ハイスクールD×D 未完の神器   作:英雄好きの馬鹿

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魔術発動?

 『未完書庫(バンク)』から戻るとグレモリー先輩達が心配してくれていました。

 

 僕は『未完書庫(バンク)』で起こったことをこの部室にいる人達に説明しました。

 

 最初は信じていただけませんでしたが、最終的には信じてもらえました。

 

「それでその魔術ってどんなものなんだ?」

 

 兵藤先輩が聞いてきました。僕も気になっていたので自分の内側にあるものに問いかけ、体の変化を覗くような感覚で何か起きないかを試してみます。

 

 ――目を閉じて呼吸を落ち着かせ。

 

 これだけでは何も起きないようです。まあ予想はしていたのでそこまで不思議なことではありませんが。

 

 ――自分の体の中に今までと違う部分が無いかを探し。

 

 筋力が上がっているようですね。今まで武道をかじってきていたので、驚くほどの身体能力の上昇が起きていることが分かりました。しかしこれは昨日の夜から感じていた事なので悪魔になったことで手に入れたものでしょう。

 

 ――『未完書庫(バンク)』に行った時の感覚を再現する。

 

 意識の底に沈んでいって戻ってこれない所まで落ちながらも表に出るような矛盾した感覚で意識を集中させます。

 

 すると、体の丹田の位置のあたりにぽっという感覚とともに力が湧き出てくる感覚がしてきました。その感覚は少しずつ、そして太陽を目指す植物のように確かに導かれるように体中に広がっていきます。

 

 体中に広がった力はそのまま体の隅々まで広がる様はまるで樹の枝が体中を這うような感覚と似ていました。

 

 その力が詰まった枝は、今度は体中に葉を満たすかのように体中に満ちていき、浸透し、同化していくようです。

 

 もはや今までの自分の体とは違う物のような、それでいて昔から自分のものであったかのような何ともしっくりくる感覚でした。

 

 もはや枝は僕の表面、皮膚のところで完全に固定され、葉は体中の隅々に同化しています。

 

 このときには丹田の辺りから湧き出ていたような力の源には根が張り巡らされているかのように、体を這う枝の源として存在しています。

 

 この力はまさに僕を一本の樹に変えてしまいました。

 

 力が安定したかのように思えたので少しずつ目を開けます。

 

 すると僕の体は緑色の光で描かれた樹のようなタトゥーで埋め尽くされていました。

 

「それが……あなたの魔法なの?」

 

 グレモリー先輩が目をまん丸に開いて聞いてきます。

 

「その……ようですね。僕も今発動したので何ができるのかもよくは分っていませんが」

 

「私はこんな魔法見たこともないわね。もう一度神器(セイクリット・ギア)の中にもぐって聞いてみて頂戴」

 

「分りました。やってみます」

 

 僕はもう一度座禅を組もうとしましたが何処からか声が聞こえました。

 

『今は別に来なくてもいいよ。ここからでも話すことはできるしね』

 

 僕も含めてここにいる全員が驚きました。木場先輩は臨戦態勢を瞬時にとります。

 

『そんな警戒しなくても大丈夫だよ。心治君以外に自己紹介をしておくと、僕の名前は海神 誠悟。魔術師だ。さっき心治君が説明してたけど心治君が所有している神器(セイクリット・ギア)の中に封印されている者だよ』

 

 その言葉で全員警戒態勢を解き始めます。

 

『それと心治君ごめんね。やり方教え忘れてたから出ようと思ったんだけど、自分で普通にできてたから少し驚いたよ』

 

「良かったです。ちゃんとできていてホッとしました」

 

 僕は心の底から安心しました。

 

「でも何かができるようになった感覚がないんですが……大丈夫なんですか?」

 

『ああ、まだ能力は使えないみたいだ。いろいろ説明は省くけど術式に神器(セイクリット・ギア)のエネルギーを混ぜたせいで不具合が起きてしまったんだ。おかげで術式の調整やり直しだよ』

 

 海神さんはやれやれと残念そうに言います。この時点で兵藤先輩は話についていけていないようです。

 

『まあ、どうせだからこの神器(セイクリット・ギア)の能力自由に決めていいよ。どうせ作りなおすなら手間は同じだしね。ということで今日の夜にまた会おう』

 

 海神さんはそう言って消えて行きました。

 

 それにしても神器(セイクリット・ギア)の能力を決められるのですか。

 

 何にしましょうか? 確か『人間』という事に特化した魔力とも言われてましたし、そちらに深く関わることにしましょう。

 

「あなたの神器(セイクリット・ギア)の事は一応了解したわ。でも、十分注意して頂戴」

 

 グレモリー先輩から注意を促されます。あぁ一つ思い出しました。

 

「分りました。それと、先輩は魔術に関する本などはお持ちしておりませんか? 海神さんが僕に魔術を教えてくれる対価なのですが」

 

「もちろん持っているわ。取りあえず、すぐに渡してよさそうなのは明日持って行きましょう。それと家を用意してほしかったのよね?」

 

「はい。お願いしたいのですが、やはり難しかったでしょうか?」

 

 さすがに家を用意してもらうのは厚かましかったようですね。

 

 しばらくは家で過ごすことになりそうですが仕方ないでしょう。

 

 この調子でバイトしていけば半年後には何とか一人暮らし出来そうですし。

 

 しかし、僕の言葉に対してグレモリー先輩は当たり前のことのように返してきました。

 

「いえ、そうではなくて家は用意できているのだけれど、見張りがつくことになってしまったの」

 

「見張り……ですか? なぜでしょうか?」

 

 僕は特に悪魔に目に付けられるようなことなんて一切していないはずなんですが。

 

「あなたの中の海神……でしたっけ? その人が要注意人物なの。彼は千八百年代に活躍した魔術師なのだけれども、その術が常識とかけ離れすぎてほかの間そう使いから迫害すら受けていたそうよ。だけど、その魔術は考えられないような魔術を多量に扱ったとされているの。この時から悪魔ですら理解できない術を使っていて要注意人物になっていたの。だから、あなたを監視するというよりは海神さんを監視するということなの」

 

「そんなすごい人だったんですか……。見張りの件は了解しました」

 

「後、家は祐斗と小猫と同じマンションだから案内してもらってちょうだい」

 

「ありがとうございます」

 

「それと悪魔の仕事なのだけれど、イッセーもシンジも今日はチラシ配りをやってもらうわ。これはイッセーが私を呼んだ時のチラシね。詳しくは小猫に聞いてちょうだい」

 

「「はい!」」

 

 この後は特に何事もなくチラシを配り終えて部室に戻ることができました。

 

 ただ、移動方法が自転車という、思ったよりも原始的な方法だったので少し驚きはしましたが、些細なことでしょう。

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