if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第23話

刹那サイド

 

 

気絶した僕は目を覚ました後、再び玉座の間へと通された。今度は誰がいても平気な様に、目隠しをしている。

 

 

「なあ・・・それで話せるのか?」

 

「はい、姿さえ見えなければ怖がる心配はありませんから。それに何処に誰が居るのかは魔力か気配で分かりますし」

 

 

目隠ししてるから感覚も研ぎ澄まされるしね。

 

 

「そ、そうか・・・じゃあ、皆は彼に順番に質問だ」

 

 

キヨマロさんが言うと、誰かの気配が強くなった。大体僕の2、3m先にいる。

 

 

「じゃあ、私ね。私は《ティオ》。ガッシュと同じ《魔物》よ」

 

「・・・魔物?」

 

「アンタ何も知らないの?魔物よ魔物」

 

 

聞きなれない単語に首を傾げる。魔物?人間じゃなくて?

 

 

「魔物って何ですか?」

 

「簡単に言うと魔導生物とあまり変わらないわ。ただ、私達は本能で行動しないでちゃんと理性を持ってるし、人間よりも丈夫ね」

 

「そうなんですか・・・」

 

 

と言う事は、僕の体は、[転生者の力+魔物の身体+聖王の身体=ほぼ無敵\(^^)/]って事かな・・・。通りで死ねないわけだ。僕は思わず溜息を吐く。

 

 

「何か凄く疲れてるけど大丈夫?」

 

「はい、少し自分の事に嫌気が刺しただけですから・・・」

 

「そう、それなら質問するわね。アンタ、本当に人間?」

 

 

その瞬間、思考がクリアになる。体の温度が一気に下がった。

 

 

「嫌だな、僕は正真正銘の人間ですってば」

 

「・・・嘘ね」

 

「嘘じゃありませんよ。僕は人間d「そうか。ならコレを避けるのは無理だな」へ?」

 

「《ソルド・ザケルガ》」

 

 

ティオさんの質問に必死に食らいついていると、誰かの声と膨れ上がる魔力を感じた。思わず修行の癖で向かって来る魔力を魔力を込めただけの腕を振って相殺する。思わず目隠しを取ってしまった。そして目の前には祖父そっくりの少年と銀色の本を持った青年が立っていた。少年は巨大な電撃の剣を持っていて、僕を見ながらソレを解除した。

 

 

「普通ならこの攻撃を魔法が使える人間如きが魔力を纏っただけの腕で相殺できる訳ないだろうが」

 

「貴方は・・・一体・・・」

 

「俺はガッシュの双子の兄の《ゼオン》。コイツはパートナーの《デュフォー》だ」

 

「・・・どうも」

 

 

ゼオンさんは兎も角、あのパートナーの人・・・何か苦手だ。あの目・・・まるで何もかも見透かされてる様な・・・何か異質な物を感じる。

 

 

「・・・俺が怖いか?」

 

「別にそう言う訳では・・・」

 

「多方俺のレアスキルに何かを感じたんだろう。魔物はそう言うのに敏感だ」

 

 

デュフォーさんの言葉に僕も周りも息を飲む。・・・もう誤魔化せないか・・・。

 

 

「分かりました。白状しますよ・・・」

 

 

僕はセシアに言ってリミッターを解除する。そして僕から溢れ出す魔力と本当の姿を見てその場の全員が驚愕の表情を浮かべた。

 

 

「改めまして・・・僕の名は《セツナ・ベル・ゼーゲブレヒト》です」

 

「ウヌ・・・?ベル・・・?ゼーゲブレヒト・・・?」

 

「何で《オリヴィエ》さんの家名が・・・?」

 

「えっと・・・僕は聖王と魔王のハーフなんですよ」

 

 

----嘘おおおおおおおおおおおおおお!?

 

 

玉座の間で沢山の人達の声が木霊する。その時僕は思い出した。人に囲まれているという事を・・・。

 

 

「あ、ちょっとコレヤbコポォッ!?」

 

「マスター!?」

 

「ちょ、メディック!メディィィィィィック!」

 

 

あ、何か胃の辺りで何かが切れた気が・・・。僕の意識はそこでシャットダウンした・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

セシアサイド

 

 

マスターを再び医務室で寝かせ、アインスに任せた後、私達はガッシュさん達に詳しい説明をした。マスターの家系の話し、何故他人が苦手なのか。そして、ベル家に代々受け継がれる魔法《バオウ・ザケルガ》・・・。話を聞き終えたガッシュさん達はそれぞれ悲痛な面持ちでいた。

 

 

「未来にも居るんだな。そう言う許せないヤツが・・・」

 

 

キヨマロさんは苦悶の表情で拳を握り締める。そんな中、ガッシュさんは一人不思議と言った表情をしていた。

 

 

「ウヌウ・・・刹那が私の孫・・・私はお爺ちゃんなのかのう・・・?」

 

「あの・・・あまり深く考えない方が良いですよ・・・?」

 

 

真希さんがガッシュさんに声を掛けるが、効果は無い様だ。そんな中、ずっと黙っていたゼオンさんが口を開いた。

 

 

「フン、くだらん」

 

「なっ!?何ですって!」

 

「真希!落ち着いてくだサイ!」

 

「何を言うかと思えば只の不幸自慢か。そんな類の物、俺は好かん」

 

「アンタねえ!いい加減にしなさいよ!」

 

「なっよせ!止めrグアアアアア!?」

 

 

真希さんがこれでもかと言う位にゼオンさんの首を締め上げる。誰かに止めてもらおうと周りを見ると、ガッシュさんもティオさんに首を絞められていた。

 

 

「ガッシュ!いい加減考えるの止めなさいって言ってるでしょうがああああ!」

 

「い、痛いのだティオ!き、キヨマロ!助kアアアアアアアアア!?」

 

 

・・・兄弟だなあ・・・。

 

 

「お、おいデュフォー!見てないで何とかしろ!」

 

「お前、頭が悪いな。その気が無いから助けに行かないんだろ」

 

「デュフォーーーーーーー!?」

 

 

その後も玉座の間では兄弟の叫び声が響き渡っていた・・・。

 

 

刹那サイド

 

 

「・・・ん」

 

「具合はどうだ刹那?」

 

「ん・・・ごめん」

 

「気にするな。ほら、こっちへおいで」

 

「うん・・・あったかい・・・」

 

 

アインスに呼ばれるがままに近づき、抱きしめられる。ああ、落ち着く・・・。それにしても・・・これからどうしよう。僕の事は気付かれたけど信じてもらえない可能性もあるし、そもそもコミュ障な王族とか終わってる。ああ、顔合わせたく無いよぅ・・・。そう思っていると、ドアをノックする音が響いた。

 

 

『アインスさん、キヨマロだ。刹那は目を覚ましたか?』

 

「ああ、起きてはいるが・・・」

 

 

僕はアインスの服をきゅっと掴む。すると扉の向こうから声が聞こえた。

 

 

『いや、このままで良い。刹那、聞いてくれ』

 

「・・・はい」

 

『君の事をセシアさんから聞いたよ』

 

「そうですか・・・」

 

『実は俺も虐められてる時があってさ』

 

「そう・・・なんですか?」

 

 

意外だ。キヨマロさんは何か皆に慕われているイメージが強い。キヨマロさんは話を続ける。

 

 

『俺って勉強が得意でさ。周りに妬まれて色々酷い目にあってたんだ』

 

「そうですか・・・」

 

『ああ。それで部屋に引きこもって・・・そんな中、ガッシュと出会ったんだ』

 

「ガッシュさんと・・・」

 

『そうだ。最初は何だコイツって思ってた。でも、やっぱり誰かを信じずには居られないんだよな』

 

「そうですね・・・僕も心の中で皆が助けてくれるんじゃないかって思ってました」

 

『でも、やっぱり最初は自分で踏み出さないとダメなんだよ』

 

「自分で・・・」

 

『ま、ゆっくりで良いさ。此処には君の敵なんて居ないから少しずつ話して行きな。それじゃあな』

 

 

そう言って離れようとするキヨマロさんに向かって僕は走り出し、扉を開ける。そこには目を丸くしたキヨマロさんが居た。僕は深呼吸をして話す。先ずは自分で・・・一歩から・・・。

 

 

「あの・・・僕と”友達”になってください・・・!」

 

 

僕は震えながら俯く。ああ、何言ってるんだろ僕。こんなのダメに決まってるのに・・・。そう思いながら恐る恐る顔を上げると、そこには笑顔のキヨマロさんが居た。

 

 

「こちらこそ、よろしくな」

 

「はい!」

 

 

生まれて初めて自分から友達になりに行く事が出来た。引きこもってから数年、他人にここまで積極的に話しかけたのは初めてだった。そして今日、時をこえて初めて自分の力で,友達,を得ることが出来た。ああ、僕は今、幸せです・・・。

 

 

刹那サイド終了

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