青春をつかむまで   作:slave

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更新ペース遅くて申し訳ないです
いつもより若干文章量は多いですが……遅筆を改善したいですね


話し合い

 グループ名を考えていなかったことに気付き、慌てて考え始めた僕たち四人。

なんだかんだ昼休みの時間も少なくなってきており、グループ名が思いつきそうな雰囲気も感じなかったので穂乃果の提案でグループ名を募集する箱を廊下に設置することにした。

掲示板の目の前に箱を設置し掲示板にはことりによる三人のイラストと共にグループ名募集!と書かれた紙を貼る。勿論初ライブの宣伝も忘れずにだ。

 

ことりには時間の無い昼休みで急いでイラストを描いてもらったが……とても大変そうだったので申し訳ない気持ちになった。

大変そうだった割に僕のイラストまで描こうとしてたからアイドルをやる三人のイラストだけで良いんじゃないかと提案したら了承してくれた。

なんだかちょっと不機嫌にはさせてしまったみたいだけど。女の子って難しいんだなと感じる。

 

「さて……これで最低限やらなくちゃならないことは済ませたかな?」

「私もそう思うよ。これで初ライブに向けてあとは練習するだけだね!」

「そうだね! あっ! でもサインの練習とか変装の練習もしなくちゃ!」

「そんなもの必要ありません! それにそんなことをしている時間があったら歌と踊りの練習をですね……って練習場所はどうするんですか……?」

 

海未がだんだん小声になりながら話す。海未も自分が知らないという事は全員知らないという事に気が付いているのだろう。

僕も当然知らなかったのでまた慌てて決めることになるのか……と思った瞬間穂乃果が得意げに声を上げる。

 

「大丈夫だよ海未ちゃん! 神田明神の境内で練習すればいいんだよ! あそこなら広いし思いっきり動いても大丈夫だし!」

「確かに練習自体はそこでも出来ますが……アイドル部として活動する時の場所はどうするのですか? まさか部活も神田明神でやるつもりなのですか?」

「……放課後、場所探そっか……」

 

 

 

 

 放課後、練習場所を探すために僕達は校内をうろついていた。

午後の授業中何度か良い場所は無いか考えていたが運動系の部活がめぼしい場所はほとんど使用してしまっているので僕は思いつかなかった。

 

そして僕の考えた通り運動場、体育館は運動系の部活が使っていてとてもではないが踊れそうな空間は無かった。

たとえ空間があったとしても掛け声などの喧騒のなかでは踊るために音楽をかけても集中できないだろう。

 

続いて空き教室を使えないかと思い色々な空き教室を回る。

生徒数が少ないから空き教室は結構な数あるし一つくらい使えるだろうと楽観視していたが全ての空き教室には鍵がかかっていた。

担任の先生に使えないか聞いてみたが部活でもないのに使うのは難しいらしい。

それに空き教室で踊るのは空間が狭いので適さないだろう。

 

 

 

「で、結局……」

「ここしかないようですね……」

 

校内中を探し回った結果僕たちが辿り着いたのは屋上。確かに空間も広いし音楽をかけても大丈夫そうだが……

 

「日差しを遮るものはないし、雨がふったら使えないけど……しょうがないよね」

 

ことりの言う通り欠点も多い。そもそも欠点が無かったらとっくに他の部活が使っているのだからなんとも言えない部分はあるけれど。

 

「ええ。私たちは選り好み出来るような立場にありませんし……ひとまず練習場所はこことしましょう」

「そうだね。僕もそれが良いと思うよ。練習場所探しに結構時間使っちゃったし、ひとまず今日のところは帰ろうか」

 

僕の提案に三人が頷く。しかし頷いた直後穂乃果が新たな提案をする。

 

「そうだ! みんなうちに来て話し合いしようよー!」

「穂乃果の家ですか? 私は弓道部の練習があるのでそれが終わってからなら行けますが……」

「私は特に用事も無いしすぐに行けるよ。きょーくんはどうなの?」

「えっ……僕も誘われてるの?」

「もう! 当たり前じゃん! 一人だけ誘わないなんて酷いことしないよ!」

 

穂乃果は心外だとでも言わんばかりに僕の目をじっと見てそう言ってくる。女の子の家に誘われるなんて初めての経験だ。本人に誘われてるのに少し躊躇してしまう。

誘っている本人は友達として普通に誘っているだけなんだろうから意識して悩んでいるのは僕だけなんだろうけど……

 

「そ、そっか。じゃあ僕も行かせてもらおうかな」

「うん! きょーくんはもっと自信もって良いと思うよ? きょーくんは良い所いっぱいあるんだから!」

 

「確かに恭介君は少し謙虚すぎる所がありますね。謙虚なのは長所でもありますが」

 

「うん。私もそう思うかな……」

「そうかな? 難しいけど……頑張って自信持てるようにしてみるよ」

 

自分でも自信の無さが欠点であるとは感じていた。ただ自信を持てるような行動をしたことがないのも分かっていて……それでも肝心な時には自信が無いから迷うだけで行動を起こせなくて。

言葉では頑張ると言ってみたけれどその言葉が嘘をついているような気がしてなんだか気分が重くなる。

 

僕は別にけなされてる訳じゃないんだから落ち込む必要はないだろうと半ば無理やり自分を納得させる。

 

「じゃあ、屋上に長居してもしょうがないし穂乃果の家に行こうか」

「うん! じゃあ海未ちゃんは弓道部終わったらうちに来てね!」

「分かりました。ではまた後ほど」

 

そういって海未は校内に戻っていく。穂乃果も続いて校内に戻っていくが、ことりの様子が若干おかしい。

 

「どうしたのことり? 大丈夫?」

「あっ……大丈夫だよ。ちょっと考え事してて……」

 

そう言って微笑を浮かべてくることり。僕にはその笑顔が今にも消えそうな儚いものに見えた。

きっとことりにも何か悩みがあるんだろう。しかし今の僕がその悩みを聞き出そうとすることはきっと踏み込みすぎている。

 

「そっか。でももし悩み事とかあったら相談してね。僕に言うのは嫌でも穂乃果と海未がいるんだからさ」

「……うん!」

 

今の僕にはこれくらいの事しかできないけれど。積み重ねればきっと結果は大きく変わる。

僕のちょっとした言葉は一滴の水でありさえすれば十分だ。

いつかその滴が大きな容器を満たす助けになると僕は信じたい。

 

 

 

 心地よい春の日差しを浴びながら僕は今、じっとりとした汗を少しかいていた。

目の前には穂むらという和菓子屋の玄関があるのがその理由だ。

普段ならどんな和菓子を買うか気分を弾ませながらその玄関を開けるのだろうけど……今は女の子の家としてその玄関を見てしまっているから緊張してしまう。

 

「どうしたの? 入らないの?」

「いやあ……ちょっと緊張しちゃってさ。女の子の家に入るなんて初めてだから」

「そうなの? きょーくんはそういうの慣れてるのかと思ってたよ」

 

穂乃果が意外そうに尋ねてくる。むしろ僕のどこを見て女の子慣れしてると思ったんだろうか。

 

「全然だよ。正直穂乃果達と会う前は学校で女子と話すこともほとんど無かったから。一年生の頃は数少ない男子と一緒にいたし」

「ふーん……じゃあ意識しないで言ってるんだあ……」

「こ、ことり? なんか怖いよ?」

「私はことりちゃんの気持ち分かるけどね」

「えっ? どういうこと? 気になるんだけど……」

 

僕は気になったので尋ねてみるが二人とも僕の問いかけを無視して玄関を開けて中に入ってしまう。

おまけに目の前に僕がいるのに玄関の戸を閉められた。余計入り辛くなるじゃないか…

 

しかし入らないわけにも行かないので意を決して戸を開け中に入る。

すると穂乃果とことりは店頭に立つ女の人と話していた。若そうだし店員さんかな?

 

「いらっしゃいませ」

「こんにちは。穂乃果のお母さんはいらっしゃいますか? 遊びに来たと伝えたいのですが……」

「もう! きょーくん私のお母さんと今話してるじゃん!」

「えっ!? この人お母さんなの!?」

「あら、穂乃果のお友達なの? それなら二階の穂乃果の部屋に上がりなさい。後でお団子とか持っていくから」

「えー!? またお団子? もっと別なもの食べたいよー! プリンとか、ケーキとか!」

「穂乃果! 和菓子屋の娘が和菓子を嫌がるんじゃありません! ……ごめんなさいね、うちの子はこんな調子だから学校でも迷惑かけてるでしょう?」

「い、いえ……穂乃果は元気なので僕たちも楽しませてもらってますよ。なあことり?」

「あはは……」

 

僕は嘘はついてないぞ。たまに振り回されることはあるが。

ことりに至っては苦笑いで逃げてるしなんとなく察されてはいるんだろうけど。

 

「じゃあことりちゃん、きょーくん行こっか! 私の部屋で話し合いだー!」

 

そう言って穂乃果は一番に二階に上がっていく。話し合いするってだけで楽しそうにしてるあたり子供っぽいというかなんというか。

僕たちもそれに続くように上がっていき穂乃果の部屋に入る。

 

中に入ると意外にも清潔感のある部屋だった。多少は部屋が汚れてるのを想像したんだけどな、穂乃果の性格的に。

ちょっと失礼な事を考えてしまうが勿論言葉にはしない。言っちゃいけない事くらい僕にも分かる。

 

「じゃあ海未ちゃんが来るまでのんびり待ってようか」

「まあのんびり待つのは良いと思うけど……ちゃんと話し合いしながらのんびり待つか。さすがに何もしないのはまずいし」

「私もきょーくんに賛成かな。海未ちゃんに怒られちゃうもんね」

「じゃあそうしよっか! でも何について話し合うの?」

「うーん……曲の作詞をどうするか、とか?」

「作詞については大丈夫だよ! 海未ちゃんがやってくれるはずだから!」

 

海未が作詞? 一番作詞をやりたがらない人物だと思うんだが。確かに文章力とか創造力はありそうだけども。

 

「海未が? 絶対嫌がると思うんだけど」

「実は海未ちゃん中学校自体ポエムとか書いてて見せてもらったこともあるんだ! ことりちゃんも確か見たことあったよね?」

「私も見たことあるよ。穂乃果ちゃんが海未ちゃんの詩集って書いたノート勝手に開いたのを一緒に見ただけなんだけどね」

「海未がポエムか……確かに良い詩を書きそうだけど……ふふっ、想像できないな」

「あっ! きょーくん笑ってる! 海未ちゃんに報告しちゃうからね!」

「海未に怒られるからそれはやめて!」

「私は報告したほうが良いと思うなー。きょーくんにはそろそろ反省してもらわなきゃならないこともあるし」

「ことりまで! というか僕が何をしたっていうんだ!」

 

『そういうところだよ?』

 

結局僕は意味の分からないまま二人に叱られてしまった。

なんで叱られたのか分からないから海未が来るまでの間僕はのんびりしているように振る舞ってはいたが内心ドギマギしながら過ごした。

納得いかないなあ……

 

 

 下の階から戸を開く音が聞こえる。時間的に海未が来てもおかしくない時間だ。

当然お客さんが来ただけの可能性もあるけれど……階段を静かに上る音が聞こえるしきっと海未だろう。階段をなるべく音を立てずに上るあたり海未っぽいし。

 

階段を上る音が聞こえなくなって数秒後、部屋の扉が開かれた。

 

「遅れてすみません。話し合いの方は進んでいますか?」

「海未ちゃんお疲れ様ー! お団子食べる?」

「今海未ちゃんのお茶入れるね!」

「……あなた達、ダイエットは……?」

 

『あっ!』

 

穂乃果とことりの声が重なる。僕が叱られた後穂乃果のお母さんが団子とお茶を持ってきてくれて二人はそれを普通に食べてたからなあ。

僕もちょっと気になってはいたんだけど……叱られた後だし、なにより男が女の子にダイエットはどうしただなんて聞くのは無神経というものだろう。

 

「努力しようという気はないのですね……」

 

海未が荷物を置き小さな四足テーブルの前に正座しながら呆れた様に言葉を漏らす。

 

「全く、恭介君も二人を甘やかさないでください! 特に穂乃果は放っておくとすぐに弛んでしまうのですから!」

「ごめんね。さすがにダイエットしなくて良いのかとは言えなくて……」

「なるほど……確かに男性からは言いにくいことですね」

 

僕が訳を話すと海未は納得してくれたようだ。叱られたから萎縮してた部分も大いにあるんだけどね。

 

「それで話し合いは進んでいるのですか? 見たところ進んでいるようには見えませんが」

「むー! ちゃんと進んでるよ! 作詞する人も決まったし!」

「そうですか! では、誰が作詞をすることになったのですか?」

「海未ちゃんだよ?」

 

穂乃果が当然のように海未の名前を出すと、感激の色が見られた表情が驚きの表情に変わる。

 

「な、なぜですか!?」

「だって海未ちゃん、中学校の時ポエム書いてたよね?」

「見せてもらったことも、あったよねえ?」

 

穂乃果とことりが四足テーブル越しに海未に詰め寄る。

二人は四足テーブルに上半身を預けるようにしているため四つん這いのような格好だ。その恰好が僕にはとても扇情的なものに見えて目をそらしてしまう。

 

僕が目をそらした瞬間、海未が突然立ち上がって走って部屋から出ようとする。

 

「きょーくん、海未ちゃん捕まえて!」

 

僕は捕まえるように言われたため反射的に立ち上がって丁度扉を開けたところだった海未の腕をつかんでしまう。

 

「きょ、恭介君!?」

 

海未は驚いたのか固まってしまい立ち止まってしまう。その隙を逃さず穂乃果は後ろから海未の腰に手を回し抱き付く形で動けないようにする。

 

「わ、分かりました! 逃げませんから二人とも離してください!」

 

海未は顔を真っ赤にしてうろたえながら話す。

その言葉を聞いて僕たちは海未から離れ、再び四足テーブルの前に座る。

海未も少し息を整えてから座っていた。

 

「ふぅ……た、確かに中学生の時は詞も書いてはいましたが……今だって思い出したくないくらい恥ずかしいんですよ!? なので作詞はお断りします!」

「ええ!? 海未ちゃんお願いだからやってよー!」

「私は衣装作りで精いっぱいだし……海未ちゃんにやってほしいなって」

「ことりは仕方ないですが穂乃果はどうなんですか? アイドルをやると言い出したのは穂乃果なんですから穂乃果がやってください!」

「海未ちゃん……私の小学生の時の俳句とか覚えてる?」

 

穂乃果がそう言うと海未の表情はだんだん複雑そうなものに変わっていく。

その表情を見てことりは諭すように話しかける。

 

「無理だと……思わない?」

「……ええ」

「ねっ! だから海未ちゃんお願い! 他に頼める人もいないし! 私達も手伝うからさ!」

「し、しかし……」

 

渋る海未。性格上羞恥心が勝ってしまっているのだろう。無理強いしているようなものだから当然と言えば当然の反応だけど。

僕が静観しているとことりは急に胸に手を当て制服のワイシャツに手を当て懇願し出す。

 

「海未ちゃん……お願いっ!」

「うっ……! ……もう、ずるいですよことり……」

「じゃあやってくれるの!?」

「分かりました、作詞は私が担当させていただきます。ただし! ライブまでの練習メニューは私が考えます!」

「練習メニュー?」

 

穂乃果の問いかけに海未は頷いてパソコンを用意して人気スクールアイドルの動画を見るように穂乃果に促す。

穂乃果は何のために動画を見るのか理解していないようだったがとりあえずパソコンを用意してA-RISEとやらのプロモーションビデオを再生し始める。

 

「この動画を見る限り楽しそうに歌っているだけに見えるかもしれませんが……常に激しく動き続けています。穂乃果、ちょっと腕立て伏せをしていただけますか?」

 

海未の要求に穂乃果は応え腕立て伏せを始めようとする。

 

「それで笑顔を作ってください」

「こう?」

 

穂乃果は笑顔を作り腕立て伏せをしようとするも、なかなか笑顔を保ったまま腕立て伏せをするのは難しいらしく顔を床に激突させてしまう。

 

「うああー! 痛い痛い痛い!」

 

そう言いながら足をじたばたさせる穂乃果。

なんだか海未が練習メニューを考えると言った理由が分かってきた。

 

「なるほどね。アイドルは見た目に反して過酷だから体力をつけることも必要だってことでしょ?」

「その通りです! なので明日の朝から福田明神で基礎練習を開始します。メニューは私が今日中に考えますので」

「はーい!」

「大丈夫かなあ……私運動はあんまり得意じゃないんだけど」

「僕も参加するよ。僕はアイドル活動をやらないとはいえ僕だけ何もしないのもどうかと思うしね。それに僕も最近は運動不足だし」

「そうですか! やる気があるのは良いことです! では今日は時間も遅くなってきたのでこの辺でお開きとしましょう。練習メニューも早めに考えたいので」

「作詞もよろしくね海未ちゃん!」

「分かってます!」

 

そのまま僕たちは話しながら部屋を出て下の階へ行く。

下の階にはまだ店番をやっている穂乃果のお母さんがいたので当然挨拶をしてから外に出る。

 

「じゃあね三人とも! 明日から朝練頑張ろう!」

「そういう穂乃果こそ寝坊したりしないでくださいよ?」

「もう! 穂乃果も高校二年生なんだからもう寝坊なんてしないよ!」

「穂乃果ちゃん、結構寝坊して海未ちゃんに家まで迎えに来てもらってるような……」

「……大変そうだな、海未とことり……」

 

僕の呟きに二人は苦笑いしながら頷くのだった。穂乃果だけ不服そうな表情をしてたが……

 

 穂むらの玄関前でその後も多少雑談をした後海未は自分の家に帰っていった。

ことりも何やら用事があるらしく海未と一緒に行ってしまった。

僕と海未の家は方向が違うので必然的に僕は一人で家路につかなければならなくなってしまった。以前は当たり前だったけどなんだか寂しい。

 

とはいえ帰らなければならないので穂乃果に別れの挨拶をする。

 

「じゃあね穂乃果。また明日の朝。寝坊しないようにね?」

「分かってるよ! きょーくんこそ寝坊しないようにね?」

「勿論。もし寝坊したら穂乃果に購買のもの何か一つ買ってあげるよ」

「本当!? じゃあパン買ってね!」

「和菓子屋の娘なのに真っ先にパンが出てくるんだね」

 

僕はそう言って笑う。僕の笑顔に呼応したように穂乃果も笑ってくれる。

 

「じゃあ、僕ももう行くよ。あんまり遅くなっても怒られちゃうし」

 

僕はゆっくりと歩きながら話す。

 

「はーい! じゃあまた明日ねー!」

 

そう言って大きく手を振ってくれる穂乃果。別にそんなに遠い距離にいるん訳じゃないから手を振る必要は無いと思うんだけど……

それでも嬉しいことに変わりは無かったので僕も小さめに手を振り返す。

 

僕が手を振り返したことに満足したのか穂乃果は笑顔を浮かべたまま家の中に入っていった。

穂乃果が家に入ったことを確認し僕も前を向き歩く。

 

一人で歩きながら穂乃果達と出会う前の自分と出会った後の自分を比較する。

穂乃果達と出会ってから僕は青春というものを味わっている気がする。

 

人によって青春の色は異なるし、穂乃果達と出会わなくても青春は訪れたのかもしれない。

 

それでも僕が今味わっている青春の色はきっと僕が好きな色だ。自信を持ってそう言える気がした。

 

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