キセキの世代という者を知っているだろうか
それは10年に1人の逸材が5人同時に存在していた世代
中学バスケットを3連覇した彼らには、奇妙な噂があった
誰も知らない 試合記録も無いにも関わらず、天才5人が一目置いていた者達がいた
一人は『幻の6人目』と呼ばれていた
そんな彼らが「負けはしない、だが勝てない」と思わせる者がいた
彼は天才ではない
だからこそ言う 「努力に勝る天才など存在しないんじゃよ」と
この物語はそんな男のキセキの称号を剥ぎ取る物語....
…
ここは全国中学バスケットボール大会決勝
選ばれたものしか入ることの許されない領域
しかしその領域にいることをさも当たり前のように感じている者たちがいた。
「涼太、海斗と交代だ。ペースが落ちている、一旦下がれ。」
冷淡にそう言うのは赤司征十郎。帝光中学バスケットボール部主将である。
普段から冷淡で冷静な判断を下す、まさにこのチームの要である。
「ちょっ、まってくださいっす!俺、まだやれるっすよ!?」
その赤司の言葉に食いかかる初心者、黄瀬涼太。バスケットをはじめてわずか1年
でこの大舞台まで登りつめた。まぎれもなく天才である。
「黄瀬、下がるのだよ。少しは紅の見せ場もつくってやるのだよ。」
そう言いメガネを持ち上げる男は、このチームのナンバーワンシューター緑間真太郎。
あとの2人、紫原敦と青峰大輝はけだるそうに見物している。
そして交代する予定の紅 海斗(くれないかいと)はじっとノートを見つめている。
そのノートこそが紅の唯一絶対の武器なのだ。
「ともかく、黄瀬は交代だ。異論はないな。」
逆らう黄瀬を無理やりねじ伏せるのはさすがは主将である。
「海斗、わかっているな。キミ役割はDFだ。使えないとわかればすぐに祥吾と交代させる。」
「分かっとるわ。それより試合中あんま話しかけんなや。集中できんじゃろうが。」
髪はとげとげしく逆立ち、出身地の言葉を使う。どこをどうみてもバスケット選手には見えない。それは相手の選手にもそう見えたのだろう。
「なんだよ、次は不良みたいなやつだな、舐めやがって。」
そう言い、その選手はドリブルで突破する。
しかし、紅はすぐに追いつき、ブロックに跳んだように見えた。
「フェイクじゃろ?データ通りじゃ。」
「くっ」
苦し紛れのシュートは当然宙を舞う。
「その位置からじゃあ、ボール1個分届かない。」
これぞ、紅 海斗が確立した彼にしかできないデータバスケ。
収集したデータは彼の中の理論により、相手選手の動きすら予測を可能にする。
「あつしっ!!」
ボールはリバウンドをとった紫原から紅のもとへ一直線
「させるかよ!!」
「残念ながらわしはDF専門なんじゃ。真!!」
ナンバーワンシューターの名前通りのシュートを決める。
「遅いのだよ、紅。練習の時より0.5秒遅いのだよ。」
「じゃけえ、そんなんわかるのお前だけだから。」
その試合の中で、紅がシュートを決めることはただの一度もなかった。
後にインタビューで彼は言う。
「わしにOFの才能はないんで。」
その試合は人々の記憶に残った。5人の天才とそれに交じり合う秀才。
自らを決して、彼らとは同列に扱わない。5人の天才はキセキの世代と呼ばれ、1人の秀才はなんの称号も与えられなかった。
「じゃけど、いつかはその称号剥ぎとっちゃるけ」
これは彼がキセキを追い越すため、キセキを食い殺すための物語。
この主人公は正統派の主人公ではありません。
一応、ダークヒーローを目指しています。
それと、灰崎は退部していません。