if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第46話

刹那サイド

 

 

アリサとの件から数日、ようやく家の中に引きこもる事が出来た僕は・・・

 

 

「みぎゃー!?」

 

「これで10回目だ馬鹿者」

 

「おー吹っ飛んだ。じゃあ、ホープからライトニングで」

 

「《奈落の落とし穴》で」

 

「あっ・・・」

 

 

ディアーチェにブッ飛ばされる真希を見ながらアリサとカードゲームに勤しんでいます。僕はセシアの膝の上で撫でられながらカードを弄る。

ああ、幸せ・・・。

 

 

「ぜえ・・・ぜえ・・・」

 

「真希よ、幾らなんでも弱すぎはせんか?」

 

「刹那から常にバックアップ受けてる貴方達に敵うわけないでしょうが!?」

 

「だとしても弱すぎだ。全く・・・刹那、休憩だ。我もやる」

 

「良いよ。じゃあアリサ交代ね」

 

「了解よ」

 

 

アリサとディアーチェが場所を変わり、デッキをシャッフルし始める僕も携帯アプリの専用計算機をリセットし、準備をする。そして準備が終わるとディアーチェとのデュエルが始まる。

その片手間に真希に話し掛ける。

 

 

「真希。前から思ってたけど本当に弱すぎ」

 

「うぐっ・・・そこまで言う事ないじゃない」

 

「事実だから仕方がない。あ、ヴェーラーで」

 

「ならば手札をコストに《幻想の見習い魔導師》を特殊召喚だ」

 

「あいあい。特にないからどうぞ」

 

「手札が悪いな・・・。一枚伏せてターンを終了だ」

 

「僕のターン。あ、真希の事忘れてた」

 

「お願いだから忘れないで!?」

 

 

真希が涙目で言う。そもそもこうなったのも修行付けてくれって言いだした君の所為じゃないか。

そう思っていると、アリサが手を上げて聞いて来た。

 

 

「前から思ってたんだけど、刹那はどうしてそんなに強いのよ。家系とかを抜かしても」

 

「うーん・・・小さい頃から修業してたって言うのもあるけど、一番大きいのは真希達との経験と"認識の差"だと思うよ」

 

「認識の違い?」

 

「真希って、魔法を使う時にデバイスを使うでしょ?」

 

「ええ。非殺傷設定とか必要だもの」

 

『その辺が私の仕事だからな』

 

 

真希の言葉に、蒼雲が返す。そのコンビを見ながら僕は続けた。

 

 

「それだよ。現代の魔法では非殺傷設定が存在する。でも、僕の家系の最盛期。つまりは《古代ベルカ時代》の話しなんだけどね。そんな便利な物無かったんだ」

 

「無かった・・・?」

 

「うん。あの頃は戦乱の真っただ中だからね。魔法は飽く迄も戦争の手段だ。峰打ち状態にするにはそれなりの調整を自力でしてたんだよ」

 

「でもセシア使ってるじゃない」

 

「セシアは基本的にバリアジャケットの生成にしか使わないよ。剣士の状態とかは別だけど。それに僕自身、小さい頃からお母さんと異世界とか言ってたから何度も死地を駆け抜けて来たし」

 

「流石戦闘民族・・・」

 

「某野菜人の様な言い方止めろ。つまり、管理局なんて馬鹿げた所でヌクヌクと育った甘ちゃん共と、死と隣り合わせの状況で戦い続けた僕。どう考えても経験不足と偏った認識の結果だね」

 

「なるほど・・・」

 

「高町の時も言ったけど、魔法は皆が思ってるほど便利じゃない。非殺傷設定が無ければ子供でも人を殺せる物だ」

 

 

僕の言葉に真希だけでなくアリサ達も話を聞いていた。結構当り前の事なんだけどなぁ・・・。

 

 

「奇跡も魔法もあるけど、100%望んだ結果になるなんて事は無い。それだったら今頃ドラクエよろしくザオラルとかザオリクとかリザオラルとか流行ってるだろうに」

 

「そのうちザキ系の魔法でも出来そうね」

 

「僕は出来るけどね」

 

「嘘でしょ!?」

 

「あれは魔法と言うよりも呪いの類だよ。僕のスキルと組み合わせれば管理局の局員全員にザラキーマも可能。夢は本局にメラを叩き込んであの台詞を言う事さ」

 

「[これはメラゾーマではない。メラだ]的な?」

 

「そゆこと。あ、続きするね」

 

 

真希にある程度言うと、僕はディアーチェとの対決に戻る。さてさて、新しく作ったこのデッキの威力、思い知らせてやろうじゃないか・・・。

え?レヴィ達はどうしたって?さっきから僕達の後ろで箱買いして来たパックをひたすらに開ける作業をしているよ。ツインツイスターが欲しいんだってさ。

 

 

「欲しいカードなんて2パック買えば出るだろうに」

 

「うーん、この黄金律EXめ」

 

「刹那の後ろに金ピカの男が高笑いしてる幻覚が・・・」

 

「というより早くターンを進めんか」

 

 

そろそろイラッとして来たらしきディアーチェさんに僕は急いでターンを進める。そんなこんなでこの日はダラダラとした。

思えばこんなゆったりとした日常がフラグだとこの頃の僕は未だに学習して居なかった・・・。

 

 

~翌日~

 

 

「・・・あのさ」

 

 

----ゲシッ!ゲシッ!

 

 

「僕は引きこもりたいって前から言ってるんだよね。なのになんで君達はこう面倒事を持って来るかなぁ・・・!」

 

 

----ゲシッ!ゲシッ!

 

 

「き、如月。そろそろ止めろ。テスタロッサが床にめり込む」

 

「めり込め。むしろそのまま床として生きろ」

 

「あの、アリシアを許してあげてくれないかしら」

 

 

連続で金髪(姉)の方を踏みつける目の前では、織斑先生と何故かいる黒髪の女性が正座をしていた。足が疲れた僕はそのまま床に伏した馬鹿の頭に足を乗せて休む事にした。そしてジト目で目の前の二人を見る。

 

 

「それで?ご用事とは?」

 

「あ、ああ。私は学校からの課題を持って来ただけだ。山田先生は風邪を引いてしまってな」

 

「まあ僕も今年で卒業ですからね。でもこの課題さえ完璧にやれば出席日数は免除なんですよね?」

 

「ああ。できれば登校してほしいが無理強いはしない」

 

「そうしてくれるとマジで助かります。それで、そこの黒髪美人さんは?」

 

「私はアリシアとフェイトの母親の《プレシア・テスタロッサ》よ。よろしく、聖魔王様」

 

 

そう言って女性、テスタロッサさんは僕に挨拶した。雰囲気で察した僕は織斑先生に目配せしてから挨拶を返す。

 

 

「そりゃどーも。如月刹那です。真名は《セツナ・ベル・ゼーゲブレヒト》です。できればよろしくしたくないです」

 

「なんとも締まらん自己紹介だ・・・」

 

「これが僕のやり方なんで。面倒なんでさっさと用件言ってください。この後家族でアニメ見る予定なんで」

 

「えぇ・・・?そ、それなら率直に言うわね。最近、ベルカ地区の遺跡からこれが見つかったわ」

 

 

そう言ってテスタロッサさんが差し出したのは、金色のピンの様な物に宝石が埋め込まれた物だった。

 

 

「ナニコレ?」

 

「これは古代ベルカ時代に一度だけ出現した古代兵器《ファウード》のコントロールキーよ。それが最近見つかったの。しかも傷んだ形跡も無しの状態でね」

 

「また懐かしい単語が。これを届けに来てくれたってわけですか。てっきり管理局の奴らならパクるかと思ったんですけど」

 

「流石にこんなの管理局では扱いきれないわよ。こっちの世界の子共でも知ってるレベルの兵器よ?」

 

 

そう言うテスタロッサさんの顔は蒼白だった。

古代兵器《ファウード》。それは古代ベルカ時代、お爺ちゃんの代に突如として出現した歴史上最悪の巨大兵器。詳しい経歴や情報等も一切不明。そもそも文献が無さ過ぎる。恐らく、悪用されない為にお爺ちゃん達が情報を隠蔽したのだろう。

ファウードは出現してから幾つもの土地を滅ぼし、文明を崩壊寸前まで持って行ったそうだ。お母さんの話ではお爺ちゃんが聖王や《覇王》、《冥王》と同盟を組んでようやくバオウでブッ倒してから虚数空間に放り込んだと聞く。

 

 

「コレが残ってるって事は本体もあるかもしれないのか・・・」

 

「そうよ。だからこの街に住んでいる私にその役目を押し付けて来たのよ・・・はあ」

 

「なんて言うか・・・お疲れ様です」

 

「聖魔王様に労いの言葉を貰えるなんて、教会の人達はどう思うでしょうね」

 

「嫉妬で暴動とかしてくれませんかね。管理局と相打ちで」

 

「貴方本当にどっちも嫌いなのね」

 

「当り前でしょ。なんであんな所好きにならなきゃいけないんですか」

 

 

テスタロッサさんの言葉に僕は不機嫌に返す。すると足元の馬鹿が意識を戻したので足を退ける。

 

 

「う・・・もう一回死ぬ所だった」

 

「一回死んだ事あるんかい」

 

「うん。昔に一回ね・・・あ」

 

 

そう言うと金髪(姉)はしまったと言った顔をした。その後ろでテスタロッサさんが今にも自殺しそうな表情をしている。

え、なに?地雷踏んだ?

 

 

「あー・・・なんかごめん」

 

「ううん。刹那には話して無かったから聞いてほしいの。私と、フェイトの事」

 

 

そう言って金髪(姉)は語り出した。己の過去を・・・。

 

 

「・・・って言うのが私の過去」

 

「そっか・・・」

 

 

全てを語り終えて一息吐く金髪(姉)。僕も一息吐いて椅子に深く腰掛ける。

うん、重いよ話が!?え、なに?クローン?家庭内暴力?蘇生?重いよ君の家庭事情・・・。

 

 

「だからあの時、クローンの話をしたんだ」

 

「覚えていてくれたんだ・・・」

 

「まあ、初めて君達と真面に話した日だし。僕の言った言葉なんて大した事じゃないでしょ」

 

「そんな事ないよ。刹那があの時言った言葉は私達にとって、凄く嬉しかった事なんだ。管理局の中だとそれをネタに馬鹿にしてくる人も居たし」

 

 

そう言うと暗い表情になる。そんな中、僕はある事に気が付いた。

 

 

「織斑先生の事忘れてた・・・」

 

「あっ!?」

 

「テスタロッサさん・・・貴女は」

 

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

 

「織斑先生!拳下ろして!テスタロッサさんが死んじゃう!」

 

「ママー!?」

 

 

怒り心頭な織斑先生がテスタロッサさんをタコ殴りにしていたので、必死に止める。その後、サイフォジオで治しました。

なんとか意識を回復させたテスタロッサさんがフフフと笑いながら天井を見上げる。

 

 

「馬鹿な物ね。ありもしない理想郷を求めてあんな事をするなんて・・・」

 

「なんでしたっけ?ある、なんとか?」

 

「《アルハザード》よ」

 

「ああ、それ家にありますよ」

 

「・・・は?」

 

「いやだから、家にありますってソレ」

 

「「「はあああああああああっ!?」」」

 

 

僕の言葉に、織斑先生を含めた全員が叫んだ。

解せぬ・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

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