ラブライブ! 君の為に   作:紅葉 秋

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どうも、紅葉です!

感想をたくさんいただきありがとうございます!
今回は海未ちゃんと絵里ちゃんメインでちょっと長めになっております。

では、どうぞ



第16話 頑張る理由

「生徒会長!」

 

ライブが終わって会場の外に出ると私の頭を悩ませてる内の一つである後輩の声が聞こえる。

 

人だかりに巻き込まれたくなかったので少し時間をずらして出て、人もほとんど居ない所で生徒会長なんて呼ばれる人は私ぐらいよね……。

 

「呼ばれてるよエリチ」

 

言わなくても分かってるわよ……。

 

「亜里沙ちゃん、エリチはこれからお話があるみたいやから先に行こう」

 

そういって希が亜里沙を連れて歩き出す。

…………私があんまり亜里沙にあの子達の話聞かれたくないのを察して希が離してくれる。

 

こういう気遣いが普通にできる希は本当に凄いと思う。

 

 

はぁ……あんまり気がのらないけど話をしましょうか

 

「何かようかしら……高坂さん?」

 

声の主の方を見るとアイドル研究部の七人全員が居た。

なんで全員いるのよ…………あの人の悪意を感じてならないのだけど

 

「…………なんでこんな所で会うのよ。生徒会長がいるような場所じゃないでしょ」

 

「私だって来る予定はなかったわよ。ただ亜里沙や希に連れられてきただけよ」

 

直接もらったとはいえ、一人だったらおそらくこんな場所には来てないはずだから

 

「それでアイドル研究部が私に何のよう?」

 

「はい!私達にダンスを教えてください!」

 

はぁ…………本当に面倒なことをやってくれましたね神裂さん

 

「私達、もっと上手くなりたいんです!」

 

「「「「「「お願いします!」」」」」」

 

七人全員が私にきちんと頭を下げて頼んでくる。

 

……部長と赤髪の一年生は私のことが嫌いだと思ってたから頭を下げるなんて、正直意外だった。

 

それだけ本気ということかしら…………。

 

 

「聞いてあげても良いんやない?」

 

 

「希……」

「希先輩……」

 

亜里沙を頼んだはずの希が突然現れていつも通りの優しい笑みを浮かべて私に近づいてくる。

 

「最近、ずっとエリチは頑張ってるから、気分転換ぐらいに思って教えてあげたら?」

 

「別に私じゃなくても良いじゃない……。この子達がお気に入りの神裂さんがいるじゃない」

 

 

「いや、それは無理かな」

 

「優希さんっ!?」

 

私達の後ろから男性の声がする。

園田さんは声だけで誰だか分かったようで一番早く名前を呼ぶ。

 

振り向くと前会った時とウィッグをつけた神裂さんがいた。

 

流石にライブ後だから疲れてる顔してる

 

「流石に毎日とかは教えてる暇はないし、教える人は上手い方が良いに決まってるから」

 

…………あれだけのダンスを今日踊って人がどの口でそんなことを言うのだろう?

 

バレエを辞めた私なんかよりずっと上手いと思うのだけど

 

「それに今回は俺じゃなくて絵里ちゃんが良いって。俺のスピリチュアルパワーがそう言ってる」

 

神裂さんはちらっと希を見ると同じ意見なのか、希は微笑みながら頷く。

 

希も絡んでるのね…………。

全く希の真似して何がスピリチュアルパワーよ。

 

「はぁ……分かりました」

 

神裂さんと希の思い通りに動いてるわね

 

「あなたたちの活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだし……それに二人に頼まれたし。ただし!やるからには私が許せる水準まで頑張ってもらうわよ。いい?」

 

アイドル研究部の七人に強めに言う。

この程度で弱音を言うような人がいれば学院を救うなんて無理に決まってる。

 

この大変な時期に教えるんだから最初から無理なら教える気はない

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

私の考えとは違い、アイドル研究部の人が声を揃えて返事をする。

 

いいわ、あなたたちがどれだけ素人かを教えてあげるわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星が動きだしたな……」

 

これでまた一つ、歯車が回り始めた。

 

「思惑通りになったね希ちゃん」

 

「あ、優希さん」

 

エリチたちが話してる間にこっそりとウチの隣にまで優希さんがやってくる。

 

「絵里ちゃんがダンス指導を受けてくれて良かったね」

 

「そうやね。でも、本当に良かったん?優希さんが教えなくて?」

 

ウチ的にはエリチがあの子らと深く関われないからあんまりよくないんだけど、優希さん的には自分で教えた方があの子らもあんまり傷つかずダンスが上手くなると思うんやけど……

 

「さっき言った通りだよ。絵里ちゃんの方がダンスが上手いから。今日はかなり無理してここまでもってきたから。ここだけの話、今日寝る前まで五日間徹夜してたんだ」

 

「い、五日間も徹夜してたん?」

 

急にダンスのクオリティが上がったなとは思ってたけど、そんな無茶なことしてたんな…………。

 

「それやったらエリチの方が……ええかもな」

 

「でしょ。それと先も言ったけど徹夜に関しては秘密ね。特に海未には。……心配するだろうから」

 

海未ちゃんを優しい表情で見つめる優希さん

 

「了解」

 

本当に海未ちゃんに心配かけたくないんやな

最近、本当はこの二人は付き合ってるんじゃないかと思うわ

 

仲がええとか言う次元じゃないような気がするんよね。二人の関係は。他人が入ることの出来ないもっと深い関係。

 

 

そんなことを密かに思ってるとエリチたちの話も終わったみたいで全員がこっちに来る。

 

「優希さん!希先輩!ダンスを生徒会長に教えてもらえることになりました!」

 

ウチと優希さんの目の前に一番最初に来て嬉しそうに報告してくれる穂乃果ちゃん。

 

耳と尻尾があれば本当に可愛いワンちゃんみたいやな

 

それにしてもエリチがダンス指導をする気になったんやな……。

やっぱり今日はここに連れてきて正解やった。

 

この人ならエリチやあの子たちに良い変化を起こしてくれると思ってた。

そういうスピリチュアルパワーが周りに出てるん

 

だからかな…………この人の隣は凄く心地良い。

 

 

「俺は何にもしてないよ」

 

穂乃果ちゃんの方を向いたままウチにしか聞こえない声で呟く。

 

そういう察すること言うのはいつもウチなんやけどな……。ま、ええか

 

本人は否定してるけどやっぱりエリチやあの子たちの背中を押したのは優希さんやと思う。

 

「ま、そういうことにしといたる」

 

 

これからもエリチ共々μ'sをよろしくな♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、君たち。夜も遅くなってきたからもう帰りなさい」

 

穂乃果が嬉しそうに報告するのを微笑みながら聞く優希さんと希先輩。

 

それより…………いつの間に希先輩の隣に居て、二人だけで内緒話をしてるんですか?

 

「えー、まだいいじゃないですか!今日、まだ優希さんと全然おしゃべりしてないです!」

 

穂乃果が頬を膨らませて抗議します。

 

穂乃果の気持ちも分かりますが……今日はもう帰った方が良さそうです。

 

「穂乃果、今日は―――」

「穂乃果ちゃんたち、明日は絵里ちゃんの指導を受けるんでしょ?なら今日は早く寝て万全の状態でやった方がいいんじゃない」

 

私が穂乃果に帰ることを促そうとすると優希さんが優しく提案してきます。

 

「……私も寝不足なんかでダンスに集中できないなんてことがあったら怒るわよ」

 

「うっ…………分かりました」

 

生徒会長に細目で睨まれて、しょんぼりとして頷く穂乃果。

 

仕方ないです。優希さんと生徒会長の方が正論なんですから

 

「あ、そうだった!一番伝えようと思ってたこと忘れてた!」

 

穂乃果が真剣な顔で優希さんの目を見て

 

 

「今日のライブ、とっても良かったです!私達もあれだけお客さんを魅了できるようになってみせます!」

 

 

「ほぅ……」

 

穂乃果の言葉に期待半分、やれるものならやってみろという気持ち半分といった感じの視線を送ります。

 

穂乃果のことだから気づいていないんでしょうけど、同じくらいお客さんを魅了できるようになるということは、優希さんと同じ場所にまで行くという意味にも捉えられます。

 

全く…………穂乃果らしいと言えば穂乃果らしいかもしれませんね

 

「……ま、終わり(・・・)が来る前になると良いね……お互いに」

 

優希さんが意味深な言葉をボソッと呟きます。

 

終わり…………優希さんもそういうことを考えているんですね

 

「ちょっと穂乃果!アンタが喋ってるから黙ってたけど、私が一番最初言いたかったことを普通に言ってるのよ!?」

 

「わ、私も今日のライブについて語り合いたいです!」

 

ずっと黙っていたにこ先輩と花陽が耐えきれずに優希さんの前に出てきます。

 

大ファンの二人にしては耐えた方ですけどね

 

「俺も皆に今日のライブの感想をじっくり語り合いたいけど、この後やることがあるから。ごめんね」

 

「……そう……ですか。残念です…………今日のライブ、凄く良かったです!」

 

残念な顔して花陽が落ち込むますが、すぐに目を輝かせて思ったことを伝えます。

 

「にこもそう思います!今日のライブは一生忘れません!」

 

「ありがとう、花陽ちゃん、にこちゃん」

 

二人の頭を軽くポンポンと手を置く。

二人は嬉しそうに頬を緩める。

 

「凜も今日のライブが見れて良かったニャー」

 

「ま、見たライブの中では一番良かったと思います」

 

花陽とにこ先輩と変わるように凜と真姫が感想を言います。

 

「良かったのなら何よりだ」

 

「私、初めてライブを生で見たんですけど、とても良かったです!私今日のこと、絶対に忘れません!」

 

いつものことりのテンションとは違い、どちらかと言うと先程の穂乃果のようなテンションで話すことり。

 

最近、優希さんと喋ってることりの様子がいつもと違う気がするんですよね…………気のせいでしょうか?

 

「君の記憶に残れて光栄だよ。さぁ、みんな早く帰りな」

 

優希さんに促されてみんなは明日の練習に備えて自分の家に足を進めます。

 

私も帰りましょうか。優希さんもそろそろでしょうし

 

「あ、海未、ちょっと待って」

 

優希さんが私を呼び止めます。

 

「海未ちゃん?」

 

「ごめんね穂乃果ちゃんたち、しばらく海未を借りるね。もちろんきちんと家まで送り届けるから安心して」

 

「分かりました。じゃあまた明日ね、海未ちゃん」

 

「はい、また明日」

 

皆と挨拶をして皆が帰ります。

 

今この場に残ったのは私と優希さん、そしてなぜだか一人で優希さんを待っていた生徒会長。

 

そういえば希先輩はいつの間に居なくなったのでしょう?

 

「ごめんね、待たせちゃって。俺に用があったんでしょ絵里ちゃん」

 

「…………はい」

 

生徒会長は小さな声で返事をした後一呼吸置いて

 

「この間は失礼なことを言ってしまい……すいませんでした」

 

生徒会長が優希さんに頭を下げて謝ります。

 

「いいよ、別に。絵里ちゃんは本当のことを言っただけだから。……それより一つ聞きたいんだけど

 

 

 

―――俺のダンスは君を魅了することは出来たかな?」

 

「……はい!」

 

「そっか」

 

生徒会長の一言を聞いて、優希さんは私の頭に手を置くと雑に撫でまわします。

―――その表情はとても嬉しそうな顔でした。

 

まったく…………そんな顔をされては、怒る気も失せるじゃないですか。今日だけの特別ですからね

 

「あの、私も一つ聞いてもいいですか……?」

 

「ん?別にいいよ」

 

 

「―――貴方は何の為にそこまで頑張るんですか?」

 

 

生徒会長の一言を聞いた瞬間、私の頭の上にあった優希さんの手が止まります。

 

そして数秒、静寂が生まれます。

 

「やっぱり何でもない―――」

「そうだね…………」

 

生徒会長が優希さんの反応を見て、聞いてはいけないことだと思い話を変えようとしたのですが、優希さんが少し考える仕草を始めます。

 

一見、いつもと変わらないように見えますがその表情は…………弱々しく見えました。

 

 

「絵里ちゃんの言ってた『無理』って言うのを否定したかったのもあるし、今日来てくれたファンの人達にいいライブを見せたいとかもあるけど……きっと一番の理由は―――」

 

一番の理由を言う直前で優希さんが私の耳を塞ぎ、顔を生徒会長の方に向けさせます。

それも痛くない力でいて私が違う方を向けない力加減で

 

おそらく…………いえ、完全に私に聞かれたくないんでしょうね

 

 

「ーーーーーー」

 

「っ!?」

 

何を言ったのか私には分かりませんが、生徒会長が

なり驚いた顔をした後……悲しい目で優希さんを見つめています。

 

その後生徒会長が一度頷くと優希さんは私の耳から手を離します。

 

「絵里ちゃんが何を考えてるかなんとなく分かるから言うけど……気にしなくていいからね」

 

優希さんは生徒会長の優しく頭を撫でます。

 

「はい……」

 

あまり大きくない声で返事をする生徒会長の耳元まで近づき、また私に聞こえない声で何かを言うと頬を少し赤らめる生徒会長。

 

「か、からかわないでください!」

 

…………ちょっと苛立ってきました。先ほどのシリアスな雰囲気はどこに行ったんでしょうね

何をイチャイチャしてるんですか……。

 

 

「嘘は言わないよ。ま、とりあえず明日はこいつらのことよろしくね」

 

「はい、それでは失礼します。おやすみなさい」

 

そういうと生徒会長は優希さんに一礼すると自宅の方へ歩きだします。

 

…………さて聞きたいことが増えましたね

 

「……先ほどは生徒会長と何を話していたんですか?」

 

「秘密。海未がキスシーンとかを恥ずかしがらずに見れるようになったら教えてあげるよ」

 

携帯を少しいじるとすぐに携帯をしまう優希さん。

こういうことに関しては絶対にはぐらかすんですから……。私だって今日は負けません

 

「そ、それくらいなら平気です!」

 

「そう?……なら」

 

優希さんは私の頬に手を沿えると徐々に顔を近づけてきます。

 

ちょ、ちょっと何をしようとしてるんですか!?そ、外でなんて…………恥ずかしいです

 

徐々に近づく優希さんの顔に恥ずかしくて目を瞑ります。……優希さんじゃなければ逃げてますからね

 

「やっぱり可愛いな海未は」

 

そういって私のおでこにキスしてきます。

 

「ま、まったく、破廉恥です!」

 

「はいはい、破廉恥でしたね」

 

微笑みながら子供をあやすように私の頭を撫でます。

 

「それより海未…………もう限界」

 

優希さんから力が抜けて私の肩に倒れこんできます。

 

……やっぱり男の人なんですね。私達女子なんかより重い

 

「まったくもう……困った人ですね」

 

詳しくは教えてくれませんがそうとう無理してこのライブに望んだんでしょう。ライブが終わってからみんなには分からないようにしていましたが体力の限界ようです。

こういう姿を私だけに見せてくれることが……とても嬉しいです。

 

「ほら、あそこにベンチがありますからもう少しだけ頑張ってください」

 

「……ん」

 

半分寝かけている優希さんが私によりかかりながらもベンチの方に歩きだします。

 

「海未……悪いけど……音無さんに……電話して…………」

 

「迎えに来てもらえばいいのですね」

 

コクリっと頷くと優希さんはベンチに座り、私の肩に頭を置き完全に目を閉じて眠りに入ります。

 

本当にお疲れだったんですね。よく頑張りました

 

私の肩にある優希さんの頭を私の膝の上に置き、優しく頭を撫でます。

 

ふふふ、こんな無防備な顔で……可愛い。

いつもと逆のポジションも悪くないですね

 

膝枕をするのが心地よくて音無さんを呼ぶのが遅くなったのは秘密です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――貴方は何の為にそこまで頑張るんですか?」

 

純粋な質問だった。

前アリサから見せてもらったことが……お世辞にも今日見たダンスの足元にも及ばなかった。

それだけでも神裂さんがどれだけ努力したのかわかる。

その動力源が知りたかっただけ……。

 

でも、それは神裂さんにとってはいけない質問だった。

聞いた瞬間、神裂さんが固まり少しの間、静寂が周りを包みます。

 

「やっぱり何でもない―――」

「そうだね…………」

 

私が断る前に神裂さんが答えを考え始めてしまった。

その表情はいつも通りに見えるけど、かなり親しい園田さんは神裂さんを心配そうに見つめている。

 

…………この二人には何があったのだろう?

 

「絵里ちゃんの言ってた『無理』って言うのを否定したかったのもあるし、今日来てくれたファンの人達にいいライブを見せたいとかもあるけど……きっと一番の理由は―――」

 

神裂さんは園田さんの耳を完全に塞ぐ。

園田さんには聞かれたくはないみたい

 

 

 

『―――この子に見限られたくないから』

 

 

 

言葉が出なくなった。

ただの一言のはずなのに凄い重みを感じる。

何を経験したらこんな重みのある言葉を発声られるのだろう?

 

…………やっぱり聞いちゃいけないことだった。

神裂さんにとってはこれが昔のトラウマなんだと思う。それなのに私……神裂さんの心にずけずけと踏み込んで…………。

 

「絵里ちゃんが何を考えてるかなんとなく分かるから言うけど……気にしなくていいからね」

 

神裂さんは優しく微笑みながら私の頭を撫でる。

……そんな優しくしないでください……、私が悪いのにその優しさに甘えてしまいそう…………。

 

「はい……」

 

微妙なトーンで返事をすると神裂さんが私の耳元に近づいてきた。

 

か、顔が近い……。

 

『絵里ちゃんは可愛いんだから笑って。可愛い女の子を見れる方が俺は嬉しい』

 

「か、からかわないでください!」

 

希や女友達にはよく可愛いとは言われる。

希達の方が可愛いと思うけど純粋に嬉しい。

男の人にも言われたことがあるが、みんな私の胸やお尻、太ももに目がいって下心があるのがまるわかり。正直気持ち悪い。

 

……神裂さんは何か違う

希達と一緒で嬉しいのだけど希達の嬉しいとは違う

胸の奥にまで響いてくる

 

 

もう…………心臓がドキドキして止まらなくなっちゃった。こんな気持ち初めて

 

 

「嘘は言わないよ。ま、とりあえず明日はこいつらのことよろしくね」

 

……エリーチカ、落ち着くのよ。ここは普通に対応しなきゃ。

変な子だと思われたくないものね

 

「はい、それでは失礼します。おやすみなさい」

 

うん、我ながら普段通りに行動できた。

 

さて、私も家に帰ろうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、エリチ。もう用事はええの?」

 

ライブ会場から少し歩いた所で亜里沙と歩いてる希が、私に気がつく。

 

まだこんな所にいたのね……。

 

「ええ、それより何でこんな所にいるの?流石に遅いんじゃない?」

 

「それはな、亜里沙ちゃんが『お姉ちゃんを一人で帰らすのは良くないです!』って言ってな。だからエリチが来るのを待ってたん」

 

亜里沙……本当に優しい子に成長して、お姉ちゃん嬉しいわ

 

「ごめんなさい、威圧的に言っちゃって」

 

「ええよ、亜里沙ちゃんが心配したんやろ?その優しさがもっと分かりやすかったら周りの子に怖がられないのにな」

 

「……余計なお世話よ」

 

全く……そんなこと自分でも薄々分かってるわよ。

希なんか無視して亜里沙の方に行こ

 

「亜里沙、お姉ちゃんを待ってくれてありがとう」

 

「うんん、亜里沙がお姉ちゃんと一緒に帰りたかっただけだから」

 

にっこりと満面の笑みを浮かべて答えてくれる亜里沙。

この笑顔を見ているだけで癒される。本当に亜里沙が妹で良かった。

私、もしかしたらシスコンなのかも知れないわね

 

「ん、お姉ちゃん携帯鳴ったよ」

 

「本当?教えてくれてありがとう」

 

軽く亜里沙の頭を撫でてから、携帯を取り出すと確かにメールがきていた。

 

珍しい。

自分で言うのも変な話だけど、私の携帯はあまり鳴らない。それも大半が希や亜里沙。でもその二人は目の前に居る。それもこんな時間に……。

宛名を見ると…………『神裂さん』と表示されていた。

 

な、何で一回もメールしてないのに神裂さんが私のアドレス知ってるのよ!?

…………いや、きっと希が教えたのね。そうに決まってる。

全く人の個人情報をなんだと思ってるのかしら

 

それにしてもさっき別れたばっかりなのに何の用だろう?

『今日はライブに来てくれてありがとう。

明日はあの子達のダンス指導よろしくね』

 

引き受けた以上はしっかりとやりますからご心配なく

 

『追記

今度会う時は、もっと純粋な笑顔を浮かべる可愛いエリーチカちゃんに会えることを望んでます』

 

純粋な笑顔か…………確かにあんまりしてないわね

 

「お姉ちゃん?」

 

「何でもないわよ亜里沙。さぁ早く帰りましょう」

 

私は亜里沙の手をつなぎ自分達の家を目指して歩く。そんな私達を微笑ましい顔で見つめてくる希も歩きだす。

 

 

もうライブで疲れてるこんなメールして私を気遣ってくれる神裂さん…………バーカ。

 

 

 

私、そういう人……嫌いじゃないです

 

 




読んでいただきありがとうございます!

前回の後書きにも書きましたが次回がいつになるのか分かりませんが、今後もこの作品を読んでくれると嬉しいです。
ただ、非ユーザーの方で名前が攻撃的な方。感想は嬉しいのですがあまり良い気分にはならないので、もっと普通な名前で感想を貰えると嬉しいです。


では、またいつか


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