if〜刹那君は引きこもり〜   作:猫舌

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前回のあらすじ


刹那、誘拐・・・。


番外編せかんど! 《刹那君も異世界から来るそうですよ?》 第15話

刹那サイド

 

 

「・・・んぅ」

 

 

腹部に激痛を感じながら体を起こすとそこは豪華な部屋で、僕は柔らかいベッドの上で寝かされていた様だ・・・。

 

 

「此処は・・・」

 

 

ムニュ

 

 

「ぁん・・・」

 

「へっ・・・にゃあっ!?」

 

 

ベッドよりも柔らかい何かに触れた瞬間、声が聞こえた。視線を向けるとそこには一糸纏わぬ姿で寝ている僕を襲撃して来た女の人だった。触れてしまった物を尊像してしまい、顔に熱が篭る。

何とか落ち着いて、起こさない様にそっとベッドから降りて部屋を出る。コッソリ・・・コッソリと・・・。

 

 

「・・・何をなさってるんですか?」

 

「にゃっ!?・・・アハハ」

 

 

部屋から出て三十秒もしない内に人に見つかった。和服に身を包んだ少女が僕を怪訝な目で見る。僕もつい見つめてしまった。何故なら彼女の頭には・・・。

 

 

「私の頭に何か付いていますか・・・?」

 

「・・・ご立派な角をお持ちで」

 

 

耳の上辺りから真っ白な角が見えていたから・・・。

 

 

「・・・何故、《スカサハ》さんのお部屋から」

 

「僕が聞きたいですよ・・・兎に角、帰らせてください」

 

「帰るって・・・此処は箱庭でも上層部ですよ?」

 

「・・・なんですと?」

 

 

why?上層部?ギギギ、と首を動かすと外では何かデカイ生物が空を飛んでいて、それを更にデカイ生物が食べて飛んで行く、なんて光景が広がっていた・・・。

 

 

「・・・此処は何処ですか?」

 

「何処、と言われましても・・・《乙女の聖戦》の本拠ですが?」

 

「ファッ!?」

 

 

その言葉に思わず崩れ落ちる。それって昔にお母さんがやらかしたりした所なのでは!?

ま、マズい・・・もし僕がお母さんの息子とバレたら最後、全員からフルボッコにされるに違いない・・・!こ、怖いよ・・・。

 

 

「・・・ぐすっ」

 

「あ、あの・・・?」

 

「おかぁさん・・・たしゅけてぇ」

 

 

ダメだ。今まで我慢してきた色んな何かが崩れ落ちた感覚になった僕は自分を止められなかった。涙も止まらない。帰りたい・・・いざ兄達の所に・・・お母さんの所に・・・。

 

 

「ど、どうすれば・・・取り敢えず此方へ」

 

「・・・」

 

 

手を引かれ、抵抗もせずに着いて行く。何かもうどうでも良いや・・・。どうせ此処で死ぬんだ。気が付けば少女の部屋らしき和室に来ていた。それでも涙は止まらなかった。体も震えてくる。寒い・・・。

 

 

「もうやだ・・・もうやだ」

 

「・・・大丈夫です」

 

「ふぁ・・・」

 

 

僕を少女が抱きしめる。暖かく、優しい匂いが僕の震えと涙を打ち消していく。暫くすると、完全に震え等は無くなった。

 

 

「・・・ありがとうございます」

 

「いいえ。その、どうして貴方は此処に?覚えている限りでいいので」

 

「自分のコミュニティに帰ろうとした所で、襲われて・・・」

 

「そうでしたか・・・そのコミュニティというのは?」

 

「ノーネームです・・・」

 

「・・・では貴方はペルセウスを打倒した」

 

「はい。如月刹n・・・あ」

 

 

し、しまった!?つい名前を言ってしまった!少女は僕を見て、納得した様な表情を浮かべる。

 

 

「やはりあの人の・・・」

 

「えっと、やっぱり母を?」

 

「ええ。昔、完膚無きまでに叩きのめされましたから・・・」

 

「・・・ごめんなさい」

 

「貴方が謝る必要はありませんよ」

 

「ほわぁ・・・」

 

 

少女は笑いながら僕の頭を撫でる。気持ちいいけど、どうして皆僕の頭を撫でてくるのだろうか・・・?

 

 

「・・・そうだ!アテナさんと連絡って取れますか?」

 

「はい、一応は。・・・お知り合いですか?」

 

「はい・・・色々ありまして」

 

 

僕の言葉に、少女は部屋に備え付けられていた電話を取り出し、番号を掛け始めた。

 

 

「・・・あ、アテナ様?はい、《清姫》です。実は今コミュニティに刹那と言う子が・・・え?今から来る?窓?・・・アテナ様?」

 

 

どうやら電話が一方的に切れた様で、受話器を戻して窓を開ける。次の瞬間、僕は誰かに抱きしめられたいた。

 

 

「刹那さーーーーんっ!」

 

「ぎゅむっ!?あ、アテナさん・・・?」

 

「スーハー!スーハー!ああ、久方ぶりのグッドスメルと出番です!」

 

「えっと・・・お久しぶりです」

 

「はい!それで、どうして此処に?」

 

「どうやらスカサハさんが攫って来た様でして・・・」

 

「・・・あ゛?」

 

 

アテナさんから殺気とドスの籠った声が出る。僕は顔を見るのが怖いので目を瞑る。

 

 

「大丈夫ですからね~。ちょっとあの全身タイツBBAと決着付けに行くだけですから」

 

「・・・はい」

 

「清姫ちゃん。刹那さんの事、お願いしますね。確か冷蔵庫に私のプリン入ってますから刹那さんに」

 

「分かりました。さ、刹那ちゃん。参りましょう?」

 

「・・・男です」

 

「・・・はい?」

 

 

僕の言葉に清姫と呼ばれた少女は目を丸くする。なんでこう、皆僕の性別間違えるかな・・・。髪の毛本気で切ろうか。

 

 

「と、兎に角参りましょう。此方です」

 

「さて、どうしてやりましょうかあのタイツ・・・」

 

 

そんな事を呟きながらアテナさんは鎌を取り出して部屋を出て行った。それに続いて僕も清姫さんに連れて行かれる。

やがて食堂へ着き、椅子に座らされる。暫く待っていると、清姫さんがプリンを一つ持って来てくれた。

 

 

「はい、どうぞ」

 

「いただきます・・・甘い」

 

「ふふっ♪」

 

 

何か一人で食べるのが申し訳ない・・・。

 

 

「清姫さんも食べませんか?なんか悪い気がして・・・」

 

「まだ小さいのに遠慮しなくてもよろしいのですよ?」

 

「で、でも・・・」

 

 

引き下がらない僕に清姫さんはクスッと笑った。ちょっとドキドキした。

 

 

「では、少し貰いましょうか」

 

「はい!あーん」

 

「・・・天然ですか」

 

「てんねん?」

 

「何でもありません。では失礼して・・・はむっ。流石女神御用達なだけありますね」

 

 

二人でプリンを食べ、互いの事を話していると何人か食堂に入って来た。その中の一人であるピンクの髪の少女が清姫さんに話し掛ける。

 

 

「あら、こんな所に座っていても好物の蛙は出てこないわよ清姫?」

 

「ふふふ・・・それは貴女の方ではないの?《エリザベート》」

 

「私はドラゴンよ!?ド・ラ・ゴ・ン!」

 

「ドラゴン(笑)」

 

「串刺しにするわよ!?」

 

「やってご覧なさい。逆に焼いてさしあげますわ」

 

「なにw・・・そこの子リスは誰?」

 

「子リス・・・?」

 

 

指を指して来た少女に僕は首を傾げる。清姫さんはクスクスと笑いを堪えていた。それにカチンと来たのか少女はイライラしながら言う。

 

 

「何か可笑しい事言ったかしら?」

 

「ええ、それはもう。この子は男の娘ですから」

 

「今ちょっとニュアンス違いましたよね?」

 

「気の所為ですよ」

 

「な、男ですって!?私より可愛いじゃない・・・」

 

 

少女はその場に崩れ落ちる。何かもう訳わからん・・・。そう思っていると、残りの人達が僕に寄ってくる。

 

 

「もしかして君って澪の子供?」

 

「は、はい。息子です」

 

「そっかそっか。私は《ブーディカ》。どうしてこんな所に?」

 

「実は・・・」

 

 

僕は此処までの経緯を全て話した。話しきると、何か居た堪れない空気になった。

 

 

「えっと・・・ウチの馬鹿がゴメンね。あの人今期逃して焦ってるんだ」

 

「・・・でも綺麗な人でしたよね?」

 

 

寧ろ引く手数多な容姿だった気がするんだけど・・・。

 

 

「あー・・・見た目に反して頭の中戦闘と自殺願望しかないから皆寄って来ないのよ。それで毎回弟子の子がボコボコにされてね」

 

「それは・・・」

 

 

可愛そうだその弟子。思わずこの人でなし!と叫びたくなった。何時の間にか隣に座っていたエリザベートと呼ばれた少女が僕を撫でる。

 

 

「アンタも苦労してんのね。まあ、アテナがいるなら何とかなると思うわよ。私達も流石にコレは放っておけないし。大手コミュニティが事案とか洒落にならないわよ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「ま、眩しい・・・!」

 

「普段いかに自分の心が汚れているか分かるわね・・・」

 

 

何故か皆心臓部を抑えながら目を逸らす。そして突然外から爆音が聞こえて来た。皆で窓から外を見る。

 

 

「なに刹那さんに手を出してるんですかこのナチュラル痴女!」

 

「婚前交渉だ!この駄女神!」

 

「全身タイツ!」

 

「頭に花冠!」

 

「バーカ!」

 

「アホ!」

 

 

鎌と槍で攻撃し合いながらも口擊するアテナさん達がいた。思わず僕はあんぐりとなる。

 

 

「なんて底の低い戦いなのでしょうか・・・」

 

「えっと・・・」

 

「あ、私《沖田 総司》です。結構有名だと思うんですけどね」

 

「お、沖田って男の人なんじゃ・・・」

 

「ふっふっふ・・・何を隠そう私は正真正銘のおんnコフッ」

 

「沖田さぁん!?」

 

 

突然沖田さんが血を吐いて倒れた。僕は直ぐに回復魔法を掛ける。沖田さんの顔色が良くなって来たので、一先ず安心した。

 

 

「いやーすみません。持病持ちなもので・・・」

 

「し、心臓止まるかと思った」

 

「大丈夫ですか?若いうちに動悸は危ないですよ?」

 

「貴女の所為です!あ・な・た・の!」

 

 

何かこの人凄く疲れる・・・。溜息を吐きながら外を見ると、僕を誘拐した人・・・スカサハさんとか言う人が赤い槍を大量に呼び出してアテナさんに投げつける。アテナさんは余裕そうに避ける。アテナさんが振り下ろした鎌も悉く躱されていく。そして、互いの武器が衝突しようとしたその時、二人の間に人影が入り込んだ。

 

 

「せつな、かえせ!」

 

「あ、アステリオス!?」

 

 

影の正体は二刀流で斧を持ったアステリオスだった。僕は窓から飛び出して走る。

 

 

「アステリオス!」

 

「せつな、けが、ない?」

 

「うん!でもどうして?」

 

「さらわれてるの、みつけたから、たすけに、きた」

 

 

そう言ったアステリオスの体はあちこちに傷があってボロボロだった。僕はすぐにサイフォジオを唱え、傷を癒す。アステリオスの傷はたちまち治った。

 

 

「ありがとう、せつな」

 

「こっちこそ、助けに来てくれてありがとう!」

 

 

僕達が笑い合っていると、スカサハさんが槍を構えてアステリオスを睨んでいた。

 

 

「今すぐ離れろ怪物め。その心臓貫かれたいか?」

 

「いやだ。せつな、まもる!」

 

「ならくたばれ怪b「させない!」くっ!」

 

 

スカサハさんに魔力弾を放つ。スカサハさんは距離を取って僕に言う。

 

 

「ソイツが誰だか分かっているのか!子供を貪り食う怪物だぞ!」

 

「う・・・」

 

 

スカサハさんの怒声にアステリオスが呻く。いざ兄から少し聞いた。ミノタウロスと言う怪物の話を。でも、僕の前にいるアステリオスは怪物なんかじゃない。皆と仲良くしたいだけの僕と同じ子供なんだ。

僕はアステリオスの前に立つ。

 

 

「アステリオスは怪物なんかじゃない!」

 

「せつな・・・」

 

「本当に怪物なのは、人の気持ちも考えないで好き勝手にやる貴女だ!僕の友達に手を出してみろ・・・王の裁きが下ると思え!」

 

「ぐっ・・・」

 

 

僕の殺気にスカサハさんが数歩下がる。

 

 

「せつな・・・ともだち?」

 

「嫌だった?」

 

「ちがう。すごく、うれしい。ぼくを、あすてりおすって、よびつづけてくれた!うれしかった!」

 

「そっか。よかった・・・」

 

「ぼくも、たたかう。せつなを、まもる!」

 

「うん、行こうアステリオス!」

 

 

僕達が構えた瞬間、

 

 

「----待てよ、俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ」

 

 

僕達の頭上からいざ兄達が降りて来た。

 

 

「いざ兄!皆!」

 

「待たせたな。白夜叉に頼んで近くまで送ってもらったんだ」

 

「やっぱり此処だったか・・・刹那、怪我してねえか!?」

 

「刹那さんを攫うとは・・・許せません!」

 

「マスター!ご無事ですか!?」

 

「遅くなってすまないマスター」

 

「それで、刹那を誘拐した変態はどこだ?」

 

 

皆が僕を心配してくれている。そしていざ兄は視線をアステリオスへと移した。そしてアステリオスに近付いて、頭を下げた。

 

 

「へっ!?十六夜さん!?」

 

 

黒ウサギは驚く。それは僕もだ。いざ兄が頭を下げる所なんて始めて見た・・・。

 

 

「刹那を助けに来てくれてサンキュな」

 

「いい。せつな、ともだちだから」

 

「なら俺とも友達になろうぜ。同じ刹那を守りたい奴同士よ」

 

「うん。ぼく、あすてりおす」

 

「俺は逆廻十六夜だ。十六夜で良いぜ」

 

「よろしく、いざよい」

 

「あの~・・・忘れないでもらえます?」

 

 

いざ兄達の横から涙目のアテナさんが見ていた。いざ兄は思わず少し下がる。アステリオスもドン引きしていた。

 

 

「最初にあのタイツ止めてたの私なんですよ!?なのに刹那さんいざ兄だのアステリオスだの!いじけますよ!?アテナさんいじけちゃいますよ!?」

 

「め、面倒くせえ・・・」

 

 

いざ兄が心の底からの言葉を言う。

 

 

「それは良いですから早く加勢してください!黒ウサギ達じゃ持ちませんヨ!」

 

「「「「あ」」」」

 

「あってなんですか!?忘れてたでしょう!?」

 

「いやそんな」

 

「全然覚えてるぜ。なあ?」

 

「うん、だいじょうぶ」

 

「わ、分かってましたとも・・・」

 

「嘘おっしゃい!」

 

 

僕達は視線を逸らす。くろ姉達はスカサハさんと何時の間にか戦闘を開始していた。僕達も直ぐに加勢する。

 

 

「皆下がって!《テオザケル》!」

 

「ふんっ!」

 

「甘いぜタイツ痴女!」

 

「甘いのは貴様だたわけっ!」

 

「うるああああああっ!」

 

「チッ!」

 

 

僕達の連撃にスカサハさんは焦りの表情を浮かべ始める。そこにくろ姉達が連撃を叩き込む。

 

 

「はあっ!」

 

「このっ・・・!」

 

「そこです!」

 

「覚悟を決めてくれ!」

 

「私も忘れるなよ!」

 

 

連撃によろけた所で、アテナさんが鎌で斬り付ける。スカサハさんは呻くこともなく、血を流しながら下がる。

 

 

「フフフ・・・面白い!面白いぞ!」

 

「ガチの戦闘狂だぜアレは・・・」

 

「気持ち悪い・・・」

 

「刹那、あと少しの我慢だぜ」

 

 

オリオンといざ兄に励まされ、僕はもう一度構えて魔力を集中させる。リミッターを無理矢理外すのは危険だからあまり使えない。今ある魔力を限界まで!

 

 

「皆!少しだけ時間を稼いで!」

 

「任せろ!行くぜ!」

 

 

いざ兄達が散開しながら攻撃を始める。あとちょっと・・・あとちょっと・・・!限界まで魔力を集める。・・・来た!

 

 

「全員、回避!」

 

 

僕の合図に皆がスカサハさんから離れる。

 

 

「行っけえ!《バオウ・ザケルガ》!」

 

 

----バオオオオオオオオオォォォォォォ!!!

 

 

放たれた金色の龍がスカサハさんを飲み込む・・・

 

 

「----刺し穿ち」

 

 

筈だった。

スカサハさんの一突きでバオウの動きが弱まる。更にもう一発突きが放たれた。

 

 

「----突き穿つ」

 

 

バオウは完全にその勢いを無くした。そんなバオウにスカサハさんは凄まじい魔力を付与した赤い槍を振りかぶり、

 

 

「----《貫き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)》!」

 

 

その槍はバオウを貫き、完全に消滅させた。僕は唖然となる。今まで破られた事のなかったバオウが完膚無きまでに粉砕されたのだ。

 

 

「ふむ。中々の威力だ。だが、所詮は魔法だ。宝具には勝てん」

 

 

そう言うスカサハさんに対し、僕達は冷や汗が止まらなかった。間違いなく、次は無い・・・!

 

 

「さて、そろそろ外野を潰して刹那をいたd「家の子がなんだって?」・・・はひ?」

 

「あわわ・・・!」

 

 

再びフリーズする。何故なら、スカサハさんの頭を後ろから鷲掴みする・・・。

 

 

「なに家の子さらっとんじゃあ!」

 

「お母さん!?」

 

「「「「え、お母さん!?」」」」

 

「刹那ぁ!会いたかったよ!」

 

 

僕の母《如月 澪》がいたのだから・・・。

 

 

「はいドーン!」

 

「ぱしふぃこっ!?」

 

「刹那ー!」

 

「お母さん!」

 

 

スカサハさんを地面に沈めてからお母さんは僕に飛びつく。僕もお母さんにしがみついた。

 

 

「刹那が出かけてから三分も帰って来ないから心配しちゃったよ!」

 

「さ、さんふん?」

 

「うん!それでサーチャー使って追いかけたら刹那が何か懐かしい物で飛ばされたから急いで転移系のロストロギア探して来たんだよ!」

 

「なんて行動力だよ・・・」

 

「ん?君誰?」

 

「あ、俺は逆廻十六夜だ。刹那と同じコミュニティに所属してる」

 

「刹那、コミュニティに入ってたの?何処?」

 

「ノーネームだよ」

 

 

僕が言うと、お母さんはそうかそうかと言って僕を撫でてから抱き上げる。そして皆に頭を下げた。

 

 

「家の子がお世話になりました」

 

「い、いえ!元はと言えば黒ウサギが招待状を送ってしまったからで・・・!」

 

「いえいえ。前の私だったらこの場でブチ殺しますが、今は一児の母。おしとやかに目を瞑りましょう」

 

 

お母さん。さっきスカサハさん地面に沈めてなかった?なんか出ちゃいけない落としてたよ?

色々言いたい気持ちをグッと堪えて、お母さんに抱き着く。ああ、久しぶりのお母さんの匂いだぁ・・・。

 

 

「さて、タイツも屠ったし帰りますか!」

 

「え、もう帰ってしまわれるのですか!?」

 

「もうも何も向こうとこっちじゃ時間の流れがバラバラだから早く戻らないとどれだけ経ってるか分からないんだよ」

 

「あ・・・そう、ですね」

 

 

くろ姉はそう言って下がった。耳がくにゃっと垂れ下がってしまっている。僕はお母さんから降りて、くろ姉に飛びついた。

 

 

「せ、刹那さん!?」

 

「くろ姉、また会えるから。だから、笑って?」

 

「・・・っ!はいっ・・・!」

 

 

僕だって悲しい。数日感とは言え、家族の様に接してくれて共に過ごした仲間だから・・・。今度はいざ兄に飛びつく。いざ兄は難なくキャッチしてくれた。

 

 

「いざ兄。僕に優しくしてくれたありがとう。僕のお兄ちゃんでいてくれてありがとう・・・またね」

 

「ああ、またな。俺もお前の兄でいれた事、誇りに思うぜ」

 

「うん・・・オリオン!」

 

「おう!」

 

 

服の間に入れていたオリオンを取り出して抱きしめる。

 

 

「お嫁さんと仲良くね。ちゃんとごめんなさいするんだよ?」

 

「お前に言われたら聞くしかねえな。・・・本当にありがとな」

 

「うん・・・またね」

 

 

オリオンからをいざ兄に渡し、アステリオスに抱き着く。

 

 

「アステリオス。まだ会って間もないけど、僕と友達になってくれてありがとう」

 

「ぼくも、うれしかった、よ。そう、だ、せつなの、けんぞく、なる」

 

「良いの?」

 

「うん。せつな、といたい」

 

 

そう言うと、アステリオスの体が僕のギフトカードの中へと入って行く。ギフトカードにはアステリオスの名が刻まれていた。

僕は次にジャンヌとジークに向き合う。

 

 

「二人共、僕に付いて来てくれてありがとう。本当に感謝してる」

 

「いえ。私達は自分の意思で貴女に隷属すると誓ったのです」

 

「ああ。俺達こそ優しいマスターに出会えて良かった」

 

「これからも、僕に付いて来てくれる?」

 

「「もちろん、マイマスター」」

 

 

そう言って二人もギフトカードの中へと入る。今度はレティシアに抱き着く。

 

 

「レティシアも、こんな僕を好きになってくれてありがとう」

 

「それなら、受け入れてくれると嬉しいのだがな」

 

「それはちょっと・・・」

 

「ふふっ、冗談だよ。何時か君の世界へ必ず行ってみせる」

 

「その時は家族で歓迎するね」

 

「ありがとう。また何時か会おう」

 

「うん!」

 

 

僕はレティシアから離れて、本拠の中にいる清姫さん達に声を掛ける。

 

 

「清姫さん!エリザベートさん!ブーディカさん!沖田さん!お世話になりました!」

 

「此方こそ、新鮮な出会いでしたよ。刹那君。いえ、ますたぁ」

 

「えっ」

 

 

気が付けば清姫さんの名がカードに刻まれていた。・・・どゆこと?そう思っていると清姫さんがカードから出て来て話す。

 

 

「言ってしまえば一目惚れ、ですね」

 

「ひ、ひとめぼれ?」

 

「はい。あの小さくも雄々しく戦うあのお姿。なんて愛らしいのでしょうか、と。ですからこれからお願いしますね」

 

「は、はい・・・」

 

 

唐突すぎて事態が飲み込めない。

 

 

「ちょっと待ちなさい!私も連れて行くのよ子リス!」

 

「エリザベートさんもですか!?」

 

「当たり前よ!遂に私も箱庭から別世界デビューよ!きっと私の帰還ライブに地球のファンも大いに喜ぶわ!そう言う事でアンタ、マネージャーだから」

 

「ま、マネージャー?」

 

 

考えている間に、エリザベートさんもカードに入る。あの、清姫さんと喧嘩するの止めてもらえませんか?カードが小刻みに揺れてるんですけど・・・。

僕はアテナさんの所へ戻り、頭を下げる。

 

 

「アテナさん、今回は本当にありがとうございました」

 

「そんな!私こそ最初に刹那さんの異変に気付かず、申し訳ありません」

 

「まあまあ。そうだ、アテナちゃん家でお茶してかない?久しぶりに刹那談義と洒落こみましょ」

 

「是非っ!」

 

「あ、お母さんちょっと待って!手紙を書かせてほしいんだ」

 

「手紙?コミュニティの皆に?」

 

「うん!あす姉達にせめてありがとうって伝えたいんだ」

 

「分かった。アテナちゃん、ちょっと紙とペン貸して」

 

「はい。すぐに取ってきますね」

 

 

そう言ってアテナさんはコミュニティに戻って行った。

 

 

「お待たせしました!あと刹那さん、リュックの忘れ物です」

 

「ありがとうございますアテナさん!」

 

 

僕は直ぐに手紙を書き始め、人数分書いてくろ姉に渡す。

 

 

「これはしろ姉に、一緒にルイオスの分も」

 

「ルイオス様の分も・・・ですか?」

 

「うん。お父さんの服とかくれたから!」

 

「分かりました。必ず渡します」

 

「ありがと!」

 

 

そして僕とお母さん、アテナさんの三人で寄り合い、お母さんがロストロギアを起動させる。

 

 

「皆!ありがとう!大好きだよ!」

 

 

皆も涙を流しながら僕に手を振ってくれる。そして僕の体は光に包まれた。

こうして、僕の長い様で短かった冒険は終わりを告げる・・・

 

 

「あ、間違えた」

 

 

筈だった・・・。

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

刹那が帰還してから数日、ノーネームは暗い雰囲気に包まれていた。朝は誰かが刹那の部屋へつい起こしに入り、食事は一人分多く作ってしまう。偶に聞こえる子供の声を刹那の声と聞き間違えるのは日常茶飯事となっていた。

 

 

「・・・だー!何時までも気にしても仕方ねえ!お前ら、気合入れてくぞ!」

 

 

何かを振り切った表情で十六夜が叫ぶ。そして天井へ向かって指を指した。皆が首を傾げる中、十六夜は不敵に笑う。

 

 

「アイツの夢は俺が叶える」

 

「・・・そうですね。刹那さんが次に来た時の為に、頑張りましょう!」

 

 

刹那の目標を知っている二人が元気を出す中、残りのメンバーは首を傾げていた。

 

 

「いいか。刹那の目標はな・・・」

 

 

何時か白髪の少年と会える事を信じて、旗印を取り戻す為に彼らは進む。どこまでも・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

刹那サイド

 

 

「「「・・・」」」

 

「さて・・・お母さん」

 

「何かな、刹那?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処どこさああああああああああ!?」

 

 

気が付けば僕達は見た事もない世界へ来ていた。明らかに地球じゃない。だって馬車走ってるもん此処!そう思っていると、馬車が一台止まり、運転手が話しかけてきた。

 

 

「こんな所で何やってんだアンタら?」

 

「い、いえ何でもないです!」

 

「そうか。アンタら旅人かい?だったらようこそ《オラリオ》へ!」

 

 

元の世界で待っていてくれているセシアさんへ・・・。僕達はまだ、冒険する事になりそうです・・・。

こうして暫くの間、この世界で色々な騒動に巻き込まれる事になったけど、それはまた別のお話・・・。

 

 

刹那サイド終了




今回で番外編せかんど!は終わりです!
次回から本編に入って行きます!
本編を待っていてくれた方々、本当にお待たせしました!
それでは、また次回!
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