恋姫†無双 ~前田慶次~ 作:ナナシのヨッシン
愛すべき妻と娘を両隣に据え、今までの苦労を思い出すかのように目を閉じた。
今までの出来事が走馬灯のように慶次によみがえった。
俺が、この世界に来てどれくらいの時間がたったのだろう。
戦って戦って、戦って俺にはそれしか脳が無いから、その間にどれほど死にそうになったのだろう。
目の前で桃香、華琳、蓮華の三人が手を取り合っている。
俺の悲願がやっと達成された。どれほど待ち望んだであろう。自然と涙が出た。
ふと、左手と右手に寄りかかれた感触がする。
見ると、恋と音々がいた。二人は俺の顔をじっと見つめていた。
涙を流していることに気がつかれたみたいだ。
「ようやく、ここまで来たのかと思うとつい涙がな」
「ん」
二人とも、その身体を俺に寄せてきた。
目を閉じると今までの出来事が、走馬灯のように流れていった。
俺が始めてこの世界に来たときその場所は丁度砂漠の真ん中だった。
地の利も無い初めての土地。右へ行っても左へ行っても砂漠。空腹で死にそうだった。
そんな時だ。俺の周りに黄色の服をまとった三人組がいた。
小柄な男、太った男、そして背の高いのっぽな男である。
「お前たちは何者だ!?」
「はっ、なんでもいいだろう? 見たところその服は良さそうなものだ。おとなしく身包みをはがされてくれれば、お前は痛い目を見なくてすむぜ」
「ふっ、俺を相手に追いはぎか。面白い」
小柄な男は小刀をこちらに向け言ってくる。
俺は、それを見て久しぶりの挑戦者に心が踊り、今までの空腹など忘れ身構えた。
「ひっ、な、なんだこいつ!! すっげぇ威圧感だ!!」
「おい! 逃げるなでぶ!! こっちは武器を持ってんだ!! 素手相手にびびってんじゃねぇ!!」
「いいぜ。こいよ。俺が勝ったら手近の村まで案内してくれぇ!!」
「いくぜ!!」
男たちは小刀を手に俺に襲い掛かってきた。
一番最初に俺に襲い掛かってきたのは太っている男だった。俺は小刀を持っている手の甲に手をあて後ろに受け流す。
それに続いて、のっぽも突進してくる。そいつも同じく、後ろに受け流し、足かけをして転ばせる。先に受け流したでぶにあたり二人が転ぶ音がする。
ほぼ同時に小柄な男が俺に向けて小刀を振り下ろしてきた。俺はそれをかわしその顔に思いっきり拳をたたきつける。
その間に立ち上がり同時に後ろから小刀を振り下ろしてくるでぶとのっぽ。俺はそれを腕で弾き、同じく顔に拳をたたきつけた。
三人は片膝をつき顔を抑えている。
「どうした? この程度で終わりか?」
「ぐっ、こいつ強ぇ!!」
「大人しく、俺を村まで連れて行ってくれてもいいんだぞ!!」
「ちっ、しょうがねぇ。これ以上やっても勝てる気がしねぇからな。付いて来い!!」
「あいよ」
そういって俺は小柄な男の後を付いていく。
しばらく、歩くとその小柄な男は俺に話しかけてきた。
「おめぇ、つえぇな。どこのもんだ?」
「ふむ、その質問は難しい質問だなぁ。どこから来たかと聞かれりゃ、日本という国からやってきた。と答えるしかねぇけどよ、あいにく今ここにその日本という国は無いん
だ。」
「あぁん? どういうことだ?」
「おりゃあ、神の使いってことさ」
「ふん。そういや、何やら管輅というやつの噂が出回っていたな。どういうんだったか。。。おい のっぽ!! てめぇ覚えてるか??」
「確か『東方より来たる者、大陸を救う。その者、天の国より乱世を鎮めるために遣わされた“天の御遣い”なり。その者、白き衣をまとい、流星にて黄色き地に降り立つ』
って感じじゃなかったか?」
「おぉう!? いきなりそんな長ぇ言葉がいえるたぁ。ほんとにのっぽか!? そんな予言が流れてんだ。つってもその服の色は白じゃねぇがな。」
「ふぅん。そんな予言がねぇ。管輅といったか、覚えとくか」
「はっ、占い師の予言ほど当てにならねぇ物はこの世にねぇよ」
「そりゃそうだ。」
「見えてきたぞ。あれだ」
小柄な男は指を指す。
確かにそこには村があるようだったここからでもわずかな人がいるのが確認できる。
「じゃあ、おれたちゃ。ここまでだあばよ」
「あぁ、ありがとな。縁があったらまた会おう」
そういって俺はその三人組と分かれた。