東方狂宴舞   作:ホッピングミキサー

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はーい!大変遅くなり申し訳ありません…
今回は煉の過去が少し明らかになります。
そして、湖にいたメイドの正体も‼︎
それではshoot03 鎮静 お楽しみ下さい


shoot03 鎮静

 

柔らかな太陽の光が差し込み、暖かな風が吹き抜けていく。頬を撫でる風を心地よく感じながら青空の中にゆっくりと流れている雲を眺めて微睡みに沈もうとしたその時、周りの景色に雑音が走りまるで絵の具をぶちまけたかの様に俺の視界が赤く染まっていった。暖かだった光は歪み辺りからは硝煙の刺激臭に混じって鉄臭い匂いが流れてきている。

 

「なんで…どうしてお父さんを殺したの?」

 

俺の足下で泣き崩れている少女が顔を大きく歪めこちらを見上げているその二つの目は責めるように血に塗れた俺を写している。

 

「分からない…何故こんなことになっているのか俺にも分からないんだ」

 

嘘は言っていなかった。俺にはこの街だった場所で何かした記憶は一切無い。ただそれだけだ。が、客観的に見てこの血に染まった両腕から俺がここの住民を殺したのかもしれないと漠然とした結論が出されるのは火を見るよりも明らかだ。

 

「分からないって…これだけの事をしておいてまだシラを切るつもり?」

 

彼女の責めるような視線が強くなっていく。当然だ状況証拠だけなら完全に俺が黒だからな…だが俺は心中で声なき声を上げる。

 

(違う…俺は嘘は言っていない!それに俺がやったっていう物的証拠が何も無いじゃないか!なんで信じてくれないんだ!なんでどうして!?)

 

頭の中が黒く塗り潰されていく感覚がした。まるで白い画用紙を黒のクレヨンで乱雑に塗りつぶすかのように…視界は赤く染まり、意識も朦朧としてうまく頭が回らない。辛うじて残っている理性と意識を保とうとする俺の頭に彼女の恨みに満ちた声が響いた。

 

「あんたが…『お前が殺した』んだ‼︎」

 

その瞬間張り詰めていた糸がプツリと切れたような音がした。切れたと同時にドス黒い感情がせり上がってくるのを感じ、俺はその流れに身を委ねた。

 

(あれ?コイツ誰ダッケ?モウナンデモイイヤ…僕のジャマスルヤツハミンナ敵ダ。)

 

「グシャッ」

 

俺の足元から湿り気を含んだ嫌な音がした。

 

 

「うわぁ‼︎」

 

毎日のように悪夢で寝覚めの悪い起床を繰り返している俺も今回の夢には参った。まさかあの時の夢を見てしまうとは…俺はベッドから降りようとするが全体的に違和感を感じた。まず体には包帯が大量に巻かれており動かすことすらままならない状態だ。誰かが俺を看病したのかそれらしい形跡があちこちに残っている。それに…部屋が赤い!この俺の寝ているベッドから床から壁から天井に至るまで目が痛くなるような赤で統一されている。

 

「知らない天井だ…」

 

折角なのでテンプレの反応をしてみるが空虚な沈黙が俺の気分を沈ませるだけだった。

なんともいえない微妙な空気でいい加減参りそうになった時、奥にあるドアが叩かれ乾いた音が響いた。

 

「失礼致します。お目覚めでしょうか?」

 

澄んだ声と同時に入ってきたのは優しい笑みを浮かべた一人のメイドだった。彼女は後手でドアを閉めると

俺の前に湯気の立つ皿を置き、側にあった椅子に腰掛けた。

 

「貴方、三日三晩眠りっぱなしだったんです。だから、最初の食事は消化のいいものがいいと思いまして…」

 

話しながら彼女が差し出してきた皿からは食欲を唆る匂いのするリゾットが伺えた。もし、他の人間がこれを出してきたら俺は間違いなく飛びついていただろう。が、目の前にいるこのメイドからは何故かよく研がれた刃物のような冷たい雰囲気が漂っていたからだ。普通の人間が出せるものではない。どちらかというと俺に近いものを感じる…

 

「…あんた一体何者だ?」

 

俺が尋ねると彼女はハッとした表情を浮かべ、少々慌てたように

 

「申し遅れました。私はこの紅魔館でメイド長を務めさせていただいております、十六夜 咲夜と申します。三日前に屋敷の付近で妖怪に襲われている貴方を見つけ救助した後、屋敷の方に移動させていただき治療を施させていただきました」

 

この大量の包帯やあちこちにある治療の跡はこの十六夜というメイドがやってくれたようだ。そしてこの場所は紅魔館という屋敷らしい事も分かった。が…

 

「十六夜か…俺は幽鬼 煉だ。それよりも何故俺を助けた?別にあんたやここの主にそんな義理はないだろ?」

 

そう、別に助ける必要は無い。それも見ず知らずの赤の他人を助けても自分にとって害にしかならないんだからな。

 

「あら、屋敷の敷地内で起きた事を屋敷の住人である私が放っておける訳ありませんし、それにお嬢様の命だったのでそれに従っただけですよ」

 

俺が肩を竦めていると十六夜は何が可笑しかったのか、クスッと小さく笑いまるで小さな子供に言い聞かせるように言った。

成る程な…メイドという立場であることもあるだろうが敷地内でのトラブルは全て住人の責任ってことか。それにお嬢様という表現からここの主は女性なのだろう。

 

「ある程度体力が戻りましたら、お嬢様にお会いになって下さい。お嬢様も何やら貴方に用があると言っていましたので」

 

俺が思考を巡らせていると席を立ちながら十六夜がこちらを見ながら言った。その時になって俺は自分の姿を改めると腰に挿していた銃はベルトごと抜き取られ、サバイバルナイフどころかポケットに入れた筈のツールナイフすらも無くなっていることが分かり自分が今丸腰で寝ていることに気づいた。焦りで心拍数が上がるのが分かる。不安を抑えるために体のあちこちを探り始める。

 

「貴方の服や身につけていた物はここから出る際に返却しますので今は体力回復に努めて下さい。私は仕事があるのでこれにて失礼致します」

 

 

ゴソゴソやっている俺の挙動の意図が分かったのか、やや呆れたような顔でため息まじりにそう言うと俺が顔を上げた時には部屋から消失し、この場には少し冷めたリゾットと焦りの顔のまま固まっている俺だけが残った。

粘度の高い液体の様な時間がズルズルと過ぎリゾットがすっかり過ぎてしまった時俺の腹の音が無駄に大きく響き、それを機に俺は食事に手をつけた。一口目を口に含むんだ時思わず言葉が溢れた。

 

「美味いな…これ」

 

結局、あれ程警戒していた人物が出した食事を俺は完食してしまった。一体これからどうなるのか全く予測は出来ないが流れに任せればなんとかなるだろうとどこか楽観的な感情が生まれ、安心すると俺は微睡みの中に飲み込まれていった。

 

 




いかがだったでしょうか?
次回はもう少し早めに出そうと思いますので、懲りずに見に来てくださいね!
感想やコメントお待ちしております
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