東方狂宴舞   作:ホッピングミキサー

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半ば無理矢理に異変解決にかりだされた煉。メイド長と共に冥界へ向かう道中彼らは奇妙なものを目撃する。そして煉の心情にも微かな変化が…


shoot23 舞い散る春の断片

この幻想郷に来てからかなりになるが俺は未だに空が飛べない。パチュリー曰く

 

「霊力に加え魔力を内在している貴方が理論的に飛べない訳がない」

 

との事だが俺自身は普段の日常生活において別段不便と感じていなかったこともありその事態をあまり深く考えてはいなかった。

しかしながら、やはり俺の足に合わせるより空を飛んだ方が効率的なのは明らかである。その結果空の飛べない俺は―

 

 

 俺は現在メイド長に抱えられ飛行中であるのだがその体勢が中々にまずい。具体的には腕を腰に回されてぶら下がっている状態でそれは丁度後ろから抱きしめられている形になっており先程から背中に当たる柔らかい二つの物体のせいで思考が一向にまとまらない。

 

「…なぁ、やっぱりこの体勢はなにかと問題があると思うんだが」

 

「仕方ないじゃない、この体勢が一番飛びやすいのだから。それに今の貴方は飛び方に文句を付けれるほど偉い立場なのかしら?」

 

いえいえまったくもってメイド長様の仰る通りでございますよ。俺の小さき抗議の声は次の瞬間にはメイド長の完璧な正論と絶望的な状況によって封殺された。俺が抱えられて飛行中の場所は丁度魔法の森の中腹でいつもは黒々と広がる森林が真っ白な雪の衣を纏って広がっているがその高度が半端じゃない。ここで彼女の機嫌を損ねたら物理的に冥界への直行切符が切られかねないので人間として冥界に行くためにもこれ以上俺が口を挟む事は謹んでおくのが妥当だろう。そう自分を納得させそこから先もこの間抜けな恰好のまま移動を続けることを決めた。

 一体どの位飛んでいただろうか…更に高度を上げたのか真下に広がっていた森林は消え去り周囲には何もない空だけが広がっていおり、あれ以来お互い全く口を開かなくなり流れ始めた気まずい空気が加わってまるで真空パックの様な空間が出来上がっていた。

そんな中不意に飛んできた何かが俺の頬を打った。

 

「いてっ…何だ?」

 

最初は止んでいた雪が再び降り始めたのかとも思ったがそれは雪にしてはやけに大きく飛んでくる方向も不規則でそれはまるで舞う様に風に揺られて飛んできているように思えた。謎の飛来物の正体を見ようと頬に当たったまま張り付いていたそれを剥がしたまま握っていた手を開くとそこにあったのはやはり雪などではなかった。それは春になれば誰もが一度は目にしたことがある白銀の雪景色には全く似つかわしくない薄紅色をした小さな欠片―

 

「桜の…花びら?」

 

当然の事だが冬真っ盛りの幻想郷に「桜が咲いた」なんてことは聞いたことがないし季節感を無視したKYな桜の木があるとも思えない。

 空を舞う異変に繋がる唯一の手掛かりと寒々しく広がる空を見比べていると俺の変化に気づいたのか今まで俄然な態度を通してきたメイド長が興味深そうに俺の掌にある一枚の花弁をのぞき込んできた。

 

「あら、綺麗な桜の花弁ね、お嬢様に見せられないのが残念だわ…そうだ貴方、これをよ く見て覚えておきなさい。異変が終わったら絵に

 してお嬢様に見せるの為にね」

 

「残念ながら俺の頭はそこまで高性能じゃないんでね。レミリア嬢に満足してもらえる ような絵は描けないし繊細なところまでは覚えられないぞ」

 

「勘違いをしているようだけど、これは私からのお願いじゃなく上司としての命令よ」

 

メイド長の余りの強権ぶりに肩を竦めふと空を仰いだ先に針で刺したかの様な黒い点を見た。その点に向かって花弁が吸い上げられるかのように舞い上がっていることからあそこが冥界への入口ということで間違いないだろう。点に見えたそれは近づいていくと次第に拡大し最終的には巨大な穴であることが分かった。空に口を開けるその穴に向かって花弁が吸い込まれていくその様は宛ら宇宙に突如発生するブラックホ

ールに近しい様相を呈していた。異変解決のためとはいえ自ら死後の世界に足を踏み入れ尚且つ冥界という未知の世界対して高揚感すら覚えている俺は普通の人間から見ればよっぽどの好き者か自殺願望のある大馬鹿なのだろう。

しかし今の俺の前ではそんな一般論も希薄なものに成り下がった。八雲からの依頼やレミリア嬢に対する忠誠を名目に冥界の主を…死者が集う場所を前に己の罪を懺悔し理解してもらいたいだけなのかもしれない。浮かんでは消える余りにも身勝手な俺の考えに苦笑いを浮かべながら永遠に続くかの如き暗闇が広がる穴に飛び込んだ。

 

 

 どれ程の時間飛んでいただろう…一切変わらない景色にメイド長も俺も辟易とし始めた頃前方に灯る淡い光を確認した。その光は冥界という悍まし気な空間には不釣り合いな優しいものでありその光の下に規則正しく並ぶ灯篭の群れを照らし出していおり、突き当りにある石段の前で佇む一人の少女の姿もはっきりと見ることができた。近づいていくと彼女は俺達に気付いたのか振り向き目をまん丸に見開き口を開いた。

 

「何でお前等がここにいるんだぜ」

 

 




如何だったでしょうか?最後に今回は冥界までの道中を書いてみたのですが…結構ぐだぐだですね。自分の文才の無さには辟易としてしまいますよ。
最後に出てきた彼女…口調からして既にお察しの方も多いかもしれませんね
 次回からようやく本編に入っていきます!優美な楼閣で煉達を待ちうける出来事とは一体何か…ではまた次回でお会いいたしましょう
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