if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第49話

刹那サイド

 

 

ジルと名乗った男性はあの後、菓子折りだけ渡して帰って行った。

そしてセシアと菓子折りの中身を食べながら話す。

 

 

「「あれ、《ジェイル・スカリエッティ》じゃね?」」

 

 

僕の真名並に長ったらしい名前の人物は、管理局からもヤッバイ奴とお墨付きを貰っている次元犯罪者だ。しかも戦闘機人の研究の中心人物でもある為、ある意味ではトリエラの父親と言う事になる。本人は否定するだろうけど。

高町達もソイツが実は管理局の上層部と繋がっているなんて知らないんだろうな。まあ、教える気は無いけど。

 

 

「それで。どうします?」

 

「取り敢えず様子見。何か仕出かしたら即ザケルで」

 

「分かりました。ディアーチェ達に念話しておきますね」

 

「ん。よろしく」

 

 

僕は家事を再開して、この日は特に何もなく終わった。

 

 

~数日後~

 

 

この日は巨大台風が見事に直撃した所為で、外に洗濯物は干せなかった。代わりにアルハザードの草食動物ゾーンで干したけど。

僕が造った人工太陽でなんとか干せた。昔、お母さんがトレジャーして来やがったガラティーンとか言うよく分からない剣を核に造ったのだが、見事大成功で安心した。曇天の空を見ながらココアを飲む。ディアーチェ達大丈夫かな?

そう思っていると、誰かが帰宅して来た。時間帯的にアインスだろうか。アインスは最近、バイトと自動車学校に通い始めた。

隣町の酒屋でバイトを始めたらしく、この前はエミヤ?とか言うバイト仲間に告白されたと言っていた。取り敢えずソイツは夜道に気をつけろ。そんな事を考えていると、アインスがびしょ濡れで帰宅して来た。

 

 

「ただいま・・・」

 

「おかえり、アインス。一応お風呂沸かしてあるよ」

 

「助かる。さあ、お前も来い」

 

「はいですぅ・・・」

 

「ほへ・・・?」

 

 

突然そう言ってアインスが手招きした先にはあの狸のユニゾンデバイス。《リインフォース・ツヴァイ》が居た。唐突な光景に僕は固まる。

 

 

「・・・何故コイツが居る」

 

「帰り道で水溜りにダイブして大泣きしている所を保護した」

 

「馬鹿なのこの子」

 

「むっ。リインは馬鹿じゃないですよー!」

 

「え、馬鹿でしょ?因みにどうしてダイブしたの?」

 

「前にテレビで水溜りの下が海の中になっているのを見たからです!」

 

「あ、やっぱり馬鹿じゃん」

 

「また馬鹿って言ったー!お姉ちゃん~」

 

「ふむ。やはりお前が馬鹿だからではないか?」

 

「がーん!?」

 

 

まさかの姉からの裏切りによって、ツヴァイはその場でorzの体制になる。

 

 

「そこで止まるな。濡れるでしょうが。アインス、その子の事よろしく」

 

「分かった。服はディアーチェ達のお古を借りるぞ」

 

「あいよ」

 

 

そう言ってアインスがツヴァイを連れて行った所で僕はある所へと電話を掛ける。電話が掛かって2コール目辺りで相手が出た。

 

 

『もしもし、刹那か?』

 

「はい。ちょっと良いですか、恭也さん」

 

 

僕が電話を掛けた相手は、あの高町の兄である恭也さんだった。何時の間にかメアドと番号が登録されていたので相談してみる事にした。あの狸と直接話したくないし。

事情を話すと恭也さんは答えた。

 

 

『分かった。ならその子は明日俺が迎えに行こう。はやてちゃんの家には連絡しておく』

 

「ありがとうございます。それと余談なんですが、あの馬鹿はまた何かやらかしたとか無いですよね?」

 

『あー・・・それなんだが。聞いてくれるか?』

 

「・・・分かりました」

 

 

リンカーコアを没収したから余計な事はしないだろうと思うけど、一応聞いてみた。その結果はあまり宜しく無かったみたいだ。電話の向こうで恭也さんの泣く声が聞こえる。

 

 

『なのはが・・・引きこもった』

 

「・・・は?」

 

『あの後、なのはは管理局から長期の休暇を貰ったんだ。それで家で安静にしていろと母さんに言われてな』

 

「一応治したけど、精神的な疲れはなんともできませんからね」

 

『ああ。それでなのはが暇そうだったから、近くの店でゲームを買ったんだ』

 

「それで物の見事に嵌ったと?因みにゲームの種類は?」

 

『俺自身あまりゲームを知らなくてな。確か・・・FPSと言ったか』

 

「よりにもよってそれかあ・・・」

 

 

しかも今人気っていったらボイスチャットで全国対戦出来る奴だ。ヤバい。アイツは昔からアリサ達とゲームで遊んでたからのめり込む可能性はある。

そう思っていると、電話の向こうからドン!と大きな音が聞こえた。

 

 

『・・・なのはが八つ当たりしたらしい』

 

「そこまで正確変わったんですか!?」

 

『ああ・・・』

 

 

そう言って電話の向こうから移動する音が聞こえ、その後に高町の声が耳に入った。

 

 

『チッ!何時までもラグッてんじゃねーよこの芋スナァ!ブチ殺すぞ!』

 

「・・・わあぉ」

 

 

やだこの子口悪い・・・。驚愕で何も言えない僕を余所に高町の堕ちっぷりが晒される。

 

 

『ングッングッ・・・ぷはあ!ゲプッ・・・やっぱりコーラのラッパ飲みはたまらないの!あー、引きこもるのって楽しい!』

 

「それは僕に対する挑発かクソ野郎・・・」

 

『お、落ち着いてくれ刹那』

 

『・・・ん?お兄ちゃん!勝手に入るなって言ってるでしょ!』

 

『す、すまないなのは。だが俺はお前が心配で・・・』

 

『なのはには共に戦場を掛けてくれるフレンドさんがいるから良いの!もう出てってよ!』

 

 

そう怒鳴る高町に恭也さんは泣きながら部屋を出て行った。もう高町家はおしまいだな。

 

 

『・・・と、言う事なんだ』

 

「てっきり家に籠ってても魔法の事考えてると思っていました」

 

『管理局から休暇を貰って学校に行ったら、誰にも相手されなかったらしい』

 

「狸と金髪姉妹は?」

 

『その日は全員ミッドの方に仕事だったらしい』

 

「アイツそれ位しか友達居なかったもんな・・・」

 

『その、真希ちゃん達とも不仲なんだろう?』

 

「ええ。主に僕に対する迷惑行為とアリサ達の忠告も物ともせずに無茶してやらかしましたからね」

 

『本当にすまない・・・』

 

 

電話の向こうで恭也さんの心の籠りすぎた謝罪が聞こえた。なんか申し訳なくなって来たぞ。

 

 

「え、えっと・・・僕も解決策は考えますから!だからもう頭上げてください!此処は僕が手伝うって事でチャラにしましょう!ね!?」

 

『ありがとう・・・!』

 

「いえいえ。それじゃあ、今日はこの辺で・・・」

 

 

僕は逃げる様に電話を切った。やべー、高町の闇深すぎだわー。

そう思っていると、アインスとツヴァイがパジャマ姿で風呂から出て来た。僕は取り敢えず明日迎えが来るから泊まって行けと話す。不本意だが。凄く不本意だが・・・。

 

 

「・・・という訳」

 

「確かに、この雨の中帰らせる訳にも行かないな」

 

「やったー!お姉ちゃんとお泊まりですぅ!」

 

 

ツヴァイはその場で大きく跳ねる。子どもは気楽で良いね。そう思っていると、電話が来たので出る。相手はディアーチェだった。

 

 

「ディアーチェ?どしたの?」

 

『うむ。学校の前の橋で洪水が起きてな。今日は学校で一夜を明かす事になったのだ』

 

「分かった。レヴィを外に出さないでね。あの子台風の度に出て遊びたがるから」

 

『・・・もう手遅れだ』

 

「あの子は・・・!」

 

 

やっぱりレヴィはアホの娘だったか。僕は頭を抱える。ディアーチェも同じ事をしているのだろう。僕達の溜息が同時に聞こえた。

ディアーチェとの電話が終わってからもトリエラと金剛から電話があった。二人もバイト先に泊まるそうだ。と言う事は今日は僕とアインス、ツヴァイ。そして朝から地下に籠りっきりのセシアの四人か。

 

 

「ツヴァイ、今夜は何が食べたい?」

 

「ん~・・・オムライスが食べたいです!」

 

「あいよ。まだご飯まで時間あるからアインスとゆっくりしてな。DVDもあるから好きなの観て良いよ」

 

「じゃあ、コレが良いです!」

 

「レヴィの観ていたアニメか。ではコレを見るとするか」

 

 

そう言ってアインス達はアニメを見始める。僕は地下室へと向かい、セシアの元へと向かった。薄暗い部屋でセシアは無言で大量のディスプレイに囲まれながらデータを撃ち込んでいる。

 

 

「セシア、お疲れ。ココア持って来たよ」

 

「あ、マスター。ありがとうございます」

 

「僕の新装備って言うのは嬉しいけど、無理はしないでね」

 

「はい。それにもうすぐ終わりますから」

 

「だったら僕も手伝うよ。二人でやった方が早いでしょ」

 

「それじゃあ、お願いしますね」

 

 

そう言って僕もデータの入力を始めた。この装備のモチーフってまさか・・・。

 

 

「セシア、このモチーフって・・・」

 

「はい。マスターが小さい頃に作文で書いていたものですよ。今も小さいですけど」

 

「小さい言うな。確かタイトルは[将来の夢]だっけ?」

 

「はい。まさかマスターが、クジラになりたいだなんて可愛すぎて鼻血出ちゃいましたよ」

 

「今も出てるぞー」

 

 

この駄バイス・・・。でもちょっとワクワクしている自分も居る。これがあればベル家の魔法を使わずに戦えるし、デザインも結構好みだ。ただ、赤色強くない?

 

 

「赤強くないかなこのデザイン」

 

「何を言ってるんですか。確かにマスターに似合う色は基本的に白です。ですが、如月家のトップに立つのであればリーダー色である赤を使った何かを所持するのは当然かと」

 

「そっか。んじゃ、派手に染めますか」

 

「ですね!あ、でも色合いを考えると、クジラの模様を黒で少しと、グローブと靴を白にしましょう!」

 

「セシアの武器形態が面白い事になってるんですが・・・」

 

「良いでしょう!その分威力は高めですよ!一番威力が低くても収束砲レベルですからね!これぞ、王者の中の王者です!」

 

「パワー=正義って考え止めよう?僕が言うのもなんだけど」

 

「他にもあるんですよ?三種の動物を模した性能にしたモードとか」

 

「なんか面倒臭そうな性格になりそうだから却下」

 

「因みに武器は可変式の釣竿です!」

 

「予想の斜め上」

 

 

やっぱりセシアと一緒に魔法創るの楽しいな。色んなアイディアが浮かんでくるし、長年一緒に居た相棒だから気軽に話せる。うん、彼女が僕のパートナーで本当に良かった。

 

 

「セシア・・・」

 

「はい?」

 

「好きだよ」

 

「ふえっ!?と、突然なんですかもう!」

 

 

ふと口から出た言葉にセシアは顔を真っ赤にする。家のデバイスは不意打ちに弱い。普段から変態発言でこっちをドギマギさせる罰だ。

ギャーギャー騒ぐセシアを無視して、僕はデータに目を向けた。

 

 

「・・・ふふっ♪」

 

 

刹那サイド終了

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