東方喰種(トーホーグール)【幻】   作:卵かけごはん

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今回、更新がすごく遅くなってしまいました。
すみませんm(__)m
次回からはそれなりのペースで上げられると思います。


第五話 「人外」

...僕達は今、真っ暗な闇の中にいた。

真っ暗な闇の中に、たくさんの目が埋め込まれている。

...ここは紫さんの開いた空間、【スキマ】だ。

 

金木「...なんかあの目、見てると気分が悪くなりそうだな。」

霊夢「まぁ、そのうち慣れると思うわ。」

..不機嫌そうに小さくつぶやくと霊夢には聞こえていたらしく、同感だとでも言いたげな表情で返答を返す。

魔理沙「そういやこれって、人里のどこあたりに通じているんだ?」

 

このスキマは【空間の境界】を操ってできているため、世界中のどこにでも繋げることが可能らしい。

もちろん幻想郷の外にも。

...恐らく僕を幻想郷に引き込んだのもこの能力だ。

 

紫「..人里の中心あたりよ。」

紫が薄笑いする。

...だんだんわかってきたことだけど、この人が薄ら笑いを浮かべたときは、大抵人に嫌がらせをした時だ。

 

..予想通り、魔理沙の顔は引きつっていた。

金木「どうかしたの?」

魔理沙「いや...うん。」

霊夢「里の中心には魔理沙の両親が立ててる店があるのよ。」

口ごもる魔理沙を尻目に、霊夢が説明を入れる。

 

金木「...?両親と仲が悪いの?」

魔理沙「おう...今、絶賛家追い出されだぜ。」

魔理沙が肩を降ろす。

金木「ま、まぁまぁ」

...残念そうに肩を降ろすあたり、別に両親が嫌いというわけじゃないのかな。

紫「さ、ついたわよ。」

 

突然紫が振り向き、急に視界が眩しく光った。

金木「う...眩しい。」

霊夢「やっぱ突然開かれると目に来るわね。」

魔理沙「眩しいぜ。」

それぞれが不満を述べる。

 

...スキマから出ると、目前には明らかに人工的に建てられた木造の建造物が建ち並んでいた。

人も多く、祭りのように賑わっていた。

 

金木「すごい...」

金木は感嘆の声を上げる。

彼らは昨日空から見かけた人里の中心にいた。

霊夢「ほんと便利ね...その能力。」

 

魔理沙「とりあえず、早く金木の家に行こうぜ。」

よほど両親に会いたくないのか、魔理沙が執拗に急かす。

 

紫「はいはい。」

紫が愉快そうに笑う。

霊夢「紫..あんた本当、性格悪いわね..」

 

霊夢が呆れたといわんばかりの表情をする。

魔理沙「..それに関しては激しく同意するぜ。」

魔理沙もそれに続く。

紫「あら、ひどいわね。」

 

..流石に胸に来たのか、扇子で顔を半分ほど覆い、顔をしかめる。

霊夢「まぁ、それはいいわ。とっとと行きましょう。」

紫「..そうね、そろそろ行きましょうか。」

そう言って再び紫が歩を進める。

 

 

 

 

        ♦

 

 

 

 

それからほどなくして、金木の家に到着した。

金木「これが...」

紫「そう、これが幻想郷でのあなたの家よ。」

案内されたのは大きな4階建てのアパートの一室だった。

金木の部屋はアパートの3階に当たる。

..当然ながら、電気は通っていないようだ。まぁ、さしたる問題じゃないな。

 

紫「少し狭いかもしれないけれど、生活に不便を感じることはないと思うわ。」

金木「すいません。ありがとうございます。」

「いいのよ」と紫が笑う。

 

紫「なら次は、部屋の中の確認より先に、人里を見に行かない?」

霊夢「私は買いたいものもあるし賛成よ。」

 

魔理沙「いいけど...私の両親の店には近づかないでくれよ...」

青ざめた表情で魔理沙がぼやく。

金木(どれだけ両親に遭遇したくないんだこの人...)

思わず呆れ顔を作ってしまいそうだ。

 

霊夢「そんじゃ、いきますか。」

霊夢が伸びをしながらアパートから出る..否、飛び降りる。

魔理沙「おう!そうだな。」

魔理沙も霊夢に続く。

 

金木「...非常識だな」

まぁ仕方ないと、自分も飛び降りようとアパートの手すりに足を掛けようとするところで、ふと後ろを振り返る。

 

紫「?何か御用?」

紫が不敵に笑う。

....恐らく、自分が今から言う事が大方分かっているのだろう。

 

金木「..紫さん、貴方は僕が【喰種】だと知っていますよね?そしてそれがどういうものなのかも。

..なぜ、喰種をよりによって【人里】に連れてきたんですか?」

ずっと頭に引っかかっていたことを聞く。

 

紫「.....」

..しかし、訪ねても紫は静かに、愉快そうに微笑むだけで何も言わない。

 

金木「....まさか、人間の一人や二人、死んでも構わないと?」

金木が目つきを鋭くして尋ねる。

彼女は知っているはずだ。僕たち(喰種)の生き方を。

 

紫「まぁ...確かに、人間一人一人にこの幻想郷の有力な者達ほどの価値があるとは言えないわ。」

紫「けれど、大切な幻想郷の仲間であることに変わりはない。」

紫「無暗に殺したりはしないわ。」

 

紫「まぁ、貴方が人を殺めずに生きていけるようにする考えはあるから、安心なさい。」

金木「....はい。」

本当に策はあるのか...金木は少し考えてみたが、どうせ考えても仕方がない。

金木は直ぐに前を向きアパートから飛び降りた。

 

 

 

 

        ♦

 

 

 

 

...炎天下の日差しの下、僕は人里の中を案内されていた。

 

グゥゥー...腹の虫の音がした。

..慌ててお腹を抑えているのを見ると、音の出所は魔理沙のようだ。

 

魔理沙「あはははは...」

恥ずかしそうに笑う。

魔理沙「すまん、周りに食べ物ばっかだからつい...」

 

魔理沙が言うように、人里の中は、やはりまるで祭り何かのように店が並び、賑わっている。

魔理沙や霊夢のような人間には、それはそれは食欲をそそる匂いが漂っているのだろう。

そう、【人間】には。

 

喰種である金木には、周りから漂うそれは例えるならまるでドブのような匂いに感じられる。

..紫さんのような【妖怪】はどうかしらないけど...

金木(..この匂いに慣れるのは、難しそうだ...)

周りから漂う【異臭】に吐き気を覚えながら、これからの生活を案じる。

 

霊夢「お腹も減ったし、なにか食べていく?」

...貧乏なはずの霊夢が突然意外な提案をする。

紫「...私は構わないけど霊夢、貴方そんなお金あるの?」

 

霊夢「?」

足を止めて霊夢がこいつは何を言っているんだ?という風に、紫を指さす。

紫「つまり..私に払えと?」

霊夢「当然。」

紫「.....」

金木「あ、ははっ..」

...取り敢えず苦笑いしておこう。

 

霊夢「そんじゃ、行こ..」

?「ねぇ、そこの白髪の人!」

霊夢が再び歩き出そうとしたとき、不意に後ろから誰かに話しかけられる。(どうでもいいが、読み方は【はくはつ】である。決して【しらが】ではない。)

..その声量は大きく、怒鳴っているようにも感じられたがどうにも怒っているというよりは、焦っているように感じる。

金木「...なにか用かい?」

突然大声を出されて周りの視線が集まったので、不機嫌そうに尋ねる。

...振り返った金木の目には、白いシャツにもんぺを着込んだ【白髪】の少女の姿が写った。

 

?「ちょっと来てくれ!」

白髪の少女に腕をつかまれ、半ば強引に近くにあった家の裏に引っ張られる。

金木「っ!?」

抜け出そうと力を込めるが、少女の腕から抜け出すことができない。

..普通の人間の4~7倍近い筋力を有する喰種の力を使ってもだ。

結局金木はそのまま少女に引きずられることになった。

 

魔理沙「...いっちまったな。」

霊夢「ええ...」

突然のことにポカーンとする二人。

 

霊夢「まぁ、取り敢えずあいつ抜きで団子でも食いに行きましょう。」

紫「...ええ、そうね。」

 

 

 

 

         ♦

 

 

 

 

 

?「なぁ、あんた!その髪って、後天的に白になったのか?」

...家の裏に着くやいなや、白髪の少女が少し興奮気味に聞いてくる。

金木「....そうだけど。」

?「..そうか、やっぱりか...」

トラウマを思い出して、金木が視線をそらして不機嫌そうに答えると、予想通りといった表情で少女が呟く。

..その顔はなぜか嬉しそうだったが、悲しそうにも感じられた。

 

?「...なぁあんた、【蓬莱(ほうらい)の薬】って知ってるか?」

少女が声を小さくして、囁くように尋ねる。

金木「蓬莱の薬?...聞いたことのない単語だね..」

?「...そう..か。勘違いだったか..すまん。」

?「突然呼び止めてすまなかったな。私は【藤原妹紅】(ふじわらのもこう)だ。」

 

金木(...なんだろうこの人、人間なんだろうけど...なんか髪色以外にも普通の人間と違う感じが...)

 

妹紅「?どうかしたか?」

妹紅が不思議そうに尋ねてくる。

金木「いや、何でもないよ..取り敢えず、僕はもう行かないと...」

..流石に、いつまでも霊夢たちを待たせるわけにはいかないだろう..

妹紅「ああ、すまなかったな。もういいよ。」

妹紅「それじゃあ、またな。」

 

軽く片手をあげて別れを告げ、妹紅は去っていく。

金木「...行くか。」

 

 

 

 

金木「...?あれ?」

程なくして元の場所に戻った金木だが、霊夢たちの姿が見当たらない...。

金木「...先に行ったのかな..」

今この場で、最も可能性の高い答えはそうだろう。

【白状者】と思わないわけでは無いが、今それを言っても仕方がない。

金木「...はぁ、仕方ない、匂いを探るか。」

 

喰種の嗅覚はとても優れており、個体によっては犬のそれを遥かに凌駕する嗅覚を持つ。

スゥゥゥ..目を閉じ、鼻孔から入ってくる情報に全身系を集中させる。

金木「見つけた...」

 

ゆっくりと目を開ける。

..それほど遠くには行っていないのか、彼女らの現在地は簡単に特定できた...のだが...

金木「....【人間】の食べ物かな...」

 

どうやら彼女らは食事をしている最中らしく、彼女らの匂いとともに、強烈な異臭が漂ってくる。

金木「..本当、気が参りそうだ..」

 

唯でさえ周りに漂う異臭であまり気分が良くないのだ。

..実際に食事をしている近くには近寄るのは遠慮したい。

 

金木「..とはいえ、ここでじっとしているわけにもいかないし...行くか。」

 

 

 

 

 

         ♦

 

 

 

 

 

...彼女たちは歩き始めてそう経たずに見つけられた。

魔理沙「..だよな~..!おーーい!」

 

楽しそうに霊夢たちと話をしていた魔理沙が金木を見つけて大きく手を振る。

金木「いや「おーーい!」って..」

 

見知らぬ場所に人を置いて行って悪びれもしないとは...

..密かにこの世界の非常識さに呆れる金木だった。

 

霊夢「ほら。あんたの分。」

霊夢が串団子をこちらに向けてくる。

金木「うっ....」

金木(吐き気が...)

 

味は最悪。消化しても栄養は補給できず、体調を崩す。

喰種にとって人の食事はまさに毒である。

 

金木「いや...僕はいいよ..」

魔理沙「ん?甘いもん苦手なのか?」

魔理沙が不思議そうに尋ねてくる。

 

金木「...うん。甘い物はちょっと..」

..まぁ、人間の食べ物全般駄目だけどね...

 

金木(何とかばれない様にしないと..)

そんなことを考えていると、霊夢が持っていた金木の分の団子を頬張った。

霊夢「食べないならもらうわよ~」

..のんびりとそう呟く。

 

..別にかまわないんだけど、そのセリフは食べる前に行ったほうがいいと思う。

魔理沙「あぁ!いらないんなら私がもらおうと思ってたのに!」

..案の定、魔理沙が霊夢に怒鳴る。

 

霊夢「別にいいじゃない。あんた、よく妖怪やらから物をくすねてるんだし..」

金木「...え?」

..この巫女は何をさらっと言っているのか...

 

魔理沙「ふん!別に盗んだわけじゃない。借りてるだけだ!人間の寿命は妖怪よりずっと短いんだし、

私が死ぬまでの間借りとくだけだぜ!」

..得意げに魔理沙が言う。

 

金木「..それは相手に了承を得て借りてるの?」

魔理沙「了承?ははっ!そんな物必要ないぜ!」

金木(元気にすごいことを言うなこの人...)

..ふと横を見ると、紫が呆れたと言わんばかりに顔をしかめていた。

 

金木「..いや、紫さん。貴方、人のこと言えませんからね。」

金木がそういうと、紫は罰が悪そうに苦笑いした。

 

紫「金木君..貴方、私にだけ冷たくないかしら?」

..声から察するに少し癇に障った、というところだろうか..

金木「あはは、そうですかね。すいませ..」

?「駄目ですよ。ご年配は敬いませんと!」

 

..金木が謝罪しようとした瞬間、頭上から声がした。

金木「?」

..見上げるが、太陽がまぶしく光る綺麗な青空が広がっているだけだった。

 

金木「ねぇ、今のって..」

..先ほどの声について、霊夢たちに尋ねようとして口をつぐむ。

 

..どうやら皆、さっきの声について心当たりがあるらしく、

霊夢、魔理沙は顔をひきつらせて明らかに嫌そうな顔をしていた。

 

 

 

...それだけなら良かった。..問題は紫だ。

全身から溢れんばかりの妖気と殺気を放っており、その迫力は周りの人間が全力でその場から離れようとするほどだった。

 

金木(..一体、何をそんなに......あ。)

..なるほど、合点がいった。

紫「誰が...ご年配かしら?」

 

..紫がにっこりと静かに笑う。..まぁ、目は笑ってないけれど..

?「まぁまぁ、そう怒らずに」

苦笑いをしながら、隅から黒髪の女性が出てきた。

..さっき空から聞こえた声と同じ...

 

金木「さっき頭上で話しかけてきたのは君かい?」

?「あ、はい!私は幻想郷の文屋、清く正しい【射命丸文】(しゃめいまる あや)です!」

 

黒髪の女性が礼儀正しく挨拶する。

金木「はぁ...」

金木(しかしチルノといい魔理沙といいこの人といい、実はここ、ハイテンションの人多いのかも...)

..まぁ、チルノと...あと、この人も人間じゃないだろうけど..

 

..目の前の女性、文の背中には立派な真っ黒い二翼の翼が生えていた。

金木「..鴉(からす)?」

射命丸「おお!そこに気付くとはお目が高い!如何にも私は鴉。鴉天狗でございます!!」

金木「..天狗?」

 

..いや、今まで紫の能力や、弾幕勝負を見てきたのだ。

今更天狗の一匹や二匹に驚いたりはしない。

..しかし。

金木「天狗って鼻が長いのが特徴じゃなかったっけ?」

 

文「ん~、それは外の世界の誤情報ですね。実際、天狗の鼻は人間と同じ程度の長さですよ。」

文が苦笑いをして答える。

金木「へぇ、...って、なんで僕が【外来人】だと知ってるんだい?」

..幻想郷ではあまり人と関わってないのだし、情報が出回ることはないはずだが...

 

文「そりゃぁ、私は幻想郷の文屋。貴方の世界で言うところの【新聞記者】ですから!

私の情報網を甘く見てもらっては困りますよ!」

文が胸を張って言う。

金木「...なるほど...って..ん?」

 

金木は今更ながら、あることに違和感を覚える。

金木「..ここって【人】里だよね?紫さんはともかく、勝手に天狗が出入りしていいの?」

文「はい。おっしゃる通り、人外が人里に入ることは基本的に禁じられているのですが...

そんなもの気にしてたら生きててつまらないですよ!!」

金木(..ほんとにここってすごい性格の人が多いな..)

 

紫「文...まさか私に吐いた暴言...忘れてないわよね...?」

..突然、紫が二人の会話に割り込んできた。

 

文「暴言?..ああ!さっきの【ご年配】のことですか?」

そういうと文は不機嫌そうに頬をふくらました。

 

文「嫌ですね~、私が折角貴方の味方を買って出たというのに...」

..さも自分が善人であるかのようにふるまう文。

紫「.....」

 

...流石に本格的に頭に来たのか、紫が黙り込み、目を閉じる。

魔理沙「..っ!おい!やばくねぇか!?あれ!」

霊夢「ええ...確かにあれは...やばい..!!」

 

...文に話しかけられるのを嫌がってか、先ほどまで黙って存在感を消すことに徹していた霊夢らが冷汗を浮かべる。

金木(...普段、怖いまでに冷静沈着な霊夢が焦るってことは...)

金木「やっぱ...やばいかな...これ。」

今更になって危機感を覚える金木。

 

ゆっくりと目を開ける紫。

...大妖怪による大決闘が事もあろうか人里で始まる...!?




文は果たして生き延びれるのだろうか・・・
次回もよろしくお願いします!
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