何でもするので許して下さい!!
言い訳はここまでにして本編の話に移ります。
とりあえず、今回は『いつもに比べたら』長いです。飽きないで見てもらえたら嬉しいです。
あと、後書きでこの話のオマケを乗せました。
「……Why?」
それ以外に言葉が出なかった。というかそれ以外に出る言葉があるなら是非とも教えて欲しい。
俺が思考の海に入っていたとき、向こうから声がかかってきた。
「お久しぶりです、ホオズキ叔父さん」
「あ、ああ。久しぶりユイちゃん。……だから叔父さんは止めてって言ってるだろ」
ユイちゃんは露骨に嫌そうに頬を膨らませた。
「かわいくしてもダメだ」
「ぶー。……分かりました。ホオズキさん」
「うん、宜しい。……ところでユイちゃんはどうやってここに来たんだ?」
そのあと俺はキリにぃとユイちゃんに理由を説明された。ほとんど分かんなかったけど……。説明を受けた後俺も自分のアイテムを確認することにした。
左手を振ってアイテム欄をタッチっと。
「うっわ……」
口からそんな呟きが漏れた。そりゃ、漏らしたくもなるわ。だってそこに現れたのは激しく文字化けした羅列だったから。
ここでキリにぃはユイちゃんがアイテム化した物を探したのか……。取り敢えずはキリにぃのように文字化けしたアイテムを捨てなくちゃな。思い入れがあってもエラー検出プログラムに引っかかってちゃ時間の無駄になるしな。
そうやって俺がアイテムを捨てていると途中、文字化けしていないが見覚えのないアイテムが二つあった。
あー、文字化けしてるアイテムを全部捨てたら確認しとくか。
自分でそう結論付けて作業を再開した。
作業が終了して残ったのは初期装備とさっきの文字化けしていない例のアイテム二つだけだった。
RPGによくある『ロングソード』、全身を隠せるごく普通の『ローブ』。これが俺の初期装備だ。
さて、例のアイテム確認でもするか。
一つ目、『同族の祈り』。効果は……吸血鬼専用装備。装備すると太陽によるダメージを消す事ができる。そのかわり生命力が50減る。ねぇ……体力が減るのはキツいけど太陽によるマイナスが無くなるのはいいな。さて、二つ目はどんな効果があるのかな?
二つ目、『鬼の誇り』。……吸血鬼専用装備。太陽が出ているときのみ有効。防御力を全て攻撃力へと、攻撃力を全て防御力へと変換する。効果のオンオフは使用者の自由。……へー。俺、似たような効果のアイテム戦国なゲームで見たことあるんだが……。ま、まぁ攻撃とか防御は半分になってるわけだし、ありがたいっていえばありがたいな。
「ホオズキ、そろそろ行くぞ」
俺がアイテム説明を読んでいたらキリにぃに呼ばれた。
「りょーかい。それで?どうやっていくんだ?地図も無いのに」
「ああ、それは大丈夫だ。ユイが案内してくれる」
「私にお任せ下さい!それでは飛んで移動するのでホオズキさんも補助コントローラを出してください。左手を立てて、握るような形を作れば出てきますよ」
俺は手をユイちゃんに言われた通りの形にした。するとジョイスティック状のオブジェクトが出現した。
「えと、手前に引くと上昇、押し倒すと下降、左右で旋回、ボタン押し込みで加速、離すと減速です」
「成る程」「ふむふむ」
キリにぃと俺はスティックをゆっくり手前に倒してみた。するとキリにぃの羽根がピンと伸び、ぼんやりとした光を放ち始めた。俺の羽根……羽根と言っていいのだろうかこれは。キリにぃのはまるで昆虫のようなクリアグレーに透き通る鋭い流線型。俺のはまるで蝙蝠のような形で黒く先に鉤爪がある。まぁ、とにかく俺の……翼がバサッと広がり、薄暗い光を放ち始めた。
俺達はそれを確認するとそのままスティックを引き続けた。
「うおっ」「おっ」
不意に俺達の体が浮いた。しばらく下降や旋回を試すうちに操作に慣れてくる事ができた。キリにぃは数分前にはもう大体慣れていてそこら辺を自由に飛んでいた。
「キリにぃ、俺ももう大丈夫だ。そろそろ移動しよう」
「わかった。ユイ、一番近くの街ってどこにあるんだ?」
「西のほうに『スイルベーン』という街があります。そこが一番……、あっ」
「ユイちゃん、どうした?」
「プレイヤーが近づいてきます。三人が一人を追っているようです」
……三人が一人を追っているだって?……ふざけんじゃねぇよ。
「キリにぃ、「ああ、分かってる。だけど周りの先入観に囚われるな。ここはSAOじゃないんだ。死んだってそのまま命が無くなるわけじゃない。ただデスペナを受けるだけだ。助けるのは別に良いけどまずきちんと状況を見て判断してからな。もしかしたら遊んでるだけかもしれないしな」……分かった」
俺とキリにぃは念のために初期装備を装備した。多少素振りをしたがSAO時代に使っていた武器とは違うため使いにくかった。
「うーん、やっぱ西洋刀は使いにくいな。……ここに日本刀とかあんのか?」
「うわぁ、なんかちゃっちい剣だなぁ。軽いし……まあいいか……」
どうやらそれはキリにぃも同じだったようだ。ま、いいか。初期装備なんだし。
「「ユイ(ユイちゃん)、先導頼む(ぜ)」」
「了解です。パパ、ホオズキさん」
俺とキリにぃはユイちゃんの後を追って飛行を始めた。
しばらく飛行を続けプレイヤーのいる方へと向かっていたらキリにぃに声をかけられた。
「待ってくれ!少し速くないか?」
後ろを見てみるとキリにぃと俺は大体100m離れていた。
「……(´・ω・`)?なんでこんなに離れてんだ?」
「それはホオズキさんの特殊スキルによるものだと思います」
「特殊スキル……ああ、あの『夜の眷族』っつうスキルのことか」
確かにあれは月が出てたら素早さも二倍になってたな。月はいま出てるし、そりゃキリにぃをおいてくのも無理はないか。
「わりぃ、キリにぃ。もう少しゆっくり飛ぶことにすっから」
「ああ。……でも今はゆっくり飛ぶ必要はないみたいだぞ」
「はい?」
キリにぃがそう言った直後、俺の後方から甲高い声が響いたと思ったら赤々と燃え始めた。
「ファッ!?なにこれ!?自然発火なんてすんのこのゲーム!?」
「いいや、さっきユイが見つけたプレイヤー達の攻撃で燃えたんじゃないか?」
キリにぃに言われ飛んでいた時間と移動した距離を考えて、納得できた。
「あー、確かに。もう着いてもいい頃だな」
そう言って俺とキリにぃはプレイヤー達の現状を確認した。一人のプレイヤーに対して三人のプレイヤーが槍を構えようとした。
「……突撃するぞ。準備はいいか?」
俺は広げていた翼を閉じて、腰に引っかけてあるロングソードに手をかけた。
ユイちゃんも安全のためにキリにぃの胸ポケットに入った。
「勿論!」「勿論です、パパ!」
「よし。それじゃあ……行くぞ!」
牽制の意味も込めて三人のプレイヤーが攻撃をしようとした時に俺とキリトにぃは飛び出した。
俺は普通に走って隠れていた草から飛び出したが、キリにぃはカッコつけて飛んで突撃しようとした。そのせいか、三人のプレイヤーの横をすり抜けて空中でぐるぐると三回転を決めたあと派手な音を立てながら向かいの草むらに墜落した。
予想外のことに四人のプレイヤーは侵入者である俺とキリにぃを凝視した。……ここだけの話だが、キリにぃを見ていた目がなんか出来の悪い子供を見る親の目だった。
「いてて……。着地がミソだなこれ」「いや、知らんよ」
……思わずツッコんでしまった。ま、いいか。
俺のツッコミを気にしないで立ち上がったキリにぃは周りを見渡した。俺も周りを確認することにした。
赤い妖精……サラマンダーか。それと、緑の妖精……シルフだな。
「何してるの!早く逃げて!!」
俺が周りを確認しているとシルフのプレイヤーが声を上げた。けど俺はその言葉を無視しこう言った。
「男三人で女一人を襲うってのは、感心しねぇな」
「なんだとテメェ……」
一人のサラマンダーが俺に攻撃をしようとした。が、
「待て。ソイツは捕らえろ」
「アア!?何でだよ!」
それをリーダー格だと思われるサラマンダーが止めた。
「これを見ろ」
リーダー格のサラマンダーはアイテム欄から一枚の紙を取り出した。
「……なるほどなぁ。分かったよ。アイツは捕らえればいいんだな」
取り出した紙をみて取り乱していたサラマンダーも納得したようだ。
そしてリーダー格以外の二人が俺を囲んだ。
「へへ、『挑発してすみませんでした』って言えば攻撃はしねぇぜ?」
俺はチラリとキリにぃの方を見た。が、キリにぃはリーダー格に何か言われてるみたいだった。しかもこっちに行かないように気を配っている。
……援護は期待出来そうもないな。
「……言う必要は無いな。そんなこと」
そう言って俺は腰にある西洋刀に手をかける。
「なんだ?捕まってくれんのか?」
「だってよ、捕まえる前にあんた達は死んでんだからよぉ!」
俺は刀を抜く。SAO時代、俺が使っていたユニークスキル『居合』を真似た擬似的な居合術。
やれるかは分かんねぇ。でもやるしかない!
「居合術『
刀は二人のサラマンダーを上半身と下半身で真っ二つに切り分けた。
「な……に」
「嘘……」
「流石だな」
リーダー格とシルフの驚いたような声とキリにぃの感心した声が聞こえた。
《オマケ~キリトとリーダー格の話~》
「少しいいかな、スプリガンの
「ん、なんの用だ?」
ホオズキの援護に向かおうとしたらあのパーティーのリーダー格と思われる男が声をかけてきた。
「なに、一つ提案があってね。取り敢えずこれをみてほしい」
そう言ってリーダー格が取り出したのはさっき部下に見せていた一枚の紙だった。
そこには驚くような事が大量に書いてあった。
「……これは?」
「今日発表されたばかりのグランドクエストだ。本当は彼女のアイテムとお金を奪うのが任務だったんだが、彼さえいればそんなことはしなくてすみそうだ。どうやら彼は君を信頼してるみたいだしね。今も君に助けを求めてるみたいだし」
「……ばれてたのか」
「まぁね。それで、どうする?君さえ良ければそのクエストに協力してくれないかい?そうすれば君も彼女も襲わないよ」
確かにクエストの説明文を見ても協力した方がメリットはあるな。でもな……
「それはあんた達がアイツを、ホオズキを捕らえる事が出来たらの話だろ?」
「確かにその通りだ。だけど、俺達も
「そうか。……でも協力はしない」
俺がそう言うとリーダー格は肩をすくめて問い掛けてきた。
「どうして?」
「アイツはあんた達に負ける訳ないからだ。確かに俺達は
俺は一旦言葉を切り、息を吸いそして言った。
「―――潜ってきた修羅場の数が違うんだよ」
「居合術『
ホオズキが二人のプレイヤーを切ったのを見ていた俺達は三人はそれぞれ思い思いのことを呟いた。
「な……に」
「嘘……」
「流石だな」
そう呟くなか俺はさっきリーダー格の男に見せられたあの紙の中身をもう一度思い出していた。
グランドクエスト『鬼を捕らえよ』。おそらく『鬼』ってのは吸血鬼であるホオズキのことだろう。
「……まったく、運営も酷いことするな」
俺の二回目の呟きは暗い森の中に吸い込まれて消えていった。