『懐かしき
団長は用事があると言うので、元少年とヒカルは街を歩いていた。
それと言うのも、装備の耐久値が次のダンジョンへ向かうには消耗し過ぎていたためである。
ヒカルは見たことのあるアイテムは複製出来たが、既にあるアイテムの耐久値は回復出来なかった。
いや、その為のスキルを見て再現すれば良いのだが、ホロウエリアから戻るや階層攻略に勤しんでいたため見る機会が無かった、と言うべきか。
そうして鍛冶職人プレイヤーの居るだろう、街を歩いていた時。
不意に声をかけられた、2人に対するその声は妙に明るく、恐らくナンパの類いだろうと思った元少年はヒカルに、相手にしないよう言いながら無視して歩くことにした。
声は次第に近寄って来る
ちょっとそこ行くお嬢さん方、あまり見ない顔だけど上層は初めてかな?
良かったらこの俺いや、わたくしめがご案内して差し上げましょうか?
途中から変に言葉遣いを改める男、微妙にニヤケた笑い声を言葉のあとに残しながら男は近寄って来る。
流石に我慢がならなかったのか、元少年は振り返りキツく拒絶の言葉を発しようとして男を視界に納めてしまう。
悪いけど、ナンパならよそでやってくれな…い…か……。
お前、まさか…。
元少年は男の名前を呼びます、初対面のはずなのに。
それを聞いた男は何故名前を知っているのか、と言った顔をしています。
どっかでお会いしたこと、ありましたっけ?
いや、それにしても、お美しい。
男は方膝をつき、見上げるように語ります。
ここで巡りあったのも何か運命的なものを感じます、そう貴女と私は前世からの深い絆で結ばれて…。
そこで元少年は男に言います
俺だ!俺だよ、つーか何だそのポーズ告白か!
そこで男は元少年の名前を呼びます
その声は、ひょっとして…おめぇ…。
ど、どうしたんだよその姿は、お前確か男だろ?
顔は女みてぇだけど、男だったはずだよな?
何でそんな美少女の姿になっちまってんだ、いやそれともそっちが本当の姿で今までは男の振りをしていたってぇオチか?
慌てるあまり意味の分からないことを言い出した男に、元少年は言います。
ちょっと待て、俺は男だ、それは始まりの街で一緒だったお前が一番よく知ってるだろ?
この姿は、訳あって今はこんな姿だが現実の俺は男だ。
ヒカルはホロウエリアで起きた一部始終を男に説明しました
ひょっとして、こちらのお嬢さんも実は男、ってオチか?
それを聞いたヒカルは首を振ります、元少年も否定します。
彼女はれっきとした女の子だ、今は一緒に攻略組をやっている。
それを言いながら、元少年は心の中で(まぁ、攻略組と言うには、人数はたったの3人なんだけどな。)と呟きます。
勿論その声は男には聞こえていません
男はみるみる目を輝かせています、攻略組でしかも女性ともなれば数えるほどしか居ませんでした。
その中の1人と知り合えた、それだけでも男にとっては幸せな出来事でした。
よし、今日は祝杯といこうぜ!
2人の再会と、攻略組の華に祝して!
元少年は静かに首を振ります
悪い、今は急いでるんだ、装備の耐久が思ってたより減っててさ。
次の攻略に出掛けるためにも、万全にしておきたいんだ。
それだったら良い鍛冶屋を知ってるぜ、案内するから今日は付き合えよ、な!
多少強引に、しかし鍛冶屋を探してこのまま街を歩いていたら、また他のナンパに会うかもしれません。
男性プレイヤーが一緒なら、いやこの男が一緒に居れば声をかけられない、声をかけられても追い払ってくれる。
元少年とヒカルそして男は、鍛冶屋のところへ向かいました。
ちょっと押しが弱すぎる気もしましたが、彼ならこんな感じかなと思っています。
次は鍛冶屋の彼女の登場です、アニメとは違って閃光さまの紹介ではありません。