if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第36話

刹那サイド

 

 

めぐみんが来てから数週間、何時の間にか入っていた冬休みも終わり、三学期が始まって暫く経った。

そしてとある休日に事件は起こった・・・。

 

 

「刹那!お願い!」

 

「無理!絶対却下!」

 

 

レヴィが僕の前で土下座をしながら頼み込み、それを却下する。その原因はレヴィの手に握られた一枚のカードだった。なんでもアイドルのキャラクターカードを別のカードで着せかえして、遊ぶゲームらしい。昔、ドラクエでもそんなカードゲームがあった気がする。小学校の頃何回かやったら、二枚ドルマゲスが出たっけ・・・。

そのカードゲームのカードを僕に見せながらレヴィは再び頼み込んで来る。

 

 

「今日、大会があって出たいけど小学生以下限定なんだ!僕も出たいけど年齢魔法使えないし・・・だから刹那!僕とユニゾン状態で出て!」

 

「嫌だ!くだらない事にいらん魔力使えるか」

 

「だって参加賞だけでも限定カードだよ!?出たい出たい出たい!」

 

「もう!そんな我がまま言うならもうカードゲーム禁止するよ!」

 

 

僕が言うと、レヴィはぶすっとした表情になって動かなくなる。全く・・・多人数の場に僕を連れていくとか馬鹿か?そう思っていると、レヴィが突然閃いた様な表情になって僕ににじり寄って来た。

 

 

「な、なにさ?」

 

「ふふふ・・・刹那、ごめん!」

 

「へ?」

 

 

レヴィが僕に飛び込んで来た瞬間、僕の意識は遠のいた・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

~ショッピングモール・ゲームコーナー~

 

 

「大会優勝者は!如月刹那ちゃんだぁ!」

 

「わーいっ!」

 

 

ゲームコーナーの店員が優勝者である刹那の名を叫び、刹那はハイテンションで喜ぶ。年齢魔法で、小学校低学年くらいの身長になった刹那はスカート姿にツインテールでどうみても女子そのものだ。だが、特徴的な白髪の一部だけに"水色のメッシュ"が入っており、赤の筈の瞳も桃色をしていた。

優勝賞品をもらった刹那はスキップしながらゲームコーナーを離れる。

 

 

「勝った勝った~♪ありがとね、《刹那》」

 

『絶対後でザケルぶち込んでやる・・・!』

 

 

だがその体からはレヴィの声が発されており、頭の中では怒り心頭な刹那の声が反響していた。

実は先程、レヴィは刹那の体へユニゾンする事によって刹那の体を乗っ取ったのだ。これならば刹那の魔法を使用できる。

何時もならば、決してできない行為であったが刹那が気を抜いた事が巧を制した。

 

 

『ユニゾン率の逆転ってあるんだ・・・』

 

 

どこのイマジン達だ、と思いながら刹那は半ば諦めムードでレヴィに体を明け渡す。そして頭の中で、あくびをした。

 

 

『ふわぁ・・・僕寝るから、くれぐれも無理はしない様に』

 

「はーい。おやすみ刹那」

 

 

刹那の意識が眠った事を確認すると、レヴィはショッピングモールから出て街をぶらぶらと歩きだした。自分達よりもオーバースペックな刹那の体は、その場に立っているだけで力が湧いてくる。運動系のレヴィはそのエネルギーを発散したくて堪らなかった。

本当であれば走り出していたが、刹那の忠告もあったので歩くだけに妥協した。家に帰ればザケルが待っている。これ以上罪を重ねれば最悪ディオガ級をぶち込まれかねない。

 

 

「すべてをか~が~やかす~♪」

 

 

刹那と見ていたアニメの主題歌を口ずさみながら何時も走っている海辺の公園を歩いていると、顔見知りを見かけたので駆け寄る。

 

 

「おーい!真希~!」

 

「あら?レv・・・刹那?」

 

 

声の主を見たが、全然違う人物が目の前にいた真希は刹那の体のレヴィを見て目をパチクリさせていた。

 

 

「え、えっと・・・刹那、じゃないわよね?」

 

「うん!僕レヴィだよ!刹那の体を借りてるんだ!」

 

「ああ、なるほど。驚いたわ」

 

「真希は何してるの?」

 

「私?コレよ、コレ」

 

 

そう言うと、真希は自分の手に握っていたクレープを見せる。

 

 

「そこに限定の屋台が来てるのよ。だから全て制覇しようかと思ったの」

 

「いいなー。あ、僕も買ってk・・・お小遣い使いきっちゃった」

 

「一個だけなら奢るわ」

 

「ホント!?じゃあ、スペシャルデラックスチョコレート!」

 

 

そう言って数メートル先の看板に書かれているメニューを見てレヴィは即決した。刹那の身体能力の無駄使いである。

 

 

「少しは遠慮しなさいよ!?全く・・・買って来るわ」

 

「ありがとう真希!」

 

 

呆れながら真希がクレープを買いに行っている間、レヴィはベンチに座って空を眺めていた。雲一つ無い青空を鳥が通り過ぎて行くのをただただ眺める。のどかな時間が心地よく、時間を忘れて見入っていた。ボーっとしていると目の前にクレープがどアップで映った。

 

 

「はい。ご所望の品よ」

 

「ありがとう!いただきまーす!うん、おいしい!」

 

「ふふ。もう、チョコ付いてるわよ」

 

 

レヴィの口を微笑みながら拭くその光景は傍から見れば仲の良い姉妹の様だった。そんな楽しそうな二人に人影が近づいて来ていた。人影は真希達の前で止まる。真希達はそれを見た瞬間、意外そうな顔をしてから挨拶する。

 

 

「こんにちは《ヴィータ》。久しぶりね」

 

「ああ。元気そうでなによりだ」

 

 

そう言ってヴィータと呼ばれた赤毛の少女は真希の隣にいるレヴィを見る。

 

 

「なあ、コイツッて・・・」

 

「あ~・・・今中にはレヴィが入ってるのよ」

 

「はあ!?普通ユニゾンデバイスが表に出る事はないだろ!?」

 

「色々あったんですって」

 

「色々でなるのかソレ・・・?」

 

 

ヴィータはレヴィを見て溜息を吐いた。そして次には頭を下げていた。

 

 

「ごめん!」

 

「「はい・・・?」」

 

 

突然の謝罪に二人揃って聞き返す。ヴィータは頭を上げて話し始めた。

 

 

「アインスを救ってもらうだけじゃなく、はやてやなのは達まで助けてもらったのに迷惑ばかり掛けて・・・しかも相手は聖王と魔王の血族だ。本当に申し訳ねえ・・・」

 

「まさかはやての騎士である貴女が謝るとは思ってなかったわ・・・」

 

「《シグナム》以外は全員罪悪感で自殺しそうなレベルだ」

 

「やっぱりあの馬鹿ナムは・・・!」

 

 

そう言って真希は額に怒りマークを浮かべる。

 

 

「お、落ち着け真希!シグナムはまだ葉山達の時の傷が治ってないんだ!」

 

「あら、そうなの?葉山達に何かされた?」

 

「いや、なんて言うか・・・その人に」

 

 

そう言ってヴィータは気まずそうにレヴィ、ではなく刹那を指差す。

 

 

「アタシ達が催眠に掛ってる時にシグナムを武器として振り回してさ。電柱とか、地面とか色んな所に叩きつけられたもんだから皆より重症で」

 

「それはまた・・・ん?催眠魔法掛けられてた時の記憶があるの?」

 

「ああ。それに葉山達の死体も見つかった。局員が回収したから民間人には見られてないと思うけど・・・。それに、《ミッド》の方でもアイツ等の被害者が続出してさ」

 

「ざまあみろって所ね。本当は私も串刺しにしてやりたかったけど・・・」

 

 

そう言って真希は殺気を出す。そんな真希にレヴィが止めに掛った。

 

 

「ま、真希落ち着いて。此処で怒ったって仕方ないって」

 

「そうだけど・・・アイツ等の刹那にした事は許せないわよ・・・私自身もね」

 

「真希の事は刹那も許したじゃん。もう気にしなくていいと思うよ」

 

「そうはいかないわよ。あの時ちゃんと信じてあげていれば刹那はあんな事にならなかったかもしれないじゃない・・・」

 

「刹那はもう気にしてないのに・・・」

 

「刹那の日記を読むと本気で死にたくなったわ」

 

 

レヴィと真希の話に付いていけず、ヴィータは一人オロオロしている。そんな中、午後5時を知らせるチャイムが鳴る。それを合図に不毛な言い合いを止めて、二人は渋々と立ち上がった。

 

 

「まあ、これは大きな禍根よね」

 

「今度刹那と話し合いなよ。きっと許してると思うよ」

 

「・・・そうしてみるわ。それじゃあ」

 

「うん。今日はクレープありがとう」

 

 

こうしてレヴィと真希はそれぞれ帰路に着いた。公園に一人の少女を残して・・・。

 

 

「・・・あれ?もしかしてアタシ忘れられてる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜・如月家~

 

 

「さて、覚悟はできてるかなレヴィ?」

 

「あ、あの・・・お手柔らかにお願いしたいのですが・・・」

 

「・・・お小遣い、来月は半分カットで簡便してあげる」

 

「ありがとうございますっ!」

 

 

刹那の寛大な処置にレヴィは土下座する。それから刹那はソファに座っているユーリの膝に頭を乗せて倒れこむ。その顔は青かった。

 

 

「あー・・・ダルッ」

 

「よしよし。大丈夫ですよ~♪」

 

「・・・ちょっと寝ていい?」

 

 

久しぶりのユーリの膝枕を堪能しながら刹那は眠りに落ちた。愛らしい顔で寝息を立てる刹那をユーリは優しく撫で、他の全員もそれを見て和む。

なんだかんだで今日も平和な如月家であった・・・。

 

 

 

 

 

~刹那の自室~

 

 

誰も入っていない刹那の部屋で、何故かパソコンが勝手に起動し、金剛を制作したシステムが勝手に動き始めていた。そして制作が完了すると、画面に一人の少女が写し出される。その少女は口元に笑みを浮かべながら"手に持ったハンカチ"を握りしめ、呟いた。

 

 

『----約束、守りに来たよ♪』

 

 

刹那の元に、再び何かが起ころうとしていた・・・。

 

 

三人称サイド終了

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