頂きを目指すもの(改訂版)    作:しゅてるんるん

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ストックは全くないので序盤は以前の作品を手直ししつつ進めていこうと思います




第一局

~茨城~

 

俺が受験するのは茨城の県立土浦東高校だ

 

事前に調べたところ麻雀部は存在はしているものの、現在は部員数がゼロつまり今年

 

部員が一人も入らなかった場合は廃部になるらしい

 

まあ、俺は最初から個人で狙ってたから団体戦に出れないのはそこまでマイナスでもないんだけどな

 

環境は予想以上に悪いな

 

自分で打てる場所探しておかないと勘が鈍っちまう

 

とりあえずは目の前の受験を終わらせて受かることが一番大切なんだけど、正直レベル的にはちょうどのところを選んでいるから馬鹿みたいに勉強をする必要もなく、気が向いたら赤本と向き合って気分転換に一人で牌をいじったりしたりしている

 

そうこうしているうちに受験は終了した

 

そして今日は合格発表の日だ

 

「368か……あったあった。よし帰るか」

 

受けって当然だと思ってたし全く感動する事も無く合格発表会場を後にした

 

 

 

母の仕事は雑誌の記者で今日は取材で遅くなるらしい

 

合格したってことだけを伝えて俺は家に帰る途中に雀荘を探していた

 

一人でも打つことが出来る雀荘はなかなか見つからなかったが

 

家から600mほどのところに麻雀喫茶というものを見つけた

 

一品の料理と飲み物の注文をすれば満席になるまで打たせ続けてくれるっていうかなり良心的な店だった

 

毎日通うわけにはいかないから俺の小遣いとこれからするであろうバイトでなんとか来れるときはこようと思った

 

高校入学から一月たったが俺ってコミュニケーション能力が乏しかったせいかクラスでは孤立している

 

考えてみれば当たり前っちゃ当たり前かもしれないけどな

 

この学校は対して頭がいいわけでもないのに教師も生徒も進学校を気取ってるから

 

麻雀部に所属している奴と話すやつも余りいない

 

たぶん心の中で馬鹿にしてるんだろな、麻雀なんて運のゲームだろとか所詮麻雀だとか

 

そんな奴らと仲良くできる気がしないからいいんだけどな

 

バイト先は偶然にも麻雀喫茶で打ってる時に店長と意気投合して働かせてもらえることになった

 

おかげで、勘を鈍らせること無く、毎日のようにタダで麻雀を打つことが出来る

 

そのうえ、給料までもらえるなんていうことなしだ

 

しかも、余った料理を家に持って帰らせてもらっているおかげで母が仕事でいないときも飯には困らない

 

ひたすら麻雀だけに打ち込める環境に偶然なった

 

全国大会の予選まではまだ一か月ある

 

この地区の強豪について調べてみたけれど、全国区の化け物じみた奴はいなかった

 

しいて言うなら茨城東高校にいる荒川真治は茨城でも一人群を抜いていた

 

茨城からの個人全国への切符は二枚

 

おそらく荒川は俺の前に立ちはだかるだろう

 

だが、俺は絶対に負けない

 

そのために今は打ち続ける

 

ここは店だから、お客さんを飛ばしたりしないように気を付けて打ったり、気持ちよく打ってもらうために意図的に振り込んだりしないといけないから、その分難易度が上がる

 

求められるのは、純粋な麻雀の強さではなく、素人から玄人までいる打ち手の手配を読むことだ

 

おかげでかなり器用なうち回しができるようになった

 

後、麻雀部にもしっかりと部費が宛がわれていた

 

部員一人だから大した額ではないが俺が全国に行ったと仮定した時の宿泊滞在費には十分すぎる額だった

 

顧問に使い道を聞かれたとき俺が全国大会の旅費にしますと言ったら顧問は目を輝かせて応援してくれた

 

麻雀部の顧問は若い教師で熱血な男だったみたいだ

 

この進学校気取りの学校でついつい浮きがちで面倒な麻雀部を押し付けられたらしい

 

麻雀は学生時代に打っていたから、ただのゲームとは思っていないみたいでかなりやりやすい

 

俺が学校で話をするのは顧問くらいだな

 

…ホントに俺って友達居ないんだな

 

これでも北海道にいたときは結構いたんだけどな

 

主に麻雀つながりだったけど

 

 

「今日は県予選だなだな。俺はお前なら全国に行けると信じているぞ」

 

顧問に激励の言葉をもらって俺はエントリーしていた個人戦の予選会場に向かった

 

結果からいうと予選は2位で突破した

 

多分、茨城の男子のレベルは全国でもかなり低いと思う

 

点数計算がギリギリできる程度の奴もいればビリなのにオーラスをタンヤオだけで上がったりと雑魚ばかりだった

 

直撃は一度もなかったがそういう奴らの所為で荒川に少し点数で負けている

 

決勝は半荘5回の総得点で決まる

 

その中に一度くらい荒川との直接対決もあるはずだ

 

そこで叩き落とすしかないな

 

~決勝第一局~

 

俺の卓にいるのは予選25、16、5の奴らだ

 

5位の奴は一回見たが細かい役で何度も上がって点数を稼ぐタイプだ

 

ただ、一度崩れるとなかなか復帰できないタイプにも見える

 

「立直!!」

 

『予選2位の藤原選手先制立直ぃ!!』

 

さて、とりあえず景気づけに一発で行っときたいな

 

対面に座っている5位の奴から当たり牌が出た

 

よし!!

 

「ロン!!立直一発一気通貫ドラ…裏が乗って4、16000だ」

 

『倍満!!先制立直は倍満、これは痛い!!』

 

絶望的な顔してるな

 

これでたぶんこいつはもうこの半荘は立ち直らないだろ

 

結局立ち直れなかったようで結果は東4局で俺の親満直撃の飛びで終了した

 

『圧倒的!!藤原選手、この半荘を+34で終了しています』

 

今日は絶好調だな

 

この調子で一気に全国決めちまいたいところだ

 

茨城じゃ俺は満足できない

 

もっと化け物とかとやりあいたいんだけどな

 

それは全国の楽しみにしておくか

 

~決勝戦第五局~

 

『茨城大会男子個人戦もいよいよ大詰め!!この卓を囲むのは1位~4位の選手です。つまりこの局の結果次第で全国への切符をつかむものが決まります。現在1位はここまで圧倒的な強さで勝ってきた藤原選手。2位は荒川選手、3位は山中選手、4位は田中選手となっています。尚、藤原選手はほぼ全国が確定していると言っても過言ではありません。ここまでの4回の半荘で+152。2位以下と50程の差が開いています。しかしまだ勝負は分からない。最後の半荘が始まります。起家は田中選手からです』

 

ここまでは予定通りだ。後はこの半荘を上がりきるだけだ

 

荒川はやっぱりこの地区では一人飛び抜けているようだ

 

団体戦でも全国を決めていたし、チーム全体のレベルも悪くはない

 

ただ、個人の優勝は譲れないな

 

最小の失点で最大の得点をたたき出させてもらう

 

この半荘を最後までやるつもりは無いからな

 

東一局は荒川のタンヤオドラ2のツモで上がられた

 

この半荘の結果がどうなろうとたぶん俺と荒川が全国に行くことはほぼ確定だな

 

~南三局~

 

俺の親番だここまで俺が一回満貫を山中に直撃させて後はツモ和了りだけだ

 

点数は

 

俺…40000

荒川…36000

山中…13000

田中…14000

 

つまりこの局で俺が18000を荒川以外に直撃させればこの大会は終了する

 

 

 

8巡目に下家の山中が俺の当たり牌を出した

 

これで俺の優勝だな

 

「ロン!!タンヤオトイトイドラ3、18000だ」

 

『完全決着!!茨城県男子個人戦は圧倒的な強さで藤原選手の優勝、2位は荒川選手

 

です。』

 

試合が終了するとすぐに荒川真治が俺のところまで歩いてきた

 

「茨城に君のような打ち手が居たなんてな。全国ではお互い頑張ろう」

 

「荒川さんとはまた打ちたいですね。俺の名前は藤原寛って言います。今後ともよろ

 

しくお願いします」

 

俺は荒川と握手をした

 

「よしてくれよ。勝者は君だ。俺は麻雀に年齢は関係ないと思ってるから敬語はやめ

 

てくれ。俺は荒川真治だ。気軽に真治とでも呼んでくれ。俺も寛って呼ぶからさ。」

 

「分かった。全国でまた会おうぜ真治。」

 

「ああ。寛も負けるなよ。」

 

全国で再び戦う約束をして俺たちは控室に戻っていった

 

「やったな藤原!!おめでとう」

 

控室に戻ると顧問が心からの賛辞を贈ってくれた

 

昔なら今ここに戻ってきたのは大将戦の後で迎えてくれたのはチームメイトだったん

 

だけどな

 

個人戦もいいけどいつかはもう一回行きたいな団体で全国に…

 

 

~一か月後~

 

「本当に引率で行かなくてもいいのか?」

 

全国大会の直前になって顧問が心配し始めた

 

「東京ですよ?今時中学生でもひとりで行けますよ。電車ですぐじゃないすか」

 

「学校側としてはだな、何か問題があった時に一人で行かせたというのはまずいんだ

 

よ」

 

確かにそれは一理ある

 

事故にでも巻き込まれたとしたら責任問題だからな

 

「じゃあ取り合えず俺は抽せん日までに現地に向かうんで、先生は試合開始日に合わ

せてこっちにくる。俺は少し先に一人で旅行に向かって、そのまま現地で先生と合流

したってことにすれば全く問題はないでしょ?」

 

「よくそこまで頭が回るな。…まあそれでいいなら許可しよう。ホテル等は予算の範

囲内で決まったら連絡してくれ。」

 

「わかりました」

 

母さんに頼んでホテルはできるだけ会場に近い場所を取ってもらった

 

万が一寝坊したとしても問題ない

 

…まあ個人戦は全部午後からになってるから遅刻はありえないけどな

 

出発は明後日になっている

 

 

 

俺が全国大会に出ることを知ってる学校の人間は、校長と顧問とあと少しの教師くら

 

いだろう

 

校長も昔は雀荘でガンガン打ってたタイプらしく、応援してくれた

 

 

すでに決まっている北海道代表の全国大会の出場者にはあいつらの名前は無かった

 

予想通りっちゃ予想通りだけどな

 

流石に一年目でそんな約束が達成されるとは微塵も思っていない

 

俺はともかく個人の力量であいつらが全国にくるのは難しいからな

 

ただ…来年、再来年は全くわからない

 

俺は奴らを待ち続ける

 

全国大会の会場で




感想お待ちしています

プロローグの変更に伴い、細部を変更させていただきました

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