「さてとホオズキ、俺が今から話すことはこれからの攻略において最も重要になることだ。よく聞いてくれ」
俺が正座を崩したのを確認してキリにぃは口を開いた。ちなみに俺は床の上に座布団を置いてそこに座っていてキリにぃは机に付いていた椅子に座っていて、リーファはベッドに座っている。
「りょーかい」
「よし、それじゃあ話すぞ」
そうしてキリにぃはウインドウを開いて説明を始めた。
「事の発端は一つのメールだった。たしか俺がリーファにこの世界について教えてもらってる時くらいだったな。その届いたメールには『新グランドクエストのお知らせ』と書かれていた。リーファにも同じメールが届いたみたいだった。多分全プレイヤーに一斉送信されたものなんだろ」
「……?俺、そんなメール受け取ってないけど?」
「……やっぱりな。そうだと思ったよ。今から説明するから、待ってろ」
俺が何かを言おうとしたらキリにぃに言われて話すに話せなくなってしまった。
「よし、それじゃあ続きだ。二人で一旦メールのことについて話してから確認することにした。そのメールの内容はとても恐ろしいものだった……」
「……とても恐ろしい?なんだ、自分の種族以外の妖精を全て殺せ。みたいなやつか?」
「いや、そんなに恐ろしくはない。けど惜しいな。恐ろしいってのは少し違うな。俺とリーファ目線で言うと『恐ろしい』よりは『かわいそう』だな。なんせ、そのグランドクエストで狙われるのは……ホオズキ、お前なんだからな」
キリにぃの言ったことが最初は理解出来なかった。理解するのに10秒くらいの時間を使い、俺は、叫んでいた。
「ハァ?…………ハァァァァァアァァァ!?!?なんだよそれ!?なんで善良な一ゲーム民である俺が狙われるんだよ!!?可笑しいんじゃねえの!?」
「確かに、可笑しいな。だけどさホオズキ。お前は善良ではあっても一ゲーム民では無いだろ?少なくとも俺やリーファとは違うはずだ。なぁ、『吸血鬼』ホオズキ」
「……あ」
忘れていた。俺の種族はスプリガンでもシルフでもウンディーネでもサラマンダーでもケットシーでもレプラコーンでもプーカでもインプでもましてやアルンでもない。何処にも属さない新種族、『吸血鬼』だと言うことを。
「……もしかして、俺が狙われるのって……それが理由?俺が、吸血鬼だから?」
「……ああ、そうだ。詳しくは、これを見てくれ」
キリにぃはそう言って1つのメールを開いたウインドウを俺に見せてきた。そこにはキリにぃが重点だけをかいつまんで説明したことよりも詳しい事が表記されていた。
『題名:グランドクエストのお知らせ
やあ、妖精諸君。私は妖精王オベイロン。この世界を束ねる王だ。今回は君たちにお願いがあってね。お願いと言っても今すぐ私のもとへ謁見に来い。だとか、邪神モンスターを10000体討伐しろ。とか言う無理なものではないよ。ただ時間はどれだけかかっても構わない。この世界に1人だけいるとされる『吸血鬼』。彼を連れてきて欲しいんだ。本来ならば妖精だけのこの世界に妖精以外の種族がいる。長年この世界の王をやっているがそんなことは初めてなのでね。少し心配になってしまうんだ。勿論タダとは言わない。そうだね、もし彼を連れてきてくれたらその時点でこの世界に存在する全ての妖精をアルンへと転生させることを約束しよう。
クエスト、『王の心配事』を受注しますか?
[yes] [no]』
「……なるほどなぁ」
「わかってくれたか。なr「ああ、俺はオベイロンとか言うアホを潰せばいいんだな?」……はい?」
何か言ってはいけない事を言った気がしたが、多分気のせいだろう。
「もしもーし、ホオズキさーん、聞いてますか?」
「ホオズキくーん、大丈夫?」
「……ん、ああ。キリにぃにリーファ、大丈夫だ。問題ない。ただ、
「ホオズキくん……それ全然隠せてないから……」
「ま、まあ潰す潰さないは置いといてだな、ホオズキ。お前はこれからこの世界にいるプレイヤー全てに狙われることになるだろう。……なぁホオズキ、今なら引き返せる。お前は
「ああ、たとえ全てのプレイヤーに狙われようとも幾度と殺されようとも諦めない。待つ気はない」
これは俺が
「ホオズキくん、1つだけ聞かせて欲しいの」
「ッ……なんだ?」
リーファの声に俺は思考から意識を戻した。
「お兄ちゃんはアスナさんを助けるためにこの世界に来た。って言ったの。ホオズキくんは……違うかな、今日夜くんは何をしにこの世界に来たの?」
その答えはもう決まっている。その決心だけは揺らぐことは無い。
「俺もだよ。アスねぇこと俺の義姉である結城 明日奈を助けにこの世界に来たんだ」
「もしもそれが嘘だったとしても?」
「当たり前だろ。何も無い状況で仲間が拾ってきてくれた唯一の情報なんだ、それを無駄にすることなんか出来るかよ」
「そう……。だったら、案内してあげる」
「本当か……本当に案内してくれるのか!?」
「うん、これはお兄ちゃんにも言ったことなんだけど、もしも少しでも明日奈さんを助ける決心が揺らいだら教えようとはしなかったの」
「……何でだ?」
「……そんな軽い気持ちなら
……そうか。そうだよな。直葉だって今は明るく振る舞ってるけど兄がVRMMOのせいで死ぬかも知れない事件に巻き込まれてんだ。キリにぃがここにいることに賛成ではないとは思ってたがこんなに思い詰めてたんだな。
「まぁ、そんなこんなでスグが世界樹まで案内してくれるんだ。本当なら今すぐ行きたいがもう時間も時間だ。今日は終わりにしてまた明日やろう。スグ、ホオズキ、明日は何時に入れる?」
「え、私は3時なら大丈夫だけど……」
「おれも3時くらいだな」
「そうか。なら次ここで会うのは3時にこの下で落ち合おう」
「わかった」
「わかったよお兄ちゃん。……あ、そうそうホオズキくん、ログアウトするときは隣の部屋使ってね」
「了解」
俺は座布団から立ち上がり部屋のドアノブに手をかけたところで一度止まり二人に言葉をかけた。
「お休み。兄妹仲が良くなって良かったよ」
二人の声を聞く前に部屋から出て隣の部屋に入りベッドに横になってログアウトボタンを押した。
「アスねぇ、絶対に助けるからな……」
俺の呟きは全てログアウト前に言えただろうか。
無事にログアウトしキリにぃの部屋に戻ってきた。どうやらまだキリにぃはログアウトしてないみたいだったため、メモ帳を1枚拝借し、
『今日はありがとうございました。もう遅いから目覚める前に帰らせてもらいます。それではまた明日。今日夜』
というメモを残し桐ヶ谷家から出て自分の家まで歩いた。その途中で義母さんにまっくず自分の家に帰る旨を連絡し灯家へと帰ってきた。
「ただいま」
俺はそのまま靴を脱ぎ居間へと向かっていった。そして二つの位牌の前に線香をさして挨拶をした。
「ただいま、
一度拝み、正座のまま礼をして立ち上がりキッチンに向かった。
「うーん、材料で余ってるのは……人参とじゃがいもと玉ねぎと豚肉かぁ。……肉じゃがかな。こりぁ……」
材料を取りだしサラッと肉じゃがを作りそれを大きな器に移しラップをしてそのままそれを持って隣の家に向かった。隣の家に着き、インターホンを一度押した。
ピンポーン。と言うシンプルな音が響いた。数秒たってソプラノの声が聞こえた。
「はーい」
ガチャ。と言う音と共に扉が開き、ソプラノ声の主が姿を表した。
「よう、調子はどうだ?肉じゃがとか食わねぇか、
「肉じゃが!?食べる!食べる!待ってて!今準備するから!」
うちの木綿季(ユウキ)は原作とは違う点がいくつかありますがそれはオリ主であるホオズキくんと同じ時に紹介しようと思います。それでは、次回に。