電脳世界の吸血鬼   作:世桜

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今回の話で私は悪評がつくのを覚悟しています。
思ったこと、文句もジャンジャンどうぞ。


反撃の妖精鬼

「いいか!あっちは十二人もいるがこっちは三人のみ。闇雲に突っ込めばすぐ囲まれるだけだ!」

 

「だったら役割を決めるべきですパパ!」

 

キリにぃの胸ポケットに隠れているユイちゃんがアドバイスをしてくれた。

 

「あたし、回復出来るよ!」

 

「ならリーファには後方支援を頼む!ホオズキ!」

 

キリにぃの呼び声に合わせて槍を見せるように上げた。

 

「準備は出来てるぜ?」

 

「行くぞ!!」

 

「ypaaaaaaaa!!」

 

ネタを挟みながらサラマンダーへ突撃した。

 

「盾兵、前へ!サラマンダーの力を見せてやれ!!」

 

盾を持ったサラマンダーが俺達の進路を塞ぐように前へ出てきた。

 

「「邪魔だぁぁぁぁぁあ!!」」

 

カァァン。という音が洞窟に響いた。キリにぃの剣と俺の槍は盾兵を数歩後ろに下げるだけで、盾兵を怯ませることすら出来なかった。

 

「……硬いな。ホオズキ!同時に「ぜりゃぁあぁ!!」ホオズキ!止まれ!」

 

キリにぃが放った制止の声も聞かずに俺はもう一度サラマンダーに突っ込んでいった。

 

「……ふん、また考えもなしに突っ込んでくるとは。盾兵!今度は吹っ飛ばしてその顔を晒してやれ!魔道隊、詠唱開始!」

 

盾兵が先程よりも強く踏み込んだ。

 

「舐めんなぁぁ!『鬼の誇り』、発動!守りを、力へ!」

 

身体から光が溢れ、それが槍の先へと集まった。

 

「これでどうだァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔道隊、攻撃開始!」

 

その声とともに部隊の奥にいたサラマンダーから炎が溢れ、俺を襲ってきた。

 

「なっ!?」

 

通常なら問題無く耐え切れる攻撃も、『鬼の誇り』を使用したせいで必殺の一撃になっていた。

 

「ぐうっ!」

 

体力を示すバーがものすごい勢いで減っていき、残ったのはたったの『10』。

そしてそんな猛攻に初期装備のローブが耐え切れるはずもなく、ポリゴンの欠片へとなっていった。つまり、俺の顔があらわになった。

 

「やはりな……。全隊!あの槍使いを捕縛せよ!ヤツはクエストの目標、吸血鬼だ!」

 

サラマンダー達の俺を見る目が変わった。

 

「ホオズキ!戻ってこい!」

 

「分かってる!……なんだよ、急に態度なんか変えさ」

 

「いや、まさかクエスト目標がこんな小さな少女だったとは思わなくてな」

 

否定出来ない事にモヤモヤしながらキリにぃとリーファのいる所まで素早く戻った。

 

「回復するよ!」

 

「全快するまではそこから動くな。分かったか?」

 

「……分かったよ、キリにぃ」

 

キリにぃは俺達に背を向けながら顔だけこっちに向けて消えるような声で言った。

 

「……心配させないでくれ。まだ怖いんだ……」

 

「……ごめん」

 

キリにぃは顔を正面に戻した。

 

「悪いな、待ってもらって」

 

「良い。そんな場面で攻撃するほど我が部隊は落ちぶれていない。……この任務も我の望まぬものだからな」

 

「へぇ、だったら見逃してくんない?」

 

「それが出来たら苦労はせんよ。黒の剣士殿」

 

「だよな。だったら―――」

 

キリにぃは剣を構えながら言った。

 

「―――力で掴み取るまで!」

 

「良い!我が部隊『イフリート』の力、受けてみよ!」

 

キリにぃが飛び出した。その後何度も金属のぶつかる音が響いた。そして火球がキリにぃを襲う音を何度も聞いた。それに合わせてリーファが回復をキリにぃにかける。

 

「どうした?掴み取ろうとしている割には随分防戦一方にみえるが?」

 

「ぅるっせ!」

 

多分キリにぃもわかってるんだろう。このままではジリ貧だってことくらい。何か、何か一撃必殺の一撃があれば……。

 

「ホオズキさん」

 

「……何、ユイちゃん?」

 

「ホオズキさんには貴方にしか出来ない力があるはずです。だから、無理に戦おうとしないで下さい」

 

「俺にしか……出来ない力?」

 

…………っ!そうか。そういう事か!

 

「ありがとう、ユイちゃん。お陰で分かったよ」

 

「いえ、私は戦えない分情報で助けになれればいいんです」

 

俺は立ち上がった。そして言った。

 

「身に宿りし運命の翼よ。我が呼び掛けに答え姿を表せたまえ!」

 

すずらん亭から抜け出した時、使った『紅き運命の翼』。これのあのスキルなら行けるはず!

俺はウィンドウを見ながら詠唱を開始した。

 

「翼に秘められし館の記憶よ、主である我が望む」

 

サラマンダーの魔術師が気づいたのか、火球の一つが俺に飛んできた。

 

「ぐッ!」

 

それを庇うようにキリにぃが受けた。

 

「k「詠唱を続けろ!それで勝てるんだろ?いけホオズキ!」……我が魔力を糧にこの場に姿を現せ、いでよ『紅魔館』!」

 

俺の魔力が0になった。それと同時に俺の背後から何かが洞窟を覆うように広がった。その何かが安定した形を形成したと思うと先程まであった湖は消え、紅い館とそれを囲むように緑の草原が続いていた。

 

「なっ……なんだこれ」

 

キリにぃはポカンとしていた。

 

「……ステージの差し替え?

 

リーファはこの魔法に分析をしていた。

 

「……っ!ひ、怯むな!やるべき事は変わらぬ!魔道隊、攻撃を続けよ!盾兵、絶対に攻撃を通すな!」

 

サラマンダー達はリーダーの号令により、一番早く気を取り戻した。

 

「っ、しまった!ホオズキ!」

 

「チッ!」

 

横に飛び、向かってきた火球をギリギリセーフで回避した。

 

「まだだ!目の前を見ろ!」

 

「は……?」

 

目の前には第二波の火球が迫っていた。

避けられない!俺はダメージを少しでも減らすために腕を顔の前に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水符『プリンセスウンディネ』」

 

迫っていた火球を水が消化した。

 

「全く……。貴方がレミィの後釜なの?ここの主ならもう少ししっかりしなさい」

 

声のした方を向くと、そこには長い紫髪を持ち、ゆったりとした服を来ている少女がいた。

 

「……貴女は?」

 

「そんな事は後。今はあの赤妖精を倒すのが先。それに、貴方以外はもう向かってるみたいよ?」

 

「足場が周りにも出来た分、自由に動ける!」

 

「ここからはあたし達の番!」

 

「ぐ……盾兵が足りぬか」

 

二人が向かったのを聞いた瞬間に俺も駆け出し、槍を魔術師に放った。

 

「こっちだ!」

 

だからだろう。彼女の言葉が聞こえなかったのは……。

 

「おかえり。レミィ、フラン」

 

彼女も俺達を助けるように戦闘に参加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、たった数分で部隊『イフリート』は壊滅状態になった。残ったのはリーダーたった一人だ。

 

「さて、なんで俺達を襲うのか教えてもらえるか?」

 

キリにぃが問いかけた。

 

「……黙秘させてもらう」

 

「オイオイ、俺達は宣言通り力で掴み取ったんだぜ?少しは教えてくれてもいいじゃないか」

 

「……掴み取った、か。甘いぞ」

 

「甘い……?」

 

キリにぃは顔をしかめた。

 

「何故我が自爆魔法を持ってないと思った!」

 

サラマンダーが黒く光り出した。

 

「うっそ!お兄ちゃん、ホオズキくん!急いで離れて!」

 

「「わ、分かった!」」

 

素早くサラマンダーから離れた。その瞬間、ドォォン!!という音が響いた。

 

「凄な……。あそこまで情報を流そうとしないとは、これこそ敵ながらあっぱれだな」

 

「キリにぃ、情報が取れなかったのに随分楽観的だな……」

 

「もういいかしら?」

 

今まで黙っていた紫の少女が声をかけてきた。

 

「あ、あぁ。待たせて悪かった」

 

キリにぃがしどろもどろになりながら答えた。

 

「まずは自己紹介をしましょう。私はパチュリー」

 

「俺はキリト」

 

「あたしはリーファ」

 

「最後に俺はホオズキだ。よろしく、パチェ」

 

不意に出てしまった『パチェ』という呼び方。それを聞いた彼女目を見開いた。

 

「……パチュリーって呼んだ方がいいか?」

 

「いえ、いいわ。貴方だけはその名で呼んで」

 

「……?わ、分かった。……で、これはなんだ?」

 

「貴方が呼び出したんでしょう?これは紅魔館。貴方を主とする館よ。……まぁ、そろそろ時間みたいだけど……」

 

パチェがそう言うと紅魔館がぶれ始めた。

 

「これをあげるわ」

 

パチェが俺に何かを投げてきた。それを受け取り確認した。

 

「……懐中時計?」

 

「もし、またらこんな事があったらそれに魔力を込めてみなさい。貴方に仕えるべき従者が現れるわ。じゃあね、今度は本物の紅魔館で会いましょう」

 

パチェの言葉と同時に紅魔館は消え、洞窟に戻った。

 

「……まるで嵐だったな」

 

キリにぃが全員の代弁をした。

 

「っと、そうだ。リーファ、襲われる前にメール来てたんだろ?」

 

「……あ、忘れてた」

 

慌ててウィンドウを開くがオフラインなのかリーファの顔は曇ったままだった。

 

「一回ログアウトしたら?」

 

一つ提案をする。

 

「うん、そうするね。待ってて!」

 

リーファはそう言ってログアウトした。

その間、キリにぃは周囲の警戒をし、俺はずっと貰った懐中時計を見ていた。二度と時を刻む事の無くなった壊れたこの時計を。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、リーファは慌てた様子で帰ってきた。

 

「お兄ちゃん、ホオズキくん……助けて」

 

リーファの声はとても弱かった。

 

 

 

 

「なるほどな……」

 

キリにぃが納得した声で言った。

 

「リーファ……いや、スグ」

 

キリにぃはリーファの頭に手を置き、頭を撫で始めた。

 

「頼ってくれてありがとな。後はお兄ちゃんと今日夜に任せろ」

 

「そうですねキリにぃ。直葉、頼ることに悪気を感じるんじゃない。人は協力して生きてるんだ。俺はそれをSAOで嫌というほど学んだ」

 

「お兄ちゃん……今日夜くん……ありがと」

 

「「どういたしまして」」

 

キリにぃは撫でるのをやめ、真面目な空気を纏った。

 

「さて、どうする?ナビはユイに任せるとして俺とホオズキがSAO時代のステータスに物言わせて走るか?」

 

「ですがホオズキさんのステータスはパッシブスキルのせいで半分まで落ちていますよパパ」

 

「それが問題なんだよなぁ……。何かいいスキルとかねぇかな……」

 

そんなことを言いながらスキルウィンドウを覗く。

 

「……あったよ。すんげぇのいたわ……」

 

そして見つけてしまった。新スキル『半身の鬼』を発動中のみ使えるバトルスキル―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『フリット』が。




スキル解説
『紅魔館召喚』
スキル『紅魔の主』派生スキル。発動者を中心に半径300mを結界で覆い、その結界内に紅魔館を呼び寄せる。使用魔力は残存魔力の全部。使用した魔力量で紅魔館の滞在期間が決定される。使用時、ランダムで紅魔館住民の一人が助っ人として戦ってくれる。が、使用者以外にはチームメンバーでも攻撃が当たる模様。

《ここからはメタ発言》
生まれた理由だが、「幻想入りする時に紅魔館ごとしてんだったら、召喚もいけるよね!」という作者のノリ。
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