東方喰種(トーホーグール)【幻】   作:卵かけごはん

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今回かなり文章少なめです。
すいません。
金木君の赫子の百足かっこいいです。


第2話 「憎悪」

金木「ふぅ,流石に冷えるな..」

金木は今、夜の森を神社があるという方向に向かい、一人歩いていた。

いくら喰種でも夜の森の寒さはこたえる。

大妖精曰く、「夜は妖怪が活発化して、積極的に人間を襲ってくる。」とのことだったが、

多少危険を冒してでもできるだけ早く神社に着きたかった。

 

金木「それにしても..まるで江戸時代にタイムスリップしたみたいだな...」

幻想郷を覆う大結界というものの影響なのか、どうやらこの世界の科学の発展は芳しくないようだ。

勿論、電灯などという気の利いたものもない。

 

しかしそのおかげで夜空には満天の星が広がっていた。

金木「綺麗だな...」

金木は東京の外にあまり出たことがない。

ここまで多くの星を見たのは実は初めてだった。

 

金木「!」

夜空に感嘆していた金木の鋭い聴覚が突然、地鳴りのような音を感じ取った。

金木(なんだこの音...地震!?いや..そんな感じじゃない)

金木「まさかこれは...!」

 

突如、森の中から巨大な【何か】が現れた。

金木には【それ】が何なのか、大体の予想が付いていた。

【妖怪】。

日本で伝承される民間信仰において、人間の理解を超える奇怪で異常な現象や、

あるいはそれらを起こす、不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な存在のこと。

 

金木はそんなものを今までに見たことはない。

存在を信じていなかったのだから、それも当然である。

しかし森から現れた【それ】の出す音に、金木は不思議と聞き覚えがあった。

 

「シュルルル」

独特な蛇の舌にも似た音。

...現れたのは全長17Mはあろうかという巨大な「百足(ムカデ)」

 

「百足」。金木のコードネームの一つであると同時に彼自身が最も嫌悪する物。

 

金木の動きが止まる。

大百足がこちらを見据える。

大百足が金木の存在に気付いたようだ。

「ビュン!」

大百足が尻尾を刺すように振るった。

 

とっさの判断でそれを躱すが、動きが遅れてしまった。

金木の脇腹に枝分かれした大百足の尻尾が掠る。

 

どうやら妖怪が夜、人間を積極的に襲うというのは本当らしい。

金木「っ!」

金木の脇腹から血が噴き出す。

不意を突かれた。

金木(くそっ!ここは逃げ..)

 

逃げようとする金木の頭とは裏腹に、身体は動こうとしない。

沢山の負の感情が身体から込み上げる。

 

【痛み】、【恐怖】、【憎悪】。

 

そのすべてが目の前の【毒虫】に向かう。

 

金木「あ..あ...あああああ!」

金木の中から【何か】が込み上げてくる。

 

必死に抑え込もうとするが、込み上げる【それ】は止まらない。

金木「うあ...ァァァ!」

金木「な..んで..こんな..簡単に..」

金木「押さえ..込んでた...はずな..のに」

金木「っ!..嫌だ!...僕はもう、命を摘み...たくない。」

金木「...摘んじゃいけないんだ!」

 

...必死に自分に叱咤をかけるが、やはり僕の中から込み上げる【それ】は止まらない。

 

『フッ』と意識が消える。

 

まるで枷(かせ)が外れたかのように力は開放を求め、皮膚を突き破り

金木の腰あたりから普段の2周り以上はあろう赫子が2本飛び出した。

 

...それは目の前の【毒虫】に酷似していた。

金木が【百足】のコードネームで呼ばれる所以である。

 

顔の半分は異質な仮面のようなもので覆われた。

 

【赫者】。

共食いを繰り返した喰種から稀に発生する変異種。

体内に多量の【赫胞】を持つ、通常の喰種より格段に強力な個体。

 

金木は不完全ながら赫者であるが、不完全であるがゆえに精神状態が不安定である。

 

自身に向けられる強大な敵意に大百足の身が竦む。

 

大百足が金木に向かい一直線に突っ込んできた。

先に仕掛けなければ確実にやられると判断したのだろうか?

 

直進する大百足のスピードはすざまじいものだったが、金木なら容易くよけられるだろう。

しかし金木はその場をうごかない。

 

大百足の牙が豪快に金木に噛みつく。

 

---...しかし、金木は動こうとしない。

 

「キィィン...」

...夜の森に響いたのは、肉が飛び散る音ではなく、つんざくような金属音。

赫子がとぐろを巻くように金木に巻き付いていた。

 

「グシャァ!」

金木が大百足の触角を引き抜く。

大百足「ギシャァァァ!」

大百足が苦悶の声を上げる。

 

「バキッ!」

金木が嬉しそうに指を鳴らす。

 

「ドガァァァ!」

苦しそうにもがく大百足の頭上に跳び、手加減なしに赫子を叩き付ける。

 

...大百足は叫び声を上げる間もなく絶命した。

金木「.....」

 

---丁度その頃、金木のすぐ近くの上空を紅白の巫女服を着た少女が通り過ぎようとしていた。

 

?「ふぅ、やっぱ夜の森は冷えるわね」

「ドガァァァ!」

?「っ!爆発!?」

突然少女の耳に大きな爆発音のようなものが聞こえてくる。

 

?「...あれかしら?」

少女の目線の先には頭の潰れた巨大な百足が倒れていた。

ビュン!少女が大百足に向かい降下する。

「ザン!」金木の数M前に少女が着地する。

 

金木「...?」

?「これをやったのは...貴方よね..どう見ても。」

?(...見た目はどう見ても人間じゃなさそうだけど、微かに霊力を感じる。

半人半妖?いや、そんな感じじゃない。)

?(まず、こんな奴は幻想郷にいなかった。となると...)

?(あのスキマ妖怪!!)

 

?「ふぅ~」

少女が大きなため息をつく。

 

?「妖怪だか人間だか知らないけど取り敢えずあんたみたいな強い力持った奴は【弾幕ごっこ】で決闘をするのがここのルールよ。」

 

金木「.....」

金木は沈黙したまま笑みを絶やさない。

 

?「...言葉は通じなさそうね。」

?「私はこの幻想郷を管理する博麗の巫女、【博麗霊夢】よ!」

 

金木の笑みが一段と増す。

その表情から読み取れるのは、【喜び】と【悪意】だけだった。

 

霊夢が懐からお祓い棒を取り出す。

霊夢「...私としては弾幕ごっこ以外の勝負なんてしたくないんだけど...」

霊夢「話聞いてくれくれそうな相手じゃないしね...」

 

金木「アハハァァ!」

金木の赫子が霊夢を貫こうと一直線に進む。

 

「ガキィィン!」

霊夢のお祓い棒と金木の赫子がぶつかり、静寂の森に大きな金属音のようなものが響いた。




今回は少し話が重かったですが、次回からは比較的明るい話になります。
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