蘇生アイテムの情報がSAOに広まってから、1週間ほどすぎて。
ギルドホームに押し寄せる野次馬も次第に減り始めた頃、ヒカルはあの少年と少しホームを離れていました。
それというのも、数が減ったとはいえまだ野次馬達は居なくなった訳ではありませんでした。
隙を見てホームの中でも、経験値やお金の獲得出来るスキルとクエストを受けに下層の街まで来ていました。
まずは調理スキル、他にも鍛冶スキルなど内職によりギルドを支えられるようにとアドバイスを少年はしてくれました。
全員では目立つので、今はヒカルだけ少年と同じく姿を隠せるフードつきマントのようなものを着ています。
少年達は既にクエストを受け終わり、ホームで内職に励んで居ました、勿論始めはたいした物は作れません。
しかし、今の状態で狩りに出るのは危険、そう判断したのでホームから頻繁に出る訳にはいきませんでした。
少年と少女の2人は、クエストを受け終わると帰りを急ぎました。
皆が待つギルドホームへ
次の日もその次の日も、黒猫達はホームの中で出来ることをします、調理スキルを使い食事を作り、鍛冶スキルを使い簡単なアイテムを作り。
それを街まで行き納品する、食事はストレージに入れると街まで持って行っても作りたてです、アイテム類も持ち運びに大量の荷物を背負う必要はありませんでした。
納品により獲られる経験値やお金は、狩りに出るよりは少ないですが安全に事が運ぶので構いません。
ギルドへ戻ったら皆が待っている、今日の夕飯は何にしようか、そんなことを話し合いながら帰りました。
その晩は少しばかり奮発して、シチューに挑戦してみました。
もっともSAOでの料理は似ているだけで違うものばかりなので、シチューというよりシチューっぽい何かです。
でもそれぱ現実でも同じこと、国や家庭により味付けが違うようなものだと思えば苦ではありませんし、むしろ面白いとさえ感じました。
黒猫達は微妙な味付けの夕飯を笑いながら、時に奪い合いながら食事をすすめていました。
空腹が満たされ、黒猫達は夢の中。
もっともヒカルにとっては、ここが夢の中なので夢は見ません。
ふと、タイマーをセットした時間より早く目が覚めました。
トイレなどの概念が無いので、眠りを阻害される理由にはなりません。
お腹が空いたという訳でもありませんでした、何か忘れているような気がするのです。
何だろうと考えましたが分かりません、仕方なくもうひと眠りしようと思った矢先、不意に寒気がしました。
部屋の中に風は入って来ません、窓は閉まっています。
風邪を疑いましたが、この世界に戦闘による状態異常以外の病気などはありません。
視界の端に違和感がありました
そこだけ、影が色濃い闇に見えたのです。
目が慣れることはありません、脳波に信号を送ってそのように認識しているので見間違いということもありませんでした。
嫌な気がする、ダンジョンなどで視界に違和感があれば、すぐに逃げろと教わっていました。
下層と違い、上層に行くほど景色に同化するMobも増える、最悪なのは。
そこにPKが潜んでいた場合
ヒカルは咄嗟に全装備を身に着けけました、この世界ではメニューの操作だけなので時間はかかりません、問題はどうやって逃げるか…。
次の瞬間ベッドに何かが触れました、足音はしませんここはギルドホームの中なので攻撃されてもダメージは無いはずです。
しかし油断は出来ません、相手がPKならどんな手段を使うかわからないからてす。
ヒカルの元に来た誰かは、頭の辺りまで来ました、相変わらず姿は見えませんが陽炎のように景色が歪んでいます。
声だけが耳に届きました
アレは何処にある、答えなければひとりずつ殺す。
他の部屋にも仲間が居る、ストレージにあるならすぐに出せ。
恐らく他の皆も同じ事を聞かれているのでしょう、ヒカルは怖くて答えられません、このままでは殺される、方法はわからないけどそれだけは理解出来ました。
突然雷が落ちました、しかしここは室内ですからそんなことはありえません。
見ると先ほどまでの陽炎は消えていました、いえ正確には逃げたのでしょう、わずかに舌打ちするのがヒカルの耳にも聞き取れました。
直前の雷だと思ったのは、ソードスキルによる残光と逃げる時の足音だったようです。
少年が踏み込むと、他の部屋の侵入者も逃げていました、黒猫は2人だけになりました。
事態を重く考え少年と少女は『
ひとつは少年の知り合いがそこに所属しているから、もうひとつは他のギルドの黒い噂があったからです。
その後、2人はフレンドリストから名前を確認していました
やはり少年達は殺されてしまったようです。
少年の来るのが少し遅ければ、ヒカルも同じく死んでしまっていたかもしれません。
その日はとても眠れませんでした、少年はいつまでも寄り添いました、気がつくと少女は眠りに着いていました。
制約があれ人を生き返らせる事が出来るとしたら、そんな物が現実にあれば殺してでも手に入れようとする人は居るでしょう、それがどんなに間違っていても。