東方喰種(トーホーグール)【幻】   作:卵かけごはん

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「次回からは比較的明るい話になる」とか言っときながら、結局最初らへん地味
話重くなりました。すいません。



第3話 「鬱鬱」

リゼ「金木君。貴方寝てる暇なんてあるの?」

金木「?」

金木「...寝てる?」

金木「!」

 

そうだ、確か巨大な百足が現れて、それで...

 

そうか...僕はまた....

 

金木「また..やってしまったのか...僕は」

かすれた声で呟く。

 

リゼ「一番重要なのは【あんていく】の皆の命じゃなかったの?」

金木「....」

リゼ「誰かに言われたことない?貴方は他人を心配してるふりして、実際は自分のことしか心配してない。」

 

金木「....僕は皆が幸せならもう...それで...」

リゼ「...そう思うんなら、すぐに起きたほうがいいんじゃないの?」

金木「...うん。」

 

 

 

 

 

 

金木「......」

眩い光が差す。

金木「...?ここは?」

 

僕は古めかしい畳が敷かれた部屋の布団の中にいた。

 

「ガラガラ」

障子が開かれる。

霊夢「..あら?起きたみたいね」

開かれた障子から見えたのは紅白の巫女服を着た少女の姿だった。

金木「君は...?」

霊夢「人に名前を尋ねるときは...ってやつよ。」

霊夢が呆れ顔で言う。

 

金木「ああ、悪いね...僕は金木研。」

霊夢「..一度自己紹介したんだけど...私は博麗霊夢、この幻想郷を管理する巫女よ。

見たところ外来人のようだけどここ、【幻想郷】については知ってる?」

金木「...うん、【妖精】って名乗ってた子達から聞いた。」

霊夢「そう。」

 

金木(【妖精】なんて言われて不思議がらないあたり、やっぱりここでは普通の存在なのかな...)

金木(...って、ん?【一度自己紹介した】?)

金木(僕の記憶の中に【博麗霊夢】なんて名前の人は今までいなかった。)

 

...よく見ると博麗の頬にかすり傷のようなものがついていた。

 

..自分は理性を失っていた。

そして自分がいるのは恐らく彼女、博麗の家だろう。

つまり...

 

どこかでうっすら浮かんでいた考えが鮮明になる。

一番考えたくなかった事だ。

 

金木「もしかして...僕は君を...」

...言葉が出なかった。

あれだけ必死に抑え込んでいた【狂気】を、トラウマを一つや二つ思い出した程度で抑えきれなくなって...

何もしていない人間に襲い掛かるなんて...

 

金木「っ、僕は...」

 

...急に黙り込んだ金木を見て、霊夢が口を開く。

 

霊夢「?何よ急に黙り込んで.....

ああ!もし昨晩のことを気にしてるんなら、気にしなくていいわよ。

どうやら悪気はなかったみたいだしね。」

 

霊夢「それにしても驚いたわ、腰あたりから百足みたいな尻尾が生えてるから妖怪かなんかと思ってたら、気絶した瞬間に尻尾が消えて人間になったんだから。」

 

金木「....」

霊夢「..はぁ...」

金木はまだ黙り込んでいる。

 

霊夢「まぁ、どうしても詫びたいというなら、賽銭でも入れていきなさい。」

金木「...賽銭?」

霊夢「ええ、最近ろくなご飯食べれてないから。」

金木「でも、それだけじゃあ..」

霊夢「いいのよ、そもそもはあなたをここに【引き込んだ】やつの責任だし。」

金木「【引き込んだ】?」

 

霊夢「ええ、博麗結界に破損は見られなかったし、どうせあんたの仕業でしょ...?【紫(ゆかり)】。」

 

ブゥゥン!空間に亀裂(きれつ)が走る。

線はどんどん広がっていき、不格好な黒い円状の面になった。

「ギョロリ」現れた黒い面の中から無数の目がこちらを覗いている。

 

スゥー..黒い面の中から金色の髪をした女性が出てきた。

紫「まぁまぁ、そう気を荒立てずに...確かにここに引き込んだのは私だけれど、暴走したのは想定外だったのよ。」

霊夢「取り敢えず【想定外】って使っとけば何とかなるとか思ってんじゃないわよ!」

どこから取り出したのか、お祓い棒をを紫と呼ばれた人物に向かい叩き付ける。

 

紫「おっと。」

しかし紫はそれを手に持っていた扇子で払い落とす。

霊夢「ちっ!」

紫「スペルカードルールはどこ行ったのよ...それに怪我人のいるところであまり騒ぐものではないわ。」

霊夢「はぁ...」

霊夢が軽くため息を吐く。

 

金木(博麗がチルノに「この幻想郷で一番怖い物」って言われてたのは、この少し短気なところが原因なのだろうか...)

霊夢「怒ってないわよ!」

博麗が怒鳴ってくる。これはどう見ても怒ってるだろう...

というか、言葉に出してないのにわかるって感が少し強すぎるような気が...

 

紫「え~、コホン。まぁそれはいいとして、そろそろ本題に移ろうかしら。」

霊夢「いいとしてってあんた...」

霊夢は呆れた顔をしている。

 

紫「とりあえず、私は【八雲紫】。

さっきも言った通り、あなたをここに連れ込んんだ張本人よ。」

金木「っ!」

 

とっさに金木は紫の胸倉をつかんだ。

金木「僕は..僕には守らなければならないものがある。」

...あのまま戦えば、間違いなく殺されていただろう。

分かっていても手に込める力を抑えることができない。

 

紫「ふふっ...【立場をわきまえなさい】...と言いたいところだけど、分かってて言ってるようね。」

紫「なら結果報告だけする事にするわね...」

金木「..結果...報..告?」

紫「ええ、もう戦いは終わったみたいよ。...あなたの言う【大切なもの】は

少なくともあなたがこっちに来た後は誰も死んでないわ。」

 

金木「......」

紫「まぁ、簡単には信じられないでしょうけど。」

当然というような顔をする。

金木「本当か嘘かなんて二の次です。僕を元の場所に戻してください。今すぐに!」

紫を睨みながら、強く、鋭く語りかける。

 

紫「あらあら、結果的に言えば私は殺されそうだった貴方を助けてあげたのよ?

感謝こそされど、恨まれる筋合いはないわ。」

金木「それについては理解しています...ですが..」

霊夢「はい!ストップ!」

 

しびれを切らした霊夢が声を張り上げた。

霊夢「何の話か知らないけど、人の家で喧嘩するな!」

 

紫「あら、ごめんなさい..」

口調こそ軽いものの、紫の額には冷汗が垂れている。

金木「.....」

霊夢「あんたも落ち着きなさいよ。

よくわかんないけど、客観的に見てもたぶん間違ってるのはあんただと思うし...

まぁ、紫にも原因はあるみたいだけど。」

 

紫がギクッとした表情になる。

金木「...どうやら冷静さを欠いてたみたいだね。悪かったね、博麗。

八雲さんもすみませんでした。」

 

霊夢「うん、わかってくれたならいいわ。それと、霊夢でいいわ。

名字で呼ばれるのは慣れてないの。」

金木(...普通逆だと思うんだけど。)

紫「...私も挑発的だったわね..悪かったわ。それと私も紫でいいわ。」

 

金木「...解りました。あんていくの皆が生きているという話は取り敢えず信じます。」

紫「ええ、それでいいわ。」

金木「それで、わざわざここに引き込んだということは、勝手に帰られては困るということですか?」

紫「ええ、悪いけどそうなるわ。」

...もし本当に皆が生きてるなら、そこまで急いで戻る必要はないな...

 

霊夢「ん~まだよく分かんないけど、幻想郷で暮らすならここでのルールから知ってもらわないといけないんじゃないの?」

紫「ええ、そうね。大雑把なルールはここで知ってもらいましょう。」

金木「スペルカードルール...だっけ?」

霊夢「あら?知ってるの?」

金木「いや...ここの基本的な決闘方法ってことと名前だけしか知らないよ」

霊夢「ならなんで言ったのよ...」

 

金木(なんか董香(とうか)ちゃんに似てるな...この人)

霊夢「まぁいいや、取り敢えずスペルカードルールについて説明するわね。」

 

一呼吸置くき、霊夢が説明を始めた。

霊夢「まず、この「スペルカードルール」はルールといってもスポーツみたいなもので、

あらかじめ技の名前と命名しておいた名前の意味を体現した技をいくつか考えておいて、

それぞれの技名を契約書形式で記した契約書を任意の枚数所持しておくの。

 

この契約書を「スペルカード」と呼んで、このルールの中で必殺技みたいな扱いで使われるの。

 

対決の際には、決闘開始前に決闘内での使用回数を提示して、技を使う際には「カード宣言」をする。

 

お互いに弾幕を打ち合って、相手にヒットさせれば敵の残機が減る。

残機が尽きれば負けよ。

技の美しさにもウェイトが置かれていて、美しさを競うという面もあるのよ。

基本的に幻想郷では【弾幕ごっこ】と呼ばれるわ。」

 

金木(よく噛まないな...)

霊夢「ついでに、この戦いに使用されるスペルカードの効果は各々の【能力】に元ずく場合が多いわ。」

金木「...能力?」

紫「ここで暮らしてるヒトや妖怪は皆、たいてい個々によって違う能力を持ってるのよ。」

金木「能力って...よくSF小説とかで見る?」

霊夢「...?SF?」

紫「ええ、その【能力】よ。」

霊夢「さすが...無駄に知識だけはあるわね、あんた...」

紫「...ほめ言葉として受け取っとくわ。因みに私の能力は【境界を操る程度の能力】よ。」

 

金木「..境界?」

紫「ええ、例えば海と空の境界、生と死の境界とかを操る能力よ。」

金木「生と...死?」

にわかには信じられないが、霊夢が全く驚いてないところを見ると、どうやら本当らしい。

 

金木「霊夢の能力はなんなんだい?」

霊夢「私の能力は【空を飛ぶ程度の能力】よ。」

金木「空を飛ぶ?でもチルノって子も飛んでたけど...」

霊夢「そりゃぁ、ここの有力な奴らは大抵空飛べるしね。」

 

金木「え...でも、君は幻想郷を管理する巫女なんだろう?」

そんな皆が当たり前のように持ってる能力でやっていけるのだろうか...

霊夢「ええ、私の能力は言い換えると【ありとあらゆるものから自身を浮かす程度の能力】だからね。」

金木(...もはや何でもありだな...)

 

金木「...ここにはそんな規格外な力を持ってる人がたくさんいるのかい?中々信じられる話じゃないんだけど...」

紫「..霊夢に傷をつけられる時点で君も結構、規格外だと思うわよ。」

金木「....」

霊夢「まぁ、尻尾が生えてくる外来人なんて聞いたこともなかったしね...」

紫「まぁ、そもそも彼はこの世界でいう【外来人】じゃないから。」

 

霊夢「?」

金木「あの...そもそも【外来人】ってなんなんですか?」

紫「この幻想郷の外の世界から来た人たちの総称よ。」

金木「え...僕は幻想郷の外から来ましたよ..」

紫「ええ、確かにここの外から来たわ...そう【異世界】からね。」

 

霊夢「異世界?」

紫「ええ。」

金木「え...つまり、ここは僕の住んでた所とは完全に違う世界なんですか?」

紫「そ、まぁどうせ幻想郷と外の世界じゃ全然違うから、あなたにはあまり関係ないことだけど。」

金木「はぁ...」

 

霊夢「まぁ、取り敢えずそれは置いといて、【弾幕ごっこ】。話聞いても分かりにくかったろうし、今から軽く実戦やるから見といて。」

紫「え..相手は?」

霊夢「当然あんたよ!元はといえばアンタが金木をこっちに送ったおかげで私、怪我したんだし。ストレス解消道具にしてあげるから覚悟しなさい!」

 

紫「....」

金木「...ご愁傷様です。」




スペルカードルールの説明難しいです...
次回はいよいよ金木君が住むところを決めます。
今の金木君、俗にいう「ホームレス」状態ですから...
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