if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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前回のあらすじ


刹那、宣戦布告


番外編せかんど! 《刹那君も異世界から来るそうですよ?》 第9話

刹那サイド

 

 

間に合った・・・。あと数秒遅れてたらと思うと冷や汗が止まらない。そしてその現況である目の前の男に宝玉と挑戦状を叩き付けた。男は震えていて何も喋れない様だ。黒ウサギさんは涙を堪えていたのか目元が潤んでいる。それを見て更に怒りのボルテージが上がった。その前に・・・。

 

 

「黒ウサギさん。大丈夫ですか?」

 

「刹那さん・・・」

 

 

僕はお母さんがしてくれていた様に黒ウサギさんを抱きしめる。この人は今までどれだけの重荷を背負って来たのだろう。箱庭の貴族と言う肩書きは聞こえは良いが、結局は周りからの期待や奇異の視線が増える枷に過ぎない。お母さんも、昔は周囲からのプレッシャーが凄く、よくお父さんに慰めてもらっていたと言って僕に惚気けていた。口から砂糖が出そうになるのを抑えながら話を続ける。

 

 

「貴方がペルセウスに下る必要はありません。レティシアさんは、僕が必ず助けます。だから、泣かないでください」

 

「はい・・・ありがとうございます・・・!」

 

 

黒ウサギさんの目元を軽く指で拭う。ああ、本格的に腹が立って来た・・・。

 

 

「・・・いざ兄」

 

「何だ?」

 

「悪いけどこのゲーム、アイツの首は僕が貰うよ」

 

「いいぜ。MVPは譲ってやるよ」

 

「ありがとう」

 

 

このゲーム、絶対に勝つ。徹底的に叩き潰す。ペルセウスのぺの字も残らないくらいにね・・・。この後、ゲームの日程を取り決めた瞬間、あの男《ルイオス》はフラフラとしながら帰って行った。一息吐くと、自分に掛けていた年齢魔法が解除されて元の身長に戻った。実は僕の服は少し魔力で加工してあって、僕の成長に合わせてサイズが変わってくれる優れ物だ。だから年齢魔法で大人になっても問題なく着れる。

 

 

「ふう・・・間に合った」

 

「ナイスタイミングだったぜ刹那」

 

「えへへ」

 

「黒ウサギには声を掛けるのに私には無しなのね」

 

「だってあす姉、直ぐに戻ったじゃないか」

 

「何の事かしらね?」

 

 

そう言って目を逸らすあす姉に僕は苦笑する。すると、しろ姉が僕に聞いて来た。

 

 

「刹那、聞いても良いか?」

 

「ん?」

 

「どうやってこの短時間で宝玉を集めて此処まで来れた?それに如何にも会話を聞いていた様な口ぶりだが・・・」

 

「えっとね。ジャンヌ達から情報を教えて貰ってからジークに道案内してもらいながら宝玉を取って、此処まで走って来たんだ」

 

「は、走って・・・だと?」

 

「うん。ちょっとゲーム仕掛けられて遅くなっちゃったけど、ゲームに巻き込まれなければ五分で着いたのに・・・」

 

「待て、海魔の居る所まで少なくとも二日は掛かるぞ!?それを走って来た!?」

 

 

僕の言葉にしろ姉が何故かドン引きしている。これでもお母さんには勝てないんだけど・・・。お母さんが走ると、音と風が後から聞こえるもんな・・・。

 

 

「そ、それでね。会話は、ジャンヌに霊体化してもらって皆に付いていてもらってたんだ。ジャンヌ達とは自分の会話を共有できるから」

 

「なるほどの・・・」

 

「じゃあ、俺からも良いか?」

 

「うん。良いよ」

 

「ゲームに巻き込まれたってどう言う事だ?」

 

 

いざ兄の言葉にデスヨネーと思いながら話し始める。

 

 

「えっとね。あの海魔の次にグライアイを倒した後の事なんだけど・・・」

 

 

 

 

 

~数時間前~

 

 

「・・・これで良し」

 

「マスター。サウザンドアイズまでこの森を一直線だ」

 

「了解。それじゃあ行こうか」

 

 

宝玉を集めた僕達はしろ姉達の所へ帰ろうとしていた。その時、

 

 

「ほう。面白い気配がするかと思えば、随分と懐かしい顔ではないか」

 

 

声のした方向に振り向くと、知らない金髪の金ピカ鎧を来た男の人が立っていた。目が眩しい・・・。

 

 

「えっと・・・何方s「下がれマスター!」じ、ジーク?」

 

「何故此処にいる、《英雄王》!」

 

 

突然ジークが剣を抜いて僕を庇う様に立った。そして金ピカの人はフッと馬鹿にする様に笑った。

 

 

「我(オレ)が何処に居ようが関係あるまい。囀るな竜殺し風情が」

 

「す、ストップストップ!」

 

 

二人の会話に待ったを掛ける。話がさっぱり分からない。

 

 

「結局この人は誰なのさ!?」

 

「・・・史上最古の王、《ギルガメッシュ》だ」

 

「そう!我こそが英雄王だ!」

 

「おお・・・」

 

 

取り敢えず拍手する。ヤバい、全然知らない。そんな人いたの?そう思っていると、ギルガメッシュさんが僕に言った。

 

 

「貴様、澪の娘だな。名は何だ?」

 

「息子です!如月刹那!」

 

「な、なに!?」

 

「英雄王の目でも見抜けなかったか・・・」

 

 

驚く彼にジークも目頭を抑える。ちょっと、それ僕がしたいんですけど。皆僕を娘だ、女だって・・・僕は男だ!

 

 

「ま、まあいい。澪の息子、我とギフトゲームで戦え」

 

「ごめんなさい、急いでるので。行くよジーク」

 

「あ、ああ・・・」

 

 

ギルガメッシュさんに謝って、ジークと走り出す。すると、目の前に大量の剣や槍が突き刺さり、行く手を阻んだ。後ろを見ると、ギルガメッシュさんが怒りの表情で、僕達を見ていた。その後ろには金色の空間の歪みから大量の武器が出ている。

 

 

「貴様・・・この我の挑戦を断るとはどう言う了見だ!」

 

「いやだから急いでるんですって!」

 

「そんなもの我と比べる価値も無いわ!」

 

「・・・何この人」

 

「こう云う男だ。諦めてくれ、マスター」

 

「え~、早く行こうよ」

 

 

ジークが諦めムードに入ったので注意する。こんな所で足止め喰らいたくないし・・・。

 

 

「ええい!我とゲームをしろこの雑種が!」

 

「本当急いでるんですって!」

 

「貴様が勝てば好きな物をくれてやる」

 

「話聞いてないよこの金ピカ」

 

 

結局勢いに押し切られてギフトゲームをする事になってしまった。三歳児にあの勢いは止められません。頼みの綱のジークは最初に諦めてたし・・・。

 

 

「契約書類は・・・こんなものか」

 

 

そう言ってギルガメッシュさんは契約書類を作成する。

 

 

 

[ギフトゲーム名:Sword,orDeath

 

 

・プレイヤー一覧

ギルガメッシュ

如月 刹那

 

 

・クリア条件:両プレイヤーの内、どちらかの死亡

・敗北条件:自身の死亡

 

 

宣誓:上記を尊重し、誇りと力の下、"如月 刹那"はギフトゲームに参加します。

 

 

"ギルガメッシュ"印]

 

 

「なっ!?今すぐ止めろ英雄王!」

 

「黙れ。これはもう決まった事だ」

 

「三歳の子供に殺し合いだと!?何処まで落ちぶれた!」

 

「何を言っている。貴様を従えている時点で普通ではなかろう」

 

 

ギルガメッシュさんの言葉にジークは押し黙る。

 

 

「大丈夫だよジーク」

 

「マスター・・・だが」

 

「うん、殺し合いはした事ない。でも認めちゃった以上、やるしかない」

 

「・・・すまない」

 

「気にしないで。まあ、僕を信じて待っててよ」

 

 

ジークにそう言って僕はギルガメッシュさんの前へ出る。

 

 

「お待たせしました」

 

「・・・武器は無いのか?」

 

「はい。色々ありまして・・・」

 

「良かろう。我の宝物庫から一つ貸してやる」

 

 

そう言ってギルガメッシュさんは先程の歪みから幾つか武器を見せた。

 

 

「良いんですか?満身は敗北の元ですよ?」

 

「慢心せずして何が王か!武器一つ貸した所で我の勝利は揺るがん」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。それじゃあ、あの夫婦剣で」

 

「いいだろう。精々足掻いてみせよ、最強の息子」

 

 

選んだ黒と白の夫婦剣を手に取り、年齢魔法を発動して大人になって構える。大丈夫、僕なら出来る・・・。

 

 

「では行くぞ!」

 

 

そう言ってギルガメッシュさんの背後の歪みから大量の武器が発射された。一見凄まじい武器の雨だけど、よく見れば隙間だらけだ。

 

 

「ハァッ!」

 

「ほう・・・その身体能力、間違いなくあの女の血筋だな」

 

「そりゃどうも!」

 

 

飛んで来た武器を夫婦剣で弾き返す。それを再び飛ばした武器で砕く。そんな工房がひたすらに続いた。このままなら、行ける!そう思った瞬間、僕の視界に赤い光が迫る。

 

 

「クッ!てやあっ!」

 

 

何とか剣で弾き返すが、夫婦剣は折れてしまった。そして自分の横には赤い光の正体である赤い槍が刺さっていた。

 

 

「ふむ、やはりあの狗の槍は外れるな。役にも立たん」

 

 

そう言って吐き捨てるギルガメッシュさんから視線を逸らさずに考える。恐らく、僕の魔法は真面に通じない。勝つには本気で最強呪文を撃つしかない。それも周りの被害を顧みない最大火力でだ。リミッターを外せない状態で何処まで行けるか・・・。こんな時セシアが居れば・・・。

僕は夫婦剣だった物を地面に置いて、魔力を練る。そして一気に踏み出した。

 

 

「《ドラグナー・ナグル》!」

 

 

体に身体強化を掛けて接近する。飛んでくる武器の間を縫って、肉迫する。そしてギルガメッシュさんの前へと辿り着き、握り締めた拳を叩き込んだ。

 

 

「行っけえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悔いて恥じろ、《天の鎖(エンキドゥ)》」

 

「かはっ!?」

 

 

拳が届く前に大量の鎖が僕に絡みつく。全く身動きが取れない。

 

 

「その鎖は神格が強いほど拘束する力も上がる。神格持ちでない貴様でも宝具の前では何もできまい。・・・つまらん男だったな」

 

 

つまらなそうに呟く彼の背後から大量の武器が現れる。もしかしてこれ、絶体絶命のピンチですかね?

 

 

「死ね」

 

「・・・《コポルク》!」

 

 

その瞬間、僕の体の拘束は外れて武器の雨から抜け出した。ギルガメッシュさんは僕を見失ったのか辺りを見回している。

 

 

「チッ!何処へ行った!」

 

 

僕は武器の影に隠れる。隠れていると、その武器に自分の姿が映っていた。今の僕は2センチ位になっている。先程使った魔法《コポルク》は自分の体を小さくする魔法だ。主に脱出や奇襲に使う。まさかコレを使う事になろうとは・・・。う~ん・・・どうしたものかねぇ・・・。

 

 

刹那サイド終了

 




殺し合いでもこの余裕。
これが如月家クオリティ。
因みにこの時の刹那の恐怖メーター


現在のゲーム〈〈〈〈〈超えられない壁〈〈〈〈〈澪との修行
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