日ごとに朝練をする時の太陽の位置が高くなっていく。それと同時に初ライブまでの時間も短くなっていく。
しかし今日の穂乃果達の踊りの完成度を見る限りさほど焦らなくても良さそうだ。それに基礎練習の効果も出始めている。
「ふう……終わったー」
「まだ放課後の練習もありますよ?」
海未が油断はするなと言わんばかりに釘を刺す。本人は忠告してるつもりが無さそうだし無意識に言っているのだろう。気が利くというかおせっかいというか……幼いころからこういう関係なんだろうな。
「でも、ずいぶん出来るようになったよね!」
「そうですね。正直二人がここまで真面目にやるとは思いませんでした。穂乃果は寝坊してくるとばかり思っていましたし」
初めて朝練をしたとき一番不安そうだったことりは自身らの成長を喜んでいるようだ。海未も二人の急激な成長に驚きを感じているらしい。特に穂乃果が寝坊してこないことに。穂乃果の事を気にかけすぎだろう。どれだけ穂乃果は海未とことりに迷惑をかけたんだろうか……考えたくないな。
「大丈夫! その分授業ぐっすり寝てるから!」
そう言ってアスファルトの硬い地面に寝転がる穂乃果。やっぱり今も迷惑をかけていそうだな。μ'sとして活動する時だけは本気なのか。休みの日だけ早く起きてくる子供のような印象を受けた。
そろそろ福田明神を出て登校するかという時、一瞬赤毛の女の子が階段下から僕達を覗き込んだ。僕と目が合った瞬間引っ込んで階段を降りようとしているようだが……この前のお礼も言いたいし呼び止めることにした。
「西木野さん! ちょっと待って!」
「うえぇぇぇ!?」
まさか呼び止められるとは思っていなかったのだろうか。驚いた直後階段を駆け上って僕の目の前で立ち止まる。
「大声で呼ばないでよ! 恥ずかしいじゃない! 他にも参拝しに来てる人がいるのよ!?」
「あはは……ごめんごめん。でもどうしても言いたいことがあってさ」
「何よ……手短にお願いね」
「作曲してくれて本当にありがとう。四人で曲を聞いたんだけど……聞き終わった後みんな喜んでたよ。僕の言ったとおりにね」
「……当たり前じゃない。私が作ったのよ?」
当然だとでも言いたげな口調だが、わずかに緩んだ頬は彼女が素直になれないことを主張していた。思わず僕の頬も緩む。
「じゃあさ、早速μ'sの三人が歌ったのを聴いてみてよ」
「えっ? それってどういう……」
西木野さんが言い終える前に後ろに忍び寄っていた穂乃果が西木野さんの耳にイヤホンを差し込み再生ボタンに手をかざす。
「ちょっと!? 急すぎるわよ!」
「まあまあ折角だから聴いてみてよ! 私達も頑張って歌ったんだからさ!」
「そうですよ! それに西木野さんにはライブよりも前に聴いてほしいです!」
「えへへ……私も頑張って歌ったんだよ?」
三人が口々に聴いてほしいとの旨を告げる。西木野さんも素直に聴く気になったのか目を閉じて曲に集中する体制に入る。
『それじゃあ……μ'sミュージックスタート!』
その言葉と同時にイヤホンからほんの少し音が漏れ始める。三人の歌声が聞こえた瞬間西木野さんの指がわずかに動いたのが見えた。
彼女の曲は彼女自身を喜ばせることが出来ているのだろうか?
初ライブを翌日の放課後に控えた朝。僕達は朝練を終えて四人で一緒に登校していた。穂乃果はしきりにあくびをして朝から眠たそうだ。
「穂乃果、授業中寝ないように気を付けてくださいよ?」
「ふぁーい……」
穂乃果は海未の小言を生返事で返す。下手をすると一時間目から寝てしまいそうな雰囲気だ。さすがにそれはまずいだろうと僕も何か声をかけようとした瞬間、背後から聞きなれない声で呼び止められる。
「あなた達って、もしかしてスクールアイドルやってるっていう子達?」
「あっ、はい! μ'sってグループです!」
人一倍人当たりの良いことりが率先して応対する。さりげなくグループ名を伝えているあたりさすがだ。
「あなた達明日講堂でライブやるんでしょ? ちょっとだけでいいから踊ってみてくれない?」
「えっ? ここでですか?」
「ちょっとだけでいいから!」
さすがにことりも人通りの多い通学路上で踊るのには抵抗感があるらしい。ライブとは違ってアイドルを見に来てる訳じゃない人からも見られるから戸惑ってしまっているようだ。
「うふふふふふふふ……いいでしょう、もし明日のライブ来てくれるならここで少しだけ見せちゃいますよー? お客さんにだけ特別に……!」
「お友達を連れてきていただけたら……さらにもう少し!」
上級生らしき女子の無茶ぶりに近い要求に今度は穂乃果が対応する。さすが商売人の娘というべきか適度に対価を求めつつ相手に不快感を与えないようにしている。穂乃果は不測の事態に強いようだ。
そんな穂乃果の様子を見てことりも落ち着きを取り戻したのか冷静に対応する。二人ともここで踊ることでライブに来てもらう約束を取り付けるようだ。
「ほんと!? 行く行くー!」
「まいどありー! じゃあ、頭の所だけ……」
「あれ? もう一人は……?」
『え?』
長い髪を風になびかせてそばに立っているはずの女の子はそこにいなかった。その場にあるのは何とも言えない気まずさだけ。全員何かを言いたいけど何も言えないような感じ。
二人が謝る声が空気を揺らしたのは風が桜の花びらを飛ばした瞬間だった。
朝の陽ざしが心地よい屋上の日陰で静かに地面に体育座りをする女子が一人。
いつもはピンと伸びている背筋も今は存在感を消すように丸まってしまっている。表情は顔を伏せているため窺い知れない。
「大丈夫だよ海未ちゃん! 海未ちゃんならできるって!」
「……できます」
「えっ?」
「歌もダンスもこれだけ練習してきましたし……でも、人前で歌うのを想像すると……」
「あー……緊張しちゃうのか……」
僕の呟きが正解だったようで海未は力なく頷く。海未は日舞や弓道をやっているから勝手に緊張にはそれなりに強いのだろうと思っていたが……間違いだったようだ。
このままでは明日のライブに悪影響が出かねないので何とかして海未を元気づけようと試みる。
「海未、別に緊張することは悪いことじゃあないと思うよ。誰だってライブをやるとなったら緊張するし、動きだって硬くなるよ」
「しかし……私は他の人よりそれが顕著に表れてしまうのです……」
「そこは海未の性格だから自分で向き合っていくしかないよ。無責任な答えだけど……でもさ、海未は一人っきりでライブをやる訳じゃない。穂乃果とことりも一緒にライブをするんだ。お客さんが海未一人を見に来てるんじゃなくて三人を見に来てると思えば少しは緊張も軽くなるんじゃないかな? 三人一緒に踊るなら、一人が少しくらい踊りを間違えたって大丈夫だよ。それにスクールアイドルは本物のアイドルじゃないから」
「恭介君……」
拙い励ましだが、海未は少しだけ元気を取り戻したのか顔を上げ僕を見る。その目は僅かに潤んでいつもより輝いていた。多分以前から人より恥ずかしがりで緊張しいなことを悩んでいたのだろう。今までは大勢の前で何かをするという事が無かったから誰かに相談したりすることが無かっただけで。そう考えると今回のライブは海未にとって自分自身を乗り越えていくための良い経験になるかもしれない。
「そうだよ海未ちゃん! 私達も一緒に踊るんだから! ……私もダンスとか歌詞忘れちゃいそうだけど……」
「あはは……でも間違えちゃっても気にしないで笑顔で精いっぱい踊ろう? お客さんもそっちの方が楽しめると思う!」
「ふふっ、間違えないのが一番ですよ?」
穂乃果とことりが明るい口調で励ます。きっと海未を少しでも元気づけるために努めて明るく話しているのだろう。海未もそれを知ってか知らずか声の抑揚が増す。幼馴染だからこそこうやって補い合う事が出来るのかな。
「じゃあ、明日のライブの宣伝と海未が少しでも知らない人に慣れることが出来るように学校内でチラシ配りでもしようか」
「えっ!? きゅ、急すぎませんか……?」
「私は賛成! 思い立ったがなんちゃらってやつだよ!」
「思い立ったが吉日だよ穂乃果ちゃん……」
やっと普段通りの雰囲気に戻ったな。僕は三人の幼馴染ではないからどこか会話に深く入り込めない感じはするけど、穏やかに流れていく三人の会話を聞いているだけで自然と笑顔が浮かんでくる。
不意に三人で談笑していた海未がこちらを向く。こちらを向いた顔にはは横から陽が当たって影が出来ていたけれど、表情は明るく暗い雰囲気は感じなかった。
「助言、ありがとうございました。とても……とても嬉しかったです」
海未はそれだけ言って返事を待たずに僕に背を向けてしまう。だから今海未がどんな顔をしているかは分からないけど、穂乃果達と談笑する声はとても楽しげな女の子のものだった。
「μ's、ファーストライブやりまーす! よろしくお願いしまーす!」
『よろしくお願いしまーす!』
下校するために多くの生徒が通ってゆく夕暮れ時の校門近く。普段は和やかな談笑と足音だけが聞こえるその空間には声を張り上げる人物が三人いた。もっとも声のうち一つは他二つに比べて低いんだけど。
「よ、よろしくお願いします……」
そして不安げにか細い声でチラシを渡す人物が一人。チラシを渡すというよりチラシを渡そうとしているという表現の方が適切だろうか。声が相手に聞こえないことも多くなかなか受け取ってもらえない。
僕はそんな海未を見かねて声をかける。
「大丈夫?」
「は、はい……」
「慣れていないことをするのは大変だよね。勇気がいると思う。だけどここで勇気を出してチラシを色々な人に受け取ってもらえたらきっと嬉しい気持ちになれるんじゃないかな。きっと達成感もあると思う。だから明日のライブの事は今は考えないでさ、チラシを渡すことに集中してみようよ」
「そう、ですね。私も変わらなきゃ駄目ですよね。ちょっとだけ頑張ってみます」
「うん。無理はしなくてもいいけど少しずつ変わっていこう」
勇気を振り絞る海未に笑いかける。まだ海未の瞳に浮かぶ決意は揺れているけれど海未を信じてこれ以上の言葉はかけない。過度な気遣いは相手を傷つけることだってあると僕は思うからだ。
「よ、よろしくお願いします!」
「……いらない」
「あっ……」
海未が僅かに震える声と共にチラシを差し出した。その相手であるツインテールの女の子は海未を一瞥して無情にも冷たい言葉を浴びせ立ち去ってしまう。チラシを差し出していた手はゆっくりと力なく下がってしまう。
チラシを配っていればこういうことは多々あるだろうが……まさか一発目で来るとはなあ。海未の心は折れてしまっていないかと不安げに見つめていると今度は穂乃果が近づいて行く。
「もー! 海未ちゃん諦めちゃ駄目だよ! そのチラシ配り終えるまでやめちゃ駄目!」
「えっ!? これを全部ですか? む、無理ですよこんなに!」
「私が基礎練習諦めずに出来たのに、海未ちゃんは諦めるんだー?」
「むっ……分かりました、やりましょう!」
穂乃果の若干の挑発を込めた言葉に海未は乗っかりすぐに声を張り上げてチラシを配り始める。その声はもう震えていない。
穂乃果は人を焚き付けるのが上手いな。リーダーの素質というやつなのだろうか。僕より短い言葉で人を大きく奮い立たせてしまった。かなわないなあ……
手に持つチラシの量が目に見えて減り、残り数枚となったころ僕の真横から唐突に声が聞こえる。
「あ、あの!」
「ん? 君は……前に西木野さんの居場所を教えてくれた一年生の子だよね?」
「あっ、小泉花陽と言います。言ってなくてごめんなさい……」
「気にしなくていいよ。むしろこの前は教えてくれてありがとう。おかげで助かったよ」
「きょーくん、その子は?」
「この前μ'sを応援してくれてる子がいるって言ったよね? この子がそうだよ。小泉花陽さん」
「ああ! この子がそうなんだ! 嬉しかったよー! ありがとう!」
「い、いえ……明日のライブも必ず行きますので頑張ってください」
「来てくれるの!?」
穂乃果が上げた声に反応してか二人もこちらに来て話を聞き喜び始める。そして二人の手にはもうチラシは残っていなかった。ことりはともかく本格的に配り始めたのが僕より遅かった海未まで配り終わってるとはどういうことだ。男の僕じゃ駄目だとでも言うのか。素直に海未の成長を喜べないなあ。
その後僕もなんとかチラシを配り終えたため明日の話し合いという形で穂乃果の家にお邪魔させてもらっている。ことりは店に衣装を取りにいくとかで遅れてくるそうだが。
「うーん……やっぱり動きのキレが違うよねえ」
パソコンでA-RISEというスクールアイドル界の頂点に君臨しているグループのPVを見ながら穂乃果が呟く。確かに練習を長い期間積み重ねた末の踊りだという感じはするが機械的な踊りになっているという印象は無く初めて踊ったかのようなあどけなさも兼ね備えている。一種の完成系というやつなのかな。
「こうかな……それともこう?」
穂乃果がパソコンに映る踊りを眺めながら動きを真似しているようだが……そんな動きあったかな? 適当にアイドルっぽい動きをしているだけじゃあないのか。
僕が穂乃果から目線を外しパソコンの画面を眺めようとすると海未と目が合う。なんで海未はこっち向いてるのかな。別に僕の方向には何も無いはずなんだけど。
「どうかしたの海未? こっちに何かあるの?」
「い、いえ! 何もありません!」
「そ、そっか」
何故かやたら焦っている様子だったので追及せずに流してあげることにした。僕の顔に何かついてるだったら恥ずかしいけれども……
一応顔を触って何もついていないことを確認してからPVに視線を向けていると通知音と共に何かが画面に浮かんでくる。
「ん? 穂乃果、何か出てきたよ?」
「えっ? ……ランキングが上がってる! チラシを見た人が投票してくれたのかな?」
「嬉しいものですね……」
三人そろって液晶画面を笑顔で見つめる。まだライブが成功するかは分からないけど投票してくれる人がいるくらいだし意外と何とかなっちゃうかもなあ。
「おまたせー」
手に紙袋を持ったことりがそっと扉を開けて部屋に入ってくる。紙袋の中身は間違いなく衣装だろう。中身を早く見てみたいところではあるが……楽しみに待つことにする。
「あっ! ことりちゃん! 見て見て! ランキング上がってるよ!」
「わあっ! すごい!」
ことりは紙袋をそっと床に置きパソコンの画面を食い入るように見つめる。すっかり衣装のお披露目の事は頭から飛んでしまっている様子だ。
「あれっ? ことりちゃん、もしかしてその紙袋に入ってるのって衣装?」
「うんっ! さっきお店で最後の仕上げしてもらって……じゃーん!」
目敏く紙袋を見つけた穂乃果の言葉に呼応してことりは口調を弾ませながらハンガーにかかった衣装を披露する。
披露された衣装は桃色を基調とした服でアイドルらしく丈の短いスカートと袖を備えている。機能性も意識したのか関節の動きを邪魔するような華美な装飾品は取り付けられていない。かといって彩りが全くないという訳でもなく大きなリボンが首元と背中の部分に付けられている。
「わあっ! すごいよことりちゃん! 本物のアイドルみたい!」
「へえ……予想よりも大分凄いね。正直もっと粗雑というか……手作り感満載な衣装なのかと思ってたよ。売り物と言われたら信じてしまうかも」
「えへへ……本物っていう訳にはいかないけど、なるべくそれに近くなるようにしたつもりなの」
ことりの説明を聞いているうちに興奮を抑えきれなくなったのか大きな身振り手振りと共にことりを称賛する穂乃果。対照的に海未は絶句して口を開きながら衣装を見つめている。
「……ことり。そのスカート丈は……?」
「えっ……?」
「言ったはずです! 最低でも膝下まで無ければ穿かないと!」
「しょうがないよ海未ちゃん! アイドルだもん!」
「アイドルの活動をする上でスカート丈は短くしなければならないなどという決まりは無いはずです!」
「で、でも……今から直すのは私にはちょっと無理かな……もうすぐライブだし」
「ならば私は制服で歌います!」
業を煮やしたのか海未は鞄を手に持ち部屋を出ようとしてしまう。海未は意外と強情なところもあるから本当に一人だけ制服で歌いかねない。なんとかして止めないと……
内心焦る僕よりも早く穂乃果が海未を説得しにかかる。
「……だって……絶対成功させたいんだもん。歌を作って、ステップを覚えて衣装をそろえて……ここまでずっと頑張って来たんだもん! 三人でやって良かったって、頑張ってきて良かったって……そう思いたいの!」
自分の想いをここまで言葉にしたところで窓に向けて走り出し、大きな動きで窓を開ける。
「思いたいのー!」
穂乃果が伝えきれない思いも一緒に吐き出すように声を張り上げ外に向かって叫ぶ。
「何をしているのですか!」
「それは私も穂乃果ちゃんと同じかな。私も三人でライブを成功させたい!」
「ことり……もう、いつもいつもずるいです……分かりましたよ」
海未が肩を少し落としながら承諾する。一見すると二人の勢いに気圧されて納得してしまったようだけど、僕の目には変わらない幼馴染に安心して肩が落ちたように見えた。
「一件落着……ってやつなのかな? 今更こんなこと言うのもなんだけどちょっとだけ。海未は短いスカートも似合う女の子だと思うよ。今回は挑戦だと思って衣装着てみようよ」
「も、もう! せっかくひと段落したのに動揺させないで下さいよ!」
「や、やっぱり言わないほうが良かった? 僕も言うか迷ったんだよね」
「……でも嬉しいです。本当、時々心を乱してくるんですから……狙ってやってるんですか?」
「えっ?」
「きょーくん、実はわざとやってたの? だとしたら私許せないかも……」
「ふふっ、女の子の気持ちを弄ぶのは一番重い罪なんだよ?」
怖い。明らかに三人とも普段と雰囲気が違う。スクールアイドルやるって女の子の雰囲気じゃなくなってるよこれ。
「待って待って! 明日ライブなんだから夜遅くなる前に福田明神に成功祈願しに行こうよ! ねっ?」
「……それもそうですね。福田明神に行きましょうか。今回は見逃しますが……次はありませんよ?」
「じゃあ私も今回は許してあげる!」
「二人に免じて私も今回は見逃すよ……良かったね? きょーくん」
「あはは……」
どうやら見逃してもらえたらしい。命拾いをした僕の背中はじっとりとした冷や汗をかいている。早く夜風にあたってこの不快感を無くしたい。
「じゃあ早速行こうか。今からならあまり遅くならないうちに行けるし」
僕は半ば逃げるように提案し四人で穂乃果の家を出る。
福田明神に着くまでの道のりは会話も少なく静寂が流れる時間も長かったけれど僕にはその沈黙が心地良い。空に浮かぶ三日月よりも細い二日月を楽しんでいる間に背中を流れていた冷や汗は消え去っていた。
「どうか、ライブが成功しますように! ……いや、大成功しますように!」
「……緊張しませんように……」
「みんなが楽しんでくれますように!」
「三人の努力が……いや、μ'sの努力が報われますように!」
『お願いします!』
月光に照らされて厳かな近寄りがたい雰囲気を纏う神社に響き渡る四人の願い。
四人そろって振り向いて夜空を眺めると星が煌めいていた。一つ一つの輝きは小さくても、集まれば人を引きつける光になる。μ'sもそんな集まりになれますように。僕は密かに欲張って願いを付け加えた。
アニメ第三話前半終了!
でもなんか書いてて違和感あるんですよね。微妙に書きたいものがかけてない感じ。やっぱり小説って難しい。