if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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久々の本編です!
みなさんお待たせいたしました!


第35話

刹那サイド

 

 

あれから暫くの時間が経過した。体も異常がなくなり、ようやく引きこもり生活を謳歌できると思った。だが世の中そう上手くはいかないらしい。それは一回のインターホンから始まった・・・。僕の代わりにセシアがモニターに出る。

 

 

「はい。どちら様ですか?」

 

『すみません。今日隣に引っ越して来た者なのですが・・・』

 

「あ、今行きますね」

 

 

そう言って、セシアは玄関へと向かう。すると、扉を開ける音と共に会話が僕のいるリビングに聞こえてきた。

 

 

「あ、どうも。隣の《火ノ原》と申します」

 

「これはご丁寧にありがとうございます」

 

「いえいえ。それで、貴女が如月刹那さんですか?」

 

「いえ・・・何故その名を?」

 

「だって私、《転生者》ですから」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、背中に氷を突っ込まれた様な感覚になる。僕は気配を殺しながら素早く玄関へ飛び込み、相手を押し倒してバインドで縛る。そして手刀を首に当てる。

 

 

「動くな。死にたくなかったら僕の質問に答えろ」

 

 

自分でも驚く程に殺意の籠った声で聞く。相手はよく見ると真希より少し小さい少女だった。少女は泣きじゃくりながら声を上げる。

 

 

「な、なんですか!?名乗っただけでなんでいきなり処刑状態なんですか!?」

 

「お前、なんの目的で此処に来た?」

 

「わ、私はアテナさんに言われて挨拶に来ただけです!だから殺さないでください!何でもしますから!」

 

「・・・アテナさんが?」

 

 

僕はバインドを解除して、少女から離れる。少女はもうプライドとかそんなものは一切なく、ただ泣いていた。セシアから凄く批難された目で見られる。なんだよ、僕の所為かよ・・・。

 

 

「あ、あの。ごめんなさい。最近転生者って言葉に敏感で」

 

「ぐしゅっ・・・てください」

 

「はい?」

 

 

少女は涙声かつ小声で何かを呟くが、全く聞こえない。耳を澄ませてもう一度聞こうとすると、少女の声がハッキリと聞こえた。

 

 

「お腹が空きました・・・なにか食べさせてください」

 

「・・・はあ」

 

 

力なくうつ伏せになる少女に僕は溜息しか出なかった。数品料理を作って少女へ出す。するとあっという間に少女はそれらを食べきった。

 

 

「ふう、満腹です」

 

「それは良かった。で、君は何者?」

 

「はい!私は転生者の《火ノ原 めぐみ》と申します。一応魔導師です」

 

「ほほう。じゃあ、その眼帯の下は特典か何か?」

 

 

僕はずっと気になっていた少女の目にある眼帯を指差す。なんだろうか・・・。すると少女はフフフと笑いながら言った。

 

 

「この拘束具を外した瞬間世界は漆黒に包まれ、破滅を迎えます」

 

「じゃあ、魔眼か何かの類か」

 

「まあ嘘ですが。単に御洒落で付けてるだけ」

 

 

ドヤ顔で語る彼女にイラッとした僕は躊躇する事無くその眼帯を引っ張る。紐はゴム製らしく、おもしろい位に伸びる。

 

 

「ごめんなさい!離してください!やめ、ヤメロオオォォオオッ!」

 

「・・・怒ってもいい?」

 

「もう怒ってるじゃないですか!私が悪かったです!だからその手を・・・あ、でもそのまま離したらきっと痛いから、そっと戻してください!いいですか?そっとですよ?そっt」

 

「えい」

 

 

バチンッ!

 

 

「アアーーーッ!イィッタイメガアアアアア!」

 

 

彼女の言葉を無視して手を離す。目の前の迷惑者は目を押さえて悶える。それを見て、不思議と罪悪感は湧かなかった。

 

 

「それで?アテナさんとの関係は?」

 

「うぅ・・・それが、私を間違えて殺した神が失踪しまして。代わりにアテナさんが色々と手を貸してくれまして。その代わり如月刹那という人を助けてあげてと言われまして・・・」

 

「なるほど。それで、隣に越して来たと?」

 

「はい!強力な技も私にはありますからきっとお力にn「いらないよ」・・・へ?」

 

「いやだからいらないって。別に僕の為に頑張らなくていいからほら、もう帰りなよ。変なのに目付けられるよ」

 

 

正直初対面の人間相手にはいそうですかと頷けるほど僕は主人公してない。ていうかむしろ僕はモブサイドで生きていたいんだけど。主人公とかあの馬鹿共に任せて引きこもっていたい。

そう思っていると、火ノ原さんが泣き出した。

 

 

「え、なんで?」

 

「待ってください!私、前世でも友達できなくて!コレがチャンスなんです!お願いだから見捨てないでください!」

 

「え、ええー・・・」

 

 

少女は僕の足元へと移動して土下座の体制になる。そしてガチ泣きの表情で僕を見上げて叫ぶ。

 

 

「お願いします!友達になってください!足もふやけるまで舐めますから!」

 

「ふやけるまで!?プライドないのか!?」

 

「お願いします!何でもしますから!なんだったらエッチな事でもしますから!」

 

「だまれロリッ娘」

 

 

僕が言うと、突如として火ノ原さんは止まった。そして再びなにかを呟き始める。

 

 

「ロリッ娘・・・私がロリッ娘」

 

「今のはマスターが悪いですね」

 

「え、僕の所為なのコレ!?」

 

「マスター。初対面の人にロリッて言われて嬉しいですか?」

 

「うぐっ・・・分かったよ。もう好きにしなよ」

 

「本当ですか!?感謝します!えっと・・・」

 

「僕が如月刹那だよ」

 

 

僕が言うと、火ノ原さんは驚いた表情で見る。

 

 

「なんと!では改めてよろしくお願いします刹那!」

 

「よろしく。火ノ原さん」

 

「私の事はめぐみ、と呼んでください。あだ名でもいいですよ!」

 

「あだ名・・・じゃあ《めぐみん》で」

 

「めぐみん・・・なんてカッコいい響きなんでしょう・・・!」

 

「「・・・何言ってるんだこの人」」

 

 

僕とセシアは一人目を輝かせているめぐみんを見てドン引きする。人生初の友達ができて舞い上がっているのだろうか?もしかして僕も葉山達から見ればあんなのだったのかも・・・。

そんな事を考えていると、玄関のドアが開く音とディアーチェ達マテリアルズの声がした。四人はリビングに入ってこちらを見ると、めぐみんを見る。

 

 

「誰だ貴様?」

 

「あ、私は《火ノ原 めぐみ》と申します!刹那の友達です!」

 

 

それはもう随分と誇らしげに宣言した。それを見て、ディアーチェ達もちょっと引いていた。だってこの子のテンションヤバいもん。なんかキメテる感凄い。

 

 

「・・・刹那、彼女は一体?」

 

「僕と同類って言えば分かる?」

 

「それって転生者って事?」

 

「まあね。んで、僕が人生上初の友達なんだと」

 

「「「「ああ、なるほど・・・」」」」

 

 

納得してもらえてなによりだよ。暫くボーッとしてると、何時の間にかレヴィと仲良くなっていた。早いなお前ら。

 

 

「へえ!めぐみんって僕達と同い年なんだ!」

 

「はい!年の近い友達が出来て良かったです!」

 

 

マジか・・・。てっきり僕は年下だと思っていた。いやだってメッチャ泣くし、テンション可笑しいし・・・。

 

 

「あ、聞き忘れてたんだけどさ。特典の魔法って何貰ったのさ?」

 

「フッフッフ!ではお見せしましょう!・・・と、言いたい所ですが私の魔法は此処で放つには威力が・・・」

 

「じゃあ、地下室使って良いよ。訓練場なら結界あるし」

 

「おお!では早速行きましょう!」

 

 

結局僕達は訓練場へ向かった。一体どんな魔法を使うんだろうか・・・。

 

 

~訓練場~

 

 

「では行きますよー!」

 

「何時でもどうぞ」

 

 

自前のデバイスでセットアップしためぐみんが杖を構える。如何にも魔法使いって感じの帽子に、意味もなく包帯を体の一部に巻く。なんか見てて背中が痒くなる。そんな事を考えていると、めぐみんが詠唱を始めた。

 

 

「----黒より黒く、闇より暗き漆黒に、我が深紅の煌煌を望たもう」

 

 

瞬間、めぐみんの杖から凄まじい魔力がドス黒く竜巻の様に溢れ出す。おお、これは中々に強いじゃないか。多分真希ならワンパンだな。僕達の中で一番弱いし。この前だってユーリにボコボコにされててたし。

 

 

「----覚醒の時来たれり、無謬の境界の堕ちし理。無業の歪みとなりて現出せよ!」

 

 

・・・あれ?なんか魔力出しすぎじゃないかなめぐみんさん?なんか結界がミシミシ言ってるんですけど!?僕達の懸念を気にする様子もなく、詠唱を続ける。

 

 

「----踊れ、踊れ、踊れ!我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶもの無き崩壊なり!万象等しく灰塵に期し深淵より来たれ!」

 

 

ちょっ!?コレヤバいんですけど!僕は全員を後ろに下がらせて、障壁を張り、尚且つ結界を何重にも張り直す。めぐみんから溢れる魔力はもはや僕のバオウとほぼ同等まで高まっていた。辺りに黒い魔力の竜巻が吹き荒れる。

 

 

「----これが魔導師最大の威力の攻撃手段!これこそが究極の攻撃魔法!」

 

「イッ!?間に合え!《チャージル・セシルドン》!」

 

 

僕が更に防御魔法を唱え、最強の盾が展開された瞬間、めぐみんが叫ぶ。

 

 

「----《エクスプロージョン》!」

 

 

黒い竜巻からバチバチと何かが弾ける音と共に幾つもの光が瞬きだす。そして次の瞬間、竜巻を中心に幾重もの魔法陣が展開される。そして突如大爆発を起こした。爆発の威力は5枚程展開した結界を4枚砕き、最後の一枚には皹が入った。魔力障壁も全て割られ、僕の最大防御魔法《チャージル・セシルドン》もボロボロになるまでダメージを追っていた。

爆発の中心地には大きなクレーターが形成され、未だに溶鉱炉の中みたいになっている。その光景を見て、僕は初めて自分を超えるかもしれない存在をこの世界で見た気がした。

 

 

「凄い・・・凄いじゃないかめぐm・・・アレ?」

 

 

めぐみんを見ると、うつ伏せになってピクリとも動いていなかった。そんな彼女からくぐもった声が聞こえる。

 

 

「ふふふ・・・みましたか。我が《爆裂魔法》の威力・・・」

 

「えっと・・・何してんの?」

 

「この魔法は強力すぎる故、消費する魔力も大きいです。正直魔力切れです一歩も動けません」

 

「まあ、あれだけ魔力込めればね。戦う時はもっと小技で攻めないとね」

 

「使えません」

 

「・・・なんだって?」

 

 

今この娘は何と言った?使えない?

 

 

「私は爆裂魔法を愛しています。それはもう爆裂魔法さえあれば何もいらないと考えている位です」

 

「因みに新しく覚えるつもりは?」

 

「愚問ですね。ありませんよ!」

 

 

そう言ってめぐみんはぐったりとしながらドヤ顔だけを僕に向ける。前言撤回。このピーキー魔法少女に負ける気一切しない。よくよく考えたら詠唱中にザケルでワンパンじゃないですか。

 

 

「・・・おんぶ、いる?」

 

「あ、是非お願いします」

 

「はあ・・・」

 

 

溜息を吐きながら僕は年齢魔法で大人の体になり、めぐみんを背負う。正直僕は勢いに任せてとんでもない娘を友達にしてしまったかもしれない。ああ、誰か僕に平穏をください。割と切実に・・・。

 

 

刹那サイド終了

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