ハイスクールD×D 未完の神器   作:英雄好きの馬鹿

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はぐれ悪魔討伐

 僕が依頼を完了してから数日後、いつも通りに部室に向かうと、緊迫した空気が流れていました。

 

 聞いた話によると、イッセー先輩がシスターを助けて教会に踏み入れたそうなのです。

 

 僕たち悪魔と教会――天使、又は堕天使は極めて仲が悪くて、陣地に踏み入れただけでも戦争になるかもしれなかったようです。

 

 それを考えると部長の叱責ももっともでしたが、 極個人的には、困っている人を見捨てずに助けたイッセー先輩が頼もしく見えました。

 

 

 

 

     ※※※

 

 

 

 

 そしてさらに数日後、部室に集まった時に部長が真剣な顔で皆さんに仕事があると言いました。

 

 内容ははぐれ悪魔の討伐。

 

 つまり殺す依頼ということです。

 

 魚や鳥や虫などなら心はあまり痛まないとは思いますが、ヒト型のものを殺すのはどうにも抵抗があります。

 

 それでも、これまで何人も殺してきた人を生かし続けることはできません。

 

 殺しになれる必要まではないとは海神さんも部長も言っていますが、戦いになった時に躊躇して死ぬ可能性もあるので経験しておくべきだと思いました。

 

 そして今回は僕がメインで木場先輩と塔城さんがサポート。イッセー先輩が見学です。

 

 まだイッセー先輩は悪魔でもないので戦う義務もないからです。

 

 そして僕は部中に悪魔の駒(イーヴィル・ピース)にかかわる講義を受けました。

 

 僧侶は魔力。

 

 騎士は速さ。

 

 洗車は膂力と耐久力。

 

 女王はその全て。

 

 そして僕の駒である兵士は、王の承認を受けた場合のみ、ほかの駒になれるという特性です。

 

 今回は敵の本拠地についたら女王になるつもりです。

 

 そして、簡単に作戦を決めた後、魔法陣でジャンプして廃屋に付きました。

 

 そこを少し進むと、上半身は裸の女性なのですが、下半身が異形の方が現れました。

 

 部長はその肩に近づいて言います。

 

「はぐれ悪魔バイザー。主のもとを逃げ。その欲求を満たすために暴れまわる不逞の輩。その罪万死に値する。グレモリー侯爵の名において消し飛ばしてあげる!」

 

「小賢しい。その紅の髪のようにあなたも染めてあげるわ!」

 

 そういってバイザーはこちらに突っ込んできます。

 

 それを僕は一番先頭に立って魔術を発動させます。

 

 僕の魔力量のうち半分を王冠(ケテル)の魔術を行使する刺青に叩き込み、正拳突きの動作をするように魔力を操ります。

 

 王冠(ケテル)は使うことによって体や魔力を自由自在に動かせる上に、魔力を込めればその分だけ力を上乗せできるのです。

 

 そして僕の魔力を半分も込めた拳は、真っ直ぐにバイザーに直撃し、足の一本を吹き飛ばすことができました。

 

 これは予想外だったのか、バイザーが驚いてよろめきます。

 

 その隙に僕はもう一度近づきます。

 

 しかし僕が近づくまでの間に距離を取られてしまい、……胸からビームを放って攻撃してきました。

 

 イッセー先輩顔がゆるんでますよ……。

 

 ギャグのような技にもかかわらず、ビームの当たった場所は溶解するようで、危険だということがわかります。

 

 僕は障害物に身を隠しながら少しづつ近づいていきます。

 

 

 おそらくはそれなりに身体能力も高そうですが、僕の攻撃ごときで足を失うとなるとそれほど耐久力は高くなさそうです。

 

 なので僕の一撃を警戒してビームしか使わないようです。

 

 僕はもう一度王冠(ケテル)を起動して一気に近づきます。

 

 紹鴎の力も合わさってかなりのスピードで直進します。

 

 しかし、しびれを切らして突っ込んでくるのを待っていたのか僕に向けてビームを放ってきます。

 

 それを転がるように回避した後、自分に巨大な影が覆いかぶさるのが見えました。

 

 その瞬間に僕は回避しようとしますが、すでに遅く捕まってしましました。

 

「小癪なガキが! 足の恨みを――」

 

 バイザーが僕を両腕で握りしめながら言ってましたが、既にその両腕は木場先輩に切り落とされていました。

 

 無事に拘束から逃れることができた僕は後ろに下がります。

 

 僕の代わりに塔城さんが前に出て、バイザーを殴り飛ばします。

 

「ダメじゃないかシンジ君。先にしびれを切らしたほうが不利になるよ」

 

「……そうです。我慢してください」

 

「いてて……。すいませんでした」

 

 二人とも僕の横に並んでそういって来ました。

 

 今度この二人に稽古をつけてもらうのもいいかもしれませんね。

 

「さて、相手もあまり待っていてはくれないみたいだ。二人とも、いくよ!」

 

「「はい!」」

 

 掛け声とともに、木場先輩が真正面から突っ込んでいって、残りの足を全て切り払いました。

 

 そして手足が全て無くなり強制的に体勢を崩したバイザーが、最後の抵抗とばかりにビームを放ちます。

 

 それを塔城さんが落ちていた廃材をぶつけて防ぎ、キレのあるアッパーカットで上に吹き飛ばしました。

 

 そして僕は、悪魔の羽と王冠(ケテル)で自分の体を持ち上げて、残りの魔力を使って踵落としを放ち、バイザーを叩き落としました。

 

 全ての手足をなくしたバイザーはもう抵抗する気もないのか、動きません。

 

 そこに部長がカツカツと音を立てながら近づいて、何か言い残すことはある? と聞きました。

 

 バイザーは、殺せ。と一言だけ言いました。

 

 そして部長は触れたもの全てを滅ぼす魔力を掌に集めてバイザーに放ちました。

 

 もちろんバイザーにそれを防ぐことはできず、元から何もなかったかのように消え去りました。

 

 そのあとは部室に戻った後、解散しました。

 

 この日僕は人を殺しました。

 

 

 

 

 

      ※※※

 

 

 

 

 ぴぴぴ ぴぴぴ ぴぴぴ カチ。

 

 五月蠅いぐらいになっていた目覚ましを止めると、既に時間は七時ちょうど。

 

 塔城さんと木場先輩のご飯を作るにはあと三十分は早く起きなければいけなかったのに、寝坊してしまいました。

 

 簡単なものでも作ろうと台所に向かうと、塔城さんはテーブルについてご飯を食べていて、木場先輩は台所で目玉焼きを焼いていました。

 

「やあ、おきたのかい。もうすぐご飯出来るから顔を洗ってきな」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

 僕は反射的にそう答えて顔を洗いに行きます。

 

 そしてパジャマのままでは流石によくないので三十秒で着替えました。

 

 寝癖を王冠(ケテル)で直し、テーブルに着くとちょうどよく塩鮭と納豆がテーブルの上に並べられました。

 

「さあ、召し上がれ」

 

「すいません、本当なら僕が作らなきゃいけないのに」

 

「いつも作ってもらうと悪いからね。冷めないうちに食べな」

 

「はい、ありがとうございます。いただきます」

 

 そうして食べ進めていくと、ふと気づきました。

 

 この献立には肉類がないのです。

 

 おそらく昨日人を殺した僕を慮ってのことだと思います。

 

 そのささやかな気遣いに心が少し暖かくなりました。

 

 この恩もいつか返したいですね。

 

 そう思いながら朝ごはんを食べ終え、片づけをして、学校に行く用意をして、家を出ました。

 

 塔城さんは、家を出るとき僕に、木場先輩には聞こえないような声で。

 

「……昨日の心治君はかっこよかったですよ」

 

 塔城さんの、慰めなのか激励なのか分からない言葉は、僕の気持ちを少しだけ軽くしてくれました。

 

「……心治君にやつかないでください」

 

 少し笑ってしまったようですね。

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