俺なら平気だ。助けてもらったのに何もしないなってことは嫌だ」

 

 兵藤先輩が真面目な顔で言い放つ。

 

 エロいっていう噂しか効かないけど根っこのところはいい人なのかもしれません。

 

 僕が兵藤先輩を見直していると、グレモリー先輩が少し悪戯っぽく笑いながら口を開きました。

 

「ちなみにイッセーが私に仕えることを決めたのは、悪魔社会で出世したら自分の眷属を女性悪魔にしてハーレムが築けると教えた時だったわね」

 

「ぶ、部長! さっきまでかっこよく決めてたのに! ……とりあえずそういうことだからそこら辺に関しては気にするな」

 

 何でしょう。気を使っているのか本心なのか分かりません。感謝をすればいいのか笑えばいいのかも分かりません。

 

「では、僕もあなたの眷属悪魔として仕えるかわりに、願いを叶えていただけませんか?」

 

「ええ、かなえられる範囲ならいいわよ」

 

「僕に戦う力と家をください」

 

 一生仕えるのですから家を貰ってもいいはずだと思い言います。それにグレモリー先輩はお金持ちと聞いているのでそこまで問題はないでしょう。

 

「分かったわ。取りあえず私の所有しているマンションを与えましょう」

 

 家は確保できたようです。これで家を出れます。

 

 それにしても家をポンと用意できるなんて流石悪魔。

 

「ただ、あなたは一応神器(セイクリット・ギア)も持っているのだけれど、能力が未知数なの。だからあなたはどのくらいまで強くなるかわからないわ」

 

「えーと。神器(セイクリット・ギア)ってなんでしょうか?」

 

「超能力のようなもので、神が人間にしか宿らないの。そこのイッセーも持っているわね。あなたが分かりそうなもので言うと、イエス・キリストの死を確認するために使われた槍とかね」

 

「ロンギヌスの槍がですか。兵藤先輩のは何でしょうか?」

 

「俺のことはイッセーでいいぞ。俺のは自分の力を十秒ごとに倍にする、ドラゴンが封じ込められた神滅具(ロンギヌス)って呼ばれる神器(セイクリット・ギア)の一つらしい」

 

「そう、神滅具(ロンギヌス)はあなたが言ったロンギヌスの槍に代表されるように、神でさえ殺せる神器(セイクリット・ギア)よ。だからイッセーを眷属にしたかったのよ」

 

 悪魔に神器(セイクリット・ギア)ですか。取りあえず当面の目標は神器(セイクリット・ギア)を使えるようにすることでしょう。

 

「そういえば、あなたの眷属になりましたけれど、何をすればいいんでしょうか?」

 

「有事の際の対処と、人間と契約して願いをかなえて対価をもらうことの二つね」

 

「それと、人間には神器(セイクリット・ギア)があるんですよね? 悪魔には何かないんでしょうか?」

 

「もちろんあるわ。悪魔は魔力が使えるわ。例えば私の『滅びの魔力』は悪魔の中でも強力な事を自負しているわ」

 

「そうなんですか。では最後に、僕の魔力は何か分りませんか?」

 

「ただ、魔力に特性があるのは、悪魔の中でも力を持った一族だけなのよ。普通の悪魔は魔力を扱うときの得意不得意くらいしかないわ」

 

「……そうなんですか。残念です」

 

 せっかく力が手に入ったと思ったんですが……。

 

 僕が肩を落としているとグレモリー先輩が僕を見て目を丸くする。

 

「あれ? あなたよく見たら魔力の量はそうでもないけど、特性を持っているようね」

 

「え! 本当ですか!」

 

「ええ、体から力を流すイメージで手の平の上に向かって集めてみて」

 

 僕は言われたとおりにやってみると僕の手のひらの上で魔力は小さな手のような形になって消える。

 

「私でも初めて見る魔力ね。家のほうに問い合わせてみるわ」

 

「よろしくお願いします。あれ?」

 

 僕がふと空を見上げるとすでに明るくなってきており、もうそろそろ夜明けのようです。

 

「今日はこれでお開きにしましょう。明日オカルト研究部の部室に明日の放課後来なさい」

 

「「はい!」」

 

 イッセー先輩と僕は声をそろえて返事をしました。

 

「ところであなたの名前は?」

 

 グレモリー先輩は僕に聞いてくる。

 

 

片桐(かたぎり)心治(しんじ)です」

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