if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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前回のあらすじ


エビぷり大納言。


番外編せかんど! 《刹那君も異世界から来るそうですよ?》 第2話

刹那サイド

 

 

あの後、黒ウサギのお姉さんが気絶してしまい、起きるまで僕達は待っていた。その間に自己紹介を済ませる。皆の名前を聞いたので、最後は僕の番だ。

 

 

「初めまして。如月刹那、3歳です」

 

「よろしくな。ま、名札見たから名前知ってるけどな」

 

「ええ。宜しくね、刹那ちゃん」

 

「よろしく」

 

 

飛鳥さんの言葉に僕は固まった。違う、違うんだ飛鳥さん。僕は・・・僕は・・・!

 

 

「僕は男ですっ!」

 

「「「・・・ファッ!?」」」

 

 

僕の叫びに三人は変な声を上げた。

 

 

「待て待て待て!お前マジで男か!?抱え上げた時、完全に女子だったぞオイ!」

 

「男の子なのに何て綺麗な髪なの・・・!」

 

「お肌すべすべ・・・」

 

「あの、ちょっ、くすぐったいです」

 

 

もみくちゃにされながら僕は自分の容姿にかなりショックを受けていた。この通り何時も女子と思われ、友達と呼べる男子等全くと言っていい程と言うか居ない。そもそも友達の作り方とか分からないし・・・。前世でも一年生になったら友達100人どころか世界から敵視だったし・・・辛い。

 

 

「あの~・・・そろそろ良いですか?」

 

「あ、起きた」

 

「さ、先程はお見苦しい所を・・・」

 

「お前3歳児にメスの顔だもんな。かなり引いたぜ・・・」

 

「だってあの撫で方確実に此方を堕としに掛かってます!」

 

「刹那。お前あの撫で方どうやって出来る様になった?」

 

「特には何もしてないですけど・・・」

 

「ハハハ!デフォでそれかよ!良いなお前!」

 

 

そう言うと、十六夜さんは僕の頭をガシガシと撫で回す。そして僕に向けて嬉しそうな笑みを向けた。

 

 

「ガキが敬語なんざ使うな。何時も通りに話しな」

 

「うん!《いざ兄》!」

 

「おお、何か良いなその呼び方。よっしゃ、俺が色々教えてやる!」

 

「やったぁ!」

 

「ちょっと待ちなさい!貴方だけずるいわ!」

 

「同意。私達も敬語はいらない。それと姉呼びプリーズ」

 

「えっと・・・《あす姉》に《よー姉》?」

 

「「かはっ!?」」

 

 

二人は鼻を抑えて上を向く。鼻血出てるけど大丈夫かな・・・?いざ兄は苦笑いであす姉達を見てる。すると、視界の端で黒ウサギさんが地面にのの字を書いて泣いていた。

 

 

「お、忘れてたぜ。おい、さっさと説明しろ」

 

「貴方様方が無視してたのでしょうがぁ!?」

 

「おいおい、キレるの早すぎだろ。刹那、アレが今問題のキレる10代って奴だ。お前はああなるなよ」

 

「うん。分かった」

 

「誰の所為だと思ってるんですか!?それに黒ウサギはもう200年も生きている由緒正しき月の兎です!」

 

「えっ、じゃあ黒ウサギさんおばあちゃんなの!?」

 

「ぶふぉっ!」

 

「ぷくくっ」

 

「・・・っ!」

 

「ち、違います!まだピチピチです!」

 

 

思わず出た言葉に黒ウサギさんは涙目になって怒鳴る。だって200年って言ったら普通おじいちゃんとかのレベルだし・・・あ、お母さんのご先祖様は1000年近く生きてた人もいるんだっけ・・・?

 

 

「と、取り敢えずキリがないのでこのまま説明させてもらいます!」

 

 

そう言って黒ウサギさんは地面に座って話を始めようとした。僕は思い出してリュックを漁る。そして底のからレジャーシートを取り出した。

 

 

「はい、どうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

そう言って黒ウサギさんはシートに座る。いざ兄達もそこに座り、僕も座った。そして黒ウサギさんは説明を始めた。

 

 

「それでは御四人様、ようこそ《箱庭の世界》へ!我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる《ギフトゲーム》への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ぎふとげーむ?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた《恩恵》でございます。ギフトゲームはその恩恵を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

 

 

黒ウサギさんは両手を広げながら言った。それにあす姉が手を挙げて質問した。

 

 

「まず初歩的な質問からしていい?貴女の言う"我々"とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある《コミュニティ》に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!そしてギフトゲームの勝者はゲームの《主催者(ホスト)》が提示した商品をゲット出来るというとってもシンプルな構造となっております」

 

「・・・主催者って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴として、前者は自由参加が多いですが主催者が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。主催者次第ですが、新たな恩恵を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらは全て主催者のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物ね・・・チップには何を?」

 

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間・・・そしてギフトを賭け合う事も可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然----ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

 

黒ウサギさんの声とは裏腹に、最後の言葉に寒気を感じた。だが、挑発とも受け取れる笑顔にあす姉は同じ様な声音で聞いた。

 

 

「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」

 

「えっと・・・それってゲームがこの世界の法律、みたいなものですか?」

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します----が、しかし!ギフトゲームの本質は全く逆!一方の勝者だけが全てを手に入れるシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にする事も可能だという事ですね」

 

 

僕のふと浮かんだ考えに黒ウサギさんはウインクして答えた。ウインクとか久しぶりに見たな・・・昔テレビの真似してお母さんにやったら鼻血出して病院に運ばれて禁止になったんだっけ・・・。黒ウサギさんにあす姉が言った。

 

 

「そう。中々野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし主催者は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

 

そう言って黒ウサギさんは一枚の封書を取り出した。

 

 

「さて。皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それらを全て語るには少々お時間が掛かるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいです?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ?」

 

 

いざ兄が威圧的な声で黒ウサギさんに問いかけた。その雰囲気に黒ウサギさんは構える様に聞き返す。

 

 

「・・・どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

「そんなものは"どうでもいい"。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは・・・たった一つ。手紙に書いてあった事だけだ」

 

 

いざ兄は黒ウサギさんから視線を外して僕達を見た後、目の前の広大な世界を見る。そして何もかも見下す様な視線で一言、

 

 

「この世界は・・・面白いか?」

 

「「「・・・」」」

 

 

僕達も無言で返事を待つ。僕達を呼んだ手紙にはこう書かれていた。

 

 

[家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い]

 

 

と。それに見合うだけの催し物があるかどうかこそ、一番重要な問題だ。

 

 

「----YES!ギフトゲームは人を超えた者達だけが参加出来る神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

 

そう言って綺麗な笑顔を向ける黒ウサギさんに僕は手を挙げた。

 

 

「あの、じゃあ僕も最後に良いですか?」

 

「はい♪どんな質問でもお答えしますよ」

 

「えっと・・・元の世界に戻るって事は・・・」

 

「ご安心ください!あの手紙は謂わば片道切符!ギフトゲームで条件などが付かない限りは戻ってしまうなんて事はありえません!心行くまでこの世界をお楽しm「ふぇ・・・」へっ?あ、あの~?」

 

「----っ!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、僕の絶叫が森に木霊した・・・。

 

 

刹那サイド終了

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