『
ヒカルは元少年と共に、男の案内で知り合いの鍛冶屋が居るという、ここ48層まで来ていた。
水車がある田舎街といった感じの、趣きのある階層だった。
3人は一軒の水車小屋に向かっていた、そこに鍛冶職人が居るらしい。
職人という言葉から堅物といったイメージがあるが、初対面でも紹介者が同伴であれば嫌な顔はされないだろうと安心していた。
水車小屋に入るや、元気の良い挨拶が3人を迎えた。
いらっしゃいませ!
って、な~んだアンタか…さぁ、私は忙しいの。
冷やかしならお断りよ、邪魔しに来たなら帰った帰った。
見事に期待を裏切られたヒカルと元少年は言葉も無い、かわりに男が声をかける。
うぉ、おいヒデぇな…こっちは折角、客引きしてきてやったのによぉ。
それを聞いた鍛冶職人の少女は、ピクリと肩を震わせて振り返り。
してきて…やった…?
何様よアンタ、ツケが払えないんだからそれぐらいして当然でしょう!?
大体なに、前回の支払いから全く顔も見せないで、払う気があるの?
しかもそんな可愛い女の子2人もハベラせて、両手に花とか無縁でしょうに。
どうせナンパに失敗して、少しでも女の子と居る時間を引き延ばしたくて、良い鍛冶屋が居るから紹介するとか適当なこと言って連れてきたんでしょ?
はぁ、まぁ良いわ。
そこまで捲し立てると、男を押し退けて鍛冶職人の少女は2人の前に来ます。
男は店のすみで小さくなりいじけていました
ふーん、女性プレイヤー自体珍しいけど、結構良い装備してるのね。
元少年は驚きます
わかるのか!
まだステータスの開示もしてないのに、凄いな。
ヒカルは鍛冶職人の少女に
でも女性の鍛冶職人さんも、SAOでは珍しいですよね。
私も鍛冶スキルを上げてるので、お近づきになれたら嬉しいです。
あぁん、やめやめ!
敬語とかくすぐったいからタメで良いって、どうせ同い年でしょ?
元少年と同じような事を言うな、そう思ってヒカルは少し笑います。
それを見て鍛冶職人の少女は
へぇ、コイツにしては随分可愛い子を捕まえてきたわね、来るまでに変なことされなかった、大丈夫?
ヒカルは首を振ります
いえ、特に何も。
それまで静まり返っていた男が反論します
人をケダモノか人身売買の常習犯みたいな言い方するなよな、人聞きの悪い!
鍛冶職人の少女はそれに対して、謝るでもなく突き刺すような視線だけで男を見ると、氷のような声でひとこと。
そうね、アンタにそんな度胸も甲斐性も無かったわ。
男は悔しそうにその場から逃げ出します
くぅ~ッ!畜生覚えてやがれ、必ず可愛い女の子と仲良くなってやるんだからな!
鍛冶職人の少女はそれを視線だけで追うと
その前に!ツケ払ってよねツケ!
店の外で何かが倒れる音がしましたが、残った3人は笑って見送ります。
さぁ、それじゃお邪魔虫が居なくなったところで、ガールズトークといきましょうか?
ヒカルは少し苦笑いし、元少年はそれを手を前にあげて遮ります。
悪いけど、時間があまり無いんだ、次の階層攻略に行く前に装備の耐久を回復させたい。
へぇ、アンタ達攻略組だったんだ、どうりで良い装備してると思ったわ。
元少年は言葉を続けます
良いかな、かなり消耗しているし、量も多分普通の客より多い。
鍛冶職人の少女は答えます
任せなさい、この私に直せない装備は無いわ!
なんたって…
漫才回になってしまいました、ゲームSAOホロウフラグメントでのイベント会話で、あの男があまりな扱いだったので見せ場を作ろうとしましたが。
やはり上手くイメージ出来ず、残念な立ち位置に着いてしまいました。