スーパーバイザー権限変更、妖精王オベイロン(笑)をレベル1に、ペインアブゾーバーをレベル0に。
な…!何だそのIDは……?僕よりも高位のアカウントだと…!あり得ない…!僕はこの世界の王、神…!
……そうじゃないだろ……お前は盗んだんだ、この世界をその住人を、お前は空っぽの玉座で独り踊っていた道化に過ぎないんだ…!
須郷伸之、アスナを含め300人あまりのプレイヤーを電子の牢獄から拉致し、己の欲望でその精神を汚したド変態野郎、出来ることなら
だが、リハビリでやっと日常生活に戻ったひ弱な学生でしか無い俺には、それは自殺行為でしかない。
所詮科学者なんて肉体的には俺と大差無いだろうが、それでも相手は大人で、しかも犯罪者なのだ。
その事を、この時もっとよく考えるべきだったのかもしれない……。
フハハハハハハ…!残念だったねキリト君…!そんな自転車で真っ直ぐ病院に向かって来る君が愚かなんだよ…!
さあ…!今の気持ちを教えてくれないかな…?コレから死ぬというのはどんな気分なんだろうね…!意識が無くなる前に僕にだけでいいから…!
なんとか言えよ小僧…ッ!
ガツ、と顔を革靴で蹴り上げられる、口の中が鉄錆びた味と粘度の高い液体で溢れる、もう声も出せはしない……。
あーあ、興醒めだよ…!全く…!
ALOの中でアレだけイキがっておきながら…!
たかが車で少し跳ねたくらいで、よ……ッ!
ドス…ドス…ドス…ドス…、須郷は腹を執拗に蹴り続ける、その度にもう自らの意思では動かすことの叶わない身体が、蛙に電極を挿し電流を流した時のように痙攣する……、口の中からはその度に泡立った血飛沫が白い雪を染める……、まるで背教者ニコラスの……、まるでブラッド・ウルフやブラッド・ウルフ・リーダーの……、まるでチュートリアルの……、まるでヒースクリフの……。
再び声が聞こえた気がする……、誰だ……。
――逃げ出すのか――屈服するのか
だって…仕方無いじゃないか……、俺は子供で奴は大人……、或いはタクシーで来れば結果は違ったのかもしれない……、でも……。
声はもう聞こえなくなった……、須郷の声も……、何も……、嗚呼……きっとコイツならタクシーだろうが徒歩だろうが関係無く追突させていただろう……。
そこまで考えると、あとはもう闇の中意思が沈み込むに任せた。
考えが甘かった……、元よりこの世界……、現実は……、ナイフ1本……、車1台で事足りたのだ……。
光の無くなったその瞳には、ナイフに煌めく光だけが何処か眩しく写り込む、それを意識してはいないだろう桐ヶ谷和人は……、声には出せずそっと呟いた……。
――アスナ――ゴメン
…!……キリト……君……?
虫の知らせだろうか、結城明日奈は背筋に怖気を感じていた、それからそう長くない時間の後病室の扉が静かに開く。
来てくれたんだ、と……思った。
カーテンが緩やかにスライドし、その姿を再び見つける迄は……。
目覚めたばかりの明日奈に抵抗することはおろか、助けを呼ぶ事など出来はしなかった。
もう何度、何度も……、何…度……も……。
その肉体を一頻り貪ると、須郷伸之は、再びティターニアという電子の牢獄に結城明日奈を閉じ込めた……。
それから、数日後……。
須郷伸之は結城家に籍を移す、正式な婚姻ではなく婿養子として、結城明日奈は身動きの出来ない身体で仮想と現実の、両方の世界でその、身も心も汚された。
もう誰も彼女を救いに訪れる者は居ない、もう誰も彼女を探し出せる者も居ない。
桐ヶ谷和人のナーヴギア、そのローカルメモリに保存されていたMHCP001ことユイは、須郷伸之が……いや、結城伸之が義父彰三を利用して買い取っていた。
SAO
世間的にはSAO内部で殺人を行ったプレイヤーによる、通り魔的な犯行とされていた、伸之は何か事件の糸口が掴めるかもしれない、という理由でナーヴギアを買い取っていた。
無論タダで手に入れる方法はあったのだが、少しでも印象を良くしておきたかった伸之は金で桐ヶ谷一家を黙らせた。
事件が迷宮入りしたのは云うまでも無い、和人は詳細を誰にも打ち明けず明日奈のもとへ走った、少しでも早く逢いたい……、と……。
エギルが渡した画像から注目を集めるかと思われたが、データはユイのハッキングにより消去、既にプリントアウトされている物は裏ルートで処分された……。
桐ヶ谷和人襲撃時に使用された車は、やはり須郷伸之本人の物では無く、ナイフからも指紋は検出されず、購入ルートも須郷伸之には繋がらなかった。
程無く国外のクライアントに、人体実験のデータを売り渡し、ALO内ではアスナの――ティターニアの姿だが――アバターを複製し、ユイからコピーしたAIを載せて量産、月並みだがハーレムとしている。
数年後、仮想と現実の両世界は、取り返しのつかない地獄へと歩みを加速させていった……。
本編とは全く関係ありません、ただの妄想です。