if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第48話

刹那サイド

 

 

「・・・なるほど」

 

 

あれから数日、とある日に真希とめぐみんが僕の家に遊びに来た。そして僕に頼み事があると言われたのでとりあえず聞いた。内容は、この世界《魔法少女リリカルなのは》の原作に関わるものであった。

 

 

「えっと、なんだっけ?FFの主人公みたいな名前の人」

 

「《ティーダ》よ」

 

「そうそう。その人が明日死ぬ予定なんだっけ?」

 

 

原作の知識が皆無な僕は真希達から教えてもらう。ミッドの方で管理局員の彼は犯罪者に人質に取られた人を救う為にサンドバッグにされて人生からログアウトするそうな。そして管理局からは役立たずの烙印を押されると言う。

真希とめぐみんはその未来を回避したいらしい。

本来の原作とは少し時系列が違うらしく、予測した結果、明日と言う結果が出たそうだ。

 

 

「・・・ん。分かった」

 

「ありがとう刹那!」

 

「感謝します、刹那!」

 

「・・・でも」

 

「「?」」

 

 

首を傾げる二人をジト目で見ながら僕はテーブルにノの字を書きながら言う。

 

 

「知らない男にそんなに夢中になって・・・馬鹿」

 

「・・・可愛いなぁ!もう!」

 

「せ、刹那、今の台詞もう一回お願いします。録音しますので」

 

「ザケルぶち込むぞ馬鹿二人」

 

 

僕の言葉を無視して頬ずりを止めない真希を見て僕は溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

~翌日[ミッドチルダ]~

 

 

「はあ・・・ダルい」

 

「ちょっと、此処まで来てそれは無いでしょ」

 

「お二人共、静かにお願いします」

 

 

転移魔法で不法入国した僕達はミッドの下水道を歩いていた。なんでも例の犯罪者は此処でティーダとやらを殺ってしまうらしい。年齢魔法で再び身長を底上げしてしまった。ああ、背が伸びねぇ。

暫く進んでいると、手元に銃で展開していたセシアが声を出した。

 

 

『マスター、反応が三つ来ます』

 

「分かった。真希、めぐみん。これを付けて」

 

 

そう言って僕が二人に渡したのは透明化魔法の術式を埋め込んだ仮面だった。これで人の目を誤魔化しながら活動出来る。同じ仮面を付けた者同士のみ互いを認識出来る仕様にしてあるので逸れる事も無い。

僕達は仮面を装着するとそれぞれ構えた。めぐみんは爆裂魔法しかないお荷物なので物陰から応援してもらう。暫くすると如何にも犯罪者な顔の男性が女の人を連れて走って来た。その後をイケメンな男性が銃型のデバイスを向けて吠える。恐らく彼がティーダとやらなのだろう。

 

 

「時空管理局だ!止まれ!人質を解放するんだ!」

 

「止まるのはテメエの方だ!コイツを殺されたくなかったら大人しくしな!」

 

「クッ・・・分かった」

 

 

----何だコレ。

 

 

僕の第一印象はそれだった。銃を持ってるなら最初から何故犯人の足とかを狙わないのだろうか。銃型なんだから撃てよ。しかも非殺傷なら人質に当たったってどうとでもなるだろうに。これだから局員は馬鹿ばっかりで困る。

何はともあれこの位置から撃とう。僕はセシアをスナイパーライフルの形にしてスコープで相手を覗く。その瞬間、僕の思考は停止した。そのまま犯罪者は叫ぶ。

 

 

「何も出来ねえよなぁ。何せ相手は聖王教会のお偉いさんだ!協力関係にあるテメエ等には手出し出来ねえだろうよ!」

 

「私の事は気にせず撃ってください!」

 

「しかし!」

 

 

なにやってんすか《カリム》さんんんんんん!?

隣を見ると真希達が顔を青くしていた。どうやら原作とかけ離れた展開になっている様だ。そんな僕達を余所に悲劇はまだ続く。イケメンの後方から気配が二つ現れた。

 

 

「後ろです!」

 

「え?ぐあっ!?」

 

「へっへっへ・・・隙ありっと」

 

 

どうやら犯罪者の仲間が居た様で、イケメンの足を質量兵器。所謂拳銃で撃ち抜いた。イケメンは激痛と衝撃にデバイスを落として地に伏せる。それを見てカリムさんを人質に取っている犯罪者が大声で笑った。

 

 

「馬鹿だぜお前!犯罪者が常に一人な訳ねえだろうが!」

 

「とっとと逃げようぜ!コイツはおまけだ」

 

「がはっ!?」

 

 

そう言って仲間の一人がイケメンの腹部に銃弾を撃ち込んでそのまま逃走して行った。僕達は気配が無くなったのを確認して、仮面を外してイケメンに近寄ってサイフォジオを発動する。イケメンの傷はすぐに塞がって、顔色も少し良くなった。イケメンはゆっくりと目を開ける。

 

 

「・・・君、達は?」

 

「喋らないで。傷は塞がっても血は戻ってませんから」

 

「行かなければ・・・彼女は」

 

「聖王教会のお偉いさん、でしょ?」

 

「君は・・・何者なんだ?」

 

 

真希達に後は任せて犯罪者を追いに行こうとした所でイケメンが聞いてきたので、とりあえず答えておいた。

 

 

「通りすがりの王様ですよ。覚える必要はありません。真希、めぐみん、その人を頼んだ」

 

「ええ」

 

「分かりました。お気をつけて」

 

 

僕はレドルクで足を強化してから一直線の道を一気に走り出した。

走り出して30秒も経たない内に犯罪者達の前へと辿り着く。後ろからザケルを放ち、犯罪者達を吹っ飛ばす。その際にカリムさんを奪取して抱えてから下がる。

 

 

「な、なんだテメエは!」

 

「選べ。自首して怪我無く捕まるか、今此処で焼き焦がされるか」

 

「んなもん、テメエを殺して逃げるに決まってんだろうが!」

 

「・・・遅い」

 

 

僕のありがたい警告を無視して銃を向けて来る馬鹿共にセシアの銃口を向けてそこからザケルを発射する。デバイスを使って撃つ事も可能なんだよ、家の魔法は。

なにせセシアは僕が使う事を前提として創られたデバイスだからね。僕が望む昨日は大体備わっているのさ。

そんな事を考えていると、犯罪者達が僕を這いつくばりながら睨む。

 

 

「な、なんだ今の魔法は・・・」

 

「言う気はない。とっとと落ちろ」

 

 

最後にもう一発ザケルを叩き込んで完全に気絶させる。バインドで縛ってから腕の中で放置していたカリムさんに声を掛ける。

 

 

「カリムさん、大丈夫ですか?」

 

「・・・陛下?」

 

「はい。刹那です」

 

 

仮面を外して顔を見せる。するとカリムさんは目を点にして何度も目をパチクリさせる。

 

 

「お怪我はありませんか?」

 

「い、いえ・・・陛下のお陰でなんともありません」

 

「そうですか、良かった」

 

「っ!?」

 

 

僕は思わず笑顔になる。流石にこれで怪我とかされたら面倒な事になりそうだし。いや、此処はカリムさんに怪我をしてもらって管理局の過失だとでっち上げてもらえば・・・あ、イケメンが近くに居るからあの人に責任が行くのか。セーフ。

そう思っていると、カリムさんが顔を紅くして俯いてしまった。もしかして体調が優れないのだろうか。

そう思っていると、向こうの方からカリムさんを呼ぶ声が聞こえた。どうやら教会の関係者の様だ。それと同時に真希から念話が来た。

 

 

『刹那、あとは管理局に任せて退きましょう』

 

『ん。了解』

 

 

念話を終えて、カリムさんから離れて話す。

 

 

「今日僕が居た事は内緒でお願いしますね?」

 

「分かりました。この命に代えても漏らしたりはしません」

 

「そ、そこまでじゃなくても・・・それじゃあ」

 

 

僕は再び仮面を付けて下水道を走り出す。そして真希達と合流してから地球へと帰還した・・・。

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

あれから数日経ち、なんとなく事件の事後処理が気になった僕はミッドのニュースを閲覧する。あの事件は結局、イケメンの手柄となり、カリムさんから賞状を貰っていた。その表情は一見嬉しそうに見えるが、その目には不満の文字が浮かんでいた。どうやら口止めをしておいてくれたらしい。

僕はサイトを閉じて、家事を再開する。今日はレヴィの部屋を掃除しないといけないからね。あの子ズボラだから部屋に下着とか脱ぎ散らかしたままだし・・・。

そう言えばまた下着のサイズ上がったって言ってたっけ。週末にアインスと買いに行かせよう。一人で行かせると違う事に使ってくるからね。

 

 

「よし、やりますk・・・なんだよ」

 

 

気合を入れた所で不意にインターホンが鳴った。リビングへ行くとセシアが画面の向こうを確認する。すると外の声が聞こえて来た。

 

 

『いや、すみません。自分、近所に越して来た《ジル・スカルノ》と申します』

 

 

そう言った男性は、優しそうな笑みでその手に菓子折りを持っていた・・・。

 

 

刹那サイド終了




~事件後[教会にて]~


カリム「今回の事件、貴方の解決した事件として処理されます」

ティーダ「何故ですか?解決したのは彼女達です。特にあの白髪の少女は」

カリム「あの人は男の子ですよ?」

ティーダ「・・・本当ですか?」

カリム「本当です。少し特殊な理由がありまして・・・です」

ティーダ「そう、ですか・・・彼が」

カリム「はい。ですのでどうか」

ティーダ「分かりました」


----バン!


シグナム「騎士カリム!」

カリム「き、騎士シグナム!?今は立ち入り厳禁ですよ!?」

シグナム「そんな事はどうでも良い!人質に取られたとは本当ですか!」

カリム「え、ええ・・・でも彼が助けてくれたから大丈夫です」

シグナム「ほう・・・貴様が。名は何と言う?」

ティーダ「は、はっ!自分は《ティーダ・ランスター》と申します」

シグナム「そうか。今回はよくやってくれた」

ティーダ「ありがとうございます」

シグナム「それで、騎士カリム。私の謹慎は何時解けるので?」

カリム「まだ言うのですか!?無期限と言っているでしょう!」

シグナム「何故ですか!?」

カリム「陛下に対し無礼を働いたからです!あの時、陛下が温情をくださらなかったら騎士の称号を剥奪していたのですよ!?」

シグナム「あんな男が王だと私は思えません!」

カリム「貴女は・・・もういい、下がりなさい」

シグナム「待ってください。私はまだ・・・」

カリム「下がりなさい!」

シグナム「・・・失礼します」


----バタンッ!


カリム「・・・はぁ」

ティーダ「今の人はあの・・・」

カリム「騎士シグナム。私は《劣化の将》と呼んでいるわ」

ティーダ「そ、それはまた」

カリム「陛下の苦労が分かった気がします・・・」


こうしてティーダは仮初めの英雄としてでっち上げられた。その後、管理局に嫌気が刺し、妹と何処かの管理外世界に引っ越して聖魔王とお知り合いになるのはまた別の話・・・。
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