if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第29話

刹那サイド

 

 

「そらぁ!」

 

「うおっ!?」

 

「てやぁ!」

 

「ひっ!?」

 

「たあっ!」

 

「だから何で私mぺぷしっ!?」

 

 

逃げ惑う三人を屋根の上に転がっていたピンク髪のポニーテールの女性の足を持って振り回す。さっきから避けられてばかりで、高町にしか当たらないし、電柱や塀を壊していくだけで埒があかない。

 

 

「待って待って刹那君!《シグナム》さんの顔がもう見せられないレベルになってるから!」

 

「ハア?ビグザムだかダグラムだか知らんがそんなのどうだっていい!取り敢えず全員ブッ潰す!」

 

 

僕は手に持った武器(笑)を振り回し、高町を吹っ飛ばす。気が付くと、葉山達が飛んで逃げようとしていた。結界に囲まれているのに無駄な事を・・・。僕は屋根に戻り、倒れているバカ共の中から赤いゴスロリ服の少女の首根っこを掴んで宙に放り投げる。そして重量に従って落ちて来た所を・・・

 

 

「そいっ!」

 

 

武器(笑)で葉山達の所までかっ飛ばした。他にも金髪ショート、犬耳マッチョ、狸、狸の中から出て来たチビを発射。打ち込んだゴスロリ達は全て葉山達に直撃し、葉山達は地に落ちていく。僕は落下地点へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま・・・待って・・・刹那く・・・がくっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~落下地点(墓地周辺)~

 

 

「ぐっ・・・ちくしょお・・・」

 

「いてえ・・・いてえよぉ・・・!」

 

 

葉山達の所へ行くと、クレーターを作って悶絶していた。僕は無言で葉山達に近づく。

 

 

「さて、取り敢えずその手足を使い物にできなくしてやる・・・」

 

「へっ・・・へへへ・・・馬鹿が!」

 

 

そう言って葉山はポケットからカプセルを取り出し、それを地面に叩きつける。そしてカプセルが割れて中から巨大な龍が出現した。

 

 

GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!

 

 

龍は僕を睨み付けると咆哮を響かせた。それを見て葉山は愉快そうに笑う。

 

 

「俺の催眠魔法は人間以外にも使えるんだよ!管理世界で操った奴を管理局お手製の収納装置に入れておいたのさ!」

 

「ふーん・・・ま、試したい事もあったし丁度良いかな・・・」

 

 

そう言って僕は武器(笑)を投げ捨て歩き出す。

龍は僕を踏みつけようとするが、その動きが止まる。僕の違和感に気づいたのだろう。僕の周りには青白い電気が発生していた。最近、修行をしていて気付いた事があった。

お母さんから昔聞いた話によれば僕のお父さん、つまりは先代聖王はレアスキルを持っていたらしい。そのレアスキルと言うのは所謂超能力と呼ばれる物で、オカルト等の界隈では、《パイロキネシス》と呼ばれる超自然発火能力を使えたそうだ。実際の所はそれ以外にも出来たらしいが、元々炎の魔力変換が使えた所為か、それを好き好んで使っていたらしい。何でも周囲の原子や分子を操作して物質をプラズマ化させ、対象を発火させるそうで、外側ではなく、内側を燃やすえげつない能力と母は語っていた。

だから僕は考えてみた。もしかしたら僕もそんな能力使えるんじゃね?て言うか《スキルメイカー》で創れんじゃね?と。

その結果、お父さんの才能を受け継いでいた様で、僕も原子等を操作したりできる様になったのだ。その応用で僕の体に原子等と弄って創った電気を身体各部位の筋肉、神経網に直接、電気信号命令として流し込む事により、脳や脊髄への経由をショートカットして行動速度及び反応、反射、機動力、回避能力を高めた状態になる事が出来た。

この能力を使うと電気を使って攻撃も可能な為、ベル家の身体強化魔法《ラウザルク》よりも強力になる。しかも魔力を一切使わないから柵も少ない。唯一のデメリットは使った後、髪の毛の静電気が半端ない事だ。

僕が踏み出すと、龍が後退る。

 

 

「な、何なんだよそれ!」

 

「トリエr・・・僕の師匠は《神速(カンムル)》って呼んでたからそれで良いよ」

 

 

そう言って僕はゆっくりと龍に近づき、天を指差した次の瞬間、

 

 

GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!???

 

 

龍に雷が降り注ぎ、龍は炭と化して崩れていった。

 

 

「おお、中々に良いね。《鳴神(なるかみ)》とでも名付けようか」

 

『マスターって結構中二病な所ありますよね』

 

「うん、自覚はある。でも折角ならカッコイイ技名くらい付けたいじゃん」

 

『何となく分かります』

 

 

セシアと雑談して葉山達を見ると、葉山がデバイスを剣の形にして斬りかかって来た。

 

 

「隙だらけなんだよ!死ね!」

 

 

葉山の剣は僕に当たることなく空を斬った。

 

 

「は・・・?今のは躱せる筈がねえ・・・」

 

「できるんだよ、それが」

 

「げぼはっ!」

 

 

葉山の横に移動していた僕は、その位置から葉山を蹴飛ばした。葉山は地面をバウンドしてクレーターに再び落ちる。

何故僕が葉山に反応できたのか。それは神速の派生技の様な物だ。

まず、神速発動時に全体に微量の静電気を撒き散らす。通常の生物には捉える事の出来ない極微量の静電気でも、電気その物を体内に巡らせている僕には感じ取る事が可能だ。それを使い、相手の筋肉や魔力の動きを感知し、あらかじめ神経に信号として設定しておいた行動、動作が発動する常に先手を取る技である。信号さえ送っておけばカウンター攻撃を自分でする事も可能である。これもトリエラが名付け、《疾風迅雷》と言う技名になっていた。

 

 

「さあ、まだ終わってないぞ」

 

 

僕は踏み出し、一瞬で葉山達の前に出る。このまま拳を叩き込む。そう思っていたが、僕の動きは止まった。否、止めるしか無かった。何故なら葉山の腕の中に一人の少女が収まっていたからだ。葉山が転移魔法の応用で何処かから持って来たのだろう。少女は虚ろな眼差しで葉山に体を預けている。それを見せ付けながらニヤつく葉山達を見て、僕の怒りのボルテージが段々と上がって行くのを感じた。コイツ等は・・・何処まで人の命を・・・!

 

 

「どうだ!?コイツの催眠魔法は俺を殺しても消えないぜ。もし何かするならコイツを殺す。助けたかったら武器を捨ててその能力も解除しな」

 

「・・・《電光石火》」

 

「はへ?げぶらっ!」

 

 

僕は足に電気を集中させて瞬間的に加速し、少女を葉山から奪い返して葉山の顔面に一発入れた。直ぐに少女の体に軽く電流を流して気絶させる。催眠魔法は軽い電気ショックで治る事もある為、動きを封じるついでに使った。

 

 

「セシア、アウトロール」

 

『はい、マスター』

 

 

セットアップを解除して人型になったセシアに少女を渡す。そして僕は葉山と神城に突撃した。

 

 

「どうした!そのデバイスは飾りか!」

 

「う、うるさい!おい神城!お前も手を貸せよ!」

 

「い、いやだあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

『なっ!?マスター、待ちたまえ!』

 

 

そう叫んで神城は墓地の奥へとデバイスを捨てて逃げ出した。デバイスは必死に主に叫ぶが届く事はなく、神城は逃げて行った。次の瞬間、デバイスのコアに葉山のデバイスが突き刺さった。そしてデバイスの魔力等が全てデバイスを通して葉山へと吸収されていった。

 

 

『がはっ!葉山・・・貴様!』

 

「どうせスクラップになる運命だ。俺に使ってもらえるだけありがたいと思えよ」

 

『き、貴様あああああああああ!』

 

 

デバイスの咆哮を最後にコアの光が消え、完全に停止した。増幅した魔力にニヤリとしながら葉山は愉快そうに喋りだす。

 

 

「そうだ・・・俺には相手の力を奪い取るレアスキルがある!お前も吸い取ってやるぜ!」

 

 

そう言って葉山は僕に触れようと近づくが、僕は直様距離を取って鳴神を落とした。だがそれは葉山に当たった瞬間、吸収されて僕に返って来た。流石に自分の技は当たるとマズい。僕は直ぐに避ける。反撃に移ろうにも葉山の体の一部に触れただけで吸収されるんじゃ・・・そうだ!僕は原子等を操作し、葉山の体内にある鉄分に干渉した。これならバレる事も無く攻撃できる。葉山の右足の内部から鉄を生成し、外側へと刃物にして露出させた。すると突然の痛みに葉山が苦しみ出す。

 

 

「あがああああああああ!?い、いでええええええ!や、止めてくれ!」

 

「・・・お前、それを言って来た人達をどうして来た?」

 

 

腕、腹部と、急所を避けて葉山を苦しませる。葉山は僕から逃げる様に体を引き摺って墓地の奥、神城の後を追って逃げて行く。僕は歩きながらそれを追いかける筈だった。だが、疾風迅雷に引っかかる反応を検知し、僕の足元に魔力弾が打ち込まれた。余裕で避けた僕は魔力弾を放った相手を見る。其処に居たのは、大量の管理局員達だった。まだ操っていたのかと思っていたが、全員目に生気がある。全員正気な様だが何の用だ。僕に関わる事は禁止されている筈。そう思っていると、局員部隊の隊長らしき男性が姿を現し、僕に言った。

 

 

「如月刹那!大人しく投降しろ!さもなくば、お前の家族の命は無い!」

 

「・・・は?」

 

 

神速を解除し、僕は魔力を収束する。何だコイツラは馬鹿か馬鹿なのか死ぬのか?そう思っていると男性は話を続ける。

 

 

「貴様の危険性は次元世界の平和に関わる!故に我等は特権を破り、正義を果たそう!」

 

「だから・・・僕の家族を人質にって事か・・・?」

 

「家族?はっ、只の闇の書の欠片ではないか。どうやって普通の生活をさせているかは知らんが"兵器"を家族とは笑わせる!」

 

 

そう言って男とその他の局員が高笑いをする。その声、気配、見た目、全てに嫌悪感と怒りを抱かずには居られなかった。

 

 

「まだ動かんか。なら、これでどうだ?」

 

 

そう言って男性は空中に映像を映し出す。そこには、僕の家のドアや壁、窓に魔法をぶつけて強行突破しようとする局員達がいた。

 

 

「どうだ、仮に開かなくとも四方から攻撃され続ける彼女達の精神は無事では無いぞ!」

 

「・・・いい加減にしろよ、クズ共」

 

「何だって?聞こえんぞ。そうだ、あの銀髪の女。アレは俺の性奴隷として使ってやろう。ハッハッハ!」

 

 

男が笑った瞬間、僕の頭の中を黒い感情が覆い尽くした。

 

 

----ドウシテオマエタチハイツモイツモボクタチカラナニモカモウバッテイク!

 

 

目の前の虫螻を許せない、殺したい。そんな感情が渦巻いていく。そして僕の中に声が増えた。

 

 

----ならば望め!バオウを!闇に目覚めし王の鎧を!

 

----バオウヲ・・・ヨロイヲ・・・ヨコセ!ヤツラヲケスチカラヲヨコセ!

 

 

「・・・《バオウ・ザケルガ》」

 

 

僕は溜めた魔力を金色の龍として空に放った・・・。だがその龍を見て、僕の中の怒りから驚愕に変わった。何故なら金色の龍は今までよりも巨大になり、その体は黒が混ざり、闇を放っていた。バオウは局員ではなく、僕に向かって降り注ぐ。僕の体を激痛が襲った。そして声が響く。

 

 

----バオウを継ぎし者よ!憎め!求めよ!力を与えてやる!

 

 

初代バオウの声と共に僕はやっちまったと思った。抵抗しようにも激痛で思考が麻痺し、やがて僕の意識は黒に飲み込まれた・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

「はあ・・・はあ・・・しにたくねえよ・・・」

 

 

墓地の中を一人、神城は走っていた。やがて走り疲れた彼は大きな木の根元に座り込む。

 

 

「なんで・・・なんであの如月が・・・」

 

 

一人頭を抱えて震える彼の前に一人の少女が現れた。その少女はツインテールの髪にオッドアイで、制服を着ている。少女は神城に話し掛けた。

 

 

「ねえ、どうしたのこんな時間に?」

 

「だ、誰だテメエ!い、今は関わってる時間ないんて無いんだよ!」

 

 

その言葉に、少女の体がピクンと動いた。

 

 

「そっかー、私が誰かすら覚えてないんだー。・・・死ね」

 

「へ・・・ひゃああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

瞬間、神城の両足が切断される。その光景を見て、激痛に叫び声を上げる神城を見て、少女は笑みを浮かべる。

 

 

「何慌ててるの?貴方が散々して来た事じゃない!」

 

「ぎゃぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 

 

今度は右腕が切り落とされる。神城は泣きじゃくり、ズボンを汚しながらジタバタと藻掻く。そして少女が神城に聞いた。

 

 

「ねえ、本当に私が誰か覚えてない?」

 

「じ、じらないいいいい!だ、だずげでぐれ・・・じ、じんじゃうよ・・・!」

 

「当たり前でしょ。殺すんだから」

 

「へけっ?」

 

 

間抜けな声を上げながら神城は縦に真っ二つになり、地面を赤く染め上げた。少女はそれをゴミを見るかの様な目で一瞥して、森の中へと歩いていく。周りにゆらゆらと揺れる"何か"を連れて・・・。

 

 

「あと・・・一人。皆、行くよ・・・」

 

 

そう言った少女の目には強い復讐の炎が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ・・・うぐぐ・・・いでえ・・・」

 

 

葉山は這い蹲りながら墓地の奥へと逃げていた。脳裏に浮かぶのは容赦無く攻撃してくる刹那の目、嘗て利用し捨てたクズが自分を遥かに超えて戻って来た絶望感。それから逃げる様に地を這う。やがて体力の限界に達した葉山はその場で止まる。

 

 

「あの野郎・・・絶対殺してやる・・・」

 

「それは無理かなー」

 

「なっ!?だ、誰だテメエ!」

 

 

目の前に突如として現れた少女に恐怖を抱く。少女は葉山に聞いた。

 

 

「ねえ、私の事覚えてる?」

 

「あ?知るわけ・・・おい、俺を助けろ」

 

 

葉山は少女に催眠魔法を掛ける。そしてそれに返って来た答えは・・・、

 

 

「やだ♪」

 

「あぎゃああああああああああ!」

 

 

葉山の性器の切断だった。急所を切断された痛みに口から泡を吐きながら少女を睨み付ける。少女はクスクス笑いながら傷口を踏みつけた。葉山から更に悲鳴が上がる。

 

 

「君みたいなクズにはそんな物いらないよ。ほらほら、今から女の子だよー♪」

 

「い、いだいいいいいいいぐあああああ「黙れ」げぶっ」

 

 

葉山は蹴飛ばされ、木に背中を打ち付け、悶える。最早感覚なんてものは無くなっていた。見上げると、少女が此方に近づいていた。その周りには何かがゆらゆらと浮かんでいる。そして少女が言った。

 

 

「私の周りにいるこの子達はね、貴方の"罪の一部"」

 

「お、俺の・・・罪?」

 

「そうだよ。分からない?貴方が欲望のままに踏みつけた命だよ!」

 

 

少女の顔には怒りが浮かぶ。葉山は最早涙を流し、震える事しかできなくなっていた。そして少女は叫ぶ。

 

 

「私達を弄んだ事は許せない・・・でも、私が一番許せない事は・・・」

 

 

少女の周り飛んでいた何か、魂達が集まり、巨大な鎌になる。そして少女の怒りと共に、

 

 

「純粋だった刹那君の心を壊した事だあああああああああああああ!」

 

 

振り下ろされた。葉山は断末魔を上げること無く、その命を終える。すると少女の周りにいた魂達が天へと昇り、消えて行く。それを見て、少女は安心した笑みを浮かべる。

 

 

「やっと・・・終わったよ」

 

 

少女の辛く、長い恨みも遂に終わった。そして少女は一人、己の墓へと戻って行った。一人残された少女の心を救えるのは、一人の少年だけである・・・。

 

 

三人称サイド終了




現在の戦闘状況


刹那→悪堕ち?

セシア&少女→局員から隠れ、行方不明

如月家&真希→如月家籠城

高町なのは→気絶

テスタロッサ姉妹→気絶

八神はやて&守護騎士→ボールとバットの役目を果たし、撃沈

神城剣→死亡

葉山達也→死亡
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