Fate/BigDaddy Prototype   作:凡人9号

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プロローグ 仄暗い海の底から

時は深夜。

通常ならば人間は皆寝静まり、夜間も起きている人は極少数のこの時間帯。

日本の地方都市の一つ、冬木市のコンテナが山積みになっている港には古今東西の英雄()()()西()()()が膠着状態となっていた。

 

青いドレスに銀色の甲冑を付け、凛とした顔付きで手に見えない何かを持つ金髪の少女。

彼女の後ろに立つ、長い白い髪に同じく白い服に身を包んだ女性。

 

深緑の一見タイツの様にも見える鎧と、両手に持つ金色と朱色の細い槍を持つ男性。

 

時代錯誤な牛二頭に曳かせるチャリオットに乗る筋骨隆々の益荒男。

彼の影に隠れるようにしている深緑色のカーディガンを着た少年。

 

街頭の上に立つ金色に輝く鎧を纏った、独自の雰囲気を纏う男。

 

他にも複数名物陰に隠れている者は居るが、共通していることが一つ。

 

―――彼らは、()()をしているのだ。

 

 

その場の皆が膠着状態となっている中、彼らが立つ広間の、海に面した一方向。

 

緊迫し、誰一人として物音を立てない空間に突如、水中から何かが飛び上がるような、飛び出すようなザバッ!という音に続き、べちゃ。と水に濡れた物が地面に落ちるような音が辺りに響く。

 

カーディガンを着た少年が悲鳴を上げ、他の者達は皆一往に海へと顔を向ける。

 

そこにあったのは、波止場の淵を掴んでいる五つの指だった。

 

英雄達がその腕の次の行動を窺っていると、再び水音が響き、海面から、先ほどの指から見て右側にドリルが現れた。

そのドリルが傾き、淵を超え、その重量だけで地面を削る。右に左に揺らし、ドリルの溝が引っかかっていることを確認したのか、淵を掴んだままの手を肘までまっすぐと伸ばし、そのまま地面に叩き付け、体重を乗せるように海面から、波止場の淵からその身を陸へと乗り上げる。

 

 

まず見えたのは潜水服のヘルメットの様な物だった。

上半身を乗り上げた所でドリルと持ち上げ、先端を地面に叩き付け、膝を淵にかけ、体を重そうに引きずって立ち上がりその全身を見せる。

 

右手にドリルをくっ付けた潜水服。

 

そう、表現するしかない存在が。そこにいた。

 

 

 

 

 

 

はいよー!みんな元気かい?ビックダディプロトタイプ「ガンマ」だ。

いや、その前に名前もあったっけかな?まぁもう忘れたし、良い大人ってのには暗い過去が付き物なのさ。

・・・冗談だ。長い事アメリカで生活してたからノリがすっかり定着しちまってるみたいだ・・・これでも日本人なんだぜ?

まぁ、もっとも今の日本とは大分世代が違うみたいだがな。俺が日本を発ったのが1955年、それに対して今は1990年と来た・・・もうどうなってるんだこれって感じさ。

 

当時の俺は夢に溢れていてな、「海外ならば俺の求める何かがある!」と信じてやまないクソガキだった。

幸いなことに実家は士族の末裔で当時は剣術道場を開いていた。その跡継ぎは兄であると決まっていたので俺は自由に生きていた。

剣の腕を付け、海外から帰ってきた人の話を聞き「刀一本でのし上がってやる!」と、今にして思えばよく吠えた物だ。

 

外国へ行く商人の護衛として俺は海を渡り、商人との契約の期間も終わり、さてどうしようと悩んでいたところに自称冒険家「ジョニー・トップサイド」と名乗る男と意気投合し、彼の冒険に付き合うことになった。

 

彼と知り合って三年、いや二年後だったか。興奮した様子で「海底に都市を見つけたんだ!」と彼が語ってきたのだ。

俺は二つ返事で彼の海底都市の捜索の協力に頷いた。

 

だが、その海底都市で待っていたのは狂喜(ラプチャー)だった。

 

海底都市に乗り込み、その巨大さにはしゃいでいた俺達を襲ったのは、銃弾だった。

幸いにも当たらなかったが、物陰から出てきた人影に、俺達は恐怖した。まるで、スラムにいるような連中がヤクでも決めた直後化の様な形相で襲い掛かってきたからだ。

 

この二年で何とか使えるようになった銃を使って応戦しつつ、ジョニーだけでもと死に物狂いで逃がした。

その後の俺を待っていたのは・・・覚えていないが、意識がはっきりとしたのは少女と二人でいた時だった。

 

淡い桜色のドレスに身を包んだまだ年は一桁の少女。目が発行しているし、その手に持った注射器のケツに哺乳瓶、いや。哺乳瓶に針と銃のトリガーを付けたような狂気の塊とも見て取れるおっかないものを持った少女に、俺は不思議と愛着の様な、父性の様な物を抱いた。

まるで兄の子が生まれた時の様な、守ってやらねばという謎の使命感。

 

その感情だけを胸に、変わってしまった体すべてを使い、彼女を守ると決めた。

 

しかし、その決意も儚く散ることになる。

 

その日、いつものように彼女と散歩をし。彼女が突然走り出した。まぁいつもの事だと歩いて後を追い、舞踏会の様な広間を抜けようとした時だった。彼女の悲鳴が聞こえた。

 

急いで廊下を曲がり、彼女がいるであろう部屋にたどり着いた時、彼女は男に捕まえられ、三人の男に囲まれていた。

両側にある階段を降りる時間すら手前にあった手摺りを掴み乗り越える。手前にいた一人に向かって飛び降り、踏み潰すと今まで彼女を掴んでいた男が彼女を離し、左手を俺に向けたかと思うと電撃が飛んできたのだ。

痺れる体と頭が出来ることは一つ、彼女を守るために男たちを殺すこと。

右腕のドリルをいつでも回せるようにエンジンをかける、()()()()()()()()()()を左手で引き抜いた。

 

左にいた鉄の棒を持った男がゆっくりと近づいてくるが、左手の刀を振るい首を斬り落とす。

右にいた男が同じく鉄の棒を振り上げるが、右のドリルで払うように殴る。

最後、電撃を浴びせてきた男に近づいて行き、その途中で躓いたのかしりもちをついた男にドリルを振り上げ、振り下ろす。

体を回転させて避けた男が次にとった行動は、左手に持った緑色に光る球体を俺に投げつける事だった。

 

上手く考えることが出来なくなり、視界もどこか緑色に染まっている。

そんな中、部屋の奥から白衣を着た女がやってきて、彼女を自分の後ろに、まるで守るように移動させる。

緑色に染まる視界の中、エレノア?エレナ?そんな名前を聞いた覚えがあるが、目の前の白衣の女に言われるがままに跪き、頭を覆うヘルメットを外し、渡された銃を右手で持ってこめかみに当てる。

 

彼女が止めるのを、彼女の「パパ(ダディ)」という声を塗りつぶすように、銃声が響いた。

 

そう、俺は死んだはずなのだ、あの時。そしてこの後もう一度。

 

だがしかし、俺は死んでいなく、とある人物の連絡により目が覚め、そして、眠っていたらしい十年の時を取り戻すかのような苛烈な日々が幕を開いた。

 

 

そして今、眠っていたような22年の穴を埋めるべく、動き出した。

 

俺の名前はガンマ。

ビック・ダディ(娘の尊敬する父)だ。




こんな主人公で大丈夫か?この先書けるのか!俺ッ!?
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