if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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前回のあらすじ


ギフトのオンパレード


番外編せかんど! 《刹那君も異世界から来るそうですよ?》 第7話

刹那サイド

 

 

「・・・マスター、朝ですよ」

 

「んみゅ・・・じゃんぬ?」

 

「はい。おはようございます」

 

「おはよぅ」

 

 

ジャンヌに起こされてフラフラと部屋を出る。朝は苦手だよ・・・。

 

 

「お、刹那おはよう」

 

「おはよ、いざ兄・・・」

 

「眠そうだな。顔洗って来な」

 

「うん」

 

 

僕はいざ兄と分かれて昨日水樹を使って水を引いた水路で顔を洗う。冷たい水が心地よく意識を覚醒させてくれる。その後、ジャンヌ達と合流して、食堂へと向かった。そこでは既に子供達が食器を並べており、いざ兄達は席に着いていた。

 

 

「あら、刹那君。おはよう」

 

「刹那、おはよう」

 

「おはよう、あす姉、よー姉」

 

「さあ、私の隣に座りなさい」

 

「待って。刹那は私の隣」

 

「おいおい。此処は兄である俺のポジだろ」

 

「「ふざけるな」」

 

「え・・・えぇ・・・?」

 

「はいはい。刹那さんはこっちですヨ」

 

「あ、おはようございます」

 

 

いざ兄達が何故か険悪なムードになってる間に黒ウサギさんが僕の隣に座る。ジャンヌ達は特殊な存在で、食事はいらないらしい。ちょっと残念だな。暫くすると、パンやら水やらが食卓に並べられ、子供達やジン兄が席に着く。昨日は帰ってる途中で寝落ちしてしてしまったからあまり記憶に無い。

 

 

「それじゃあ、食べようか」

 

『いただきます!』

 

 

皆で手を合わせて食べ始める。あ、このパン美味しい・・・。

 

 

「刹那さん・・・食べるスピード早くないですか?」

 

「?何時もこの位ですけど・・・?」

 

「如月家のDNAどうなってんだ・・・」

 

 

あっと言う間に時間は過ぎ、あす姉達のギフトゲームの時間となった。このゲームをする事になった理由がよく分からなかったからあす姉に聞いたら、僕はまだ知らなくて良いって言われた。夜の内にも何かあったらしいけど、いざ兄達も教えてくれなかった。仲間はずれにされた感凄いけど、皆の表情が真剣だったから何も言えなかった。

 

 

《箱庭二一〇五三八〇外門[ベリベッド通り・噴水広場]》

 

 

僕達はギフトゲームの相手であるコミュニティ《フォレス・ガロ》を目指していた。歩いていると、近くのカフェテラスから猫耳と猫しっぽを付けた店員さんが声を掛けて来た。

 

 

「あー!昨日のお客さん!もしや今から決闘ですか!?」

 

『お、鉤尻尾のねーちゃんか!そやそや今からお嬢達の討ち入りやで!』

 

「ボスからもエールを頼まれました!この外門の自由区画とかでやりたい放題のコミュニティでしたから思いっきりやっちゃってください!」

 

「ええ、そのつもりよ」

 

「おお、心強い御返事だ!」

 

 

あす姉の返事に猫娘さんは嬉しそうに尻尾を揺らした。暫くすると、猫娘さんが黒ウサギさんに耳打ちをし始め、何やら不穏な空気になり始めた。話を終えて、再び歩くと、フォレス・ガロの居住区画へと着いた。着いた・・・けど・・・。

 

 

「えっと・・・サファリパーク?」

 

「虎の住むコミュニティだからな。おかしくはないだろ」

 

「え!?虎なの!?」

 

「ああ、言ってなかったな」

 

「へえ~・・・虎・・・」

 

 

虎と戦うの?凄いな・・・。辺りを見回すと、門の前に《契約書類(ギアスロール)》が貼ってあった。

 

 

[ギフトゲーム名:"ハンティング"

 

 

・プレイヤー一覧

久遠 飛鳥

春日部 耀

ジン=ラッセル

 

 

・クリア条件:ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

・クリア方法:ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は"契約(ギアス)"によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

・敗北条件:降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武具:ゲームテリトリーにて配置。

 

 

宣誓:上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

 

 

"フォレス・ガロ"印]

 

 

「指定武具・・・決められた武器だけって事?」

 

「こ、これはまずいです!」

 

「ジン兄、もしかしてこれってあす姉達のギフトで倒せないって事?」

 

「そうだよ。だからこのゲームは向こうが有利だ・・・」

 

「構わないわよ。あの外道のプライドを粉砕するにはこれ位のハンデがないと」

 

「うん。絶対に勝つから問題ないよ」

 

 

そう言ってあす姉達はジン兄を連れて屋敷の中へと入って行った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----GEEEEEYAAAAAAAAAaaaaaaaa!!!

 

 

「ぴっ!?」

 

「どうやら本格的に始まった様だな・・・」

 

「じーく・・・あす姉達、大丈夫かな?」

 

「・・・正直分からない。俺から言わせてもらえばあの三人は"弱い"。少しでも力のある者が出てくれば確実に命を落とす。気を使った言葉を掛けてやれなくてすまない・・・」

 

「・・・そっか」

 

「俺達には祈る事しか出来ない。だが、祈る事は出来る。マスターはこの箱庭を制した者の力を受け継いだ存在だ。勝利の女神になりうる可能性もある」

 

「ジーク・・・分かった!僕祈るよ!」

 

 

僕は神社にいるみたいに手を合わせて祈る。お願いします、あす姉達が無事に帰れます様に・・・!お願いします!

 

 

「皆様、あれを!」

 

「終わったみたいだぜ」

 

 

黒ウサギさん達の声に顔を上げると、目の前の屋敷がなくなって、荒地だけになった。その中から血まみれのよー姉を抱えたジン兄達が歩いてくる。僕はすぐに走り出していた。寝た事で完全回復した魔力を使って魔法を発動する。手を上に掲げると、頭上に桃色の剣が出現する。僕はそれを、

 

 

「《サイフォジオ》!ぜぇいっ!」

 

「「ファッ!?」」

 

 

よー姉へと突き刺した。あす姉とジン兄が驚いているけど、無視して魔力を流し込む。すると、サイフォジオの装飾の一部が回転し始める。そしてよー姉の傷を直し始めた。数秒で傷は完全に塞がり、よー姉が目を覚ます。僕は思わず飛びつく。

 

 

「よー姉!」

 

「わっ!?・・・刹那?」

 

「良かった・・・良かったよぅ・・・」

 

「ごめんね。もう大丈夫だから?」

 

「・・・ほんと?」

 

「うん、本当だよ。ありがと刹那」

 

「えへへ・・・うん!」

 

「ぶはっ!」

 

「よー姉!?」

 

 

よー姉にお礼を言われて僕は嬉しかった。笑うと、よー姉が鼻血を流し始めた。よー姉だけではなく、いざ兄とジーク以外全員が何故か鼻血を出して地に伏せていた。

この後、滅茶苦茶サイフォジオした。

 

 

 

~夜[コミュニティ談話室]~

 

 

「ゲームが延期?」

 

「はい・・・」

 

 

黒ウサギさんの言葉に僕といざ兄は首を傾げた。何でも最近黒ウサギさんの仲間だった人を賭けたギフトゲームがあるらしいのだが、それが延期になったと言う。

 

 

「このままでは中止の可能性もあるそうです・・・」

 

「・・・巨額の買い手ねぇ」

 

「しろ姉には言ったんですか?」

 

「はい。ですが白夜叉様とて幹部の一人に過ぎません」

 

「まあ、アイツ一人にそこまでの発言権なんて無いだろうしな」

 

 

こうなると純粋に運がなかったとしか言い様がない・・・。

 

 

「なあ、その仲間ってのはどんな奴なんだ?」

 

「そうですね・・・一言で言えば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて、湯浴みの時に濡れた髪が星の光でキラキラするのです」

 

「えっと・・・兎に角凄い人なんですね?」

 

「それはもう!加えて思慮深く、黒ウサギより先輩でとても可愛がってくれました。近くにいるのならせめて一度お話したかったのですけど・・・」

 

「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

 

 

突然聞こえた声に顔を向けると、窓をコンコンと叩く向こうでにこやかに笑う金髪の少女が浮いていた。黒ウサギさんは急いで窓を開ける。

 

 

「れ、《レティシア》様!?」

 

「様はよせ。今の私は他人に所有される身分。"箱庭の貴族"ともあろう者が、モノに敬意を払っていては笑われるぞ」

 

「それは違う!」

 

「・・・その顔まさか澪か?」

 

 

レティシアと呼ばれた人は僕を驚いた表情で見るが、僕はこの人の言葉に怒りが湧いていてそれどころじゃ無かった。

 

 

「貴女がどんな状況にあるのか僕には分からない。でも、貴女は今此処に生きている!僕達の目の前で確かに生きているんだ!そしてそんな貴女を黒ウサギさん達は必死になって取り返そうとしている!貴女を大切な仲間だから!それなのに自分がモノだって!?貴女はノーネームの皆の思いを否定するのか!」

 

「・・・そうだな。すまない黒ウサギ」

 

「あ、謝らないでください!」

 

「・・・君もありがとう。まさか幼子に諭される日が来るとはな」

 

「あの、僕もいきなり怒ってごめんなさい」

 

「いや、君が謝る事は無い。・・・やはり澪の」

 

「はい。僕は如月刹那と言います。如月澪の息子です」

 

「そうか・・・刹那、好きな人は居るか?」

 

「いませんけど?」

 

「そうか。なら、私と結婚しないか?」

 

「・・・はい?」

 

「ま、待ってください!?」

 

 

レティシアさんの言葉に僕は戸惑い、黒ウサギさんが止めに入る。えっと・・・何故?

 

 

「あの、何で僕何ですか?」

 

「実は私は君の父親に恋愛感情を抱いていた」

 

「お父さんに?でも」

 

「ああ。レオは既に澪という彼女持ちだ。何度もゲームを挑み、負けたよ」

 

「へ、へえ・・・そうなんですか」

 

「そして澪が二度目に来たあの日、私は知った。レオが死に、君が産まれる事をな」

 

「確か《乙女の聖戦》のアス・・・何とかさんが手伝ってくれたって」

 

「その通り。それで私は思った。レオの面影のある君と結婚すればレオと結婚するのとぶっちゃけ変わらないんじゃ無いかとな」

 

「ヤバいこの人残念な人だ(そ、それはまた・・・)」

 

「刹那、本音と建前が逆だ」

 

 

いざ兄が僕の前に立ち、守ろうとしてくれる。そしてレティシアさんも警戒する様に構えた。

 

 

「なあ、アンタ吸血鬼なんだって?」

 

「そうだ。怖いのか?」

 

「まさか。・・・今日のゲームの違和感の正体、お前だろ?」

 

「・・・そうだ。新生ノーネームがどの様なものかこの目で確かめさせてもらった」

 

「そうか。で、どうだった?」

 

「刹那に抱きつかれるとかマジ憤怒」

 

「ああ、それは分かる」

 

「分かってしまうのですか!?」

 

 

アレ?何か会話の流れ変わって来たよ?今明らかにシリアス入る所だった気が・・・。

 

 

「私は刹那がこの世界に来た事を知って、コミュニティを抜け出してまで此処に来たんだ。さあ、刹那を渡してもらおうか」

 

「却下だ。それにコイツは元居た世界に帰す。でなけりゃ俺達もお袋さんに殺されそうだ」

 

「澪は魔王より恐ろしいからな・・・思い出したら寒気が」

 

「マジで刹那のお袋何やらかしたんだ?」

 

「一番有名なのは乙女の聖戦の全滅だな。まさか《スカサハ》の槍を素手で砕くとは思わなかったぞ・・・」

 

「それって必中の槍じゃなかったか?」

 

 

お母さん何かヤンキーみたいになってるよ・・・。王族だよね?一応お嬢様だよねあの人。色々やらかしすぎでしょ・・・。

 

 

「最も驚いたのはレオの方だがな」

 

「刹那の親父か。どんなギフトだったんだ?」

 

「あ、僕も気になります」

 

「教えよう。だから私の膝h「ダメだ」・・・チッ」

 

「ああ、レティシア様が変わってしまった・・・」

 

「刹那の父であるレオは不思議な眼を持っていた」

 

 

レティシアさんの言葉に僕はクエスチョンマークが浮かぶ。・・・眼?

 

 

「何でも小さい頃に死にかけてから使える様になったらしくてな。物や生物を見ると、点と線が視えるらしい」

 

「点と線?」

 

「何でもそこをなぞるとどんな鈍らな刃物や素手でも綺麗に切断できるそうだ」

 

「何だよそのチート能力は」

 

「しかも再生機能が働かないそうだ。彼はその能力と元より得意だった剣術で邪神等と言った奴らを片っ端から斬り刻んで行ったよ。正義の味方なんて呼ばれていたな」

 

「お父さん凄い・・・」

 

「そうだろう。その力を受け継いでいる君は私と結婚しよう・・・ハァハァ」

 

「ぴっ!?」

 

 

僕は再びいざ兄の後ろに隠れる。何この人、怖いよぉ・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

 

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