if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第5話

刹那サイド

 

 

取り敢えず気絶してしまった蒼乃さんと拳骨で気絶させた馬鹿3人をディアーチェと引き摺って帰宅。蒼乃さんを布団に寝かせて残り三人をベランダに野晒しにしてからディアーチェとリビングで話す。

 

 

「珍しいではないか。刹那がリビングで我と話すなど」

 

「まあ、複数と同じ空間にいる訳では無いからね。蒼乃さんが目を覚ますまでの暇つぶしだよ。パズドラはスタミナ切れだし・・・」

 

「良かったのか?あの小娘を持って来て」

 

「元々今日は帰りが遅くなる予定だったみたいだから大丈夫だよ」

 

「何故分かる?」

 

「さっき蒼乃さんのポケットから携帯が落ちた時に家族の人から[朝5時までには帰宅する事!]って書いてあったから」

 

「そうか。なら大丈夫だな」

 

「あ、今の内にデータの修復しちゃおっか」

 

 

僕はバッグから記憶データを取り出して、部屋からノートPCを持って来て接続し、データの修復を開始する。部屋にはキーボードの音だけが響いていた。セシアが言うに、今の僕のステータスはスーパーコーディネーターを軽く超え、戦闘においてもニュータイプやXラウンダー涙目の性能らしい。慣れた手付きで操作していくと、ある現実に辿り着いた。

 

 

「ディアーチェさん、残念なお知らせがあります」

 

「な、何だ?まさかデータが更に破損を!?」

 

「ううん。記憶データは異常無しだから意識と記憶は復活させられるんだ。でも、その意識と記憶を内蔵させるボディのパーツが無いんだ」

 

「む・・・」

 

「だからこの管理人格さんの意識と記憶のデータはボディが調達できるまでネットウイルスみたいにして僕のパソコンに入れておくよ。取り敢えず話だけでも聞かないとね・・・」

 

 

僕は言いながらキーボードを操作して管理人格をデータのみの存在としてパソコン内で起動させた。すると画面の中に銀髪の女性が姿を現す。やがて女性は目を開き、辺りを見回し始めた。

 

 

『此処は・・・確かに私はあの時・・・』

 

「あの・・・聞こえますか?」

 

『お、お前は?』

 

「一応貴方のいるパソコンの持ち主です」

 

『ぱ、ぱそこん?な、なぜ私はこの様な状態に?』

 

「それは我が説明しよう」

 

『なっ!?何故此処に居るディアーチェ!』

 

「我にとってはこの世界の貴様とは初対面だ」

 

 

そう言ってディアーチェは自分が平行世界から来たマテリアルズの一人で、此処にお世話になっている事、そしてどれだけの時が流れかという事、そしてあの海沿いの公園で彼女を見つけた事・・・。それを聞いて管理人格は納得した表情を浮かべる。

 

 

『そうだったのか・・・すまない、勘違いしてしまった』

 

「構わぬ。それでこれからなのだが・・・」

 

『それなのだが・・・如月様、頼みがあります』

 

「何ですか?面倒事の予感しかしないんですけど・・・」

 

『私の事をこの家に置いてはくれませんか?」

 

「・・・はい?」

 

 

思わず僕は聞き返す。ボディを手に入れたら僕の記憶だけ消してそこらに放置して勝手に帰ってもらおうと思ってたのに・・・。理由が気になって聞いてみた。

 

 

「理由は?貴方には帰るべき場所があるじゃないですか」

 

『我が主である八神はやてにはもう私の代わりもいるし、楽しい生活をしているそうです。そんな中に私が戻っていくなど・・・』

 

「・・・別に良いけどそれならボディ作りませんよ?」

 

『構いません。それにこの体は思ったより動きやすい』

 

「そうすか・・・じゃあ、宜しくお願いします・・・管理人格さん?」

 

『リインフォースです。《リインフォース・アインス》』

 

「ふーん・・・じゃあ、アインスさんで」

 

 

僕のパソコンに美女が住み着き始めた件・・・と考えていると、脳内に電撃が走った!

 

 

「あれ?アインスさんって現在は二次元・・・?って事は・・・アインスさん!」

 

『は、はい。何でしょうか?』

 

「僕と・・・結婚してください!」

 

 

僕の言葉が出た瞬間、部屋の空気が凍り付いた。アインスさんは顔を赤くしながら何かを必死に呟いている。隣のディアーチェに関しては目のハイライトが消え、直視したくない位の無表情になっている。

 

 

『な、何故私なのですか?周りにはもっと良い方が居る筈です』

 

「何言ってるんですか!銀髪!美女!ボンキュッボン!しかも二次元!理想の嫁と言わず何と言う!正直タイプです!」

 

『そ、其処まで言いますかっ!?////』

 

「ええ、言いますとも!僕は・・・貴方を愛している!」

 

『ふええっ!?か、考える時間をください・・・////』

 

「待ちますとも。時間はたっぷりありますからその間にもガンガンアピールして行きますよ!」

 

 

そう、僕は二次元の世界の虜になって行く内にある事に気がついてしまった。僕は銀髪が好きな様だ。それは単なる萌えだったのかそれとも自分の髪の色に似ている事による親近感からだったのかは定かではないが、ど真ん中ストライクだ。そして今、その素晴らしい二次嫁が出来るこのチャンス・・・逃す訳には行かない!将来はアインスさんとラブラブしながらの引きこもりライフを・・・。

 

 

「ま、待て刹那!お前はあの小娘が・・・」

 

「だって三次元じゃないですかー!」

 

「少しは現実にも目を向けろ!お前を好きな女子はもっといるぞ!」

 

「やだよ。リアルってクソゲーじゃん」

 

「くそっ!言い返せない」

 

「さてと、取り敢えず蒼乃さんを叩き起してこようかな。早くアインスさんとお話しして親睦を深めなきゃ♪」

 

「・・・刹那が久しぶりに笑った理由が二次元になった管理人格に恋したなんて・・・」

 

『落ち着け・・・私は主はやての・・・だが既に騎士からは外れ、此処に居座る身。只のデータの私を直し、プロポーズまでしてくれた・・・待て待て相手は年端もいかない女の子・・・私はどうすれば・・・』

 

 

後ろで何か声がするが放置で客間へと入る。後でアインスさんの誤解を解いておこう・・・。客間へ入ると布団で蒼乃さんが幸せそうな寝顔をしている。

 

 

「・・・えへへ・・・刹那の匂い・・・ええのぅ・・・」

 

「・・・ふんっ!」

 

「べふっ!?」

 

 

イラつきと嫌悪感が同時に湧いた僕は蒼乃さんの顔面を踏んだ。足を離すと、蒼乃さんは鼻をさすりながら目を覚ます。

 

 

「痛った~い・・・あれ?此処は?」

 

「僕の家。起きたならさっさと帰って。そして二度と来ないで」

 

「へ?き、如月君・・・?」

 

「僕は早くこの恋を成就させる為に戻らないといけないんだ。君は邪魔なんだよ」

 

「そ、そんな~・・・私を弄んだのね!」

 

「よし、シュテル達の居るベランダn「調子乗ってました!サーセンした!」・・・素直で宜しい」

 

 

僕は蒼乃さんに荷物と少しのお金を渡す。

 

 

「巻き込んじゃったのはこっちだからタクシー代位出すよ」

 

「い、良いわよ。こんなに貰えないわ。」

 

「じゃあ、口止め料!これ渡すから僕達と会った事!僕の家の場所!誰にも口外しない事!良いね?」

 

「・・・分かったわ。あの・・・」

 

「ん・・・?」

 

「今度・・・遊びに来ても・・・良い?」

 

「・・・エクバかパズドラかモンストができるなら良いよ」

 

「あ、ありがとう!刹那大好き!」

 

「だから僕を名前で呼ぶな・・・と・・・」

 

 

この時僕は久しぶりに彼女の笑顔を見た。そうだ・・・僕は彼女の笑顔に・・・。でも全て遅すぎた。昔の僕なら心臓がバクバクなって、顔も赤くなっていただろう。でも今はどうだ。全く何も感じない。只変なタイミングで動悸と風邪が重なっただけだ。僕は蒼乃さんを立たせ、紙幣を握らせてから玄関へと押しやる。

 

 

「さあさあ、帰った帰った」

 

「わ、分かってるから押さないで・・・」

 

 

外へ出た事を確認すると、直ぐにドアを閉めた。・・・邪魔者は消えたぁ!後はアインスさんとの逢瀬を満喫するだけだ!リビングに戻る前に気が付けば僕はドアの向こうへと消えていった誰かに向かって言っていた。

 

 

「----またね、《真希》」

 

 

僕は靴を脱ぎ、リビングへと戻って行った・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

真希サイド

 

 

私は今日、数年ぶりに初恋の男の子と再開した。見かけたのはコンビニへお菓子を買いに行ってからゲーセンで暇を潰そうとしていた時だった。私の家は放任主義に近い人達で、大抵の事は許される。それをいい事に夜の街へと繰り出し、コンビニの前に立ち寄った私は店内から出て来た二人の人物に驚いた。先ずは私と同い年位の少女、彼女は間違いなく小学校の頃、私の友達と激闘を繰り広げた《ロード・ディアーチェ》だった。彼女がいることにも驚いたがその隣の人物に一番驚愕した。その人物はフードを被っていけど私には分かった。私に微笑みかけてくれた真っ白な髪の男の子・・・名前を口に出そうとしたその時・・・。

 

 

『ダッシュ!』

 

 

そう言ってディアーチェの手を掴んで走り出してしまった。私は慌てて追いかける。でも想像以上に彼の足は早く、あっと言う間に見失ってしまった。彼の足の速さを忘れてた・・・。気が付くと海沿いの公園へと来て居た。其処にはフードを何時の間にか取っていたその姿は白い髪を靡かせる。でも私はそれ以上に彼がディアーチェとやっていた行為が許せなかった。私ですらまだのキスを刹那とやろうだなんて・・・!二人の間に乱入すると、刹那はコンビニの時と同じ、怯える様な目で私から逃げて行った。その後ディアーチェに止められて刹那の事について話を進める。刹那はあの頃と身長が全く変わらず、頬は少し痩せこけていた。やがて刹那が戻って来て、私は刹那に記憶を体験させて貰う様お願いした。そして体験した刹那の記憶は・・・地獄だった。毎日の暴力、罵倒、そして裏切り・・・。日に日に彼の心にヒビが入っていき、狂った様な行動を始める。毒を飲んだり、首を刃物で切ったり・・・そんな彼の人生を感じて、私は自分に対する怒りと後悔に身を震わせていた。確かにこれは廃人になりそうだ。加害者側なら尚更の事・・・。そんな私に彼は飲み物を手渡してくれる。気が付くと私は自分の初恋の相手に恋心を告白した。それは彼のずっと変わらなかった無表情を崩れさせた。その後、シュテル達に[見せられないよ!]された私は刹那の部屋で顔面を踏み付けられて目を覚ました。そして刹那に追い出される様に部屋を出て行く。そして彼が言った私では無く、他の誰かへの恋心。彼の表情を見た瞬間、思った。もう、私の入る余地は無いと・・・。それでも彼とのつながりを消したくなかった私は遊びに行く許可を貰い、年甲斐もなく笑ってしまった。その時の彼の表情を忘れる事は出来ない。出来る訳がない。だって彼は・・・顔を真っ赤にして必死に私から目を逸らしていたのだから・・・。

 

 

キュンキュン♡

 

 

私の燃え尽きた筈の恋心に再び火が灯る。今までよりも燃え上がる。それ程までに彼の表情には破壊力があり、魅力的なのだ。何時の間にか外へ追い出され扉が締まる。それでもやっぱり名字呼びはキツいなあと思いながら帰ろうとした瞬間、

 

 

『----またね、《真希》』

 

 

間違いなく聞こえた・・・彼の優しい声が・・・。昔からそうだった。どんなに氷や鋼の心でもその優しさの熱でじわじわと溶かされてしまう・・・。どんなに時が流れようとも、彼の奥底の優しさは変わっていなかった。その言葉を頭の中で何度も再生しながら涙を流す。私はこの日、二度と彼を裏切らないと誓い、帰路へ着いた。最後に貰った口止め料は手を付けずに取っておいた。だって・・・刹那と私の家まで徒歩3分だったから・・・。気づけよ私・・・。

 

 

「刹那・・・大好きっ♡」

 

 

真希サイド終了




遂に新たな恋を見つけた刹那・・・果たして彼の恋は実るのか!?そして、リインフォースの性別についての誤解を正す事はできるのか!?
次回をお楽しみに!


では、さようなら!


アインス「私の主がこんなに男の娘で可愛い訳がない」
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