あわただしく過ぎた朝が懐かしく感じられるくらい平和に過ごした授業中でしたが、ここで一つ今までとは違う変化が起きました。
今まで僕は休み時間には居眠りをして過ごしていたのですが、今日のお昼休みには塔城さんと談笑していたので眠れませんでした。
昨日のこともあって少し疲れているのですが、授業の合間の時間で瞑想の練習をしていたところ少し楽になっていたので友人と過ごす休み時間を満喫できました。
いままで休み時間等に話す友人は高校に入ってから居なかったのでとてもうれしかったです。
高校に入ってからは新聞配達のバイトで朝早く起きて、別のバイトや空手の稽古で夜遅く帰るといった生活でしたのでとても疲れていたのです。
といっても新聞配達のバイトは年齢をごまかして中学生のころからやっていたのでそれほど苦ではありませんでしたが、夜遅くなるのは少し辛くて、授業の合間で睡眠をとっているたのです。
そのせいでクラスで友達を作る流れに乗れず取り残されてしまっていたのです。
今日は塔城さんが話しかけてくださったので塔城さんの友達の方も会話する機会があり、とても嬉しかったです。
そんなこともありまして今日は良い日でした。
今は授業も終わり、掃除等は今日は登板では無かったので部室に向かっていると、塔城さんもすぐに向かうようで一緒に向かっているところです。
「……そういえば授業の合間に何かしてませんでしたか?」
塔城さんが思い出したように聞いてきます。
おそらくですが丁度人気がない場所を通っていたので、悪魔等の超常現象にまつわることで質問をしてきたのでしょう。
「ええ。昨日は海神さんに魔術などの講義を受けていたので、その中の気について練習してみようと思ったんです」
理由はもう一つありますが、それは言わぬが花でしょう。
それにしても言ってもないのによく分りましたね。悪魔は全員そういう事が出来るのでしょうか?
「……気を何に使うんですか?」
塔城さんがこちらを見て聞いてきます。
「昨日教わった使い方ですと、身体能力の強化ですかね。相手の生命力を操るのはあまり向いてないとは言われましたが、これから使う魔術は自分の生命力を扱う術を持っていた方がいいと言われたので」
僕が夢の中で教わった魔術はとてもデリケートかつ特殊で、いろいろな技法はもちろん|神器《セイクリット・ギアの性質も当然のように魔術式に組み込まれている上に、自分の肉体の仕組みや、性能、生命力の扱いまでコントロールしてようやく扱いこなせるという魔術でした。
これから使う魔術の性質を考えれば当然のものですし、僕が使ってみたいと思い効果を調整してもらった部分もあります。
その結果海神さんが僕への説明を混ぜつつ改良し使えるようにしたのが、これから僕が扱うことになる魔術『
十日間かけただけあってそれなりの知識は手に入りましたが、魔術の修行は一切できなかったのでこれからやっていくのです。
「…………そうですか。……一応言っておきますが精神集中の仕方が少し違っています。……そのせいで気が散らばっていてあまり感じとれなくなっています」
塔城さんがアドバイスをしてくれました。
ただ、いつもよりも返答に困っていたのは気のせいなのでしょうか?
「……心治君の場合、仏教などに使われる心を無にする修行をやってしまっています。……それでもいずれは気にたどりつけますが、凄い時間がかかってしまいます。……気を覚えたいのでしたら、体全身に意識を向けてそこにある小さな力を少しずつ育てていく感覚でやった方がいいです」
塔城さんが長い間話していたので少し疲れたように肩をおとします。
普段からあまり話す方ではないようなので疲れてしまったのでしょう。
僕は次は塔城さんに言われたやり方でやってみようと思いましたが、ふと思い立ってしまいます。
「……ということは結構精神を使うのではないですか?」
だとしたら精神の休養にならないのではないですか……。
「……使います。……何か不都合でもあるんですか?」
さきほど言わなくても結局言うことになりました。
※※※
理由を塔城さんに話したら少し笑われてしまいましたが、それは塔城さんの笑顔が見れたので良しとしておきましょう。
僕の羞恥心という対価の割に良いものですからね。
「こんにちは」
「……こんにちは」
「こんにちは。今日も子猫と一緒なのね。気に入られてるじゃない」
「それは大変光栄なことですね。今日配る分のチラシはどこですか?」
部長のからかうように言われた言葉を流しつつ聞きます。
部長は話が流されて少し残念そうにしましたがすぐにチラシを渡してくれました。
「まだ明るい時間ですから今からチラシ配りなんて言ったら目立ってしまいますよ?」
姫島先輩がチラシを受け取ってすぐに外に出ようとした僕を止めてくれます。
確かによくわからない魔方陣が描かれた紙をポストに投函する高校生が目立たないはずはないですね。
「暗くなるまでに魔力の基本的な使い方を教えましょう」
姫島先輩がありがたい提案をしてくれました。
僕には断る理由などないので一礼して教わることにしました。
※※※
「ありがとうございました。この短い時間でかなり上達した気がします」
「うふふ。それは良かったですわね。でも気を抜いてはいけませんよ?」
「はい。これからも頑張ります」
姫島先輩に教わった結果それなりに魔力が使えるようになりました。
覚える速度としてはあまり早くはないそうですが、魔方陣等を扱うのは上手だと言われました。
そのおかげで魔方陣さえ使えば十個ある『
名前は『
僕の魔力の性質上自分に関するものなら全てを操ることが出来る魔術だと海神さんから教わりました。
これを海神さんから教わりながら書きあげて、その魔方陣を使うことによって魔力が比較的簡単に操れるようになったのです。
最初は魔方陣を使うのにも魔力のコントロールが必要なのではと思いましたが、そこは海神さんが素晴らしすぎるアイデアで解決してくれました。
魔方陣には操るものを指定するのをあらかじめ記入しておけば間違って別のものを操る心配もありません。
そして魔力の暴走を防ぐために魔方陣の中に、魔力を込めれば込めるほど操るための力が強くなるというものにしました。
これのおかげで間違って多すぎる魔力を注いでしまっても魔力が暴れ出して被害を出すことが避けられますし、魔力が少なくても大きい効果を出すような方式になっていますので魔力が操りきれないという結果も防げました。
この『
といっても魔方陣をあらかじめ書いておかなければいけないのと、今のところまだ魔力を動かすことしかできていないのでまだまだ特訓が必要ですけどね。
ちなみに兵藤先輩は、
『へえ~。魔力ってイメージが重要なのか。なら普段から
とと興奮しながら言ってました。
……ちなみに人間でも魔法の才能があれば魔法は使えます。そしてイメージ力が強くても魔力の量には関係がありません。そして最後にスケベな妄想とは違うと思います。
僕と一緒に練習していた時には一切の魔力が発現しなかったイッセー先輩には……この先は止めておきましょう。
誰も幸せになりません。
悪魔になったら俺は大魔法使いだ―! って良いっていますがグレモリー眷属の全員で苦笑いすることすらできていませんからね?
「それではもうそろそろチラシ配りに行ってきます。帰りに何か買ってくるものはありますか?」
部室に居る皆さんが思い思いのものを注文してきたので慌ててメモを取って部室を後にしました。
※※※
本日も無事にチラシ配りを終え、他の皆さんも悪魔の仕事を終えて帰宅の時間になりました。
まあ、イッセー先輩はひたすらに体を鍛えていましたが。
前回無理矢理に近い形で
イッセー先輩の『
しかし倍化の能力にはスタミナを消費するらしく、一回の倍化でスタミナを使い果たしてしまったらしいです。
しかもその倍化した力を使うことすらできずに倒れてしまったので今のところ神をも殺せるという
……もしかしたらその現実から目をそらしたくて大魔法使い等と言っていたのではないかとも思えてきましたが、そもそも先輩が悪魔りなるには『
道は遠いいですね……。
僕も少し協力して効率的なスタミナの付け方を教えては見ましたがこの調子だとまともに扱えるようになるのはまだまだ先になりそうです。
あ、僕は悪魔になる前から武道をやっていたので力はそれなりにあります。
「さて、今日の仕事も終わりだから解散よ」
部長が眷属全員に言いました。
それに全員でうなづいて帰り支度をはじめます。
姫島先輩は僕たちとは違うところに住んでいるらしくそちらに向かい、僕と木場先輩と塔城さんは同じマンションに向かい、イッセー先輩と部長はイッセー先輩の家に向かいます。
イッセー先輩はもう一度堕天使等に出会うとすぐに死んでしまうので部長が護衛についています。
イッセー先輩は綺麗な部長と一緒に過ごせてとても幸せそうでしたが、女性に護衛されるということには落ち込んでいました。
「さて。今日はスーパーには向かわないのかい?」
木場先輩が聞いてきます。
「はい。二十四時間やっているタイプのスーパーでは割高なので、さっきのチラシ配りのときにまとめて夕飯も買ってしまいました。なので今日は大丈夫です」
「……今日のご飯は何ですか?」
塔城さんがお腹を押さえながら聞いてきます。
完璧に板に付いた大食いキャラですね。
「昨日が鍋だったので今日は野菜炒めと安かったイワシの丸干しと冷ややっこですね。何か嫌いなものはありますか?」
「僕は大丈夫。心治君のご飯は美味しいしね」
「……私もです。……早く帰りましょう」
二人に催促されて僕も速足で歩きだします。
取りあえず塔城さんには豆腐を一丁まるまる使った冷ややっこですが、失礼ではないですよね?
ちなみに作中に出てくる豆腐を一丁まるまる使った冷ややっこは母が祖母に生まれたときから当たり前に食わされていたものらしいです。
ほかの料理も半端ないくらい多いのが祖母の家です。
食べさせてもらってる立場で言えることではないんですが、
『おかわりいる?』
と聞かれていらないと答えると、
『食べないと大きくならないわよ』
と言って茶碗になみなみとお米をを盛り始める人です。
僕の意思は関係ありません。
あ、ちなみに今回少しだけでてきた魔術『王冠』はこれからも相当使うと思われます。
その類の説明はその真価が発揮されたときにしないとネタばれになってしまうので……
まあ、最初に言っていた十個の魔術は感のいい人でしたらもう気づいていたでしょうし、今回の『王冠』で気づく人もいるかと思います。
正直言って魔術だけは割と本気で考えたので魔術を全部出せるまでは絶対に更新はやめません。
というか心治君はこの魔術が先にできたキャラクターですしね!
ということでこれからもよろしくお願いします!
PS、前回感想やご指摘を下さった方ありがとうございます! これからも見守って下さりながらご指摘いただけると嬉しいです!