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西暦2025年12月
ヒカルは自室のベッドで眠りに着いていた、世間を震撼させたデスゲームは一応の終焉を迎え、生存者は現実に復帰し今もリハビリの最中と聞く。
一時は危険視されたVRMMOも、匿名による技術提供により瞬く間に拡散急増、今では互いにコンバートして遊ぶことが可能となっている。
SAO事件当初ヒカルの身にひとつの偶然とも奇跡ともいえることがあった、先天的に心臓が悪かったヒカルは何時かは新しい心臓に替えなければならなかったが、そうそう適合者が見つかるはずもなかった。
そんなある時、病院から適合者が見つかったとの連絡が祖父母のもとへ届けられた。
病室の一角では医師に対して遺族らしき男性が何かを言っている、どうやら病院と事件首謀者が組んで適合者を殺しているのではないかと疑っているようだ。
実際にはそんなことはなく、偶然の産物だが身内を失った悲しみが事実の拡大解釈をさせていたのだ。
ヒカルは祖父母に付き添われ、術後の経過を医師から報告を受けていた。
経過は良好で拒絶反応もほとんど無い、極めて希なことだが免疫抑制剤を必要としなかった。
そのため通常は些細な細菌などにより命を縮めてしまうところを、ヒカルは普通の暮らしが出来るまで回復させていくことが出来るのだという。
それからしばらくして、ヒカルは退院する。
西暦2025年12月ヒカルの自室
夢の中 紅い天上に 大きなてるてる坊主が浮かんでいた
布地は血のように染まり 顔は無い 見ればそこだけ白い手袋が生えていた
血のように染まったてるてる坊主は白い手袋をすっと縦に振る、そこにはまるで魔法使いのように文字が浮かび出す、反対側からなので読むことは出来なかった。
次にさまざまな映像が天上に踊り出す、それはかつてテレビで幾度と無く報道された、とある事件のニュースチャンネルだった。
誰ともなく何かを呟く声がしてヒカルは周囲に目を向けたが、知らない顔ばかりであった。
次に自分の手元を見れば、同い年か少し幼い印象の少女が枠の中に居た。
初めは携帯端末か何かだと思っていたが、すぐに思い直す、自分が瞬きをすれば枠の中に居る少女も同じく瞬きをしたからだ。
顔の向きを変えたり顔を触ったり、自分の真似ばかりするそれは確かに自分の手の中にあった、次の瞬間には手を滑らせて石畳に吸い込まれるようにして砕けて消えたが。
辺りは静まり返り、紅い天上もいつの間にかそこにあった筈のてるてる坊主もそこから消え失せていた。
ヒカルは数人の知らない顔を探す、いや自分は知っていた、仲の良い級友、同じ学校のサークル仲間。
4人の男子と共に知らない街を歩く、とても怖い心細いそう思ってみて気付く、自分はひとりでは無いことを。
そのことを認識できると、少し安心する自分が居る。
しかし4人とヒカルは街中を他の住人に置いていかれながら歩いていく、ひとつの目的地があるのかリーダー風の男子は何かの店らしき場所へ向かった。
とりあえず宿に泊まりその日は全員眠ることにした
次の日から5人で街の周囲を探索する、まわりから幾らか遅れて次の、そのまた次の街へと進んでいく。
5人も居ると大概の野生動物は撃退出来たが、極力実力に見会わない危険な場所は避けて次の街へと向かっていた。
それというのも、たった5人では強すぎる野生動物には歯が立たなかった、誰一人死にたくはなかったのでそこまでの危険はおかさない。
なるべく弱い動物を選んで5人全員で袋叩きにする、剣で斬り鈍器で殴り槍で突き刺す、ヒカルは怖くて槍を突き刺せなかった。
もしも怒った野生動物に反撃されたら、もしも自分だけ運悪くそのまま死んでしまったら、そんな風に考えてしまう。
ある日みんなでギルド結成クエストを受けることになる、勿論ヒカルは乗り気ではなかった、怖いなぁ嫌だな…と思っていた。
ねぇどうしてもやらないとならないの?別に今のままでも困らないでしょ、なんでわざわざ…。
それを聞いてリーダー風の男子が言うには、もう実力的には安全に戦えるはずだ、それほど難しくもないからギルドを組んだ方がメリットが多いというのだ。
仲間がフォローしてなんとか少しは貢献出来たが、それでも自分が足引っ張りになっていることは明白だった。
無事ギルドを立ち上げ、小さなパーティーをする。
不思議な味の見慣れた料理を食べながら、リーダーの合図で5人揃って乾杯する。
ギルド『月夜の黒猫団』
ステータスにそう添えられているのを確認すると、今までより少し心細さが和らいだ気がした。
該当者の現実での名前、SAOで過ごした期間などは原作小説を読んだことが無いので実際のものと異なる場合があります、ご了解下さい。