if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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第6話

刹那サイド

 

 

あれから数日が過ぎ、三連休を控えた金曜日になっていた。毎日が休日であり、廃課金戦士の僕は今日も今日とて部屋でパズドラをしていた。

 

 

「ん~・・・新しい降臨中々だな・・・」

 

『如月様、そろそろ皆が帰宅する時間です』

 

「うん、ありがとうアインスさん。結婚しよ?」

 

『だ、ダメです!先ずはお付き合いからで結婚は如月様が18になってからと・・・』

 

「う・・・そうだったね。あと僕の事は刹那で良いし、お互い敬語無しにしようって言ったよね?」

 

『すまない・・・どうしても昔の癖がな・・・』

 

「まあ、ゆっくりと直していこうよ。僕達のペースでさ」

 

『ああ・・・ありがとう刹那。だがお前もさん付けは無しだぞ』

 

「ごめんごめん。じゃあ、晩御飯の下ごしらえだけしてくるね」

 

 

そう言って僕は部屋を出る。あの告白から二日後、アインスさん、いや、アインスから返事があった。それは結婚では無くお付き合いから初めて僕が18歳になった時、お互いの気持ちが変わらなければ結婚すると言う内容だった。僕は勿論それを承諾し、晴れて恋人同士となり、現在に至る。皆が帰って来る前に夕飯を作り終えると、玄関の開く音と、レヴィの元気な声が聞こえた。

 

 

「たっだいま~!刹那刹那!コレ見てコレ!」

 

「お帰り。何何・・・《温泉宿泊券》?」

 

「うん!今日の帰りに商店街の福引で僕が当てたんだよ!凄いでしょ!」

 

「うん。すごいすごい」

 

「えへへ~////」

 

「あれ?でも今日は買い物する必要は・・・」

 

「それは我が説明しよう」

 

「あ、ディアーチェお帰り」

 

「うむ、ただいまだ。それで話を戻すがな・・・」

 

 

~数十分前[商店街]~

 

 

「ねえねえ、王様。福引やってるよ!やろうよ~!」

 

「無理だ。あの福引はポイントカードが千円分溜まらないと使えん。諦めろ」

 

「えー!でも今日までだって書いてあるよ!?やろうよ今すぐ買い物してさー!」

 

「ええい我が儘を言うでない!」

 

「そうですよレヴィ。王も困っていますし早く帰らないと刹那に心配を掛けさせてしまいます」

 

「そうですよ。それで数年前あんな事があったんですから」

 

「うぅ・・・で、でもあの温泉旅行当てて刹那と混浴したくないの?アインスとあのままいい雰囲気になってくの僕嫌だよぉ・・・」

 

「それを言われると・・・貴様ら、パンを食べたくは無いか?」

 

「そうですね。小腹も空きましたし」

 

「300円分位空きましたね・・・」

 

 

~現在に至る~

 

 

「と、こんな事があったのだ」

 

「随分とアレな取引が成立したね」

 

 

それにしても一回で当てるとかレヴィの運は凄いな。今度の獣神祭でガチャ引かせるか・・・。そう考えているとレヴィがキラキラした目で此方を見ていた。

 

 

「でね!明日から3連休使って皆で行こうよ!」

 

「断る。僕以外の皆で行って来なよ」

 

「刹那が居なきゃ意味無いんだよ!」

 

「知らないよ。それに極力人と関わりたく無いんだ」

 

「それは問題ありませんよ。宿泊する部屋に温泉が付いていて貸切になっていますから基本部屋から出なくても大丈夫です」

 

 

クッ!流石理のマテリアルと呼ばれたシュテルだ。僕の考えを読んでいる。だが、僕は諦めないぞ!

 

 

「でも君達だって大浴場とかに行きたいでしょ?僕が居たって迷惑だしつまらないよ」

 

「そんな事ありませんよ。貴方と居るだけで私達の心は満たされますから。それに刹那の居ない温泉など誰も興味ありませんし」

 

「あ・・・う・・・////」

 

 

ユーリの言葉に僕は恥ずかしくなる。何でこの子達はこうも思った事をハッキリと本人の前で言えるんだろう。此処まで言われたら・・・僕が悪者みたいじゃん。

 

 

「・・・分かったよ。でも夜にならないと僕は外に出ないからね?」

 

「うん!やったー!刹那と温泉だー!」

 

「では夕餉を摂ったら荷造りだな」

 

「温泉でしっぽり・・・楽しみです」

 

「シチュエーション作りと薬の用意はバッチリです!」

 

「・・・やっぱ止めようかな・・・」

 

 

変態二人に対して寒気がした僕は溜息を吐いたが、不思議と口が上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、行くか」

 

 

鍵を閉めたディアーチェの言葉に僕達はバス停へと歩き出す。歩き出すのは良いのだが・・・。

 

 

「うぅ・・・太陽・・・人ぉ・・・」

 

『が、頑張れ刹那!バス停まであと100mだ!』

 

『そうですよ。もう乗ってしまえば温泉宿まで一直線ですから!』

 

 

携帯から声を掛けてくれる恋人と首元のデバイスに励まされながら、レヴィの背中にしがみついてパーカーのフードを深く被る。数年ぶりの直射日光と人の多さに戸惑いながらバス停へと進む。やがてバス停に着き、バスをベンチに座って待っていると、僕の隣でお婆さんが辛そうに立っていたのが目に入った。

 

 

「・・・あの・・・どぅぞ・・・」

 

「おやまぁ、ありがとね。お嬢ちゃん」

 

「・・・男・・・です」

 

「そうなの・・・?でもその服・・・」

 

「・・・母の趣味・・・です・・・」

 

 

そう今の僕はアリスが来ている様な服にパーカーを来ている状態で、所謂女装と言う物になる。(イメージはカゲプロのマリーの普段着)

コレは亡くなった母が僕の服を女物しか買わなかった事もあり、僕の普段着ているジャージは現在、レヴィがジュースを零した所為で現在自宅で乾かし中である。僕がキョドりながら言うと、お婆さんは僕の頭を撫でる。

 

 

「そうかいそうかい。君のお母さんは分かってるねぇ・・・」

 

「・・・そうすか・・・」

 

 

僕は俯いてそのままでいた。他人に触られて居るのに不思議と悪い気はしなかった。暫く経つと、バスが停車する。僕達は立ち上がってバスへと乗り込んだ。バスへ乗った僕はお婆さんに手を伸ばす。

 

 

「・・・手・・・どうぞ・・・」

 

「ありがとう」

 

 

僕達を乗せたバスは目的地へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んぅ?」

 

「あ、刹那起きた?」

 

「・・・此処何処?」

 

「もう宿の部屋だよ。王様達は売店にジュース買いに行ってるからもう少ししたら戻ると思うよ」

 

「そっか・・・」

 

 

見慣れぬ部屋で目を覚ました僕は先程から頭を撫でてくるレヴィにしがみつく。

 

 

「どうしたの刹那。人に抱きつく何て珍しいね」

 

「うん・・・ちょっとだけ・・・こうさせて・・・」

 

「・・・ごめんね。無理やり連れて来た感じになっちゃって。やっぱりつまんないよね」

 

「ううん・・・そんな事無いよ。レヴィ達が僕と行きたいって言ってくれた時、凄く嬉しかった。部屋からは出られないけど皆と家族らしい事するのって初めてだから楽しみだよ。だから・・・ありがとう」

 

「っ!・・・此処でスマイルは反則だよぉ・・・////」

 

「?」

 

 

お礼を言うとレヴィは顔を赤くして顔を背けてしまった。怒らせちゃったかな・・・?そう思っていると、部屋の戸が開き、ディアーチェ達が買い物袋を下げて戻って来た。僕はレヴィから離れて挨拶する。

 

 

「お帰り、そんなに何買ってきたの?」

 

「ああ、此処の名産だと言うのでな。川魚の塩焼き風味のスナック菓子等色々買って来たぞ。何、まだ昼だからな。ゆっくりしようではないか」

 

「うん。そうだね」

 

『刹那、私とセシアは周辺のインターネットにアクセスして夜にでも安全に歩ける散歩コースを探しておく』

 

「ありがとう。大好きだよ」

 

『ああ・・・私もだ・・・////』

 

 

うん・・・超幸せ。余韻に浸っていると、アインスが言葉を続ける。

 

 

『だが・・・私はこの家の者達なら良いと思っている・・・』

 

「?良いって・・・何が?」

 

『いや、何でも無い。では行って来る。ディアーチェ達も頑張ってくれ』

 

 

そう言ってアインスは端末から姿を消して首元のセシアからも光が消えた。それにしても頑張るって何の事だろうか。四人は円陣を組んで何やら作戦会議を始めたし・・・。僕は備え付けのフラットシートに座りながらパズドラを始めた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、ラクシュミーちゃん来た。早速覚醒ラクシュミーにしよっと」

 

 

ゴッフェスで5体目のラクシュミーを当てた僕はパパッと進化させてボックスを開ける。そんな作業をしていると、僕のお腹が鳴った。それに続いて皆のお腹も鳴ってしまった。

 

 

「もう1時か。そろそろ食事にするか」

 

「料理って何処で食べるの?」

 

「確か一階の食堂です。彼処なら持ち込みも大丈夫ですから」

 

「じゃあ、早速行きましょう」

 

「うん。いってらっしゃい」

 

 

皆を見送って僕はカバンのカロリーメイトに手を伸ばs

 

 

「何を言っているのだ貴様は。さあ、行くぞ」

 

「ま、待ってよ!流石に食堂に行くのはハードル高いし其処に行ってカロリーメイトだけ食べるって余程の肝っ玉持ってないと無理だよ!」

 

「刹那・・・昨日測った体重は幾つだ?」

 

「・・・11キロです」

 

「よし、連れていけ。今日は無理矢理でも食べさせるぞ」

 

 

ディアーチェの言葉に僕の体はシュテル達に拘束される。そしてそのまま僕は食堂へと連れて行かれた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~食堂~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂へ着いたが食堂はガラガラだった。昼時なのに全く人が居ない。これが福引きクオリティか・・・。席に座ると、ディアーチェに待ってろと言われて暫く待つ。するとディアーチェが大皿にたんまりと盛られた。カレーとラーメンを僕に差し出す。

 

 

「・・・何コレ?」

 

「川魚を使ったカレーとラーメンだ」

 

「いや、それは見れば分かるよ。そうじゃなくてどうしてどっちも次○みたいに山になってるのかな?僕の食の細さ分かってるよね?」

 

「貴様・・・本当はもっと食べられるだろう?」

 

「・・・だって・・・前に学校でデブって言われた事あるから・・・せめて見た目は何とかしようって・・・」

 

「貴様の体の何処がデブだと言うのだ!?それは我ら女子への挑戦か!?」

 

「そ、そうじゃ無いよ・・・でも元々拒食症だったし・・・それにほら、一日の食事がカロリーメイトちょっとと水を少しって凄くコスパが良いじゃないか!」

 

「その分こっちの心労が増えるばかりだこの不幸者が!」

 

「ご、ごめん・・・」

 

 

結局僕はこの後、無理やり食べさせられて全て完食した。何か此処最近色々あった所為か、皆と食事を摂る事が苦では無くなっていた。寧ろ皆と何かを話せる事に喜びと楽しさを感じ、涙した。そして部屋に戻った僕達は家から持って来た携帯ゲーム機で遊んだり、やがて夕方となった。

 

 

「さて、夕食前に早速温泉にでも入ろうかな」

 

「うむ、ゆっくりして来い」

 

 

ディアーチェに言われ、僕は着替えの浴衣とタオル等を持って温泉へと向かった。だが僕はこの時気付くべきであった。僕の後ろで四人の少女達が覚悟を決めた目をしていた事を・・・。

 

 

刹那サイド終了




はい!今回は刹那が少し踏み出した話でした!
そして次回、遂に刹那に対するマテリアルズ達の思いの進展が!?
お楽しみに!
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