折角なので投稿してみました。
先に注意しておきますが、
これは絶対に本編からは繋がらない話です。
色々とおかしいです。
その場のノリで書きました。
以上についてご了承できる方のみ、本文にお進みください。
ツッコミその他諸々ありましたらお願いします。
男一人に対して女が複数、少なくとも三人以上侍っている状況を俗にハーレムなどと現代では呼んでいる。
元来の意味は某王国の王室の後宮だったりするのだがこの際無意味なことなので割愛させてもらおう。
ISという兵器がある。
世界最強の兵器とまで呼ばれるそれは、何故かXX染色体の人間、すなわち女性にしか扱えず、その為ISについて学ぶIS学園は実質女子高と化している。
そこに男を一人でも放り込めば、(状況だけなら)ハーレムの出来上がりである。
さて、そんな同世代の男どもからすれば羨ましい環境を手に入れてしまった男たちがこの世界には居る。しかも十人。
人種はバラバラ、性格もバラバラ、生活環境、行動、能力、ありとあらゆる面において統一性のない十人だ。
たいして長くない前置きはここまでにしておいて、そんな羨まけしからん環境を手に入れてしまった少年たちの入学一日目を覗いてみよう。
◇◆◇◆◇◆◇◆
(これは……)
右を見る。様々な人種の女子たちと、顔を真っ青に染めた外人の少年が白い制服に身を包んで席に座っている。
正面を見る。メガネをかけた見るからにドジそうな先生(?)が立っている。
左を見る。約六年ぶりに会う幼馴染の少女が一人と名前など一切知らない女子生徒たちが座っている。
(想像以上にキツイ……!)
日本人、織斑一夏は表面上はなんともないという風を装いながら、心の中で滂沱の如き冷や汗を流していた。
今から約二ヶ月前、去年ISを動かせる男子が見つかったという事実から世界各国で十五歳になった少年たちにIS適性検査が行われ、何の因果か、一夏は操縦適性Bを持つ男子生徒としてIS学園に(無理矢理)入学させられた。
突然渡された男の楽園(と書いて精神的地獄と読む)への片道切符と電話帳のごとき厚さを持つ必読の本を送りつけられ、マスコミやら研究者たちを避けての買い物やらなんやら、入学前の顔合わせという名の能力診断を乗り越え、ひたすら濃い二ヶ月を経て一夏たちはそれぞれのクラスに配置された。
その二ヶ月で専用機の所有権とISの操縦技術、そしてマスコミへの耐性を一夏は手に入れた。
(な、なんなんだ、この視線の密度は……!?)
駄菓子菓子、もといだがしかし、彼は女子からの視線への耐性を持ち合わせていなかった。
小学生、中学生と(本人は無自覚かつ犯罪的に)異性にモテていたが、一度に向けられる視線の数は精々五、六人程度。
しかし今彼に向けられている視線はおよそ十四。
四方八方から飛んでくる好奇心むき出しの十代女子の視線(一部熱い視線)は彼の精神耐久値をガリガリと削っていた。
が、この一年一組という場において彼以上に疲弊、否、発狂しかけている男子がもう一人いた。
(女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い女の子怖い……ッ!!)
アメリカ人の少年、アラン・ランチェスター。
一夏と同じくISを動かせる男子の一人で、重度の女性恐怖症で女装の似合いそうな小動物系のショt、少年である。
一組の女子生徒二十七人の内十四人が一夏へと視線を向けているが、残りの十三人はずっと彼にキラキラと、或いはギラギラとした視線を向けている。
彼を弄りたい、女装させたいという不純かつ本人にとってはこれ以上ないほど遠慮したい意味の視線を。
アランの女性恐怖症は女との接触はもとより、女からの視線を受けただけでも反応してしまう。だと言うのに、彼が晒されているのは密度の濃い異性からの視線、視線、視線。
早い話、今の彼は絶賛SAN値直葬状態なのである。
(い、いい、一、一夏くくくん、たたた、助、助け、て……)
過去のトラウマが蘇り正気を失う一歩手前、発狂寸前の精神状態の中、一ヶ月の訓練と勉学漬けの生活を共に乗り越えた友人であり、自分と同じく現在進行形でライフを削られている一夏「HELP」と目線で訴えかけるアラン。
だが視線を向けられているイケメン少年はその視線に気づく余裕はなく、前を向きながら表面上は普通の面持ちで(内心押しつぶされそうになりながら)前を向き続けていた。
(だ、だれかたすけてぇ~~!!)
彼の願いも虚しく、それから十分以上もの間視線に晒され続けるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
所変わって一年二組。
そこでは一年一組とは違った意味ですごい状況が繰り広げられていた。
「ガーー……」
「皆さんはじめまして。二組の担任を務めさせていただくアカネ・エーデルハルトといいます」
「スコー……」
「一年という短い時間ではありますが良き教師であったと認められるよう善処していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
「グガー……」
顔面に教科書と
その状況に困惑してどっちに視線を向ければいいのか分からず、とりあえず視線を宙にさまよわせる生徒、男子生徒を侮蔑の目で見る生徒、面白そうという表情で見やる生徒、混乱の局地に至った結果とりあえず彼は居ないものとして扱おうと決める生徒などなど。
「それでは窓側の人から自己紹介をしてください」
「え、ちょっとエーデルハルト先生」
「なんでしょうか、
「眠っている生徒がいるんですけど……」
「放っておいてください」
「いや、でも」
「放っておいてください」
「そういうわけには」
「放っておいてください」
「教師としてその態度は」
「放っておいてください」
「……はい」
寝ている男子に一切構わずホームルームを進めるアカネに、副担任の八草がストップをかけるが、表情一つ変えず冷たい視線だけを向けて放置しろというアカネに根負けして諦め項垂れてた。
見るからにアカネの方が後輩なのだが、その瞬間二人の力関係が決定してしまったのだった。
自分が原因で状況になっているとは露知らず、我関せずと寝続ける少年──レオンハルト・ベーレンドルフは、結局自分の自己紹介の番になっても起きることはなく、アカネからの容赦ないチョップ三連激で起こされて喋った第一声が、
「ゾンビが空中三回転半!?」
だったため、二組生徒全員から変人認定を受けてしまうのであった。
その後、普通に自己紹介をしてから寝ないように注意されたにもかかわらず堂々と再び寝てしまうのだから、ある意味大物だという認識も持たれてしまうのはどうでもいいことだろうか。
◇◆◇◆◇◆◇◆
という訳でこちらは一年五組。
……え、三組と四組はどうしたかって?
一組と同じく針のむしろ状態というあまりにも平凡すぎる様子なので省略しました。
気を取り直して、こちらは一年五組。
「
第一声にして不遜かつ傲慢、そしてどこか小物臭漂う自己紹介をした雄一郎は、一斉に周りから向けられた敵意の矢を物ともせず(又は気づいていないとも言う)言葉を続けた。
「我と同じクラスにいることに感謝しろ。我の糧となれることに歓喜しろ。貴様らにはそれ以外の価値などない。以上だ」
いっそ清々しいまでに傲岸不遜かつ上から目線の自己紹介を終え、クラスメート全員から向けられる殺意すら混じった敵意を無視して雄一郎は席に座った。
突然だが、神崎雄一郎は前世の記憶を持っている。
前世の彼は、全て自分以外が悪いと思い込む卑屈な性格で、ガリガリに痩せた体躯にボサボサの髪と牛乳瓶の底のような丸メガネをかけた苛められっ子であった。
家庭環境は暴力ばかりの父親にヒステリック気味な母親とまさに最悪で、本人もその性格から友人一人おらず、死因は学校の屋上からの投身自殺であった。
そんな最後を迎えた彼だったが、この世界で二歳まで成長したとき突然前世の記憶を取り戻した。
当初こそ過去の記憶に混乱し、あらゆる面で前世の自分に絶望した雄一郎であったがすぐさま今の自分の状況が前世とまるっきり違うということに希望を持ち、増長してしまった。
彼の家は上流階級といっても差し支えない財力と権力を持つ所謂貴族であり、しかも両親は現代によくありがちな親バカで、雄一郎のわがままをほぼ全て叶えてきた。
彼の容姿は前世とまるっきり正反対のイケメンになり、しかも運動神経抜群で多才。
ISの影響で男の地位が落ちた後も好き放題し続け、何不自由ない十五年の生活と前世の反動の結果、雄一郎は何様俺様自分様を地で行く人間となってしまった。
(ケッ、お前らみたいなモブキャラには興味ねえんだよ)
しかも彼の前世にはこの世界に”非常に良く似た”<IS~インフィニット・ストラトス~>という小説が有り、前世の彼はソレを本屋で立ち読みしていた。
その為、彼はこの世界が「前世で不幸な目に遭い続けた自分へと神様がくれたプレゼント」だと認識してしまっていた。
ただその認識の八割以上が間違いであるというのは恐ろしく間抜けな事実であるが。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「平和だねぇ~」
四クラスの男子生徒五人が視線の針のむしろに放り込まれ、ドイツ人少年が我関せずと寝に入り、勘違いイケメンがアホな妄想を繰り広げている頃、六組に所属することとなったイタリア人の少年──フェルナンド・ネーグリはニヘラ、と言葉通り平和そうな笑みを浮かべて教室を見渡していた。
「妙にギスギスした雰囲気も無いし、周りの人間を威嚇するように人もいないし、すごくすごく平和だァ~」
周囲からの奇異の視線と、彼の言葉が聞こえた隣及び前の席の少女からの同情とも哀れみともつかない視線に気づかずに彼は幸せそうに言った。
七歳から十五歳までの九年間を、両親の意向で同年齢の少年少女たちに負けないように勉強のみに励まされてきた彼は所謂ボッチで過ごしてきた。
当時のクラスメートは全員が全員、互いを敵と認識し、ひたすら負けないように勉強にのみ取り組んでいた。当然そこには友情などというものは介在しなかった。
流されるままそんな生活を送っていたフェルナンドは誰よりも優秀な生徒であったが、同時に友人と呼べる人間が一人もいないことに寂しさを覚えており、人一倍友達というのを欲していた。
そんな時に降って湧いたのが”IS操縦適性の保持”という事実。
当然野放しにしておくのは危険であるとの政府の意向によりフェルナンドはIS学園に強制的に入学させられることなった。
結果、彼は両親の見栄張りの道具という役目から解放されたのである。
そして今、三年間だけとはいえ両親の束縛から逃れられるという事実に彼の心は沸き立っている。
元来メンタル面は逞しいフェルナンドはそんな精神状態と相まって、周りの視線の一つや二つ、十や二十程度はなんでもないのだ。
「フェルナンド・ネーグリです。特技は速読、趣味は特にありません。
えっと、今の目標は友達百人作ることです。そんな訳で仲良くしてくれると助かります。気軽にフェルと呼んでくださ~い」
まるで小学生の自己紹介であったが、ゆるい雰囲気を漂わせ、ふにゃっとした笑みで話すフェルナンドに担任含む全員が(良い意味で)脱力した。
フェルナンドの目標:友達百人まであと六十三人
◇◆◇◆◇◆◇◆
針のむしろな七組を飛ばして八組。
「…………(駄目だ無理だ死にそうだ)」
オールバックにして逆立てた金髪、鷹の如き鋭さをたたえた碧眼、そのくせ一切感情の読めない表情という幼い子供が一目見たら絶対泣き出しそうな外見の少年──ロナルド・ブルートンは、見た目に反して内心で無茶苦茶ヘタレていた。
彼も幼い頃は今のヘタレ具合が似合う気弱で泣き虫な少年だった。
しかしそんな彼の今後を危惧した姉の
クラスメート達は最初こそ彼をチラチラと盗み見ていたが、その顔に誰もが恐怖して既に誰も彼のことを見ようとはしていなかった。隣の席の生徒すらも、だ。
「え、えー、それでは次はブルートン君お願いします」
「はい(欝になりそう)」
挙句担任教師にも若干怯えられているという事実が彼のヘタレな心を更に締め付ける。
ただし無表情である。
「ロ、ロナルド・ブルートン。歳は、十五。特技は、リンゴを片手で握りつぶせること。趣味は、読書。
えっと、上級生に姉がいて、ファミリーネームで呼ばれると間違えそうなので、ファーストネームで呼んでいただけると助かります。ロンでもいいです。以上、です。ハイ(えっと、こんなんでよかったか。いや長すぎた? それとも短すぎた? 好物とか言ったほうが良かったか? 得意な教科とか? あ、よろしくって言ってない! あ~、頭の中真っ白だ!? 姉さんに知られたら絶対に殴られる!?)」
ガチガチに固まって(ただし無表情である)途切れ途切れの自己紹介を行うロン。
しかしその内面ではヘタレた部分が暴走しまくっており、人目がないのであれば今すぐにでも泣き出しそうになっていた。
見た目がアレなためにどんなことを言うのかと若干好奇心半ば以上恐怖心で一杯だった八組の女子たちは、濃い容姿からは想像できない見るからに緊張しているロンの姿に呆気にとられ、担任含めすべての女がポカンと口を開けて固まってしまった。
「……(え、ちょ、え?)」
ロンは周囲からの良い反応でも悪い反応でも無反応でもない反応に混乱状態に陥り、慌てた様子でクラスメート達を見渡す。ただし無表情で。
「…………ぷ」
それまでの怖そうな見た目に似合わない言動・行動のギャップに一人の女子生徒が、ついに耐え切れなくなり吹き出した。
それがキッカケとなって、教室のあちこちから押し殺した笑い声が聞こえ始め、ついにはお腹を抱えて大笑いするものまで出始めた。
無表情で混乱し続ける彼の姿は少女たちの変なツボにはまってしまったらしく、なんで笑われているのかわからない、笑われている張本人は余計に混乱を増していくのであった。
この件のおかげでロンは少女たちに”無表情で鋭い目つきだけど普通の男の子”という認識を持たれ、中々気軽に接されるようになるのだが、今は誰もあずかり知らぬことである。
「あれがアイリスの弟か。全く似てないな」
そして扉の隙間からその様子を見ていた少年が居たのも、どうでもいいことである。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「今年も担任はあの人だったよな、殺されないといいけど……」
それぞれのクラスの様子を秘密裏に覗いてから己の在籍するクラス、一年一組の入口前まで来た男子生徒──四宮拓人はため息をつきながらつぶやいた。
去年、諸事情があって二学期前半から三学期終盤まで授業に参加できなかった彼は、再び一年生をすることとなり、別の諸事情(主にアランの女性恐怖症)で一年一組に放り込まれることとなった。
なおとんでもない裏話であるが、男子生徒のクラス分けはクジ引きで決められており、女性恐怖症のアランを一人にすることはできないという上の見解からアランのいるクラスに拓人が入るのは決定事項であった。
……ただ一夏までも同じクラスになり、一つのクラスに男子が三人も集まるのは流石に予想外だったようだが。
(仕方ない。大人しく教室に入って、出席簿の一撃でももらいますかね)
拓人の中では担任から出席簿の一撃をもらうのは決定事項らしい。あながち間違いでもないが。
「私が織斑千「すいません、遅れました」冬だ」
どうやら拓人は最悪のタイミングで入室してきたらしい。
今年もお世話になる世界最強の担任、織斑千冬の自己紹介をものの見事に遮り教室に入ってきた彼を見て、千冬の弟はこう思ったそうな。
──あ、死んだな、あの人。
年下の鈍感イケメンにそんなことを思われているとは露知らず、入ってきてはいけない時に教室に入ってきたことを察知した拓人は滝のような冷や汗を流しながら、腕組みして自分を睨みつけてくる千冬にどう対処しようか考え始めた。
(素直に理由を話したら間違いなく物理的に沈められるからな。出席簿一発で済ませてもらうにはやっぱり土下座かな)
ただし物凄く後ろ向きすぎるが。
「四宮、久しぶりだな」
「お久しぶりです、織斑先生」
「復学おめでとう、と言いたいところだがその前に聞いておく、なぜ遅刻した?」
嘘は許さんと殺し屋も真っ青な気を殺気を放出しながら千冬は訊く。
全身で千冬からの殺気を浴びた拓人は、しかし一切動じず、深い深ーいため息をついた。
「今朝、楯無に生徒会室に呼び出されて、今年入った男子九名のまとめ役をやれなんて言われましてね。
ある程度情報は貰いましたけど、実際に見てみるまではどんな感じなのか分からなさそうだったので八組から二組まで覗いてきました。だから遅刻しました」
言い終わると同時に、拓人の頭に出席簿の角がめり込んだ。
スパーンッ! などという生易しい音ではなく、ゴスッ! という鈍い音が教室中に響き渡り、打たれた少年は後ろ向きに倒れた。
先程、出席簿の威力を身をもって体験した一夏は思わず名も知らぬ相手に合掌し、彼以外の生徒は拓人の安否を気にしながらも、目の前で起きた事態に理解が追いつかず、引きつった表情で固まっている。
が、そんな彼等彼女等の心理状況などどこ吹く風と言わんばかりに、千冬は再び腕組みをして教室の生徒たちを見回した。
そして彼女は威風堂々、貫禄たっぷりに口を開いた。
「私に逆らった人間はこうなる。こうなりたくなければ私に逆らうな、分かったか。
分かったなら返事をしろ。分かってなくても返事をしろ。私の言うことにはハイかイエスで返事をしろ」
『は、はい!』
気絶している約一名を除いた一組生徒全員の心が一つになった瞬間であった。
凄まじすぎる千冬の力に、一組の生徒たち(+麻耶)は何があっても千冬には逆らわないでおこうと心に誓うのであった。
その数秒後、何でもなかった様に平然と立ち上がる拓人を見て、更に表情が引つることとなるのをまだ誰も知らない。
カッとなって書いた。
反省も後悔も続きも無い。
多分一週間ぐらいしたら消している。