「では、この条件でうちに来てくれるよう検討してほしい。」
ここは帝光中学の校長室。本来ならこのような使い方はしないのだが、連日高校のスカウトが来るため仕方なく使用している。
「分かりました。検討しておきます。」
現在は、緑間真太郎と秀徳高校の監督が密談をかわしていた。
自分の進む進路を決めるため真剣に聞いている。
「真ー、もう高校きめたん?」
あいかわらずの広島弁、そしてツンツンとした髪型
この男は何も変わらない
「ああ、もう決めたのだよ、秀徳高校だ。文武両道のいい高校なのだよ。」
「そっか。わしもそろそろ決めんとなあ。でもなあ....」
紅は決め兼ねていた。紅の目標はキセキの世代の称号を奪うこと。そのためにはそれなりに実績のある高校に行かなくてはならない。しかしそれだけでは足りない。
「まだあいつを誘っているのか?」
「ああ、まあな。じゃけどまったく食いついてくれんのじゃ。おまけに高校ではバスケやらんとかぬかしよる。」
そう話しているうちに紅のスカウトが校長室に来ていた。
…
「ぜひうちにきてほしい。キミだって紛れもない天才の一人だと思う。うちで全国を目指してくれないか。」
スカウトに来たのは全国常連の福田総合高校。紅にとってはもってこいの話だ
「監督さん、わしのことを天才と呼ぶのはやめてください。.....虫唾がはしるけえの。」
するどい目つき、いまにも食いかかりそうな姿勢。
直感した、こいつは自分に扱いきれる器じゃないことを。
「まあ、話に乗るには条件がありますけえ、まずはその話をしようや。」
「あ、ああ。なんだね、条件というのは?」
ピ、ピ、ピ
「いまその条件を呼びました。」
福田総合の監督にはなんおことなのかさっぱり分かっていなかった。
3分後....
「紅!!てめえ、これで何回目だ!!」
現れた男は誰もが目を惹きつけられる銀髪、そして紅に負けず劣らずのするどい目つき
「ああ、紹介しますわ。こいつが条件の男、灰崎祥吾。こいつも一緒に引き取ってくれるのならあんさんのチームにいっちゃる。」
「灰崎祥吾...私としてはもちろん歓迎だよ!!彼だって勝るとも劣らない天...」
言えなかった。それより先の言葉を。
イメージできてしまった。その言葉を口にすれば、おそらく自分は彼らの牙に食いつかれる。
「なるほど。、分かったよ。なぜ君らがどこのチームに行くのか決まってないのか。」
「じゃろうな、どうする?あんさんも手をひくか?」
これまでほとんどのチームの監督はここで手を引いた。バスケットで高校に進学するということはその高校のイメージアップにもイメージダウンにもつながる。
そのことを分かっている監督達は彼らを引き抜く度胸がなかった。
「いや、だから君らがほしい。」
「「!?」」
おもむろにネクタイをはずし、ボタンをはずしタバコを咥える。
「お前らがうちに来れば全国制覇できるのか?キセキの世代に勝てるのか?」
「そっちが本性かよ。はじめからそっちでこいよな、おっさん。」
「まあそう言うなや。これも仕事じゃろうよ。さっきの答えじゃが...」
いつのまにか灰崎はソファーに座り、この男の話を聞いていた。
少なくともいつもくるくだらない監督ではないと感じたのだろう。
「わしらでキセキの世代は食い殺す。あの称号はわしらが貰う。これが答えじゃ、文句ないじゃろ?」
「あの称号は俺達が奪ってやるよ。」
しばらくの沈黙の後、男はタバコを収め
「その条件で君らをわが福田総合に迎えよう!!」
…
パタン...
「入るときはノックぐらいしたらどうだい、紅。」
「やっぱ分かるんかい、赤司。」
ここは赤司お気に入りの部屋、通称赤司に間。もちろん、勝手にそう呼んでいるだけだが。
「学校、決まったんだね。おめでとう、これで高校で戦えるね。」
ぐいぐいと赤司の前へ進む。己の決意を表明するために。
「わしは、お前に劣っていると思ったことなんかただの一度もない。天才ではないかもしれん、キセキの世代ではないかもしれん。けど、お前にだけは負けたくない・・・!!
紅は赤より濃い色じゃ。わしの方がお前より輝いてみせる。」
「そうだね、その言葉を聞いて安心したよ。まだ...牙は抜けてないみたいだね。あがいてごらん、その牙で、その眼光で。ぼくは君を...倒すだけさ。」
紅は部屋を出て行く。これからは己の意志で進むために。
「紅、はやくここまで上がってこい。君は僕らと同じ存在なのか否か。」
キセキの世代が進む高校は全て決まった。
この中のどの高校が優勝するのか、世間はその話題で持ちきりである。
彼らを食い殺すために、牙を磨いている者がいることも知らずに
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