これからも遅くはなると思いますが頑張って出来るだけ早く更新したいと思います!
初めて魔術を使った日から数日が経ち、ほんの少しだけ魔力の制御が効くようになりました。
そのおかげで『
もともとの魔方陣は『
暇な時間は授業中ですら魔力を使い続けた結果ようやくマシになってきた結果、刺青のほうで『王冠』を使うことを許可され、の他の使用法にステップアップしてもいいともいわれました。
ステップアップのほうも『王冠』は、自分と自分に関わるものを完全に操る魔術なので、自分の魔力以外のものを操るとしたら自分の体しかないのです。
なので僕は自分の体を魔力で操る特訓をしていますがなかなか難しいです。
これも授業中に使っていて自分の腕を『王冠』で動かしていると字がぶれてしまうこともありますし、そもそも筋肉を操るので使う筋肉に適切な量で魔力を送り込まなければならないのです。
とはいうものの、本来一日中魔術を使えばすぐにでも魔力が枯渇してしまいますが、海神さんの考えたこの『王冠』という術式は恐ろしく無駄が少ないらしく消費はあまりありません。あっても魔力を込めすぎたときにほんの少し疲れるだけでした。
部長に言ってみたところ、そんな消費が少ないなんてあり得ないとまで言われたほどでしたが、もともと『王冠』は他の魔術を完全にコントロールするための魔術なので消費が多くては意味がないのです。
自分の魔術や魔力を完全に操りきることが出来る性能を秘めたこの魔術はまさしく『
僕は少し気になって、海神さんに何かを統べるのは王ではないんですか? と聞いたところ。
『王様本人ががどれだけ有能だろうと、もしその人物が王様じゃなかったら国の人に命令しても誰も言うことは聞かないだろう? だから命令を利かせるための力は立場だ。つまりその立場を表す王冠であってるんだよ。君の使うようになる魔術も、王冠もどちらも言うことを聞かせるための力だからね』と言っていました。
取りあえずは魔力操作が出来ないと僕を殺した犯人に一矢報いることもできないらしいので気合いを入れて頑張りたいと思います。
※※※
僕が悪魔になってから数日がたち、それに伴い『王冠』のコントロールがほぼ完璧に出来るようになった頃、部長がチラシ配りに行こうとしていた僕に依頼がやってきました。
なんでも塔城さんに依頼が被ってしまったらしく僕に行って欲しいそうです。
僕にとって初めての依頼なので気合いを入れていきたいと思います。
「少し待って頂戴。今朱乃があなたの刻印を魔方陣に読み込ませているところなの」
これは僕たちグレモリー眷属の家紋のようなものになるらしい。
他の方にとっては魔方陣でこれが僕たちを表す記号になるらしいです。
そのため、魔術を使用するときの魔方陣の中にもこの刻印を絡めたものになるらしい。
『ふむ。悪魔の術式はこうなっているのか。なかなか面白いな。人間を悪魔に変換する駒にも驚いたがこれもなかなかだな。主から直接力を送り続けるのではなく、主の力量に応じて駒の器が大きくなっていく方式なのか。主の力を駒に反映し、分け与えることで眷属にしている。そのあとの魔力発動の際には主からほんの少量の魔力を貰い受け、マナからの魔力でそれを大きくさせたものを眷属に渡すことによって眷属自身に見合った魔力を供給している。器が小さいのに大量の魔力を与えられたら間違いなく眷属は死んでしまうしね。そして分け与えられた魔力を刻印で眷属の魔力に変換することによって魔力が大きくなるということか。……うん。相当に良い術式だ。俺の研究にも取り入れてみよう。これの製作者と話がしてみたい。マナを取り入れる術式は古くからあるけれど。ここまでリスクを減らした上で恒久的に簡単に利用できて、なおかつそれ以外の特性まで付加して、蘇生までできる。こんな術式があるなんて悪魔は素晴らしい! ああ、研究がはかどる! 僕の研究の知識を悪魔に共有することになってでも開発者と話してみたいくらいだ!』
海神さんが魔方陣を見て呟き始めます。ちなみにここは読み飛ばしても大丈夫です。
僕は途中からは海神さんの行っていることを聞き流しはじめます。
半分も理解できませんし、何より本人が呟いているだけなので聞くに聞けませんから。
海神さんは本当に魔術が好きなようですね。
海神さんが呟いている中朱乃さんの魔術の使い方を見ていると部長が話しかけてきました。
「シンジ、少し手の平を出してちょうだい」
「はい。分りました」
そう言って僕は部長に右手を出します。
すると手の平を指で円をかくようになぞると魔方陣が描かれていて光り始めます。
その魔方陣を見てまた海神さんが呟きを加速させましたが気にしないことにしましょう。
「これで依頼者の下へ飛べるわね。マニュアルは……きちんと読んでそうだからいいわね。簡単な依頼だと思うからあまり気を張らないで行ってちょうだい」
「はい。分りました。では行ってきます!」
僕がそういった瞬間目の前が光で埋め尽くされて行きました。
※※※
「え? 本当に召喚できちゃった!」
そう言って目の前に居たのは十五歳くらいの女性の方でした。
確か召喚された後は名乗るんでしたね。
「はい。僕の名前は片桐 心治といいます。リアス・グレモリー公爵の眷属です。私たちは願いと同等のものを代価に願いをかなえる事が出来ます。何かご要望はございますか?」
緊張のためかまくしたてるように言ってしまいました。
次からは気をつけないといけませんね。
「え、えっと。本当に悪魔なんですか?」
依頼者の方が凄い驚いたように聞いてきます。
確かに悪魔と言ったって翼をしまっていれば普通の人間と変わりませんからね。
「ええ。悪魔ですよ。ただ、悪魔と言ってもお話に出てくるような怖いものではないので安心してください」
僕が少し顔を崩して言うと依頼者の方は少し安心したのか肩の力を抜きます。
「えーっと。間違ってたらすいませんが、男性の方ですか?」
――っつ!
僕は少し固まってしまいます。
……あまり聞かれたくない話になってしまいましたね。
今まで出来るだけその話には触れないようにはしてきたのですが。
僕は自分の顔が嫌いです。
客観的に見ても悪い顔ではないと思います。
中世的な顔に日本人らしい瞳と髪の色。女性と間違えられたこともあるくらいですしね。
体のほうも鍛えてはいても細身で女性に見えないことはありませんから。
……でも、この顔は姉さんの事を思い出しますから、僕も両親も。
「……はい。そうです。僕は男ですよ」
何とか言葉を絞りますが遅かったみたいで依頼者の方は申し訳なさそうな顔になってしまいます。
……これではクラスでの時と同じようになってしまいますね。
クラスでもかっとなって強く言いすぎてしまいましたから、クラスの方は距離を測りかねて僕には話しかけてこなくなりましたし。
そういえば部活の方には顔について触れられませんでしたね。
塔城さんが伝えてくれたのでしょうか?
そう考えると少し楽になってきた気がします。
「気にしないでください。間違えられることはなれていますから」
「……そうなんですか。すいませんでした」
「大丈夫です。それより、叶えたい願いはなんですか?」
僕は話の流れを変えるように言います。
「えっと。私のお願いは……好きな人に告白したいんです」
「そうなんですか。分りました。最大限お手伝いさせていただきます」
「お願いしますっ! 男性から見てどんな告白がいいですか?」
依頼者の方が僕に聞いてきます。
「僕は本人に好きと言われるのが一番いいと思います。メールや手紙だと少し味気ない感じがするので。ただ、相手の方の性格によって変わると思いますよ」
「は、はい! 私の好きな人は――
とここからは大分個人的な話になるので割愛させていただきますが、後日伺った結果によりますとめでたく成就したようです。
無事に依頼達成できてよかったです。
※※※
依頼者の方は明日にでも告白するようですし、大分自身も付いたようです。
やっぱり誰かの力になることは気持ちがいいですね。
心からすがすがしい気持ちになれます。
「依頼人の告白のサポートしてきました。数日中には結果がわかると思います」
「……えーっと。シンジ。一つ聞きたいのだけれど」
僕がすがすがしい気持ちのまま今回の依頼について報告すると部長は少しあきれたような顔になります。
何か間違えましたでしょうか? 心当たりがありません。
「はい? なんでしょう」
「あなた代価について忘れているでしょう?」
「あ」
すっかり忘れていました。
こんな間抜けなしまり方で僕の初めての依頼は終わりました。
ちなみに友人も少ない僕が告白の結果を知っているのは、噂で伺った訳ではなく、そのままの意味で家に伺ったからです。
告白の結果を聞くのと同時に代価をいただきました。
ちなみに今回の代価は服が一着でした。
※※※
最近は木場先輩と塔城さんと帰るのが日常的になってきました。
「今日の夕飯は何がいいですか? 今日はスーパーに寄るのでなんでも大丈夫ですよ」
「なら僕は唐揚げがいいな。今日は結構運動したから肉が食べたいんだ」
僕の言葉に木場先輩がすぐに答えてくれます。
唐揚げですか。僕も食べたくなってきましたね。
「……賛成です。今日はケーキも買いましょう」
塔城さんも唐揚げでいいようなので今日のメニューは決まりですね。
でもなんでケーキなんでしょうか? 急に食べたくなったのでしょうかね。
木場先輩もケーキと聞いて顔をほころばせます。
二人ともケーキが好きなのでしょうか? 今度作ってみるのもいいかもしれませんね。
そして買い物を済ませて夕飯を作ります。
あ、どうせならタルタルソースも作りましょうか。
店で売ってる奴は認めません。ちゃんと具材の触感が残るくらいでないと納得できませんから。
数少ない僕の譲れないところです!
僕がこだわりと気合を持って作ったタルタルソースは非常に評判が良かったです。
ちなみに明日の弁当はサンドイッチと唐揚げの残りですね。あと少し他の物を詰めれば終わりですし。
僕の自家製タルタルソースはサンドイッチの具剤にも使えますからね。
「さて。もうそろそろケーキを食べようか」
ご飯を食べ終わると木場先輩がケーキを持ってきます。
ホールケーキではなく一つ一つの小さいケーキが五つ箱に入っていました。
おそらくこのうちの三つは塔城さんが食べるのでしょうね。
「……心治君から選んでいいですよ」
塔城さんが僕にそう言ってきます。
「僕は残ったので大丈夫ですよ。嫌いなものもないので」
僕はそういいますが木場先輩が言います。
「いや。シンジ君から選んでくれないかな? これは依頼初体験祝いなんだから」
――!
驚いて目を丸くしてしまいます。
それで今日はケーキを買ってきたのですか。
まさかこんなことで祝ってもらえるとは思いませんでした。
誰かに祝ってもらったことなんてもう五年はありませんでしたから……。
「……ありがとうございます! 凄い嬉しいです!」
僕はそういいながら箱の中から一つのケーキを選んでとります。
塔城さんも木場先輩も笑顔になっていたので、僕もつられて笑顔になります。
みんなで笑いながら食べたケーキはとてもあまくて、おいしくて、なぜか涙が出そうだったのこらえながら食べました。
僕は今日という日をきっと忘れないと思います。