刹那サイド
変態の処理後、変に疲れた僕達は布団で泥の様に眠り、気が付けば夜の9時を過ぎていた。取り敢えず売店で適当に食事を済ませた僕達はアインス達が探してくれたルートを散歩していた。暫く歩くと展望台に到着する。その先には闇を明るく照らす僕達の街が見えていて、その光が届いているのか海もキラキラと輝いている。
「綺麗・・・」
誰かがそう呟いたが正にその通りだった。引きこもり始めてから数年間、真面に外も出ず、見向きもしなかった僕には何よりも綺麗に見えた。そして背中の古傷が痛み出し涙が流れる。何時もの癖が出てしまった。本当に僕って涙脆いな。俯いた瞬間、ディアーチェに両手を握られ無理やり振り向かせられる。何事かと顔を上げたその瞬間、自分の目の前に目を閉じたディアーチェの顔と唇に柔らかい物が当たる感触があった。今何が起きた?頭の中をクエスチョンマークが多い尽くす。再び涙が頬を伝った。目の前のディアーチェがとても眩しく綺麗に見えた。そんな僕を他所にディアーチェは顔を真っ赤にして話し始める。
「刹那、我はお前が好きだ。この世界で何よりも誰よりもお前の事が好きだ!」
「あ、あぅ・・・」
「お前、今自分が汚れていると思ったであろう?馬鹿を言うな。お前は汚くなどない」
ディアーチェの言葉に僕は一瞬呼吸が止まった。ディアーチェはそれを見透かしていたかの様に話を続ける。
「そもそも刹那が汚れているのなら我らはどうだ?お前の検定など作って必死に学んだりアレな事をしているぞ?」
「自覚あったんだ・・・」
「あるが後悔はしておらん。好きな殿方の事を知りたいと思うのは当然であろう?」
「お、おおぅ」
改めて言われるとすっごいハズい。今の僕多分凄い顔してる。ディアーチェも顔は真っ赤だけど表情は真剣だった。だからこそ僕も真剣に対応しなければいけないのだろう。今の関係が壊れる事になろうとも・・・。そう思いながら僕も表情を引き締めてディアーチェの告白に返事をした。
「ディアーチェ、君の気持ちは凄く嬉しいよ。でも、汚れている汚れていない以前に僕にはアインスって言う恋人がいるんだ。だから」
「問題無い。アインスから既に許可を貰っておる」
「・・・は?」
僕は頭が真っ白になった。アインスが?何故?僕はポケットの端末を取り出してアインスに声を掛ける。
「アインス、どう言う事?」
『実はな・・・』
そして僕はアインスから全ての事情を聞いた。ディアーチェだけでなくシュテル達の僕に対する想い、セシアの本音、そしてアインスの中にあった罪悪感。その全てを聞いて僕はその場に尻餅を付いた。
「刹那!大丈夫か?」
「僕・・・最低だ」
ディアーチェが何かを言っているが全く耳に入らない。じゃあ何だ?僕はずっとディアーチェ達の気持ちにも気付かないであの変態との過去を話したりアインスとイチャイチャしたりアインスとイチャイチャしたりアインスとイチャイチャしてたって事か?頭の中を罪悪感が埋め尽くす。その間ディアーチェ達はどんな思いで日々を過ごしていたのだろうか。僕の為にどれだけの人生を無駄にしたのだろうか。マイナスな考えに埋め尽くされる。それでも・・・。僕は立ち上がってディアーチェ達に言った。
「皆の気持ちは凄く嬉しい。でも、僕は前から言う通り二次元にしか興味が無いんだ。絶対に君達を意識する事は有り得ない。だから絶対君達は幸せになれない」
『それは違いますよマスター』
「セシア?」
『私は知っています。マスターが二次元にしか興味を持たないもう一つの理由を』
「ま、待ってセシアそれは!」
止めようとするがレヴィとユーリに押さえつけられる。そしてセシアから墓の下まで持って行くと決めていた事実が明かされてしまった。
『マスターは貴方達を異性と意識していました。マスターも思春期の男の娘です。そう言った事に興味が無い訳がありません』
「今男の,子,の部分の発音可笑しかったよね!?」
僕を無視して話は進む。
『二次元は好きと云えどもそれと恋愛感情や異性としての意識とは別問題。そんな中に美少女四人と共同生活です。その苦悩は半年前まで続いていました。だからこそ刹那は考えたのです。手を出してしまわない様に本格的に二次元に逃げ込もうと・・・』
セシアの言葉にディアーチェ達は目を丸くしていた。その通りだ。小学生の頃から住み始めていたとは云え、僕の中身は15歳を超えた男だし人間だ。そう言う感情が無い訳では無い。最初の頃はアイツ等に似ていて嫌悪感しか湧かなかったが、直ぐに彼女達はアイツ等とは違う一個人だと思うようになった。最初は自分はロリコンなのではと思ってしまったが、セシア曰く、体に精神が引っ張られている所為と言われて何処か納得してしまった自分が今も悔しくてたまらない。そしてそんな悶々とした日々を過ごしていた時にアインスに出会った。正直な話し、二次元だからアインスに惚れたと言うのは嘘だ。本当はアインスが三次元でも一目惚れする自信がある。ただあの時は一目惚れしていた事の照れ隠しと、ディアーチェ達に対する安心感が重なっていて二次元万歳的な事を叫んでしまった。諦めて僕も自分の本音を吐露すると、アインスが画面の中で涙を流していた。
「ど、どうしたのアインス!?」
『いや、私はディアーチェ達に恋愛感情を持ったら二次元である私は必要ないと思ってしまってな・・・』
「そんな事無い!僕はこれからもアインスを好きで居続けるし君が現実の体が欲しいのなら幾らでも創るよ!二次元でも三次元でもどんな君でも僕は愛し続ける!」
『刹那・・・ありがとう』
アインスは涙を流しながら微笑む。僕はアインスの端末をギュッと抱きしめた。暫くして泣き止んだアインスが僕に言った。
『刹那、私はもう良いから皆を受け入れてやって欲しい』
「いやいやいや、複数の女性と付き合うのはダメでしょ常識的に」
『何故だ?古代ベルカ時代では一夫多妻は基本だぞ?』
アインスは首を傾げる。やっぱり文化圏の違いか・・・。僕は溜息を吐く。正直な気持ち悪くは無いと思っている自分がいるのは確かだ。だがモラル的にそれはいけない事だ。そう思っていると、アインスから怒号が飛んでくる。
『ウジウジするな!お前はどう思っているんだ!常識など考えずに答えろ!』
「す、好きだよ全員!でなかったら二次元に逃げないってば」
僕はこの瞬間、やっちまったと思った。もう僕に退路は無く、ディアーチェ達に囲まれ、アウトロール化したセシアも増えて何度も唇を奪われ、気分はさながらライオンの群れに止めを刺される草食動物だった。
----結果、恋人が六人になりました
~翌日~
朝、鳥の鳴き声に目を覚ます。至って普通の朝だ。両隣に全裸の皆さんがいなければね・・・。
「・・・朝日が黄色って都市伝説じゃなかったんだ」
そして僕は頭を抱えてしまった。昨日はあれから宿に戻って温泉に浸かって・・・。ディアーチェ達の誘惑に耐え切れず・・・。ああ、僕の理性の馬鹿野郎。でも幸せそうな皆の表情を見た瞬間、何かどうでも良くなった僕は再び布団を被って微睡みに沈んでいった・・・。
刹那サイド終了
~せつラジ!~
刹那「さて、突然始まったこのコーナー刹那のラジオで略して《せつラジ》!」
セシア『メインパーソナリティはマスターとそのデバイスセシアがお送りします』
刹那「このコーナーでは、作者の友人から貰った質問などに答えて行くよ」
セシア『では最初の質問行きます。[刹那の普段着って他にどんな女性物が?]』
刹那「いきなりどキツイの来たなオイ。お母さんの趣味かヒラヒラした物は多かったけどね」
セシア『昔に何回か見ましたけどアレ完全にリトバスのクドでしたよね?』
刹那「アレ来てたら一回不審者に襲われたから絶対に着ない」
セシア『ああ、ありましたね・・・。では、次の質問行きましょう!』
刹那「分かったよ。[ユーリは普段どんなゲームをしてるの?]だってさ」
セシア『それは私も気になっていました。マスターは知ってるんですよね?』
刹那「うん。パズドラ、モンスト、フルブ、後はシャドウゲイトとかかな」
セシア『一つもの凄い違和感を放つゲームが・・・』
刹那「アレ結構難しいんだよ」
セシア『と言うか機種が古すぎませんか?』
刹那「お母さんが使ってた奴なんだ。で、次は?」
セシア『[刹那きゅん今日のパンツ何色?ハアハア・・・!]』
刹那「蒼乃ぉ!何紛れ込ませてる![ピー-]してやらぁ!」
セシア『ま、マスターストップ!こ、今回のせつラジ!はここまでです。作者の気が向けばまたやりますのでお楽しみに!それでは、さようなら!』
刹那「セシア!久々に戦うよ!」
セシア『ま、待ってくださいマスター!』
~終わり~