if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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----聖王の一族には《鎧》と呼ばれる防御服が存在する。

----それはあらゆる魔法、攻撃を相殺し、正に無敵と呼べるだろう。


【古代ベルカ武装資料より抜粋】


第27話

三人称サイド

 

 

これは、白髪の少年の忘れ去られた記憶・・・。

 

 

『たっだいま~♪』

 

『あ、お母さん!お帰り』

 

『お帰りなさいませ、澪様』

 

『ただいま。ほら刹那、お土産の飴だよ』

 

『わーい!綺麗な飴だね!赤と、青と、緑と、紫!一緒に食べちゃお』

 

 

帰宅した母親から貰った飴を頬張る少年を横目に少女と母親は話をする。

 

 

『確か今回は長野の遺跡でしたっけ?』

 

『そうそう!何でも神秘の石らしくてね。これが・・・アレ?』

 

『うう・・・味ふぁふぃないふぃ・・・ガリガリすゆ・・・』

 

『ゲッ!?刹那!それペッしなさい!』

 

『ふえっ?んく・・・飲んじゃった・・・』

 

『『ファッ!?』』

 

 

刹那の言葉に少女と母親は声を上げる。

 

 

『どうして飴の袋と一緒にしてるんですか!』

 

『わ、私はドラクエよろしく全てを袋に入れるのよ!』

 

『あんな糞やらゼリーやら雑草が混ざった物を現実に持って来ないでください!』

 

『ふ、二人共落ち着いt!?ガ、アアアアアアアアア!』

 

『刹那様!』

 

『刹那!』

 

 

二人が少年に駆け寄るが、少年の足元に魔力陣が発生し、魔力によって弾かれる。そして少年の体は大人の体になり、黒と白の服に包まれ、腰には少年が飲み込んだ石と同じ赤色の石が埋め込まれた装飾品が装着される。その光景を見て、少年の母親は驚愕していた・・・。

 

 

『聖王の《鎧》が変化した・・・石を取り込んだの!?』

 

『アアアアアアアアアアアア!』

 

『刹那!』

 

『アアアアァ・・・あう・・・』

 

『刹那様!しっかりなさってください!』

 

 

やがて魔力の放出が終わり少年の《鎧》は消え去り、体も元の大きさに戻る。そして少年は意識を失った。その後、意識を取り戻すのは二日後の事だった・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

刹那サイド

 

 

古代ベルカ時代から帰還して数日、僕達は地下の訓練場でユーリの修行を手伝っていた。ユーリは僕が作った訓練用のデバイスを使ってトリエラと対峙している。ユーリが背中に装着されたバックパック型のデバイスから魔力の羽を纏ってトリエラへと突っ込む。対するトリエラは冷静に体を逸らし、ユーリのバリアジャケットを掴んで地面へと叩き落とした。

 

 

「てやあっ!」

 

「ふにゃぁっ!?」

 

 

ユーリは頭から地面にダイブし、目を回す。僕はユーリに近寄ってアインスに構えさせる。そしてユーリを治したいと思う気持ちを魔導書に込めると、魔導書から光が発せられ、魔導書の文字を読んだ。

 

 

「《サイフォジオ》!」

 

 

唱えた瞬間、アインスの頭上にサイフォジオが出現し、ユーリに振り遅され、効果が発動する。暫くすると、ユーリは目を覚ました。

 

 

「う~ん・・・まさか掴まれるとは・・・」

 

「闇雲に突っ込むからそうなるのよ。刹那様、ナイスタイミングです」

 

「いや、アインスに言ってよ。僕じゃ無いって」

 

「諦めろ刹那。このやり取りはもう10回目だ・・・」

 

 

アインスが悟った顔で僕を撫でる。確かに事あるごとにトリエラは僕を褒めてくる。昔と差がありすぎてドン引きするレベルに。僕は溜息を吐いてユーリ達に休憩を促し、自分の本格的な修行に入る。先ずは魔導書の魔法を使うための心の力をコントロールする練習だ。座禅を組んで足に本を乗せ、目を閉じる。後はアインスからの指示を待つ。

 

 

「では、行くぞ」

 

「うん。お願い」

 

「では最初は・・・"喜び"」

 

 

アインスの言葉に喜びの感情を籠める。魔道書から暖かい物を感じた。次々にアインスの言う感情を籠めていき、心の力のコントロールを強めていく。修行を終えると、体に今までに無い倦怠感が襲う。心の力を使い果たすと、魔力切れより辛い疲れが出るのだ。暫く動けないでいると、誰かに膝枕されるが、誰かも分からず僕は意識を落とした・・・。

 

 

「やりました」

 

 

いや、シュテルだよね。しかもそれ加賀s・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ダルい」

 

 

僕は目を覚ました後、ベッドでグテーっとダラける。その横ではレヴィが携帯ゲームをやっていた。

 

 

「刹那大丈夫?僕の胸枕にする?」

 

「いや、今日は良いよ。普通に寝たい」

 

「じゃあ、今日一緒に寝ても良い?」

 

「良いよ。風呂は入ったし、歯磨きして寝ようか」

 

「うん!」

 

 

歯磨きを終えて部屋へと戻り、レヴィとベッドに入る。そして何時もの如くレヴィに抱きしめられるのだが、身長差ゆえにレヴィの腕が首に入る。僕はレヴィの腕にタップサインを出す。

 

 

「あ、ゴメン・・・」

 

「流石に今日はもう気絶したくないんですけど・・・」

 

「だって刹那ちっちゃいから」

 

 

ドスッ!

 

 

せつなは心に150のダメージを受けた!

 

 

「ちくしょう・・・」

 

「ああっ、ごめんね・・・」

 

 

僕はいじける様にレヴィの胸に顔を埋める。いい匂いがする・・・ヤバい、変態っぽいな・・・。まあでも・・・、

 

 

「結局枕にするんだね。でも良いよ、おやすみなさい」

 

 

この状態で頭撫でてもらえるなら・・・良いかな。

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

白髪の少年の精神の中で、ある変化が起きていた。其処で輝いていた四つの輝石。その周りを金色の龍が雷を纏いながら飛び回る。だがその龍の外見は今までよりも巨大で、装飾が施されていた。何より正常では無い目は、爛々と輝いていて、まるで怒りや恨みを体現していた。龍はやがて姿を変えて初老の男性へと変貌した。男性は輝石を睨み唇を歪める。

 

 

----このバオウの思い通りにならぬ物は全て要らぬ。

 

 

そう言って手を輝石に翳し、魔力を籠めると輝石から力が抜かれ、新しい輝石が誕生する。それは禍々しい黒色の輝石で、中では雷と"炎"が蠢いていた。予想外の収穫があり、男性《バオウ・ベル》は呪文を唱えながら魔力を更に籠める。

 

 

----聖なる心砕かれし時、雷と業火より最狂の戦士出てて全てを絶望と闇へと葬り去らん!

 

 

輝石は周りに輝石を展開させながら雷と炎を発する。それを見て、バオウは愉快そうに笑う。

 

 

----まさかあの小僧が父親の才能を継いでいるとはな!これは面白くなりそうだ!

 

 

そう言って虚空の彼方へとバオウは消えて行く。全ての歯車が最悪の方向へと向かうまで、遠くない・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

 

 

 

 




はい!第27話でした!
今回は結構短めになってしまいました・・・。
次回こそはもちょっと長く書きたいです。
では、さようなら!
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