ハイスクールD×D 未完の神器   作:英雄好きの馬鹿

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ぎりぎりで一ヶ月はたたずに更新できました!

といってもストーリー進みませんけどね!

では本編をよろしくお願いします!


朝~疲労の重ねがけを添えて~

 …………おはようございます。

 

 疲れました。

 

 寝る前よりも疲れたと断言できるくらいには疲れました。

 

 いや、一応身体機能的には完全回復しましたよ?

 

 部長に用意していただきました布団は今まで触れたことがないほどの柔らかさでしたし、昨日はもともとそれほど疲れてはいませんでしたが……。

 

「……海神さん。朝ですね」

 

『そうだねえ。日の光が綺麗なとてもいい朝だね。早く用意をしないと学校遅刻しちゃうよ?』

 

「それは分ってますが……」

 

 すがすがしい陽気に、涼しい風。

 

 とてもすばらしいものなのですが……。

 

「いくらなんでも夢の中とはいえ、徹夜は出来ればしたくないのですが……」

 

『いやあ。俺も魔術の講義が楽しくて、時間忘れちゃった。ごめんよ』

 

 そう僕は夢の中でひたすらに魔術の講義を受けていたのです。

 

 僕がこれから使うことになる魔術の仕組みや、原理、術式に、機能など根本的なものから全てを、時間の流れがおかしくなっていた夢の中で一から教えてもらいました。

 

 ええ、十日くらいかけて。

 

 まあ、魔術が楽しかったのもありますが、海神さんの『よし。体感時間をのばしちゃおう! 夢の中だから割と簡単にできるし!』という発言を軽くとったのが一番の間違いでした。

 

 結果的に魔術について基礎を学ぶことが出来ましたが、一切の休憩なしで十日間乗り切った僕の精神はもう限界に近いです。

 

 学校……休みたいですね…………。

 

 僕がこんなこと思う日が来るとは思いませんでした……。

 

「嘆いていてもはじまりませんか……。準備しましょう」

 

 僕はふかふかの心地よい布団を出ると身だしなみを整えて朝食を作り初めます。

 

 時間はまだまだありますが、まだ意識がはっきりしません……。

 

 取りあえず今日は家に帰ってきたら今日の睡眠時間に覚えた術式をいくつか確かめてみましょう。

 

 魔力操作の問題で、すぐに使える魔術はほとんどないですがそれなりに楽しみです。

 

 魔術のことを考えていると魔術を使えるという楽しみを見つけたからか意識がはっきりしてきます。

 

 この調子ですと授業中には寝ないで済みそうですね。

 

 ……それに寝たらまた魔術口座で疲れてしまう危険性も無きにしも非ずですしね。

 

 いっそ心を無にしている瞑想でも覚えないと本気で精神が持たない生活になってきそうですね。

 

 昼間は授業で夜は悪魔業。その後は家に帰って家事をして夢の中で魔術口座。

 

 一昼夜休みがないじゃないですか。

 

 昨日の魔術口座の中に気の操作もできると言われてましたし、瞑想は良いかもしれませんね。

 

 休み時間にでも試してみましょう。

 

 ……休憩なんてほとんどその時間にしかないようなものなんですから。

 

 まあ、普通の魔術師が受けられないような人の魔術口座を相当な密度で相当な時間出来たという感謝を噛みしめましょう。

 

 おかげで普通の魔法使いが三週間は掛けてやるような座学の知識を手に入れられたんですから。

 

 思考をポジティブにすればそれだけ思考がはっきりして来るようです。

 

 ここまで考えられるようになった僕は、もはや完璧に目覚めているのではないでしょうか?

 

 きっとそうでしょう。

 

 ここまでポジティブにものを考えるなんて数年ぶりですしね!

 

 ああ、今日は良い朝だ!

 

 ん?

 

 あ! 目玉焼き焼きすぎてしまいました。

 

 六つも焼いてますね……。

 

 ……やっぱり精神的に相当疲れてるようですね。

 

 さっきまでのは夜中テンションでしょう。

 

 一周回ってハイになっていただけのようですね。

 

 ……この目玉焼きどうしましょう?

 

 さすがにこんなに一度に食べるのは遠慮したいですし。

 

「……木場先輩と塔城さんを呼びましょう。あの二人ならば食べてもらえるでしょう」

 

 木場先輩は先ほどマンションの裏手で素振りをしているのが窓から見えましたし、塔城さんは朝があまり得意ではないらしくマンションの隣の部屋からは一切物音がしません。

 

 丁度いい時間ですし、二人を呼びに行きましょう。

 

 僕は塔城さんの部屋のインターホンを鳴らします。

 

 インターホンの音が響いた後少ししてからパタパタという音が聞こえてきました。

 

「…………誰ですかぁ?」

 

 塔城さんはまだ寝足りないようですね。

 

「片桐心治です。朝ごはんを作りすぎてしまったのでよろしければ食べませんか?」

 

「……食べます。……少し待ってて下さい」

 

 塔城さんは僕の言葉に反応してか、パタパタという音を響かせて準備をしに行ったようです。

 

「さて。木場先輩も呼びに行きましょうか」

 

「おはよう。僕ならここにいるよ?」

 

 僕が独り言を呟きながら振り向くとそこには木場先輩がいました。

 

「もしかして子猫ちゃんに言ってた用事と同じで、朝食のお誘いかな?」

 

 木場先輩が驚いて固まった僕に話しかけてくれます。

 

 その言葉に僕はまた動きだして答えます。

 

「すいません、驚きました。用件はまさにその通りです。木場先輩もどうですか?」

 

「こっちからお願いしたいくらいだよ。僕も少しシャワーを浴びてきていいかい? 汗をかいてるから流したいんだ」

 

「大丈夫ですよ。それでは戻ってくるまでに準備を終わらせておきます」

 

「お願いするよ。じゃあまた後で」

 

「はい。また後で」

 

 僕は人数分の茶わんや、飲み物、みそ汁などの準備をし始めました。

 

 

 

 

     ※※※

 

 

 

「「「いただきます」」」

 

 五分後には僕の部屋には木場先輩と塔城さんと、三人分の食事がありました。

 

「……美味しいですね。……毎日食べたいくらいです」

 

「僕もだよ。鍛錬の後はいつも疲れちゃってご飯は作ってなかったけど、動いた後のご飯は美味しいね」

 

 塔城さんと木場先輩が朝ごはんを食べながら満足そうに平らげていきます。

 

 昨日は予想以上の食べっぷりに驚いてあまり感じませんでしたが、自分の食べたご飯を美味しそうに食べていただけるととても嬉しいですね。

 

 それに、やっぱりご飯は大勢で食べたほうがおいしいです。

 

 そこで僕はある提案をします。

 

「どうせなら明日からもご飯作りましょうか?」

 

 僕がそういうと木場先輩と塔城さんは驚いたように目を開きます。

 

「良いのかい? 僕としては嬉しい限りだけど、迷惑じゃないかい?」

 

 木場先輩が遠慮したように言いますが、その眼は嬉しそうな眼をしているので遠慮になっていない気もしますね。

 

「ええ、どうせ作るなら一人分も三人分もあまり変わりませんから大丈夫です」

 

 僕は木場先輩に大丈夫だと答えると今度は塔城さんが聞いてきます。

 

「……ならお願いしていいですか?」

 

 いえ、質問ではなく、確認でしたね。

 

「ええ、僕から言ったことですし問題ないです。ご飯は大勢で食べたほうが美味しいですしね」

 

「それじゃあよろしくお願いします」

 

「……私もよろしくお願いします」

 

 二人とも明日からは一緒に朝ごはんを食べるようだ。

 

「代わりに食費は毎月入れるよ。流石にタダじゃあ、気が引けるしね」

 

 木場先輩が言います。

 

「大丈夫ですよ。気遣いはありがたいのですが……」

 

「……私も出します」

 

 木場先輩に続いて塔城さんも言います。

 

「受け取れませんよ。僕から言ったことなんですし!」

 

 僕から言い出したことなのに食費を取るのはなんか違う気がしますから!

 

「でもねシンジ君。君あまりお金持ってないんじゃないかな?」

 

「うっ! それでも三人くらい増えても大丈夫なくらいはあります! ……多分」

 

「……多分ってついてるじゃないですか。……それに節約された料理より沢山ご飯食べたいです。だから受け取ってください」

 

「それは……。確かに節約料理になってしまいますけど……」

 

「じゃあ、こうしよう。シンジ君はこれから朝昼晩僕たちのご飯を作るという仕事をする報酬兼食材費を払う。ということでいいかな?」

 

「た、確かに朝昼晩も作ったら貯金がなくなりますけど……というか作るものが増えてる!?」

 

 気付けば作るものが増えているということに驚愕が隠せません。

 

「……私もそれがいいです。……食費くらい受け取ってもらえないなら、朝ごはんの話は断ります。……凄い残念ですけど」

 

 塔城さんが無表情の中にも残念さをにじませるという凄い技術を見せながら言います。

 

「それで受け取ってくれるかい?」

 

 木場先輩がダメ押しのようにおっしゃります。

 

 そして僕は二人と視線を合わせ続けます。

 

 ……

 

 …………

 

 ………………はあ、仕方がありません。

 

「分りました。食費は受け取りますが、あまり多くはいただけませんよ?」

 

「……分りました」

 

 これで交渉は成立したようだ。

 

「あ、さすがに今日の弁当は作ってませんよ?」

 

「それは大丈夫だよ。流石に今からじゃあ間に合わないしね――って。もうこんな時間じゃないか!」

 

「……急がないと」

 

 木場先輩と塔城先輩が時計を見てあわて始めます。

 

 僕もそれにつられて時計を見てみると、予定していた出発時刻を既に三十五分過ぎています。まあ僕は始業三十分前にはつくようにしていますが――って遅刻じゃないですか!

 

「急ぎましょう! 遅刻してしまいます!」

 

 僕たちは慌てて外に出て鍵を閉めて学校に向かいます。

 

 ……全く。

 

 今日は朝から相当騒がしい日でしたね。

 

 まあ、たまにならこんなあわただしい日があっても悪くないでしょう。

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