if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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----日常の崩壊は唐突に訪れる

----不快な来訪者と共に

----何故僕は、日常を生きられないのだろう

----ああ、こんな世界無ければいいのに


刹那君は引きこもり、始まっちゃいます。


第11話

真希サイド

 

 

刹那の家で遊んだ翌日、私は学校へ登校してアリサとすずかの三人で話をしていた。なのは達は此方をチラッと見て直ぐに目を逸らすを続けている。

 

 

「・・・そろそろ私キレそうなんだけど」

 

「お、落ち着いて真希ちゃん。ほら、アリサちゃんも皆が怖がってるから」

 

「そ、そんなに怖い顔してるかしら・・・?」

 

 

そう言ってアリサは自分の顔をペタペタ触って確かめる。確かに最近怖い表情が多くなった気がする。それもこれも全てはあのバカ達の所為だ。

 

 

「ねえ、今日の放課後私の家に来ない?新しいゲーム買ったんだけど」

 

「ええ、行くわ。嫌な事は一旦忘れたいしね」

 

「うん、お邪魔します」

 

 

私の誘いに二人共乗ってくる。こうして一日が過ぎ、放課後になった。そして私の家で交代制でゲームをしていた。

 

 

「まったくあのバカ達には困ったわね」デッドスパイクッ!

 

「そうだね。やっぱり危険な事は止めたいよ」フェンリルッ!ゥオオオオ!

 

「こんな時、刹那だったらどうするんだろう・・・」

 

 

アリサの言葉に私とすずかの手が止まる。部屋にはゲームのBGMだけが鳴り響いた。暗い空気で数時間が過ぎ、アリサとすずかに迎えが来た。

 

 

「そう云えばあずささんって暫く帰って来ないんだっけ?」

 

「あと三日位したら帰って来るんじゃないかしら」

 

「アンタの家って本当に放任主義ね」

 

「まあ、私が早熟だったのもあるから」

 

「で、よかったら私の家でご飯食べない?」

 

「良いの?ならお邪魔しちゃおうかしら」

 

 

私はアリサの迎えの車に乗ってアリサの家へと向かう筈だった。車が走り始めて少し、辺りの雰囲気が変わり、人の気配が消える。この現象を私達は知っている。結界だ。警戒していると、向こうの方から戦闘の音が聞こえて爆発の光も見えた。なのは達の魔力を感じたので誰かと戦闘している事が分かった。私も車を降りて、首にかかったネックレスに声を掛ける。

 

 

「行くわよ《蒼雲》!」

 

『心得た、我が主』

 

「セットアップ!」

 

 

私を光が包み、バリアジャケットが装着されて手には赤い槍に変形した蒼雲が握られた状態で光が晴れる。

 

 

「アリサ達は安全な所へ逃げて!」

 

「分かったわ!無理しないでね!」

 

「ええ、すぐに終わらせて美味しいご飯を頂いてやるわ!」

 

 

私は飛行魔法で魔力の中心地へ向かった。そこには傷だらけのなのは、フェイト、アリシア、はやて、葉山、神城が横たわり、それを空から一人の男が見下ろしていた。男の手には剣のデバイスが握られており、デバイスのコアの部分は血の様な赤色の宝石が埋め込まれていた。

 

 

「アンタがなのは達をやったのね」

 

「その通りだ。全ては俺の復讐の為にな!ハハハハハハハハ!」

 

「不愉快ね。そもそも復讐って何よ?」

 

 

私が聞くとその男はピタッと笑いを止めて怒りの形相で話し出した。

 

 

「全ては高町なのはの所為さ!俺は数年前まで管理局の研究員だった。でもコイツが研究を邪魔した所為で俺のキメラ研究は凍結され俺自身も刑務所に入れられる事になった。だがある奴に逃がしてもらってこの力を手に入れたのさ!」

 

 

男はデバイスのコアを見せつける。アレ、只のデバイスのコアじゃ無いわよね。まさかロストロギア!?

 

 

「このコアの宝石は相手の魔力を根刮ぎ奪って自分の物にできるのさ!これで魔導士なんて目じゃねえよ」

 

「黙りなさい!友達を傷付けた報い、受けると良いわ!」

 

「いいねぇその気の強さ。俺の玩具にしてやるよ。来な!」

 

「ハァアアアアア!」

 

 

私は槍を構えて突撃し、そのまま連続突きを繰り出す。男はそれをヒョイヒョイと避けて行く。そして剣で軽々と槍を受け止めてから上に弾かれ、腹部に蹴りを喰らってしまった。

 

 

「げほっ!」

 

「はっ!雑魚が調子に乗っからそうなるんだよ!オラァ!」

 

「きゃっ!」

 

 

今度は顔を殴られて地面に叩き付けられる。体も思う様に動かず、手にある蒼雲も罅が入ってしまっていた。そんな私をニヤニヤとした顔で男は見下ろしていた。

 

 

「おお、まだそんな目をできるのかお前は。決めた、お前には俺の実験に付き合ってもらおう」

 

 

そう言って男は指をパチンと鳴らすと、魔法陣が出現する。そして魔法陣の中からはライオンの頭部と体、鳥類とドラゴンの翼、蛇と蠍の尾の生物、キマイラが姿を現した。

 

 

「お前にはコイツの子を産んでもらう。キマイラと人が交配に成功するかの実験だ。壊れないでくれよ」

 

「い、いや・・・来ないで・・・」

 

「うぜえな!じゃあコイツの前に俺が味見してやるよ」

 

 

そう言うと男は私の服に手を掛けて引き裂く。私は自分の体を隠す力を出せずにカタカタと震えていた。そんな私に男の手が伸びる。ああ、私これからボロボロにされちゃうんだ。私の初めてはあの子にあげたかったな・・・。私の頭を一人の少年の姿がフラッシュバックする。

 

 

「助けて・・・刹那・・・」

 

「彼氏の名前か?来る訳ねぇd「《ザケル》!」ぎゃああああああ!?」

 

 

突如、私の目の前を閃光と轟音が包み、男は吹き飛んで行った。閃光が飛んできた方向へ目を動かすと、其処にはバリアジャケットを纏って忍者刀を携えた白髪の少年が立って居た。私は思わず涙を流す。助けに・・・来てくれたんだ・・・。

 

 

「大丈夫。後は僕に任せて休んでて」

 

 

その少年、如月刹那は私の頭に手を乗せて優しく撫でた後、手を空に向けて魔法を唱えた。

 

 

「彼女を癒せ、《サイフォジオ》!」

 

 

すると彼の上に赤いコアの周りに羽がある桃色の剣が出現する。そして彼はそれを私目掛けて振り下ろし、私に突き刺さった。ええ!?まさかコレに乗じて止めを!?そう思っているとコアの周りの羽が回転を始める。すると私の体の傷が消えて体の痛みが消えて行く。暖かく、心地いい感覚が広がって行く。剣が消える頃には私の傷は全快していた。

 

 

「蒼乃さん、アイツに変な事されてない?」

 

「大丈夫よ。ちょっと強姦未遂されたけど」

 

「そっか、アイツは死刑だな。でもその前に『ゴアアアア!』コイツ何とかしないとね」

 

 

声のした方を見ると刹那に向かってキマイラが突進して来ていた。刹那は焦りもせず右手を向けて叫ぶ。

 

 

「《ザケル》」

 

『ゴアッ!?ギャンッ!』

 

 

さっきと同じ名前の魔法を唱えた瞬間、ミッド式でもなければベルカ式でもない魔法陣が刹那の手のひらに出現し、雷が広がって放たれる。キマイラは叫び声を上げて吹き飛んだ。刹那はその光景を見て溜息を吐く。

 

 

「こんな弱い奴らに苦戦してたの皆。僕これでもリミッター付けてるんだけど」

 

『マスターの魔力量と才能を考えればコレ位余裕です。小学校の頃は修行してたじゃないですか』

 

「アレはある程度使いこなせる為にね。僕の家の魔法は癖が強いからある程度コントロールしておかないと面倒なんだよ」

 

 

話していると、瓦礫の奥から男が飛び出して来た。

 

 

「だ、誰だお前はぁ!」

 

「人に名を名乗る時は自分から名乗れこの性犯罪者!《ザケルガ》!」

 

「ひぎゃああああああああ!?」

 

 

今度は一点に集中した雷が放たれた。そして男に直撃する。男は地に伏せながら息悶え悶えに刹那を睨みつける。

 

 

「な、何でだよ・・・何でこの《レイ・ソリュー》が負けなきゃいけねえんだ」

 

「性犯罪者に勝利もクソも無い。とっとと豚箱で余生を過ごせ馬鹿野郎」

 

「ふ、ふざけんなぁ!」

 

「刹那、逃げて!」

 

 

私が叫んだ時には遅く、刹那の魔力はレイのデバイスに吸収されて行く。そしてデバイスのコアが今までに無い位光り輝き・・・砕け散った。

 

 

「・・・は?」

 

「・・・え?」

 

 

レイと私の声が重なった。刹那を見ると、もう魔力が回復していてピンピンとしていた。

 

 

「まあ、僕の魔力がそんな石ころ程度に収まり切る筈が無いよね」

 

『ロストロギアが壊れるの始めて見ましたよ私』

 

「えぇ・・・?」

 

 

レイは何度も砕け散ったロストロギアと刹那を見る。目の前で起こった事が信じられない様だ。刹那はそんなレイを見下ろして言った。

 

 

「降参・・・してくれるよね?」

 

「ふ、ふざけんな・・・キマイラ!殺れぇ!」

 

『ゴアアアアアアアアアアッ!』

 

「ん・・・お座り」

 

『ゴアァ』

 

「ファッ!?」

 

「よしよし、お手」

 

『ゴアッ』

 

「うんうん、いい子だね」

 

『ゴルルルルルルルル♡』

 

 

刹那がキマイラの顎を撫でるとキマイラは気持ち良さそうに喉を鳴らす。その光景を見てレイは完全に戦意を失っていた。その光景に私は思わず加害者であるレイ・ソリューを可愛そうだと思ってしまった・・・。

 

 

真希サイド終了

 

 

刹那サイド

 

 

ある日の夕方、家で料理を作っていると結界と複数の魔力を感じた。高町達がドンパチやってるんだろうなと思いながら料理を続ける。すると魔力の数が段々減って行き、やがて一になった。そしてその遠くから新たな魔力反応を感知する。コレは蒼乃さんか。まあ、大丈夫だろう。そう思いながら料理を続けるが、集中できない。遂に痺れを切らしたのかディアーチェが言った。

 

 

「刹那、我らは何も言わん。お前の好きにしろ。それにお前の家系にはいざと言う時の特権があるだろう」

 

「・・・ごめん、ちょっと出て来る」

 

 

僕はセシアを首に掛けて外へ出る。

 

 

「セシア、セットアップ!」

 

『了解、セットアップ!』

 

 

僕はバリアジャケットを纏う。(イメージはログ・ホライズンのアカツキの装備)

そして足元に魔法陣を出現させた。その魔法陣は僕の家系にのみ伝わる独自の魔法陣だ。

 

 

「行くよ、《レドルク》!」

 

 

足に集中して魔力強化を掛けて全力で街を駆け抜ける。途中、車が走っていた気がしたが無視して駆ける。結界の前まで着いた僕はまた魔法を唱える。今度は腕がメインだが、全身にも魔力強化を駆ける。

 

 

「《ドラグナー・ナグル》!1、2、1、2!」

 

 

結界へ連続でジャブを打ち込み無理矢理こじ開ける。突入して結界を掛け直し、そして再びレドルクで結界の中を駆け抜けた。走り抜けた先に飛び込んだ光景は蒼乃さんの衣服を剥ぎ取って獣の様な視線を向ける男だった。

 

 

プツン!

 

 

『あ、これアカンやつです。もう知りませんよ私は』

 

 

セシアが何か言っているが無視して男の側面に移動して右手を前に出す。魔法陣を出現させて放った。

 

 

「《ザケル》!」

 

 

男は気持ちよく吹き飛び、蒼乃さんに状態を聞くと強姦未遂等という罪深い単語が飛び出した。その瞬間、僕の頭の中に浮かんでいた[フルボッコ]と言うワードから[死刑]に変わった。次にキマイラとか言う生物が突撃して来たが、電撃一発で黙った。そして吹っ飛ばされた男が戻って来て再び電撃をぶっぱ。頑張って立ち上がった男のデバイスに埋め込まれた宝石が光った瞬間、一時的に魔力がグンと吸われたが、ほんのちょびっと吸った所で石は壊れた。蒼乃さんと男の声が重なって二人揃って信じられないといった顔をしていた。そして男は再びキマイラに命令。キマイラは勇敢にも立ち向かって来たが僕の命令にパッと従った。男が何やら叫んでいたが僕は無視してキマイラの顎を撫でる。おお、結構可愛いなコイツ。飼えないかな。

 

 

刹那サイド終了

 

 




はい!時間に余裕があったのでもう一話投稿しました!
刹那の家系については次回明らかにします!
では、お楽しみに!
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